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[27051] Muv-Luv Alternative~二度あることは三度ある~(オリ主、チート、駄文)チラシの裏より移動しました
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/05/04 22:50
こんにちわ。

つい最近SSってものを知り、ほとんど読み専門だったんですが、一回書いてみようと思いました。なにぶん、不器用なので誤字など色々ありますが生暖かい目で見てやってください。


ちなみにオルタは本編は、やったことがありますが、TEの設定はまったく知りません。これから出てくるかどうかはわかりませんが、キャラ設定等はある意味こうだったらいいなあ~っていう願望が出まくってます。

オリ主ものです。ゆえにオリ主中心になります。かなり最強です。そういうのが嫌いな方はすんません。設定も色々な先駆者の方々作品の影響をばりばり受けてます。尚、オリジナル設定とかオリキャラ、兵装など、個人的な解釈というか、後時々整合性のつかない時があったりとめちゃくちゃな時があったりしますが気にしないでいただけると助かります。テンションにまかせて書いてるときがあったりするので、こんな素人バリバリの酷い話ですがよろしくお願いします。




かなりの駄文ですが、私の処女作を楽しんでもらえれば幸いです。

それではこれからよろしくお願いします。


2011年4月9日 全話修正しました。

三点リーダの使い方なんて始めて知りました。ご指摘ありがとうございます。

つか本当に素人バリバリです。すんません。


2011年4月17日 

お世話になっていたチラシの裏からこちらへ移動しました。よろしくお願いします。

2011年4月19日修正しました~

てか(習作)はずすの忘れてた~恥ずかしい~というか習作で間違いないですが…

4話修正しました~シミュなんですなあ~でも言うときシュミって言っちゃいません?




キャラ紹介


今更ですが、紹介します。




二階堂千早 

所属は国連軍 階級は少佐 オリ主


現実からの転生、自称神様よりチート機能を頂いてオルタ世界へ。

髪は銀色で腰まであり、うっとしいので常に後ろで括っている。(ポニーが好き)

ちなみに、気分によってツインとかお団子とか、結構楽しんでいたりする。

容姿はかなり美人さん(イメージはセOベリアさん)その為初対面では必ず女性と間違われる

口癖が「にゃあ~」とかなのは、銀髪女性キャラは猫科であると思っているからw

衛士としての腕は超一流。生身での戦闘力はヤOチャ改めクOOン並み。

ちなみに描写はないが、頭もいいらしい……決して作者がバカだからではない。

精神の再構築がすんでおり、何事にも動じない(内心ではびびりまくっている)

この間やっと新潟で実戦を経験したが、武のように修羅場を潜っていないのでシリアスになると焦ってしまう。

焦ると大体色々なキャラを賜ったセリフで誤魔化そうとする、それが意外にも周りを納得させたり、好印象を持たれたりしているが本人は気づいていない。

最近は同じ銀髪の天然パーマの方のセリフがお気に入り。

書いていてものすごく楽しいキャラで、特に武と夕呼さんとのからみは書いていて一番楽しい今は誰ともくっつけようと思っていませんが、誰かとくっつけるのもおもしろいかな~と思っています。



[27051] 第一話「どこかで見たような始まり方」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/04/09 22:40
夢の中だろうか?自分は一体どうしたのだろうか?さっきまでゲームして寝ていたのに。

そう。俺は寝る前にゲームをそれもエロゲーをしていた。進められてやってみたらものすごくおもしろくて。

(話はおもしろいけど、ヒロイン全滅は無いな。悲しすぎる。)

マブラヴオルタのエンディングが。

夢にしては嫌に現実的な。

「お~い」

(うるさいな~)

「起きろぉ~」

(ん~変な夢だな~)

「いい加減に起きろ!。この馬鹿もんがあ!!」

「!!」

大きな恫喝に目が覚める。

目を開けると、金色の髪の美少女?がこめかみに青筋立てて睨んでいる。見た目は10代後半か、よくアニメで出てくるツンデレキャラ

たしかに俺こういうの好きだな。などと好き勝手に思いながら。

「ん~確か寝てたはずで、あ~これも夢か。夢の中で夢を見るなかなか経験しないな~。」

「大体こんな女の子が起こすなんてシチュはゲームのしすぎだ。」

「うんそうだ……ZZZZ」

とぼやきつつまた寝ようと目をつぶる。

「こやつ、いい度胸だなっ」(フルフル)

バキ!ドガ!ガス!  ち~ん。

再度寝ようと目をつぶった瞬間、鳩尾、胸部、顔面と強打される。

「ぐは!がは!。」

あまりの痛さにのたうちまわる。涙目で。しかも鳩尾にいれられてるので息が。

「はあはあ、はあはあ、う~~」

まだ痛い。一体なんだこれは夢なのに痛みが。

どうかしたのかと思いながら、先ほどの少女を睨むと、彼女はため息をつきながらで見下して自分を見ている。

「まったく、よほど肝が据わってるかただの馬鹿なのかわからん奴だ。」

「初対面の人に対して酷くないですか?。つかあなたは誰なんですか?。それからここはなんなんですか?ていうかどういうことですか?3行以内にお答えください。」

と微妙に混乱しているのか冷静なのかわからない質問と無茶な回答を求める。

「我は、まあ神のようなものじゃな。」

「ここは夢と現実の狭間の世界。」

「お前は運悪く選ばれたというか間違えた。」

律儀に答えてくれる少女がいた。つか神?夢と現実の狭間?選ばれた?いやいや間違えた?よけいわからんわ!っと心の中で突っ込む。

「まあ、簡単に言えば「お前は死んだ」ということじゃ。」(ニヤ)

「いやいやいや、(ニヤ)じゃなくて死んだ?どういうこと?はい?俺寝てたんじゃ?はい?」

っといきなりの死の宣告にさすがにパニックになる。そんな俺の姿を見ながらその少女は話を続ける。

「まあ~なんだ本来ならここの隣の家が目的だったのじゃが、間違えてのう。お前をな。」(遠い目)

え~と間違い。ん?隣?そういえば隣のじいさん倒れたって言ってたなあ。えっ?俺間違えて死んだの?いやいや仕方がなかったみたいな言い方されても。じいさんと俺とじゃぜんぜん違うぞ。ベクトルがってベクトルって何?

ベクトルは一方さんで、いやいや使い方間違えてるし、つか選ばれた云々は?最終的に間違えた?。

「まあ~その気にするな。お詫びに新しい人生をくれてやる。それも今回は大サービスで2次元、3次元好きに選ばしてやる。」

と小さな胸を張りながら言う自称神様。こっちのことはおかまいなしに話を進めるし。

「貴様の趣味は知っているぞ。ゲーム、アニメ、漫画が好きなんだろう?」

「ほれ。いまならよりどりみどりじゃ!」

(っていやいや、そんなこと言われてもそんな世界に行っても自分じゃせいぜいモブキャラ、背景がいいところだし。)

「しかも、おぬしの望むとおりの力をなんでも与えてやろう。」

どこかの玉を7つ集めたら現れる緑の方と同じような事を言う。しかし魅力的ではあるな。

(ん~それならいいなあ~。ゴムでできた人と海に出るのもいいし、なぜか万年不幸な右手の少年ととある学園生活するのも。)

「ほれほれどうする?さあさあ。」

そういってせかしてくる自称神様。

(そういえば。さっきやったマブラブオルタ。ならあの世界に行ったら、死んだヒロインを全員救たりとか。)

ぶっちゃけ俺はハッピーエンドが好きだ。オルタはあれで完成したシナリオだと思うし、死というのが前提で主人公の成長を描いている最初から最強でなんでもご都合主義だとユーザーははまらない。弱い主人公が段々強くなっていくこの過程がおもしろい。それはわかる。けど、俺は最強、ご都合主義が大好きだ。ゲームでクリア後、能力引継ぎで最初から始めるのが何より大好物である。

そう思い考えていた事を目の前の自称神様に聞いてみる事にした。

「質問がいくつかあります。」

「ん?なんじゃ?」

「まず、俺の容姿は変わるのか?。能力の変更は具体的にどういう感じで?。性格は?。」

そらそうだ。いくらゲームをクリアして話しの流れを知っていても力が無ければ信じてもらえないし、あんな世界だからすぐ死ぬってのも考えられる

後、今の自分を不細工とは言わないが、あの世界のメインキャラは美人や男前が多いはっきり言って勝てる気しねえ。あと性格は重要だな別の人格とか入れられるのはあまり好きじゃない。

「ふむ、まずは容姿じゃがとびっきりのを用意しておる。力じゃが、その世界に置いて最強にしよう。それから頭脳も、性格については基本おぬしのままじゃな。」

(なるほど。つまりオルタ世界だと、衛士として最強になると言うことか。頭脳は夕呼さん以上。性格はこのままと。それから容姿は選べないのね。)

