G大阪戦に向けて攻撃練習する闘莉王(左)=愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで
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名古屋グランパスのDF田中マルクス闘莉王(30)が15日のG大阪戦(瑞穂陸)に「負けたら優勝はない」とラストチャンスの決意で臨む。首位・G大阪に勝ち点4差の3位で残りは6試合。13日、愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで約1時間の練習を行った闘莉王は大一番に向け、攻守の切り替えの速さをポイントに挙げて「まだ遅い」とわずかな準備期間にも目を光らせた。
優勝争いを何度も経験してきた闘莉王は、ギリギリまで妥協を許さない。6対6のミニゲームの最中、何度も大声で修正を求めた。
「もっと切り替えを速くしていかないとね。まだ遅い。(ナビスコ杯準決勝の)鹿島戦も、そうだったでしょ」
G大阪との大一番を頭に入れて、残り2日となっても、闘莉王は練習を単なる調整にはしたくなかった。
「負けたら優勝はない。勝つだけ」。逆転優勝へのこだわりが強いからこそ、あきらめが悪く、チームに向上心を植え付けようとした。
今季最初の対戦はアウェーで2−2の引き分け。2度追いついて、G大阪との勝ち点2差をキープして首位を守ったが、今回は立場が逆転。引き分けすら許されない状況で、闘莉王は一瞬のスキさえ許されない戦いを覚悟した。
不安を取り除く作業と同時に、高ぶる気持ちも抑えきれない。攻撃練習では、中村、ダニルソンらMF陣に交じって、起点になる役割。磯村の豪快なミドルシュートが決まって、冷やかし交じりの歓声が上がると、闘莉王は「まぐれじゃねえぞ、まぐれじゃねえぞ」と連呼して、ムードを盛り上げた。
代表組のケネディ、藤本が戻り、ダニルソンも故障から復帰するが、豪華メンバーがそろっただけで安心するほど、闘莉王は楽天的ではない。「もう1回、しっかりやらないとな」と優勝にふさわしいチームのポテンシャルを信じて、攻守の柱は最終決戦に挑む。 (木本邦彦)
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