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記者のひとりごと:「病つけこむ医師」にメスを /東京

 4年ぶりにその場所を訪ねてみた。

 新宿区歌舞伎町1丁目。新宿区役所近くのビル7階に、かつてその精神科クリニックはあった。「診察もせず求め通りに向精神薬を出してくれる」。インターネットの掲示板では、クリニックの利用を勧める書き込みが相次ぎ、全国各地から多くの若者や会社員が詰めかけた。あるサイトには医師のファンクラブもでき、「神」と呼ばれた。

 しかし、医師のずさんな診察と向精神薬の大量処方が、多数の依存症患者を生み出した。クリニックへの批判や苦情が急増し、都は立ち入り検査に踏み切る。医師は医師法違反容疑で立件され、クリニックは閉鎖に追い込まれた。

 あれから4年。「少しは事態が改善されたのではないか」。私の淡い期待は、新宿区保健所の担当者の言葉で打ち砕かれた。「同じように大量の薬を処方している医師はいますよ」

 患者の心の病につけこむ医師--。この構図にメスを入れない限り、問題は解決しない。人影もまばらなビルの前で改めて思った。【武内亮】

毎日新聞 2011年10月14日 地方版

 
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