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TPP:政府が問答集で説明へ「安全でない食品流入せず」

政府が作成した「TPPに関する誤解例」(抜粋)
政府が作成した「TPPに関する誤解例」(抜粋)

 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加問題で、政府がまとめた「問答集」の原案が13日、明らかになった。野田佳彦首相は11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で交渉参加を表明したい考えだが、TPPへの反対論は根強く、与党内の調整すら難航している。政府は、医療や食品の分野などでの「誤解」が反対論の広がりにつながっているとみて、問答集を国民の理解を得るための説明資料として活用する。

 「TPP協定に関する誤解の例」と題した原案は11日に首相官邸で開かれた「経済連携に関する閣僚会合」で、閣僚に配られた。(1)食品安全(2)医療・保険(3)外国人専門家(4)労働市場--の4分野について、交渉参加国から外務省が情報収集してまとめた。

 食品安全分野では「安いが安全でない食品の輸入が増える」との懸念に対し、「食品安全に関する措置はWTO(世界貿易機関)の協定があり、協定で認められた権利を妨げる提案は受け入れない」と断言した。

 牛肉の輸入規制や遺伝子組み換え食品の表示ルールについては「現状は議論されていないが、今後提起される可能性も排除されない」と認めた。ただ「ある国のルールを変更するよう他国から一方的に求められることは想定しがたい」と理解を求めている。

 外国人労働者が大量流入するとの指摘には「一般にFTA(自由貿易協定)ではビジネスマンの商談目的の短期滞在、技術者など専門家の移動などを規定している」と解説。「単純労働者の流入が容易になる事態は考えられない」とした。

 政府は、交渉参加に反対している全国農業協同組合中央会(JA全中)や日本医師会などの業界団体向けの説明資料を原案をもとに作成する。ただ、原案では「(食品安全の)権利を妨げる提案は受け入れない」など、他国の要求を日本が拒めることを前提にした答えも目立つ。反対派からは「日本がそれだけの交渉力を発揮できるのか」との疑問も出てきそうだ。【小山由宇】

毎日新聞 2011年10月14日 2時30分

 

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