なぜか?とびっきりと言った彼女の笑顔が気になるが、条件としては最高、俺好みだ。

「それじゃマブラヴオルタの世界でお願いします。」

「ほう、どれどれ。」

っと言うとしばらく瞑想するように目をつぶる。ぶっちゃけなんか似合わない。

「なんか失礼なこと考えとらんか?。」

「イイエ。ソンナコトカンガエテマセンヨ。」

「なぜに片言になる?まあ良いわ。しかしおぬしも変わっておるのう。あんな過酷な世界を選ぶとは。」

「いやあ~それほどでも。」

「褒めとらんわ。まあ良い。本当に良いのか?一度決めると変更はできんぞ?。」

「いいですよ。どうせならあの世界でのハッピーエンド見たいですしね。」

「そうか。」と言う言葉と共に俺は光に包まれていく。そして気を失った・。


……二階堂千早……享年24歳



これは彼が形創る新たなオルタな話……。





PS

始まり方どうしようかと思ったんですが、現実世界から来るならこういう設定が王道かなっと思いました。がいかんせん。むずかしい。




[27051] 第二話「男の娘って有りだと思う」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/04/09 22:47
ちちち……

「ん~朝か。」

朝特有の気だるさに包まれながら白銀武は目が覚める。

「ん~俺はたしか、夕呼先生と霞に見送られて!?」

ガバ!と、一気に起き上がる。

「ここは俺の部屋?どういうことだ?俺は因果導体で無くなったはずだ。」

やけに記憶が鮮明だ。おもむろに自分の体を確かめる。

「鍛えられてる?ということはここは?。それに誰もいない?。」

そうもし元の世界であれば、隣に武士娘が添い寝しており、あほ毛の幼馴染も起こしにくる。

嫌な予感がする。往々にしてこういう予感は当たるものだ。

「そうだ外に出てみよう。そうすればわかるはずっ!」

起こるはずがない。あれで終わったのだ。そんなはずが無い、と思いつつ、もしそうならば、とも思いながら。

「やっぱり。」

外に出て嘆く、いつもの町並み、幼馴染がいるはずの隣の家はつぶされ、廃墟が延々と続いている。

「ははは。戻ってきたみたいだ。」力無く笑う白銀。
「まずは、そうだな、横浜基地に行って夕子先生に会う。そのためには色々準備が必要だな。」

まずは自分の記憶を思い出す。桜花作戦、A-01、00ユニット、純夏、恩師の死、逃亡。

確認をしながら、自分の無力差に涙が流れそうになる。

「よし!、まずは夕呼先生に会おう。そして今度こそ死なせない!。」

決意と共に歩き出す……。

(まずは夕呼先生に信じてもらって、その後はあいつらに会う。それからは。)

などと、今後の行動を考えながら歩く。

「ん?」

ふと人の気配がする。

(ん?誰かいる。)

今までに無かった展開に、少し戸惑う。

「おハロ~、君が白銀武君?」

「!?」

いきなり声を掛けられ驚く武、しかも自分の名前を言われ戸惑う。

「ん~、いきなりすぎたかな?こういう場合はできるだけフランクに挨拶するのがいいと思ったんだけどなあ~。」

とこの世界にそぐわない間延びした声、誰かと思い見るとそこには銀色の髪をなびかせた女性がいた。



遡ること数時間前……



「うわあ~。これはひどいな。」

目の前の光景に、唖然とする一人の影。

「つか、夢だと思ってたんだけどな。まさか現実とは。」

いきなりこんな状況になっても落ち着きまくってるが、自分の性格も図太くなったっと苦笑いしつつ確認する。

「たしか。強くなっているんだったけ?」

と言いつつ体を動かして見る。

「うわあ~軽い軽い。ヤOチャくらいの強さか。」

と意味がわからない判断をしてみる。悪いか。俺はヤOチャが好きだ。

「あっ、でもヤOチャはいいところなかったな。よしクOリンということにしよう・・」

何気にクOリン勝ち組だと思ったのは俺だけでなかろう。別にうらやましいわけじゃないからね!。って考えると凹むんでやめておこう。

うん。ポジティブにいこう。ここで凹んでいても仕方ない。

「後は容姿だな、え~と鏡っと。」

ふと近くにあったガラスに自分の顔を確認すると。

「なんだと……。」

さすがに驚愕した。だって自分の顔がいつのまにか女性になっている。いやいや確かに俺が好きなタイプだけどそれが自分の顔って?

ガラスに映った自分の顔は、丹精な顔だちに少しあどけなさが残る、髪は銀色で腰まで有り。男の娘というよりまんま女だ。どっちにせよ、まあ美人だ・・・。

気になって自分の股間を触る、あっ、ある。よかった……。突貫工事は顔だけみたいだ。

「まったく、まさかこういう落ちがあるとはなあ~」

ため息と共に嘆く千早。あ~色っぽい。自分なのに少し赤くなる。それがまた色っぽい。

「まっ!いっかあ~。こういうのも有りだな。」

時代は男の娘だと言いながら歩きだす。

「さて、まずは、白銀武と会う。それから一緒に行動してと。」

俺は、これから起こるであろう出来事にどう介入していこうか考えながら歩いて行く。



そして出会う二人……



「ん~。あまりにも唐突過ぎて意味がわからないって顔してるねえ~。」

目の前の女性はニヤニヤしながら、語りかけてくる。

「なっ?なっ?」

「なまはげ?」

「違う!!」

「おま、おま、」

「いやいやいくらそういう年頃といってもそういう卑猥な単語はどうかと思うけど?」

「違うわ!何故そうなる?お前は何者だ!何故ここにいる?。何故俺の名前を知ってる?」

あまりにも、場違いな雰囲気な感じに半ばパニック状態な武。

「俺の名前は二階堂千早で、まあ~君と同じ立場で、ここには呼ばれてきた。君の名前を知ってるのは、前の世界で知った。」

嘘と本当を取り混ぜとりあえず支障の無い自己紹介をする。

千早と言ったか。目の前の女性を見つめる武。銀色の髪、外人か?それにしては日本語が流暢だ。

いぶかしげに見つめてると、カラカラと笑いながら。

「そうそう。信じられないかも知れないけど俺は男だからな。それからそういう趣味は無いからな。」

俺と同じ立場?呼ばれた?ん?なんていった?男!?。

「男だとーーーー!!!」

何よりさっきまで女性だと思っていたのが、男であることに一番驚いた。

「まあ~驚くわな。自分でも自覚してる。細かいところは聞くな……。」

千早は諦めたような遠い目をしながら、そう嘆く。

「まあ~そう言うことなんでこれからよろしく頼むわ。相棒!」

っといいつつ笑いながら背中をバンバンたたく。

「色々聞きたいことがあると思うけど、まずは夕呼さんに会ってからにしようか?。」

「先生のことも知ってるんだな。」

「色々知ってるんだよ。色々とな……。」

ふと悲しい目を自分に向ける千早。その目に見とれる武。

「ふむ、最初に言ったが、そういう趣味はないぞ。」

ニヤニヤしながら言う千早。

「なっ!?俺だってそんな趣味はねえ!!」

わははと笑いながら、基地に向かって歩いて行く千早。

「ほれ、置いていくぞ~。坊や~」

「俺は坊やじゃねえ~。てか勝手に行くなあ~。」

騒がしく横浜基地に歩いて行く二人、これから起こることにそれぞれの思いを秘めながら




PS

ん~やっぱり、男の娘っていいよね?。



[27051] 第三話「便秘って実はかなり危険だって知ってた?。」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/04/09 22:57
同日横浜基地……



「いやあ~またすごいなあ~本当に基地って感じだなw」

などとうれしそうに話す千早。

「いやいや新鮮だ。こうも基地です。ってかもしだしてる雰囲気がまた良いw。まるで光O力研究所みたいだなw。」

「いや意味がわかんねえし。」

すでにつかれ切っている様子の武。

そんな風に歩いて行くとゲート前に二人の兵士が見えた。

「おい。こんなところで何をしている?。」

「訓練兵か?こんなところでデートか?」

銃を背負いながら、ニヤニヤしながら聞いてくる。

「ん~やはりこの顔には問題があるか。」

ブツブツと何か言いながら思案する千早。

「悪いが規則なんでな、許可証と認識証を拝見させてもらう。」

さてどうするかな?っと考えていたら。

「すまないが許可証も認識証も無い。俺たちは、香月副指令の特殊任務中で今も継続中だ。すまないが副指令に伝言を頼めないか?。」←(武)

副指令より些細なことでも報告しろと言われてるだろう。とつけくわえ。

考え込む二人

「わかった。で伝言はなんだ?。」

「4番目の~「はいはい~伝言はねえ~。」っておい!。」

っと何を思ったのか隣で黙っていた千早が武の話をさえぎってきた。

(まあ~まかせなさい。)パチリ)

