少年の日の思い出

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 主人公の心の変化に注意しましょう。また、この作品で作者が言いたかったことは何でしょうか。最後の主人公の行為にはどんな気持ちが込められているでしょうか。ここでは難しい語句の意味調べも重要です。


本文中の赤文字について漢字あるいは読みを答えなさい。クリックすると正解を確認できます。

本文中の青文字は覚えておきたい語句です。クリックすれば意味が分かりますが、自分でも辞書で確認しましょう。

1次の文を読み後の問に答えなさい。

 ぼくの両親は立派な道具なんかくれなかったから、ぼくは1自分の収集を、古いつぶれたボール紙の箱にしまっておかねばならなかった。びんのセンから切り抜いた丸いキルクを底に貼り付け、ピンをそれに留めた。こうした箱のつぶれたカベの間に、ぼくは自分の宝物をしまっていた。初めのうち、ぼくは自分の収集を喜んで( ア )仲間に見せたが、ほかの者はガラスのふたのある木箱や、緑色のガーゼを張ったシイク箱や、その他ぜいたくなものを持っていたので、自分のヨウチな設備をじまんすることなんかできなかった。それどころか、重大で、評判になるような発見物や獲物があっても、ないしょにし、自分の妹たちだけに見せる習慣になった。
 ある時、ぼくは、ぼくらのところでは珍しい青いコムラサキをとらえた。それを展翅し、乾いた時に、得意のあまり、( イ )となりの子供にだけは見せよう、という気になった。それは、中庭の向こうに住んでいる先生の息子だった。この少年は、( T )のうちどころがないという悪徳をもっていた。それは子供としては二倍も気味悪い性質だった。彼の収集は小さく
ヒンジャクだったが、こぎれいなのと、手入れの正確な点で一つの宝石のようなものになっていた。彼はそのうえ、痛んだり壊れたりしたチョウの羽を、にかわでつぎ合わすという、非常に難しい珍しい技術を心得ていた。とにかく、あらゆる点で、モハン少年だった。そのため、ぼくはねたみ、タンショウしながら彼を憎んでいた。
 2この少年にコムラサキを見せた。彼は専門家らしくそれを鑑定し、その珍しいことを認め、二十ペニヒぐらいの現金の値打ちはある、と値踏みした。しかしそれから、彼は
ナンクセをつけ始め、展翅の仕方が悪いとか、右の触角が曲がっているとか、左の触角がのびているとか言い、そのうえ、足が二本かけているという、( ウ )ケッカンを発見した。ぼくはその欠点を大したものとは考えなかったが、( エ )3批評家のため、自分の獲物に対する喜びはかなり傷つけられた。それでぼくは二度と彼に獲物を見せなかった。
 二年たって、ぼくたちは、もう大きな少年になっていたが、ぼくの熱情はまだ絶頂にあった。そのころ、あのエーミールがヤママユガをサナギからかえしたといううわさが広まった。



