新型インフルエンザの水際対策として、厚生労働省が導入した健康監視の記録システムに不備があり、これを備えた全国の港の検疫所31カ所すべてで全く活用されていないことが、会計検査院の調べでわかった。開発には約1億円かかったという。システムを改善すると新たな費用が発生するため、検査院は厚労省に対し、港の31カ所では運用の中止を求めるとみられる。
不備があったのは、感染症が流行する国から飛行機や船が到着した際に、飛行機や船、人数などを入力する記録システム。新型インフルが世界的に流行した2009年に導入され、全国の空港や港にある検疫所51カ所に順次配備した。これらの記録を集計した日報や月報を厚労省に送り、調査・分析などに使用する。
しかし、このシステムでは、便名を入力するスペースにアルファベットと数字の7文字しか入らず、名称が長い船の便名を正確に入力できない。このため、31カ所の港の検疫所では、このシステムを使用せず、以前から使っていた表計算ソフトなどを利用しているという。
一方、空港の検疫所では便名を7文字で入力できるため、このシステムを利用している。
システムの不備について、厚労省検疫所業務管理室は「新型インフルの発生を受け、先に空港用を作成したので、その時の思考が抜けなかったのかもしれない」と説明。一方で、「港の検疫所では利用していないが、業務に支障はない」と話している。