ウインクまでしてきやがった。ますますこいつ本当は女じゃねえのか?っと武は思う。

「おい。何をしてる?。」

二人をますます怪しく思ったのか、銃を向けてにらんでくる二人。

「何。ことは機密を含むのでな。」

銃を向けられているの平然としながら答える千早。

(さて、普通なら4番目の成功と5番目の阻止。後は脳と霞と純夏、この単語があれば必ず会うだろうけど。)

そう、千早は思った、普通にしてもおもしろくない。何か気の利いた事をしないといけないと。

「「最近便秘でお悩みな夕呼ちゃんに効く4番目の薬をもってきた。5番目の薬は嫌いって言うから苦労したよ~。後純夏は元気~脳が疲れてるって聞いたけど~っ」て伝えてもらえる?。」

ってこともなげに言う。

ひゅ~~~~~。

「・・・・・」×3

静寂が辺りを包む。普通そうであろう。事もあろうに副指令を「ちゃん」付けしたあげく便秘であると言う。しかもそれが伝言でありこれから二人は副指令にそれを伝えなければいけない。一方武もあっけにとられているのか口を半開きにしてこっちを見ている。

「どうした?伝言は伝えたけど?早くしてくれない?。」

っと止まっている二人にニヤニヤしながら言う千早。

「本当にそれを伝えるのか?」

「だから、機密だと言ったでしょ?。その伝言の中に副指令しかわからない暗号が含まれているから。」

とあっけらかんに言いはなつ。

「わ、わかった。」

そう言うと、向こうに行く。

「おい!あんなので言いのか?何が便秘だ。」

小声で怒鳴る武。

「大丈夫、大丈夫。たぶん(ボソっ)」

「おい!今「たぶん」って言ったよな!」

っと思わず大声で突っ込む武。

「何をしてる!。これ以上変な行動すると拘束するぞ!。」

「くっ!」

「ほら~怒られた~。」

「誰のせいだ!誰の!」

「???」

本気で首をかしげる千早。こいつ。

「いいかげんにしろ!!。」

流石にそろそろ撃たれそうなので、自重する千早。

(ふむ、どこまで、度胸があるのか試してみたけど。銃を目の前につきつけられても何も感じないとは。)

普段の自分なら、びびってすでに失禁どころか脱糞してる勢いだろう。と苦笑してしまう。

(さてどうなることやら。)

「お会いになるそうだ。」

(会うんだ。というかあからさまに目が死んでるなこの人。まあ気にしない気にしない~。)

待つこと、数分、帰ってきた門番から許可をもらい通してもらう二人。

(さてここからか、原作じゃあたしか夕呼さんってかなり切れ者だしなあ。)




数時間後……



精密検査が終わり、二人はエレベータに乗せられる。その間終始無言な二人。特に千早なんぞは俯いて、涙目である。

(さすがに緊張してるなあいつ、そうだなここでまず全てが決まるからな。よし!)

緊張しながら、決意する武。一方、暗い顔の千早が、案内役のピアティフさんに話かける。

「すいませ~ん。お腹痛くなってきたので帰っていいですか?。」

はい??。お腹が痛くってお前は小学生か!?。つか帰るってどこに??。っと場違いな発言に驚く武とピアティフ。

「いや……俺は大事な物を失った。もう駄目かも……。」

といいながら尻をさする。

なんとなく理解した武。一方まったく理解できずにかわいそうな目で彼を見るピアティフさん。カオスな空気なままとある部屋まで案内される。

 
 ウィーン(←ドアが開く音ね。)


「失礼します。」

「おじゃましま~す。」

カチッ……パン!パン!

「おわ!!!」

「おっと!。」

ドアから部屋に入った瞬間に撃たれた。

「いきなり何するんですか!?。」

今までと違う対応に戸惑う武。

「自分の胸に聞いてみなさい?。」

っといいさらに睨みを利かせながら銃口を向ける夕呼さん。

「いや、だからあれは俺じゃなくて千早が。」

「千早?」

「あ~それ俺のことです。つかそんなに怒るってことは本当に便……パン!!……危ないじゃないかな?」

言うが早いか千早に向けて発砲する夕呼。

「はあ~それより俺たちの話は聞いてもらえますか?。」

武が背中に汗をかきながら、話を振る。

「いいわよ、人を夕呼ちゃん呼ばわりしたあげく便秘にまで仕立てあげたあなたたちのね。」

と黒いオーラ全開で睨む、眼で人を殺せるんじゃない?って思うほど。

「いや、それは俺じゃなくて千早ですから先生。」

「先生?あたしは教え子を持った覚えはないわよ?」

「いえ、向こうの世界では俺の先生だったんです。」

「向こうの?いいわ。聞きましょう。ところで二階堂千早だっけあなたも似たようなもん?。」

「あ~おおむねそうであったり、なかったりしちゃったりで。」

「~それ何語?。まあいいわ。で?どっちから話すの?。」

千早と武は目を合わせ。

「あ~武からでいいよ。俺のはそこまで情報が濃いわけでもないし。」

「ふ~ん。じゃあ必要ない?。」

「まあ~まずは武の話を聞きましょう。」

そして武が語る今までの話、一度目はベータのいない世界から来て、訓練生元の世界の友人と出会い。オルタネイティブ4の凍結5への以降、宇宙へ行く移民船残された人々。G弾。

そして二度目……。4の成功。00ユニットが幼馴染だった事、甲21号作戦。クーデター。A-01や仲間たちの死。桜花作戦。

途中涙目になりつつ泣くのをこらえながら、語りかける武。

「そんなわけで、本当なら因果から開放され元の世界に戻るはずが気づけばまたここにいました。」

そんな武の話を冷静に聞きながら、00ユニットのくだり、自分の理論が間違えていることには流石に驚愕の表情をしていた。

「俺は、今度こそ皆を守りたい!。まりもちゃんやお世話になった人たち冥夜達207の皆、A-01の皆、俺は世界を救うなんて大きなことは言わない、少なくとも自分の周りにいる人くらいは守りたい。だから先生また利用してください。」

「また?」

「ええ。先生は前も俺の事を利用してました。」

「つまり、あたし達はある種利害が一致しているとでも?。」

「はい。そう捕らえてもらえて結構です。俺のことを駒として扱ってもらっても、だからお願いします信じてください。」

(ふ~ん。嘘を言ってるわけではないわね。それにそれなりに覚悟も持ってる。)

「いいわ。協力してあげる。「先生!」だけど!信用はまだしてないわよ?「うっ。」」

(さて、正直ありえない話では無いのよね。それでもまだ決定打にかけるわね。)

そんな事を思いながらもう一人の人物に目を向ける。

「で?あなたは何を知っているの?。」

「ん~。」

っと首をかしげて考えるように語る千早。

(緊張感の無いやつね。)

千早は考えていた。

(よく考えたらこの世界の人物でもないし、ましてや武の言う元の世界にいないし、ん~どういう設定で話持っていこうかなあ~。)

(こいつ。。えらくもったいぶるわね。)

「俺も、武と似たようなものですよ。武と違うとすれば、俺は武と違う世界から来たということですねえ~。」

「!?」×2

「まあ~、基本は武の世界と同じでベータはいないけどねえ。」

「それは幸せな世界からきたのねえ。あんたたちがうらやましいわ。」

興味なさそうに答える夕呼先生。

(まあこれだけだとただのお気楽人間だと思われるからな、ここから考え付いた嘘設定を。)

「まあ~ベータはいないけど、人類同士の戦争は常に行っていたけど。」

そうここで考えついた設定とはガOダムの世界である。あの世界じゃあ、MSも出てくるし何より戦争が日常で、なおかつ過酷な世界であるし、その世界で俺はエースパイロットでありテストパイロット兼開発者であったと付け加える。ぶっちゃけ某一年戦争の白い悪魔の話に某自由と言う名のMSに乗り最強の名を欲しいままにした方を賜りましたけど。

