きょうのコラム「時鐘」 2011年10月14日

 「ヒラリ君クイズ」は、相変わらず手ごわい。きのうの出題は「親子月」は何月の異称か?手も足も出ない

答えは「12月」。なぜそう言うのか、辞書で調べた。旧暦7月は「親月」で、お盆で親の墓に参るからとある。が、親子月の由来が分からない。積むと背丈ほどの大辞典でも探したが、無駄骨だった

親子月の項目の近くに、親子電話や親子電球が載る。無論、親子丼も。辞書なしでも、こっちの親子の由来は分かる。もっとも、改まって眺めると「親子丼」とは何とも切ない命名に思えてくる。鶏肉と鶏卵を無慈悲にも一緒に食らう。食欲の鬼を思わせるすさまじい名ではないか

似たような命名に、当地の「いとこ煮」がある。報恩講(ほうおんこう)のごちそうの名も、調べると由来に諸説ある。大豆が原料の豆腐と小豆とを「いとこ」に見立てたのが通説。別に、堅い食材から「おいおい(甥甥)」煮ていく、「めいめい(姪姪)」煮ていく料理だから「いとこ」という愉快な説

断然、おいおい・めいめい説を支持したい。無神経な親子丼の名に比べ、北陸人は何と機知とユーモアに富むことか。名は体(たい)を表し、心根も表す。