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【静岡】

宝永地震M9超 再評価で可能性 静岡で日本地震学会

これまで推定8.6

宝永地震の規模の再評価について話す石川研究員=12日、静岡市駿河区のグランシップで(佐藤均撮影)

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 東日本大震災後初めての開催となる日本地震学会(平原和朗会長)が12日、静岡市駿河区のグランシップで始まった。マグニチュード(M)9という想定外の巨大地震が発生したメカニズムに迫る新知見が披露された。初日は約80件の発表があり、うち20件は震災関連。何百年もの長い周期の地震が起きた理由や、巨大津波の発生原理などを説明する発表が続いた。津波堆積物から過去に起きた大地震をたどる研究報告もあった。(福田大展) 

 産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の石川有三研究員は、国内で過去最大とされる江戸時代の宝永地震(1707年)が、東日本大震災のM9を上回る規模だった可能性があるとする研究成果を発表した。

 宝永地震は東海・東南海・南海の3地震が連動して同時に発生したとみられる大地震で、これまでM8・6と推定されてきた。古文書などの記録から、九州、四国沿岸から大阪湾まで津波が押し寄せ、死者は2万人を超えたとされる。

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 石川研究員は、近年国内で起きた複数の大地震について、震度6弱以上を記録した領域の最大長とMとの関係を分析、算出データを基に宝永地震の規模の再評価を試みた。

 それによると、2003年の北海道十勝沖地震は震度6弱以上の領域の長さが185キロでM8、東日本大震災は領域の長さが445キロでM9。中央防災会議の資料から宝永地震は領域の長さを590キロとしてM9・3と求めた。

 また震災後1カ月間にあった余震を見ると、震度6弱以上の領域の長さが、本震の1・4倍だったことから、宝永地震の余震の領域の長さを826キロと推定。余震域の面積から地震の規模を求める計算式に当てはめて、宝永地震をM9・1と評価した。

 Mの値が0・1大きくなると地震のエネルギーは約1・4倍となる。M9・3ならエネルギーはM9の約2・7倍となる計算。

 石川研究員は「宝永地震の規模がきちんと評価されていなかったことが、M9を想定できなかった理由の一つ」と指摘した。

 

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