「そう、あなたはその世界ではMSだっけ?のパイロットだったわけね。それもすご腕の。」

「はい。そうです。自分でいうのもなんですが、かなりの腕前ですよ~。3分で16機のMSと3隻の軍艦沈めたくらいですし~。」

はい嘘です。ただ見てただけです。アニメです。まあ~はったりは大きい方がいいって言うしねえ?。

「へえ~たいした腕じゃない、それに開発までねえ~。」

あからさまに胡散臭そうな目で見る夕呼さん。そりゃそうだよね~ぶっちゃけ眉唾もんだよねえ~。

「お前、大変だったんだな……」

夕呼さんに対して、何故か同情の視線でそんな風にねぎらってくれる武。この男信じてるよ、やっぱりこいついい奴だ。

まあ~そんな分けで最初は気づけばこの世界にいた。って感じですかねえ。それからはほぼ武と同じ。」

ただ所属は違ったけどね。とつけくわえる。さらに最後のループで夕呼や武の所属するA-01のことを知ったと。

「それから、そうですねえ~俺にはリーディングは効かないんじゃないんですか?。さっきから怪訝な顔してますし~。」

としれっと確信に触れる千早。

「なっ!!そうそこまで知ってるのね。わかったわ。霞でてきていいわよ。」

「……はい。」

プシューっと隣の部屋からうさぎさんが出てくる。

「……霞。」

武が泣きそうな顔で霞の事を見る。まっわからんでもないけどね。

そんな武と俺の顔を不安げに見るとなにやら夕呼さんに耳打ちする。

「なるほどねえ~あんたたちの言ってることは大筋理解できたわ。それであたしにどうして欲しいの?。」

よっしゃとガッツポーズをする武信じてもらえたのがうれしいらしい。

「そうですねえ~まずは俺たちの居場所を作ってもらえます?。なにぶんこの世界に戸籍なんかないですし~。」

「そうね白銀と違いあんたは存在そのものが無いからね。」

「それじゃあ、前と同じように二人とも訓練~「待ってください!。」何よ。」

前と同じようにしようとする夕呼の言葉に武が遮る。

「もしできるなら、俺を207B分隊の教官にしてもらえないでしょうか?。」

その発言に少し考える夕呼。

「そういえば、あんたたち衛士だったのよね。でも腕前はどうなの?。」

「俺は前の世界では突撃前衛長をまかされていました。自分で言うのもなんですがかなりのものだと思います。」

「へえ~速瀬のポジションをねえ~。であんたは?。」

すぅ~と今度は千早に視線を向けながら聞く。

「ん~俺は」

(あ~やべ、そういえば俺戦術機の経験無ぇや。ん~かといってこの流れで本当の事は言えんし。ん~。」

「あ~俺は強襲前衛と強襲掃討を足して突撃前衛を割ったような感じでしたねぇ~。」

とテキトーに返事してみる。ぶっちゃけテキトーすぎるだろうと思いながら。

「へえ~。あれこれ試した結果がこれだってみたいな言い方するわね。」

あからさまにうさんくさそうな目で見る夕呼さん。こいつ大丈夫なのか?ってオーラがアリアリと出てます。

「まあ~そこまでいうなら試してみてはどうです?百聞は一見にしかずって言うでしょうし?。」

「そうね。そこまで言うなら試してあげる。それでもし優秀ならそれなりの階級をつけてあげる。でももし、使い物にならなかったらあなたたちわかってるわよねえ~。」

フフフっと黒い笑いをあげながらこちらを睨む。武なんかガタガタ震えてるし。

(うわ~あれ絶対何か企んでる。使い物にならなかったらやばいな~。)

提案してみて早速後悔する千早、まあ相変わらず表情にはまったく出ないが。

(さてどうなることか、私にニュータイプの素質があるかここでわかるな。)

などと、緊張感のかけらの無いことを考えながら二人は部屋へ案内される。


PS

昔知り合いが、便秘で入院したことがあり、聞くとあんまり酷いと病院行ったほうがいいらしい・・・。



[27051] 第四話「チートといえばニュータイプ」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/04/19 01:05
シミュレータールーム……



夕呼さんに案内されるとそこは筐体が並んだ部屋だった。そこに着くなり早速着替えるように案内される二人。

余談だが、千早が武と共に男性用の着替え室に行こうとした時に止めようとした等ひと悶着があったのは言うまでもない。

「ふ~ん。本当に男だったとはねえ~。」

っとしみじみと千早の体を見ながら言う夕呼さん。ピアティフさんなんか何故か驚いた目で見てるし。

「いやあ~ん。そんなに見つめないで~。」

としなっと体をくねる千早。

「あんたがやると洒落にならないからやめて……。」

疲れたように言う夕呼さん。ピアティフさんなんて顔を真っ赤に。てか武よお前もか。

「あえて言うが、武?」

「皆まで言うな、俺もそんな趣味はない……。」

どこか疲れた顔の武。まあ~見た目が見た目だからなあ~と思いつつ。

(しっかし改めて見るとすごいな、つかこれはある意味裸より卑猥な感じなんですが?)

やはりゲームで見るのと実際着るのは違う、これは出るとこ出ててへこむところへこんでいないときつい。

「それじゃ早速はじめて。でどうする?。」

「そうですねえ~それじゃあ~ヴォールクデータの最高難易度で行ってみましょか?。」

「おい!」

あまりにもいきなり過ぎて、突っ込む武。そんな武を見て夕呼さんが。

「なあ~に~。さっきまでの自信は嘘だったのかしら?。それに最強の衛士と世界を救った英雄さんがエレメントで行くんだからそれくらいは攻略できないの~?。」

ニヤニヤしながら言い放つ。どうやら信用はされてないらしい。

「まあ~いいじゃないか武、反応炉まで行けって言われてるわけではあるまいし,それにA-01の中隊ですらせいぜい中層までだったようだしねえ~。」

とまるで問題ないと言わんばかりに言う。

(こいつ。)

まるで読めないふざけているようで、要所に確信をついてくる。油断できないと夕呼は思う。

(さてここまできたら腹を決めるか。まあ~設定では最強らしいから大丈夫だと思うけど。)

(こいつさっきまでヘラヘラしてたのに急に雰囲気が変わった。)

「では目標は最下層の反応炉の破壊、支援攻撃は0%ではじめてください。」

ピアティフ中尉の管制で、目の前にハイブの映像が映る。

(へえ~ここがハイブかあ~まるで洞窟みたいな感じだな。さてさてどうなることか。)

「ヴァルキリー10白銀行きます。」

(なるほど,コールサインを言ってから出撃するのか。では俺は。)

「マーズテリア01二階堂出るぞ。」

ぶっちゃけコールサインなんて考えて無かった。だったので坊戦女神の現神を賜りました。ヴァルキリーつながりで。


・・・・・・・・・・・・・・


「前方300mにて旅団規模のベータが接近中、数は800.接近まで……。」

ハイブ突入後、出るわ、出るわ。まるでゴキブリのごとくでてくる。

(しかし流石武だなあ~まだOSも旧タイプなのにすでに、あれが三次元機動ってやつかあ~)

っと思いながら余裕で武に着いて行く。というか、やってみてわかったのだけど、体が勝手に反応する。

突撃級が来たかと思うと、無駄な動き無しに自然に避けるし、まるで後ろに目があるかのように、見ずにこれまた避ける。なおかつ、攻撃まで加える。まるで踊っているからのように華麗に。

(何よあれ。白銀の動き、あんな動きどこで覚えたの?それに、二階堂あれは人間?なんで戦術機であんなに自然に動けるの?。まるで人間がそのまま戦術機になったような。)

(いやあ~これはすごい。。なんつうか頭がクリアで動きが見える?これが明鏡止水かそれともニュータイプ能力か?。)

などと余計な事を考えながら不知火を動かす千早。

<すごい!。なんて動き本当にこれが戦術機の動きなの?>

あまりにも異常な機動で、ベータの群れをかきわけて進む二機の不知火の動きに驚愕するピアティフ中尉。

武の今までにない概念の機動、三次元機動。壁や天井を足場にピョンピョン進んでいく姿に驚愕する。

そして、千早が乗る不知火は動きこそ武に比べて、奇抜な動きではないが、異常なのはその精度である。

時に長刀を使い、時に突撃砲を使い、そうまるで無駄が無い。最小限の攻撃で最大限の威力を出す。

長刀も腕に負担がかからないように切り付けるというよりは流れるといった動作で動きを最小限にとどめすべてにおいて正確にそして確実にしとめる。それを武との高速機動の中でやってのける。