問1 ( )Tに入れるのに適当な漢字一字を答えなさい。

解答

問2 ( )ア〜エに入れるのに適当なことばを次から選び番号で答えなさい。
  1もっともな 2すばらしい 3たびたび 4こっぴどい 5すこしも 6せめて

解答

問3 オレンジ色1「自分の収集」を、ぼくがどのように評価しているか分かる表現を二字で抜き出しなさい。ヒント  

解答

問4 オレンジ色2「この少年にコムラサキを見せた。」理由を二字で抜き出しなさい。ヒント  

解答

問5 オレンジ色3「批評家」とは誰のことか、より明確な形で示している表現を抜き出しなさい。

解答

2次の文を読み後の問に答えなさい。

 かれこれ夜になってしまったが、ぼくは出かける気になれなかった。母はぼくが中庭にいるのを見つけて、「今日のうちでなければなりません。さあ、行きなさい」と小声で言った。それでぼくは出かけていき、( T )彼は出てきて、すぐに、だれかがヤママユガをだいなしにしてしまった。悪いやつがやったのか、あるいはネコがやったのかわからない、と語った。( U )二人は上に上がっていった。彼はろうそくをつけた。ぼくはだいなしになったチョウが展翅板の上に載っているのを見た。エーミールがそれをうために努力したあとが認められた。壊れた羽は丹念に広げられ、ぬれた吸い取り紙の上に置かれてあった。しかしそれは直すよしもなかった。触角もやはりなくなっていた。そこで、( V )
 すると、エーミールは( ア )たり、ぼくをどなりつけたりなどはしないで、低く、ちえっと( イ )を鳴らし、しばらくぼくを見つめていたが、それから「そうか、そうか、つまりきみはそんなやつなんだな。」と言った。
 ぼくは彼にぼくのおもちゃをみんなやると言った。それでも彼は( ウ )かまえ、
イゼンぼくをただケイベツに見つめていたので、ぼくは自分のチョウの収集を全部やると言った。しかし彼は、「けっこうだよ。ぼくはきみの集めたやつはもう知っている。そのうえ、今日またきみがチョウをどんなに取り扱っているか、ということを見ることができたさ。」と言った。
 その
シュンカン、ぼくはすんでのところであいつののどぶえに飛びかかるところだった。もうどうにもしようがなかった。ぼくは悪漢だということに決まってしまい、エーミールはまるで世界のおきてを代表でもするかのように、冷然と、正義をたてに、( エ )、ぼくの前に立っていた。彼はののしりさえもしなかった。ただぼくを眺めて、( オ )ていた。
 その時初めてぼくは、一度起きたことは、もう
いのできないものだということを悟った。ぼくは立ち去った。母が根ほり( カ )ほりきこうとしないで、ぼくにキスだけして、かまわずにおいてくれたことをうれしく思った。ぼくは、床にお入り、と言われた。ぼくにとってはもうおそい時刻だった。だが、その前にぼくは、そっと食堂に行って、大きなとび色の厚紙の箱を取ってき、それを寝台の上に載せ、やみの中で開いた。そしてチョウチョを一つ一つ取り出し、指でこなごなにおしつぶしてしまった


問1 ( )T〜Vに入れるのに適当な内容を次から選び番号で答えなさい。
  1それはぼくがやったのだと言い、詳しく話し、説明しようと試みた。
  2エーミールは、と尋ねた。
  3ぼくも探してやるよと言った。
  4ぼくはそのチョウを見せてくれと頼んだ。
  5ぼくは謝るのをやめた。

解答

問2 ( )イ・カに入れるのに適当な漢字一字をそれぞれ答えなさい。

解答

問3 ( )ア・ウ・エ・オに入れるのに適当なことばを次から選び番号で答えなさい。
  1激し 2つらそうに 3あなどるように 4軽蔑し 5冷淡に 6ほほえみ

解答

問4 オレンジ色「そしてチョウチョを一つ一つ取り出し、指でこなごなにおしつぶしてしまった。」理由として最も適当なものを次から選び記号で答えなさい。ヒント  
  1非常に好きだったチョウチョの収集を断念することで自らを罰しようと考えたから。
  2チョウチョのせいでこのように辛い思いをすることになったのだと考えたから。
  3悪漢として生きようと決意したぼくには子供じみた趣味はあわないと考えたから。
  4エーミールに対する不快感をいくらかでもはらし落ち着いた気持ちになるために必要だと考えたから。

解答

3次の文章を読んで後の問いに答えなさい。

 エーミールがこのフシギなチョウを持っているということを聞くと、ぼくは(  A  )コウフンしてしまって、それが見られる時の来るのが待ちきれなくなった。食後、外出ができるようになると、すぐぼくは中庭を越えて、となりの家の四階に上っていった。そこに例の先生の息子は、小さいながら自分だけの部屋を持っていた。それがぼくにはどのくらいうらやましかったかわからない。途中でぼくは、だれにも会わなかった。上にたどり着いて、部屋の戸をノックしたが、返事がなかった。エーミールはいなかったのだ。ドアのハンドルを回してみると、入り口は開いていることがわかった。
 (  1  )と、ぼくは中に入った。そしてすぐに、エーミールが収集をしまっている、二つの大きな箱を手に取った。どちらの箱にも見つからなかったが、やがて、(  2  )と思いついた。(  B  )そこにあった。とび色のビロードの羽を細長い紙きれに張りのばされて、ヤママユガは展翅板に留められていた。ぼくはその上にかがんで、毛の生えた赤茶色の触角や、
ユウガで、果てしなくビミョウな色をした羽の縁や、下羽の内側の縁にある細い羊毛のような毛などを、残らず間近から眺めた。(  C  )、あの有名な斑点だけは見られなかった。細長い紙きれの下になっていたのだ。
 胸をどきどきさせながら、ぼくは
ユウワクに負けて、紙きれを取りのけ、針を抜いた。すると、四つの大きな不思議な斑点が、さし絵のよりはずっと美しく、ずっとすばらしく、ぼくを見つめた。それを見ると、(  3  )という逆らいがたい欲望を感じて、ぼくは生まれて初めて盗みを犯した。ぼくはピンをそっと引っぱった。チョウはもう乾いていたので、形はクズれなかった。ぼくはそれを手のひらに載せて、エーミールの部屋から持ち出した。



問1 ( )1〜3に入れるものとして最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。
   ア そのチョウはまだ展翅板に載っているかもしれない
   イ この宝を手に入れたい
   ウ せめて例のチョウを見たい

解答

問2 ( )A〜Cに入れるのに最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。
   ア せめて   イ あいにく   ウ はたして   エ すっかり

解答

問3 緑部分に使われている表現技法を漢字で答えなさい。

解答

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