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十勝毎日新聞社ニュース

航大訓練機墜落3人意識不明

2011年07月28日 15時28分

 28日午前9時半ごろ、とかち帯広空港を離陸して訓練飛行中だった航空大学校帯広分校(大里裕治分校長)の小型機(ビーチクラフト式A36型、田中賢二郎機長)が遭難信号を発信して消息を絶った。同機には田中機長を含む教官2人と学生2人の計4人が搭乗。自衛隊など関係機関が捜索し、芽室町内美生ダムで機体を発見した。近くの林道で学生の川口勇さんが救助され帯広市内の病院に運ばれた。川口さんは道警の調べに「フライト中にエンジン火災が発生し機体が燃えた。山の方でぶつかった。1人で沢を下りてきた」と話した。ほかの3人は意識不明の重体。

墜落現場に続く道路で非常線を張る帯広署員ら(28日午後1時半ごろ、芽室町渋山で。折原徹也撮影)

救助の学生「エンジン火災、山でぶつかった」
 同分校などによると、同機は午前9時11分に離陸し同9時28分ごろに国土交通省に遭難信号を発信した。乗っていたのは、機長の田中賢二郎さん(43)、教官の森園隆二さん(45)、学生の藤井一朗さん(23)、川口勇さん(23)の4人。

 遭難信号は墜落した場合などに自動的に発信されるタイプで、発信後、管制機関などが無線で呼び掛けているが、反応はないという。燃料は4時間半分搭載しており、同10時56分に戻る予定だった。

 同航大によると、同訓練機は帯広市南部から芽室町嵐山付近で訓練飛行を行う予定だった。同9時15分ごろ、訓練空域に達したとの交信を最後に、芽室町新嵐山付近で遭難信号が発信されたのを海上保安庁が受信して同校に連絡した。

 同校が地上から車両2台、上空から訓練機1機で捜索しているほか、自衛隊が航空機1機、ヘリ2機で捜索活動を続けている。帯広署は同分校からの情報により芽室町の嵐山方面で50人態勢で捜索を開始、道警航空隊帯広分遣隊のヘリコプターなど2機も上空から探している。

 陸上自衛隊第五旅団の第五飛行隊も同11時半に小型ヘリコプターを使った捜索を開始、航空自衛隊千歳基地所属の航空機と小型ヘリコプター計2機も向かっている。

低空域空中操作の訓練
 事故を受け同校では捜索活動や家族への連絡など対応に追われた。午前11時40分からは大里裕治分校長と横山裕好実科首席教官が記者会見を開いた。

 会見によると、田中機長は飛行時間4846時間、森園教官は9572時間のベテラン。藤井さんと川口さんは昨年12月に入校し、宮崎本校での座学を経て4月から帯広で実機での操縦訓練を始めた。

 この日は帯広市南部から芽室町新嵐山付近の空域で、低空域空中操作という訓練を行う予定だった。高度約800メートルで訓練空域に向かい、高度約300メートルで地上の目標物を見ながら円状に飛行するなどの訓練を行う予定だった。

 事故当時、誰が操縦していたかは不明という。

過去に死傷事故
 航空大学校は国内唯一の公的パイロット養成機関。同校によると、これまでに3500人を超す卒業生を送り出し、日本の航空会社の操縦士の4割を占めている。

 2002年3月1日には、帯広市美栄町西5線125の防風林に、小型航空機がきりもみ状の飛行を体験するスピン訓練中、墜落。教官1人が死亡、生徒が右腕骨折の重傷を負うという、同校初の死亡事故を起こしていた。

 同校をめぐっては、03年7月に宮崎市の水田に小型練習機が墜落。教官と学生の計3人が死亡し、1人が重傷を負う事故が発生した。不適切な修理が事故を招いたとして、エンジン整備を担当した埼玉県川越市の会社の元社員が業務上過失致死傷罪に問われ、宮崎地裁で08年2月に禁錮2年6月を言い渡された。

 同校は05年から、事故が起きた7月11日を「航大安全祈念の日」とし、再発防止を図ってきた。

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