武が飛べば、その先の敵を排除し、まるで全身に目があるように、的確に援護、支援、突撃と対応していく。

「すげえ!千早すげえよ!。」

武がそんな千早の機動に驚く。まるで自分がどうしたいかわかるみたいに着いてくる。

後ろに控えて援護してるかと思えば前に出て、敵を蹂躙する。その動きに見とれる武。

「ほめてもらえるのはうれしいけど……それで余所見してちゃあ~な!っと。」

千早に見とれてる武の後ろから突撃級がせまってきたのを正確な射撃でしとめる千早。

「おわ!危なっ。さんきゅ~相棒!。」

「やれやれだ相棒。だから俺はそんな趣味はないと言ったが?。」

ニヤリと笑い言い放つ千早。

「だあ~!お前はどうしても俺をっと後ろだあ~。」

「問題ない。」

っとこともなげに避ける千早。

「見える。私にも敵が見えるぞ。」

そしてとどめをさす。

「ラOァよ私を導いてくれ……。」

「はあ~?何言ってとっ。」

「まったく無粋だなあ~こういうときはこういうセリフを言うのが衛士のたしなみだと教わらなかったか?。」

「そんなたしなみはしらねえよ!。」

「だからお前はあほなのだ!!。このバカ弟子があ~~!!。」

「弟子になった覚えもねええ~~~!。」

「やってることはすごいのに。何この緊張感の無い会話は。」

そんなバカなやりとりをしつつ猛然と進む二人に額に手をあてて嘆く夕呼さん。

「あはは……。」

そんな姿を見て乾いた笑いしか出せないピアティフ中尉。

そんなやりとりをしつつ二人はハイブ内を突き進んでいく



数時間後……




「白銀機、二階堂機反応炉到達、状況終了……。」

気づけば二機ともゴールまで到着。ピアティフ中尉の管制もぎこちない。

夕呼さんも驚愕したようで、口をあんぐり空けてるし。

二人供結果が満足だったのか足取り軽く出てくる、あれだけの動きをしていたのにまるで疲れていない。

まるで、ちょっとハイブに遊びに行ってきまして~みたいな感じで談笑する二人を見て。

「あんたたち、本当に人間?。」

いきなりそんなことを口走る。

「いきなりそれは無いでしょう?先生。」

「人間じゃないかも(ボソっ。」

「おい!千早変なこと言うな先生に解剖されるぞ!」

「ちょっと~白銀~あなたねえ~でも。ん~それもありね。」

恐ろしい事をぽつりと言う夕呼さん解剖ってやっぱりそういうキャラなのね。

「まあ~あなたたちの実力はわかったわ。二機でヴォールクデータしかも支援なしで反応炉まで行った最初の人類を訓練兵にはできないわね。」

「じゃあ!」

「いいわよ。まず白銀の階級は大尉ね。特別教官としてまりもと供に教導をしてもらおうかしら。」

「よっしゃあ~!」

っとガッツポーズを決めはしゃぐ武。まあ~うれしそうなこと、武にとってはあの部隊は特別なんだろうからなあ。

今まで見せなかった悲しいそれでいて暖かい目で武を見る千早。

(こいつ、さっきはじめる際といい、今といい会ったときはただのお調子者かと思ったけど。)

っとそういう表情もするんだなと見やる夕呼先生。

「さて、二階堂だけどあんた開発とかもしてたそうね?。」

「あ~そういえばそう事を言いましたねえ~。」

こともなげに言い放つ。

「・・・・・。」

(こいつ前言撤回。やっぱりお調子物ね。)

ギラリと睨まれる。

「いや、冗談ですよ?。すんません。」

「はあ~。あんたねえ~。」

ため息と供にうなだれる夕呼さん。まあ~これは生まれもった性格なんで許してください。

「まったく、あんたの階級は少佐ね。これから戦術機の開発と伊隅達の教導をしてもらうわ。」

「はいは~い了解しました~」

と気の抜けそうな声でこれまた気の抜けた敬礼で答える千早。

(さて、開発までまかされるとは、嘘とはいえ開発者って設定が生きてるよな~。よし俺好みな装備を作るぞw。)

「大丈夫かしら?。」

一抹の不安がよぎる夕呼さん

「それじゃ今日はもう解散するわよ。」

「待ってください!先生!。」

「なによ~白銀あたしは忙しいの、これ以上時間は作れないわよ。」

「いえ、これに関しては早めに伝えておいたほうがいいと思いまして。」

「なによ。」

「今の戦術機って動きが鈍いんです。」

武は前の世界で夕呼さんに作ってもらった新OS「XM3」話をしはじめた。

「それでキャンセルと……」

「コンボが……それで操作の……。」

なにやら話し込む二人。

(ん~暇だ。ん?。)

ふと見やるとそこにちいさなうさぎさん、もとい、霞さんがこちらを見てるではないか。

(ふむ。おそらく俺のことを視ようとしてるな。さっきはカマかけたけどどうやら本当みたいだし。)

どうやら本当に俺の思考は読めないようだ。

(つまり読ませないということは逆に読ませることはできるのかな??)

純真無垢な瞳で見つめられてふと少しいたずら心が。

(イメージ~武が裸でマッチョポーズで踊る姿を強く~。)

すると。ボン!!って湯気が出るのではないかと思うくらい赤くなる霞。

それを見てスマンスマンと笑顔で誤る千早。お詫びに現実世界で見たかわいいキャラを口が×なうさぎのキャラの事を強く念じる。

するとうれしそうに、耳?をぴこぴこしながらこっちをガン見する。

(なにこのかわいい生き物。)

そうやって霞で遊んでると。

「いやよ~めんどくさい。それにメリットはあるの?。」

「う。」

なにやら、問答は終わったぽい。

(仕方ないなあ~)

「ならそれ俺が作りましょうか?。」

「!?」×2

「あんた聞いてたの?」

「ええ。まあ~なんとなくですけど、要は、キャンセルとコンボでしょ。」

こともなげに言い放つ千早。

「まあ~それなら前の世界で見てきたし、そうですねえ~。バグ取りとか入れれば2~3時間もあればできるかと。」

(いやあ~自分でもびっくりするわ~。なんせXM3て単語思い浮かばたら、仕様とか全部頭に浮かぶからなあ~)

これも、チートのおかげかあ~とつぶやきながら言い放つ千早。

「そう。そこまで言うならあんたに任せるわ。」

「まあ~夕呼さんにとってもメリットはありますよ~。諸外国に対する交渉の材料にもなるし。まあ~前回は出し渋りしすぎてあまり効果はありませんでしたけどねえ~。」

「そう。もういいかしら?」

「あ~俺からひとつ」

「なによ?あたしは忙しいと言ったでしょ?。」

「いや~後、新しいOS作るとして、新装備と、カラーリングと後は名称とか俺が決めていいですか?。」

「どこがひとつよ。いいわ。ただし、あたしが許可を出さない限りはだめよ。」

「え~。」

「殺されたい?。」

「すんません。」

「じゃあ以上よ。ピアティフ二人を部屋まで案内して。」

そういうと、夕呼さんは部屋から出て行った。

「おい大丈夫かよ?あれ夕呼さんと霞が二人で一晩かけてやっとβ版ができたくらいだぞ?。」

「まあ~俺の世界じゃあ~戦闘中にOSが気に入らないって書き換えた奴もいるしそれくらいはできる……たぶん。」

あっけらかんに言う千早。戦闘中ってそれって数分もっと短い時間で書き換えたってことかよとあまりにも常識はずれな回答に驚愕する武。

(まあ~あれはチートすぎだよな。流石スーパーなコーディだわ。)

主人公を蹴落として、出張っただけはある。俺はそうならないように気をつけよう。と思いつつ。

「あ,あの、白銀大尉、二階堂少佐、そろそろご案内したいのですが。」

いきなり現れた年下でしかもいきなり自分より階級が上な為対応に困っていたピアティフさんが申し訳なさそうに言う。

「すみません。」頭を下げる武。

「うちの武が迷惑かけます。」と言い頭を下げる千早。

「うおい!お前が半分以上原因だろうが!。」

「しどい!おかあさんはそんな子に育てた覚えは無いわ!。」

よよよ。と目頭をハンカチに当てて言う千早。

「育てられた覚えはねえ!つかお前男だろうが!。」

「まあ~そうだけどねえ~。どうせならむさいお前より霞ちゃんが良い。」

っと胸を張って言う千早。

「はあ~。そろそろお部屋の方へ。」

「ん~、ピアティフさんって言ったほうが良かったかな?。」

っとニヤニヤしながら言い放つ。

「はあ~。」×2

二人して同時にため息をつく、だめだこいつ人の話聞きやしねえ。

「さあ~私の根城へ案内したまえ~いざいざ~。」

と歩き出す千早、もはやテンションがあさっての方向へ。

「少佐、そちらはトイレです……。」

「あいつ、ネジでも飛んだのか。」

「はあ~~。」×2

先ほどより深いため息をはなつ二人。

「???」

何事もなかったように首をかしげる。原因。


PS

戦闘描写ってむずかしいです。チートといえばこの二人がどうしても浮かぶのは私だけ?書くときの癖でどうしても「・・・」と「。。。」が入る。そのあたり修正しました。ご指摘ありがとうございます。



[27051] 第五話「よそはよそ。うちはうち。」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/04/10 22:50



「こちらが、少佐の部屋です。」

馬鹿なやりとりをした後、俺はこれからお世話になる部屋を、案内された。

入って見ると佐官用だろうか。かなり広い部屋で、IDによる許可が無いと入室できないよう扉にロックがしてある。執務用だろうか。デスクにはパソコンもあり、端末から夕呼さんと直接繋げれるようになっている。

(はあ~すごいな~少佐って)

(さ~てまずはXM3だな、まずはキャンセル機能を)

