[週刊BCN 2011年10月10日付 Vol.1402 掲載]
野村総合研究所 巨大プロジェクトの裏にある狙いは
野村総合研究所(NRI、嶋本正社長)は、証券総合バックオフィスシステム「STAR-IV」の追加開発を本格的に拡大している。およそ1年半の開発作業期間中に、延べ3万人の開発人員を投じ、ピーク時では月間2000人月に達する巨大プロジェクトだ。だが、これは野村證券のリテール証券向け基幹システムを共同利用型サービスへと移行するもので、将来的にNRIの主要顧客の1社である野村證券向けカスタムソフト開発の売り上げが減ることを意味している。(安藤章司)
延べ3万人の開発人員を投じる
NRI 嶋本正社長 共同利用型サービスの「STAR-IV」は、これまで準大手・中堅の証券会社が主なユーザーだったが、証券業界最大手の野村證券が加入することで、業界のデファクトスタンダードの地位を手にできる見込みだ。現行の「STAR-IV」では、野村證券の巨大システムの要件は満たせないため、延べ3万人月を動員し、2011年から2012年にかけての約1年半の間に不足要件を補う開発を行う。野村證券へのサービス開始時期は2013年初めを予定している。しかし、デファクトの地位を得るのと引き替えに、今回のプロジェクトはNRIの自己投資が多く含まれている。もともと「STAR-IV」はNRIの独自サービスであることから、野村證券の利用を受け付けた時点で、自らの投資による機能追加は避けられなかった。実際、2012年3月期のソフトウェアなどのNRIの無形固定資産は前年度より70億円余り増える見込みで、この増加分は、「STAR-IV関連の今期分のプロジェクト規模だと思ってもらってかまわない」と、NRIの嶋本正社長は話す。もちろん、野村證券だけが使う機能で、他社との共同利用が難しい箇所は代金をもらって個別開発を行うものと推察されるが、原則として「STAR-IV」の開発はNRIの先行投資である。 ...
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