NTTドコモも、次世代高速通信「LTE」に対応したサムスン製の端末など4機種を10月中旬に発表する予定。富士通東芝モバイルなど国内製品も投入されるが、「どうしても脇役になる」(ドコモの幹部)。
一方、ソフトバンクモバイルは9月の冬モデル発表会でシャープやパナソニックなど国内製品をアピールした。ただ、アイフォーンだけに依存する経営戦略の転換を迫られるなかで、中国メーカーのファーウェイやZTE製品の投入も進めるなど、「暗中模索している」(業界関係者)との見方も強い。
世界標準に出遅れ
なぜ、携帯会社は海外モデルを選ぶのか。OSのシェアで世界首位のアンドロイド端末ではサムスンやHTCが開発段階からグーグルと連携し「開発スピードも速く、アンドロイドとの相性が格段に高い」(MM総研の横田英明研究部長)のが理由の一つ。両社は米マイクロソフト(MS)のOS「ウィンドウズフォン」の端末も投入し、MSとの関係を築き始めている。
スマホ投入が遅れた国内メーカーはグーグルとの関係は緊密とはいえず、ワンセグやおサイフケータイなど「ガラパゴス機能」で差別化を図るのがやっと。開発資金も乏しく、「世界に打って出られる機種はない」(アナリスト)ため、国内需要の奪い合いに終始している。
もっとも、海外モデルの隆盛は携帯会社にも苦境をもたらしつつある。従来の携帯電話ではメーカーとともに、ネット接続や音楽配信など独自のサービスを提供してきた。ただ、世界標準モデルのスマホでは対応にも限界があり、「インフラの通信回線を提供するだけの『パイプ屋』に成り下がりかねない」(通信会社幹部)との懸念が強まっている。(森川潤)