カタカタカタ……。

入るなり早速PCを起動し静かな部屋にキーボードを叩く音が響きわたる。

「そういえば、これだけで30%増しになるんだっけか?。何気にこの世界の概念って古いな。」

「ん~じゃあ~キOがやったOSの書き換えってどうなるんだろう?。試してみようかな?。」

などとこの世界の根幹をぶちこわしそうなことを考える。

「マルチロックオンシステム?だっけ、フィンファンネル、は駄目か重力がなあ~。ビームライフルとか?いやいや無理だろう。ん~この世界で実現しそうなのは、レールガンくらいか?。」

たしか、原作ではなかったけど、TEでなんだっけ?99式なんたらってあったような~。

「たしか、この世界はTEの数ヶ月後らしいし、今度夕呼さんに聞いてみよう。」

あ~それ聞く?それって作者の首しめてるよ。知らないから。っと誰かが突っ込んだ気がした。

「それからやっぱり大剣だよな。男ならあこがれるよな~。斬艦刀。無駄だと思うけどでかい剣は作ろう。」

男なら一度は言いたいあの一言「OOOに断てぬモノなし」やっぱゼOガーさんかっこいい。

「後は即応性があがるとは言え、耐G対策だよなあ~。Gキャンセラーなんて作れないし。」

「燃費も問題だよな。機動があがれば推進剤も食うし、いっその事、核エンジンでも搭載したろうか?。」

実現しないことを言い出した。

「むう~。とは言え無理なことが多いな。」

「よし。とりあえず構想として練りこむか。その前に「XM3」を完成させよう。」

ある程度、固まったので、少し休憩する。コーヒー(もどき)を入れ。ほうっと一息入れる。

(そういえば、あいつは今頃再会イベント中だな。よし晩飯ん時にからかってやろうw。)

などと思案しつつ、仕事を再開するのだった。


グラウンド……


「へっくしょん!!」

ちなみに武は懐かしい仲間に会うべくグラウンドに向かっていた。

(ん~風邪か、急に悪寒が。)

なぜか、ものすごく嫌な感じがする。

「小隊集合!!!」

「今日から、私と共に教導してくださる白銀大尉殿だ。」

前回と違い、今回は教官として、共に戦った戦友達に挨拶をする武。その表情には今度こそ守るんだという決意が表れていた。



・・・・・夜、PXにて・・・・・



「ふわあ~~~、あ~肩凝ったあ~。」

軍人とは思えない、気の抜けた声でPXを目指す千早。途中見慣れない美人さんがいるので注目されるも、階級章のおかげか皆、キリッっと姿勢を正し敬礼してくれる。それを笑顔で答礼する。その姿に皆見惚れる。一部男がいたがそれは気にしないことにする。

PXに入るとまず、カウンターへ行き、注文を入れる。

「すんませ~ん。あずき丼ひとつ~あずきだくだくでぇ~。」

ちなみに私は超がつくほど甘党である。

「あいよ~あずき丼ねえ。」

周りが何か奇異な目でこちらを見てるがまあ~気にしない。俺は熱々のご飯の上に黒いあずきが山のようにもられた丼を片手にキョロキョロと食堂を見やる。

(さあ~て、武はどこだ~。おっあの独特の髪は、御剣冥夜か、ということは、いた。)

フフフ、さて、いよいよ主要メンバーとの顔あわせ。いやがおうにも楽しみで仕方がない。そう思いつつ武の死角からゆっくり近づく。気分は坊傭兵。

<ゾクッ>

(なんだこのプレッシャーは?)

武は夕方から意味のわからない悪寒に、言い知れない不安を感じる。

「武?。どうしたのだ?。」

目の前に座る冥夜はそんな武の落ち着きの無い様子を心配してか声をかける。ちなみに呼び方や接し方は、修正済みもっともらしい理由をつけて皆を強引に説得した。

「ん?いや?気のせいだと思う。」

ソソソ。静かに気配を殺し近づく。

(さてどうするか、武の正面は冥夜かふむ。)

サササ。冥夜の後ろに周り込み後数歩で手が届く距離までつめる。

(ターゲット確認・・・。ロックオン。)

サッ!っと一気に距離をつめ、目標である冥夜の髪に手を伸ばす。

「髭!!。」

ごめんなさい。触りたかっただけです。はい。

だって、冥夜のあの作りもののような髪が気になって仕方がなかったので、とりあえず確かめてみようと思い両手を使って髪の先を冥夜の鼻にあてて髭をつくったのだ。もっと硬いのかと思ったけど。普通でした。

「「「「・・・・・・」」」」

「はっ!。何をする!っ。」

っとわれに戻った冥夜は、真っ赤になりながら振り向くが、そこにはニコニコと人懐っこい顔をした女性が笑っていた。

「っしょ少佐???少佐殿に敬礼!!」

っといち早く彼女?の階級章に気づいた、榊の号令と共に皆が立ち上がって敬礼しようとするのを、片手で止めつつ。

「あ~いいよ。いいよ。今は食事中だし。」

「しかし少佐に対して失礼ですので。」

「いやいやそれを言ったら。」

と。ぽんぽんっと冥夜の頭に手を置きながら。

「俺のさっきの行動は失礼以上の何でもないしなあ~。」

っとあははと笑いながら言う。

「あいかわらずわけのわからないことばかりするなあ~お前。で、何しにきたんだ?。」

まったくの正論である。

尉官である武が、目の前の佐官に対して、普通に接するのが珍しいのか、皆呆然として見つめてる。

「んっ!飯食いにきた!。それに一人だとつまらん!!。」

そんなこと気にしないって感じで答える。

「さてと~ここいいかな?」

と言って冥夜の隣を指指す。

「はっ!どうぞ。」

立ち上がって敬礼しようとする彼女を苦笑しながら止める。

「さて自己紹介だ!なんせ俺はここに来て間もないからお友達が少ない。」

座るなり勝手に話を進める。武も、もうなれたのか、あきらめたのか、何も言わない。

「俺の名前は二階堂千早。階級は少佐。まあ~そこのたそがれてる武の相棒みたいなもんだ。」

相棒、ということは、武と同じで過酷な戦場を生き抜いたのであろうと、空気が重くなる……。

「っと先に言っておくが、武との関係は『今は』無いぞ~」

そんな空気を一掃するように『今は』と強調して言う。皆顔を赤くする。この世界じゃあこの程度でも刺激的なのだろうか?。

「なっ!!。ふざけんな。今どころかこれからもねえ!。」

真っ赤になって怒鳴る。『しどいっ!』と言ってヨヨヨと泣く千早。

「ていうか。お前男だろうが!。」

「まあ~そうなんだけねえ~。俺もお前に抱かれるよりは、女の子に抱かれたいし~。」(これ本気)

っと笑いながらこともなげに言う。

「ちょっと待ってください。男?少佐は男性なのですか?」

「イエス。アイ。アム」

と満面な笑みで返事をする。周りは『え~。』っと顔を合わせる。

「まあ~さておき、俺は男だし、そういう趣味もない。」

そんなやりとりをしつつ皆の紹介を武にまかせる。その際に、

「俺も武と同じ扱いでいいぞ。むしろそっちにしなさい。」と言い。

「それでは規律が。」っと委員長が制するも、

「武は良くて、俺だけはいや~。」と駄々をこね、

「他の方々への、示しもありますので。」とさらに言われ、

「よそはよそ、うちはうち。」とおかんみたいなこと言う。

そんなこんなをくりかえし強引に命令したのは言うまでもない。

「ん~。委員長、冥夜にたま、それから彩峰っと~よし覚えた。」

「はあ~私はあくまでも委員長なんですね。」

「ん?親しみをこめて千鶴たんと呼んでほしいかい?」

「結構です!!!あっ!?・・・失礼しました。」

あまりにも自然に話しかけられるので、いつのまにか階級のことを忘れ素で怒鳴ったことに誤る。

「あはは。かまん。かまん。元気があってよろしい。さて飯を食おう。」

そういって目の前のあずき丼(あずきだくだくver)を食べる。

「あ、あの~う。それはなんですか?」←たま

白と黒のコントラストが半分な意味不明の物体がなんなのかわからずに、遠慮がちに聞いてくる。隣にいる冥夜も気になるのか、こちらを見る。

「ん?あずき丼だけど?」

「「「「「あずき丼!?」」」」」

全員につっこまれる。当の本人はしれっとしている。

「それは、おいしいのか?」

っと冥夜は気になるのか、俺の丼を覗き込みながらそう聞いてくる。

「何を言う。いいか、あずき餅や牡丹餅があるように、米とあずきは出会うために生まれたのだ……。」

っと理解に苦しむような説明をしだす。興味深そうに見る冥夜。

「……というわけで、あずき丼とは一種の究極の形なのだ。というわけで御剣訓練兵、口をあけたまえ。」

唐突に口をあけるよう言われ、流れで口をあける。その口にご飯3、あずき7の物体が注ぎ込まれる。

「「「「んなっ!」」」」

あまりにも自然なあ~んに、一同びっくりする。当の本人はまったく気にしたそぶりもなく、ニコニコしている。

被害者である冥夜も食材がもったいないのか吐き出すわけにはいかなく、真っ赤になりながら口をもぐもぐしている。

「どうだ。うまいだろう。」

と笑顔で言いながら頭をなでる。

「そ……そうだな///」

照れているのか、さらに顔を真っ赤にしながら答える。あずきなだけに甘い。

(ん~やっぱ、ドストライクだな。やっぱいいなあ~。これだけでもここに来た甲斐があるってもんだ。)

