高放射線量 原発事故と無関係
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高放射線量 原発事故と無関係

10月14日 5時13分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

東京・世田谷区の住宅で床下にあった瓶から高い放射線量が検出された問題で、文部科学省が調査した結果、ビンの中の物質は、がんの治療や蛍光塗料などとして使われる放射性物質のラジウムの可能性が高く、高い放射線量と原発事故とは無関係なことが分かりました。この放射性物質は国への届け出がなかったということで、文部科学省が詳しいいきさつを調べています。

この問題は東京・世田谷区弦巻の区道の一部で高い放射線量が検出され、区が隣接する住宅の中を調べたところ、床下にあった箱の中の瓶から高い放射線量が検出されたものです。文部科学省が、検査官を現場に派遣して調査した結果、箱の中には試験管のような瓶が数十本あり、粉状のものが入っていたということで、ビンの表面で1時間当たり600マイクロシーベルトの高い放射線量が検出されました。このため、これらの放射性物質を放射線を遮る鉛の容器に入れるなどして、住宅の敷地境界から離れた場所に置いたところ、敷地境界で最大1時間当たり3マイクロシーベルト余りあった放射線量は、10分の1以下の1時間当たり0.1マイクロシーベルトから0.3マイクロシーベルトまで下がったということです。また、放射線のエネルギーの分析から、これらの放射性物質は放射性セシウムではなく、がんの治療や蛍光塗料などに使われるラジウム226の可能性が高く、高い放射線量と原発事故とは無関係なことが分かりました。この放射性物質は国への届け出がないということで、文部科学省は関係者から事情を聞くなどして床下にあった詳しいいきさつを調べるとともに、14日、専門の機関に委託して住宅から持ち出し、安全が確保された別の場所で保管することにしています。

ラジウムは、ウランが崩壊してできる放射性物質で、天然の状態では、溶岩が固まってできた玄武岩や花こう岩などに含まれています。半減期の長さが異なる4つの種類があり、今回見つかったものは、このうち半減期がおよそ1600年と最も長い、ラジウム226と推定されています。ラジウムはエネルギーの強いアルファ線のほか、放射性セシウムなどと同じガンマ線を出します。このため、以前はこのガンマ線を利用してがんの治療に用いられていたほか、時計の文字盤を光らせる夜光塗料の材料などとして使われていました。文部科学省によりますと、がんの治療や蛍光塗料などに使われるラジウム226は、医療用であれば、針のような形だったり、蛍光塗料であれば、時計の文字盤だったり、製品化された状態で保管するのが一般的で、通常、粉末の形では保管しないということです。ただ、古くは粉末で保管し、筆で塗って蛍光塗料として使っていたことがあるということです。