笛一本2
昨日、私のソロライブ「笛一本」の二回目を開催しました(上記は昨日配布したプログラムです)。連休前のお忙しい中、御来場下さり誠にありがとうございました。笛一本、とは名ばかりに、今回も鳳笙の上田氏、筝(兼笛)の尾崎氏のご両人にゲストで参加して頂きました。篳篥抜きの雅楽の演奏というのはなかなか聞く機会が無いと思います。今日は実際に演奏していた当人の感想を記したいと思います。
今回のテーマは双調でした。全ての曲を双調で統一しました。
まず一曲目は双調「鳥急」。この曲は正真正銘、笛一本で演奏しました。普通に演奏するだけでは面白くないので、舞楽吹にしてみました。管絃吹とは全く違う感じになりますね。
二曲目は催馬楽「席田」。呂旋の催馬楽の上演は非常に困難であります。と言うのは付物の鳳笙が大変だからです。通常の鳳笙には17本の竹に15枚のリードが付いていますが、その15の音以外の音を使用するので、鳳笙は調律自体を変更しなければなりません。具体的には勝絶と鸞鏡の音が必要な訳です。つまりは鳳笙を二管準備しないといけない訳です。当然歌自体も半音階が多くなり、難しくなります。律旋の「更衣」「伊勢海」とは訳が違います。今回、難しいハードルではありましたが敢えて挑戦してみました。鳳笙・筝共に素晴らしい仕事をして下さいました。あれだけの短時間のリハで修正を掛けられるお二人には本当に感服いたします。私の歌も、お二人につられていつもより良い出来であったと思います。
三曲目は「賀殿破・急」。賀殿破の管絃も珍しいですが、今回は双調ともうマニアでしかあり得ない選曲でした。選曲したのはもちろん私ですが(笑)。実は私、双調の賀殿急が大好きなのです。もう、全ての雅楽曲の中で一番と言っていいぐらい。で、前回の西宮で壱具を演奏して見えた世界を知ってしまった私は、その好きな急の前に破を吹いてみたらどうなるか?というのを経験してみたかったのですよ。結果は…、やはり賀殿も破・急セットで一曲と言う事が良く分かりました。
四曲目は「白濱」一応高麗双調、ということで双調繋がり。三ノ鼓と高麗笛のみで演奏してみました。高麗楽独特の素朴さがより表現出来たと自負しております。
五曲目は「陵王」を笛二管で。これはまあ言ってみれば私の笛ライブの定番曲のようなもので。今回も存分に即興演奏に走りました。二度と同じ事は出来ません(笑)。で、最後にアンコールとして「長慶子」で締めました。
つくづく思うのですが、これはライブでありますが私の公開稽古とも言えるのかも知れません。お客様がおられる分、緊張感が半端無いです。通常の稽古より何十倍の価値があるのだと思います。私自身にも非常に有意義だった、そんな演奏でした。この笛ライブは半年に一回ぐらいのペースで行っていきたいと思います。お客様はお茶(もちろんお酒もOK)を飲みながらの気楽な鑑賞です。一度是非お越しくださいませ。