実は、二階堂千早は冥夜派なのである。というより御剣姉妹派であるのは後になってわかることになるのだが。ちなみに月詠さんも好きなのは、言うまでもない。凛々しい女性が好きなのである。

しかし、この様子をしっかりと見ていた赤い近衛服の人物が殺気のこもった視線でこちらをみていたであろうとはこのときは知らない。


PS

すみません、冥夜好きです。御剣姉妹最高です。月詠さんも大好きです。



[27051] 番外ネタ「チート介入者シリーズ」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/04/10 23:50
行き詰ったので書いて見た。かなり駄文。テキトー。変なテンションで書いた、後悔しまくり・・・。

かなりテキトーなのでお気をつけください。そして許してください。


























チート介入者シリーズ


その1……


オリジナルハイブ内部。



「ここはどこだ?。」

「そんなことより勝負だカOロット!。」

「そうだな。久しぶりに思いっきり暴れっか!。」

「か~O~は~O~波~~~!!」

「ビッOバOアタック~~~!」

======ばああん!!======



「夕呼先生……。」

「白銀~よかったわね。00ユニット必要無いみたい……。」

「てか大陸が無くなるってどんだけえ~~~!。」


……オリジナルハイブ消滅。その後人類が勝ったのは言うまでもない……。











その2





「ゲ~ロゲロゲロゲロ。」

「ベータごときにペコポンはわたさぬであります。」

「ケOO小隊行くであります。」

====ばあん!!====


「伊隅…・・・。あんたいつのまにあんな小隊作ったの?。」

「はい?何をおっしゃって・・・・・・。」



こうして人類はベータの脅威から守られ新たな地球外生命体とコンタクトと取るのだった・・・・・・。







その3



「・・・卍O・・・千本O景厳・・・・・・・。」


===ばあん!!===


「・・・・・・。」

「先生・・・・・・。」

「もう何も言わないで・・・・・・。」



[27051] 第六話「おえらいさんには、わからんのです。」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/04/12 22:09
・・・夜、シミュレーター室・・・・


先ほどの食事の最後に千早が武に「あっ!。そうそう。晩にでもあれのテストができるから~。」とシミュレーター室へ来るよう伝えた後、PXを出て行った。



暗いシミュレータ室の一角に二人の人影。一人は強化服、一人は作業着姿。


「さて、それでははじめようか?白銀武君……」

とにこやかに筐体へ入るように、促す。

「本当に、大丈夫か?」

「ふっ、愚問だよ。後はデバッグだけだ。さあ~おもいっきり暴れてくるがよい。」

口調が変なのは、先ほどの食堂での一件のせいである。冥夜と仲良くなれたせいかテンションがハイである。

「さて、お前の言ったとおりに、OSの仕様と操縦系のバランスと基本動作の制御を組み替えて換装してみた。
即応性に関しては大体30%以上の向上と、お前の機動概念、それから俺の趣……もとい、概念も組み込んでいる。
後は微調整とデータ取りだな。まあ~これはある程度学習させないと無理だから。っと説明はこれくらいでいいか?」

「一つひっかかる部分があったけど概理解できた。」

「んじゃ。さっそくゲームスタート。」

言いながら、筐体に入る。

「っと遊びが無いのは前のままか、ん?なんか前よりスムーズに動く?」

「あ~なんか、そのままの制御だと、関節に負荷がかかるから、少し弄った。」

「少し弄ったって、そんなあっさりと結構難しいんじゃないか?」

「それなら、問題無し。なんとなくやったから。それからGに対して20%くらい耐性を向上させてみたけど、どう?。」

「あ~、なるほどたしかに、っと本当お前すごいな。なんとなくで、できるのか?普通。」

(そらなんとなくとしか言えんわ。イメージしたらそれに対応して、考案、構築、換装、って勝手に浮かぶし。)

どんだけチート頭脳やねん!って思う。

決して作者が難しい事はわからないんじゃないからね。

……すみません。わかりません。

「どうでもいいけど、なんで仮想敵を消すごとに得点が表示されるんだ?」

「そのほうがやる気でない?よっしゃ~高得点ゲット~みたいな?」

「後、何?この音声と、女の子は?」

「何って?。セシリーちゃん。かわいいでしょ?」

「いや、そうじゃなくて。」

「だから、「エクセムスリー」だからセシリーちゃん。少し強引なのは気にするな。」

「そういう意味で聞いたんじゃねえ!。だから何の意味があるんだよ。」

「ふむ。それはこれから、データを構築する上で成長度合いを目に見えて計りやすいように作った。
ちなみに今は生まれたてなので幼女だが、これから経験を重ねて行くと少女から大人へと成長する。」

「つまり、データ構築する上で必要だと?」

「んにゃ、まったく意味はない。ただの趣味だ。」

「はあ~!?」

「ちなみにそれ作るのに一番時間がかかった。XM3は一時間くらいでできたけどそれ2時間かかったし。」

「無駄な時間使ってんじゃねえ!」

「はい。状況スタート。」

「無視すんな!」


・・・ ・・・・



それから数時間、バグとの戦いが始まる。思ったよりバグが少ないのか作業はスムーズに行った。

そんな中で「痛いですぅ~(泣」「ふんぬぅ~(怒」等、場違いな声が筐体内に響き渡り武が頭をかかえていたのは言うまでもない。

余談であるが、後日セシリーちゃんを見た夕呼さんが「却下!」と言ってデータを全て消去。本気泣きしていた少佐の姿が目撃されたらしい。









2001年10月23日


午前中


「ふわあ~眠い。結局朝方までかかったなあ~。」

っと眠い目をこすりながら、廊下を歩く。

「あいつは、朝から訓練だし、俺は何すっかなあ~。」

武は207分隊の教導があるので、そうそう会うことができない。邪魔しちゃ悪いしね。

「さて、そんじゃ。夕呼さんにでも報告がてら、暇つぶしでもすっかな?。」

緊張感のかけらも無い。まあ~今さら彼にシリアスを求めるのは論外であろう。


ウィーン


「おはようございます、夕呼さん。そして結婚してください。」

「んな!?」

ズルッ!と椅子から落ちそうになる。

「っ。あんたねえ~朝から殺されたいの?」

いや。そんなに睨まないでください。ちょっとしたお茶目じゃないですか。

「冗談はこれくらいとして、「XM3」のβ版ができましたので、報告までと思いまして。」

「!?もうできたの?流石ね。あたしでも3日はかかるわ。」

あまりにも早すぎる完成に驚く。いや3日ってあ~た。向こうの俺なら一ヶ月かかっても無理だぞ。

「後は実戦でのデータ収集と、対人戦のデータも欲しいところですけどね。」

「対人戦は、なんとかなるけど、実戦はねえ~。ベータに関して予測できないし。」

っと、考え込む。

「あ~それならなんとかなるんじゃないですか?11月11日に佐渡島からベータが攻めてきますし。」

さらりと未来情報を言う。

「あ~そうなの。攻めてくるのね?大変ねえ~……って!あんた今なんていった!」

「いや、だから~前の記憶でたしか、 旅団規模のベータ群が日本海・海底を南下。それに対応した第56機動艦隊が全滅、

帝国軍第12師団がベータ群と戦闘。目的はここの横浜基地ってわかったので防衛基準体制2を発令って感じで。」

(たしか、武が懇願してたよな~。あれ?今言ってよかったのかな?やばいかな?)

