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プルサーマルめぐる国主催シンポ 道が要請

2011年10月13日

■08年泊で開催
■交付金のため急ぐ?

 北海道電力泊原発3号機へのプルサーマル計画導入をめぐって国が2008年に主催し、国と北電の「やらせ」が発覚したシンポジウムが、道の要請で開かれていたことが関係者への取材で分かった。当時、計画に同意すれば国から道に支払われる交付金制度の期限が迫っていた。関係者からは、交付金を目当てに急きょ判断を早めざるを得なくなり、国を頼ったのではないかとの見方も出ている。

■道「国に聞く質問あった」

 プルサーマルは、使用済み核燃料を再処理したMOX燃料を通常の原子炉で燃やす発電のやり方。経済産業省資源エネルギー庁は「国策」として計画を推進するが、実際に導入するには、国の安全審査と地元の事前了解が必要だ。

 北電は08年4月、安全協定に基づき、道と地元4町村に事前了解の協議を申し入れた。道と4町村はこの可否の判断のため「ご意見を伺う会」を開いて道民の意見を集約する一方、有識者検討会議を設けて安全性についての審議を進めた。

 その結果、道民から計画の安全性を問う意見などが多数出た。有識者会議は、これらを反映させながら、MOX燃料に含まれるプルトニウムの特性や搬入、貯蔵方法など24項目の論点を掲げ、道や北電の考えをただす方式で審議を進めた。

 関係者によると、こうした手法では安全論議に予想以上に時間がかかるようになった。すでに計画推進に動き出していた西日本の自治体では、住民意識の把握はシンポ来場者にアンケートする程度だったという。

 こうした状況の中、国主催のシンポが08年8月、泊村で開催された。きっかけは道の要請だった。

 道原子力安全対策課の担当者は「ご意見を伺う会では、『MOX燃料は割高ではないか』といった安全性とは論点が違う質問があった。国に直接聞いた方がよい質問があり、国に開催を要請した」と、理由を説明する。

 ただ、当時の事情に詳しい関係者は、「事前協議の論議をより早めるために計画を推進する国に支援を求めたのでは」と指摘。その背景として、MOX燃料の使用に同意した都道府県に、総額60億円が支払われる「核燃料サイクル交付金」制度が08年度末に終了することを挙げた。

 また、シンポで地元住民に賛成意見を述べさせるよう北電にやらせを指示した当時のエネ庁職員は「プルサーマル計画で国がシンポを開くよう法律で定められていない。道の要請で開き、シンポの進行は北電と道が打ち合わせた」と、朝日新聞の取材に話した。

 結果的にシンポの参加者へのアンケートでは、回答者のうちプルサーマルの必要性や安全性の「理解が深まった」「だいたい理解が深まった」との回答が6割強に上った。

 これを受けた有識者会議は、08年12月に「安全性が確保される」との最終報告の取りまとめに着手。道と4町村は交付金制度が終わる直前の09年3月に、北電に事前了解すると伝えた。

 交付金のために議論を早めたのではないかとの指摘に、高橋はるみ知事は記者会見などで一貫して「安全性論議が最優先。(事前了解の結論をいつ出すか)期限を付することは考えていない」と反論している。

 一連のやらせ問題を受けて北電が設置した第三者委員会は、この国主催のシンポを含めて実態解明を進めている。

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