首相、除染・賠償財源に「原発関連予算を転用」
野田佳彦首相は7日、共産党の志位和夫委員長と社民党の福島瑞穂党首とそれぞれ首相官邸で会談し、東京電力福島第1原発事故の賠償や除染などの財源に充てるため原発関係予算を削減する考えを表明した。エネルギー対策特別会計の取り崩しなどが念頭にあるとみられるが、これらには政府・与党にも慎重論が根強く、新たな波紋を広げる可能性もある。
会談で、志位氏は、電力会社が使用済み核燃料の処理費用として積み立てている「再処理等積立金」約2兆4千億円と「最終処分積立金」約8400億円を取り崩し、賠償や除染・廃炉のための基金を作るべきだと提案。これに対し、首相は「基金かどうかは別として原発関係の予算を洗い直してそちらの方に使いたい」と前向きな考えを示したという。
藤村修官房長官も7日夕の記者会見で「関係予算にはさまざま関係団体などへの補助金等も含まれる。そういうものをどれだけ削るのか、切るのかだ」と述べ、平成24年度の原発関係予算を23年度の約4330億円から減額する考えを示した。
ただ、志位氏が取り崩しの対象にした2つの積立金は、電力会社が法律に基づいて処理費用のために積み立てた民間資金。これらを政府が事故対策に充てるには法改正が必要な上、民間企業の使途を政府が制約することにもつながる。
一方、福島氏は、エネルギー対策特別会計から振興費などとして原発が建設される自治体に交付金を支払う積立金「周辺地域整備資金」のうち、会計検査院が不要と指摘した657億円の取り崩しを求めた。
ただ、同特別会計は、原発立地地域の振興費や防災対策費、技術開発にも使われており、予算が削減されると地元自治体への配分が減り、原発の安全対策が後回しになる可能性もある。「自治体は振興費をもらうことを前提に原発立地を受け入れてきた。削減の余地はほとんどない」(政府関係者)との声も上がる。
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