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消費者の信用は農家の心晴れず

2011年10月13日

 ●コメ出荷OK

 コメの出荷が、作付けしている県内全市町村で認められた。ただ、消費者の不安は計り知れず、農家は打つ手を探しあぐねている。

 12日夕、県の安全宣言を受け、JA福島五連の庄條徳一会長は「安堵(あんど)している。消費者の皆さんには安心して購入していただきたい」とコメントを出した。

 予備検査で基準(1キロあたり200ベクレル)を上回る500ベクレルが検出された二本松市・旧小浜町地区。同市の三保恵一市長は「今日まで緊張の連続だった。基準値を下回ったと聞き、ようやく安心できた」と顔をほころばせた。同時に、農家の間の値崩れを心配する声について、「販売に影響が出れば、JAなどと連携しながら、東京電力への賠償請求も検討したい」と話した。風評被害を避けるため、引き続き国に対し、コメの全袋検査を求めていくという。

 基準を下回ったとはいえ、消費者の信用は得られるのか。県内の農家の表情は晴れない。

 本検査で104ベクレルを検出した福島市水原地区でコシヒカリを作る男性(69)は「離れて暮らす孫には『ほかで買ってくれ』と言うしかない」と話した。

 毎年、札幌市の次女の一家に1年分のコメを送ってきた。ほかにも福島市内の親戚や知人ら十数人に送るのが慣例だったが、今年は難しいと考えている。

 半世紀にわたって、コメを作ってきた。できたコメは粒が大きく、食味がよいとの自負があった。「放射能の味がするわけでねえ。30年後を考える必要はないし、自分たちは食べるよ。かえって長生きするかもしれん」。軽口のなかに無念さがにじんだ。

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