【マルチ商法と民主党政権】衝撃!マルチ支援の議連会長が「公安委員長」

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2011.10.12


山岡氏は国会でマルチ業界との関係を語った【拡大】

 マルチ商法(連鎖販売取引)業界と永田町との関係が再び注目されている。業界を支援する議員連盟の会長を務めていた民主党の山岡賢次衆院議員(68)が、消費者担当相兼国家公安委員長に就任したためだ。マルチ商法は、本人の経済的・精神的被害だけでなく、被害者が加害者となって人間関係を破壊する面もある。自殺やノイローゼ、夜逃げなども発生している。2000万円以上の被害にあった50代女性がすべてを語った。(ジャーナリスト・田村建雄と本紙取材班)

 「山岡氏は『よいマルチと悪いマルチがある』とも話していたそうですが、被害の深刻さを理解しているのでしょうか」

 北陸在住の50代女性Sさんは語る。架空の投資話で数百億円もの金を集めた健康食品系のマルチ商法にだまされ、地獄のような日々を送った。

 Sさんがマルチ商法に出合ったのは2003年年末。知人から「美容にいい」という1本2000円のドリンク剤を勧められた。その後、取引先の女性らを紹介して健康食品を購入していたが、会社側から「海外投資をしている。半年後には2倍になる」「こんなチャンスはない」といわれ、数人で百数十万円を入金したところ、240万円が戻ってきたという。

 ゼロ金利時代もあり、Sさん周辺だけで会員は百数十人まで膨らみ、6億円以上が同社に流れ込んだ。信用した背景には「会員のトップクラスには『政財官の大物が多い』と言われたことも大きかった」(Sさん)

 しかし、06年夏から「少し遅れる」などと入金が滞り始め、07年5月には完全にストップした。同社の手口は、新たな出資者から資金を集めて、別の出資者への配当に回す自転車操業。Sさん自身、2000万円以上だまされたが、勧誘した中には約5000万円も注ぎ込んだ未亡人や、1000万円台の被害者も何人もいるという。

 人間関係は壊れ、抗議電話が鳴りっぱなし。「お金を返せ」「自殺する」といったFAXが連日届いたという。体調は悪化し、ウツ状態が3年ほど続いた。心痛からかガンになった知人、夫婦関係が崩壊した知人もいた。

 《悪徳商法被害者対策委員会の堺次夫会長は先月28日、参議院予算委員に参考人として出席し、『公正なマルチというのは、無害なペスト、安全なコレラと言うに等しい。マルチ商法の本質はネズミ講。いつかは行き詰まり、破たんする』と喝破している》

 インターネット上には、山岡氏がマルチ関連の会合で講演した動画が複数存在している。

 この1つで、山岡氏は「(マルチ商法が)日本に入ってきた最初が悪かった。ネズミ(講)として入ってきた。ネズミは売るものがないんですよ。架空商売。だから詐欺的商売。そこが問題なんです」「ネットワークビジネスとは大企業がとってしまうほとんどの利益を皆さんの利益にする、いい制度でしょ?」などと語っている。

 野田佳彦首相は組閣にあたり「基本的には適材適所」と豪語した。

 これについて、Sさんは「どこが適材適所なんでしょうか。理解できません。これ以上、悲惨な被害者を増やしてほしくない」と語っている。

 

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