福島原発事故基にコスト算出
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福島原発事故基にコスト算出

10月13日 18時39分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

原子力発電にかかるコストを試算している国の原子力委員会は、原発事故が起きた場合の費用を発電コストに反映させるため、東京電力福島第一原子力発電所の事故の損失額をベースに、損害賠償や廃炉などにかかる費用を発電コストに加えて算出することを決めました。

原子力委員会は、国の原子力政策の基本方針となる原子力政策大綱の見直しに伴って、原子力発電のコストを試算する作業を始めていて、原発事故が起きた場合のコストも新たに試算することにしています。会合では事故のコストにどの程度の被害額を含めるかが議論され、福島第一原発事故の損失額をベースに、損害賠償や廃炉、それに除染にかかる費用を含めることを確認しました。福島第一原発の事故の損失額を巡っては、国の委員会の報告書で損害賠償や廃炉それに除染などにかかる費用を含めて5兆7000億近くに上ると試算されています。会合では委員から除染の費用がさらに増えるのではないかという意見も出て、こうした意見を検討したうえで、損失額に事故の発生確率を掛け合わせて、次回の会合で具体的な発電コストを算出することにしました。座長を務める鈴木達治郎原子力委員長代理は「選択する条件で数値が変わるので、試算した数値の幅を明らかにして、基になる考え方もしっかり示したい」と話しています。次回の会合は25日に開かれ、試算はエネルギー政策の見直しを検討している政府の委員会に報告することにしています。

原子力や火力などさまざまな発電方式による発電コストについては、過去にも試算があります。エネルギー政策の見直しを議論している政府の「エネルギー・環境会議」が設けた委員会で示されたこれまでの試算は、1キロワットアワー当たりの価格で、「原子力」が最も安く5円から6円。次いで「石炭火力」が5円から7円。「液化天然ガスを使った火力」が6円から7円、それに「規模の大きな水力」が8円から13円となっています。また、再生可能エネルギーでは、「風力」が11円から26円、「地熱発電」が11円から27円となっています。ただ、こうした試算については、試算された時期や試算方法の条件、それに試算を行った機関がばらばらのため単純に比較できないのではないかという指摘があります。政府の委員会はこうした試算について、それぞれの発電方式ごとに試算の条件などによる変動要因を考慮したうえで、年内にもそれぞれのコストの試算結果を比較検証することにしています。