と表情にこそでないが、内心「やっちゃった!」状態。

「そう。でもそれって証明できるの?」

「いやあ~無理でしょう?なんせ証明されるのは、『事』が起こってからだし。」

そう言ってしまったのはもうしょうがないとばかりにえっへんと胸を張って言う。

「あんたは、あいっかわらず冷めてるのね。」

「だって必死に説得しても証拠がなければ無駄でしょ。まあ~信じるか、信じないか、あなた次第です。」

どこぞの都市伝説好きな芸人さんみたいなことを言う。

(こいつ、本当扱いずらい、もっとも、そうでなきゃこの先もたないものね……)

「さて、それはそれとして。」

(また、そうやって確信に触れたかと思うとはぐらかす・・・・・・。本当食えない奴よね。)

やりにくい相手に苦笑する。

(まあ~深く説明する必要はないか、どうせ来週あたり、武が言うだろうし・・・・・・)

言ってしまったものは、しょうがないしこれ以上言及されるとボロが出るので早々に話題を変える。

「新OSはもうほぼ完成してるので、後はそれに伴い、新装備と兵装を考案したのですが?」

「へえ~、この短時間にねえ~。言っとくけど使えないものは即却下よ。」

「フッフッフ。それはどうですかねえ~」

っと不適に笑う。

「へえ~。たいした自信ねえ~」

っとこちらもニヤリと笑う。

「まずは、マルチロックオンシステム、これは複数の敵に対して照準後、射撃に移行。
かなりの判断能力が必要ですが陽動にも使えると思いますよ~」

「シミュレーションしてみないと、なんとも言えないわね。それに、たぶんほとんどの衛士が使えないと思うわよ。
大体、瞬時に複数の照準に同時対応するって芸ができるの、あんたくらいでしょ?。」

「なら、オート機能にします?。命中率は下がりますけど、例えば、牽制とかに使えたりしません?」

「微妙な所ね、ベータは怯まないしねえ。弾の無駄使いって感じよね、それって。」

「ん~たしかに、じゃあとりあえず試験的に使って見て使えそうならってことで~」

「そうね、どちらにせよ今は、あんたしか概念がわかってないし。使えそうなら、他の機体への換装でいいんじゃない?」

「んじゃ次は、電磁砲、レールガンです。たしかこれって、帝国の方で研究試験してたんですよね?。」

「そうよ。でも運用自体が難しくて半ば凍結状態。たしか、アラスカだったかしら?」

「たしかに、これってでかいし、電力食うしで、運用は難しいですよねえ。というわけで小型省エネタイプで考えてみました。
おかげで射程距離がかなり短くなりましたけど~」

「短くなったって、実際どうなの?。」

「弾丸も小型ですからねえ~、おおよそ200mが限界ってとこです。その代わり威力は、かなりのもんですよ~、
貫通能力もあるし着弾部半径5mくらいなら消し飛ぶくらい。」

「それから小型化したので、戦術機の腰部に最大二門装備可能になります。そのせいで少し機動力が落ちますが。」

「なるほど、ハイブ内での突破口で有効そうね。で、装弾数は?」

「左右合わせて8発が限界ですね、それ以上の運用は厳しいかと。」

「へえ~それでもたいしたものよ。」

「後は、これが一番の押しですね、フランベルジュ。フォートスレイヤーを参考に大型化してみました。」

「ふ~ん。なんでこれが一押し?扱いが難しそうだけど?」

「趣味です!」

「却下!」

「え~~、一応意味はあるんですよ、こいつで敵を蹂躙すれば味方の士気もあがると思うし~。」

「そんなもの、さっきのレールガンで十分じゃない。はっきり言ってそっちのほうが士気があがると思うけど?」

「おえらいさんには、そのあたりがわからんのです。」

「はあ~?」

「いや、言って見ただけです……。」

「……そう。」

「でも却下、無駄だもの。」

(シクシク・・)

「あ~!うっとしい!かわりにフォートスレイヤー手配してあげるから、それで我慢しなさい。」

「アイ!マム!」

(まったく……あたしも甘くなったものよね……。)

「後は、肩部と脚部のサブスラスター、背部のメインスラスターだけだと限界かなっと思って、かなりの機動力の向上が見込まれると思いますよ~」

「たしかに機動力は上がるわね。でもその分、急加速時の中身への負担がかかるけど?」

「まあ~使いどころが難しいので、その辺り『リミッター』をつけるとか、緊急時にオート解除して一刻も早く戦線を離脱させるためとかは?」

「なるほど、衛士の命優先ってところね。どうせあんたは、それ乗りこなすんでしょ?」

「まあ~、試してないのでなんとも言えませんが、状況によっては友軍への救援時に重宝しそうですしねえ~」

「ふ~ん、まあ~いいでしょ。使いどころはあんたにまかせるわ。」

「さて後は……」

と色々提案していきそのほとんどが「却下よ、それって意味があるの?」「無駄!」っと一蹴される。

結局、許可をもらえたのが『マルチロックシステム(試作)』と『レールガン』『フォートスレイヤー(千早限定)』『長距離狙撃砲』『近距離散弾砲』
それから『サブスラスター』だけであった。
その他、完全に趣味で考えた『ドリル』『ロケット』『ヨーヨー』『こま』『三節根』などなどは全て却下。

(何気にスーパー系全部却下だよなあ~)と苦笑しつつ・・・・・・

「それじゃあ~シミュレートに移ります。」

構想を実行に移そうと執務室を出る際に、呼び止められる。

「あ~そうそう、明日には伊隅達に、あんたのこと紹介するからそのつもりで。」

「ということは、XM3を彼女らに?」

「それは、そうでしょ。あんたらだけに使わせとくのはもったいないし、それにおひろめには好都合でしょ?」

「りょうか~いしました~っっと明日の朝にシミュレータ室でいいですね?」

「ええ、そうして頂戴。」

そういうと部屋から出て行く。

(ん~、あの様子じゃあ、恐らく対戦することになるよなあ~。ただでさえそういうパターンが多いし。)

「よし!無様な姿だけは、見せられないからいっちょ特訓しとくか~」

ということで、午後はまるまるシミュレーションに費やしたのであった・・・・・・

ちなみに、無茶をしすぎて筐体から出てきた時にまるで化け物を見るみたいな視線を居合わせた衛士に浴びせられたことには気づいてなかった。



夜、グラウンド……



「ふわあ~、ちょっと無理しすぎたかな?」

っとゴキゴキ肩を鳴らしながら、散歩する、訓練後PXで食事をし、火照った体を冷ますため外に出たのである。

(月も綺麗だし、そういえばこうやってゆっくり散歩なんて何年ぶりだろう?)

元の世界だったら、こんな風にゆっくり散歩なんぞせずに帰宅してゲームしてたのが懐かしい……

(あ~、なんか思い出したら悲しくなってきた。仕事辛かったけど結構楽しかったしな~)

少しブルーになる。ホームシックだなこりゃ?チート機能に浮かれていたとはいえ……)

「少佐?」

「人は犠牲無しに何かを手に入れることは出来ない、何かを手に入れるには同等の代価を支払わなければならない、それが等価交換の原則。か……。」

どこぞの錬金術師みたいなことを嘆く。

「二階堂少佐。」

っとぼ~っとしていたので、誰かが呼んでいたことに気づくのが遅れてしまった。

(冥夜か、ってしまった!たしか……これって武の重要なフラグじゃなかったか?)

(あちゃあ~、夜のグラウンド、冥夜とくれば何のために衛士を目指すかのくだりではないですか)
また、話を変えてしまった事に後悔する。

(まあ~やっちまったもんは仕方が無い。武すまん。後で何かおごる。)

もうここまできたら、行くとこまで行っちまえと開き直ることにした。

(二階堂少佐……さきほどの言葉、「人は犠牲なしになにかを……」とは、恐らく少佐は、多くのものを失ったのに違いない。)

(なにやら難しい顔でこちらを見てるご様子ですが?はて?とりあえず声をかけるかな)

「ん~?冥夜か?っとこんな時間に何をしてる?」

「はっ!自主訓練をしておりました。」

「っと、また口調が、固くなってるぞ~」

「はっ!もうしわけ・・・…すまぬ。何ゆえ不慣れゆえ許してもらえぬか?千早。」

これでよいか?っと訂正する。

「そうそう。それが冥夜の持ち味だからな。そっちの方が冥夜らしくて好きだし~」

「なっ!そなたは私をからかっておるのか…・・・///]

っと赤くなって怒る。ぶっちゃけ俺はこれだけで倒れそうなくらいだが、二次元ってすごいわ。

「しっかし、こんな遅くまで訓練とは、がんばるなあ~。えらい!」

撫でてやろう。っと言いつつ撫でる。もうね、無理ですわ、上目遣いでこちらを見る姿に二階堂さんのライフポントがづたづた……

「何、一刻も早く衛士になりたいゆえ……」

撫でられながら照れてるのか、顔を赤くしながらそっぽを向く冥夜。

(ぐはあ!萌え殺す気か?そうなのか?そうなんだな?)

と阿呆なことを考える。千早さん死にかけです。はい。

(とはいえここら辺りが限界だな……)

「そうかあ~、なら、ゆっくり体を休めること!御剣訓令兵!返事と共に駆け足!」

「はっ!了解しました!。」

っと後は武の仕事だと思い部屋に戻って休むよう命令する。

(さすが、訓練を受けているだけあって、反応が良いなあ~)

冥夜も、何か聞きたがっていたが、こう言われては従うしかないのでしぶしぶ部屋へ戻った。

彼女の姿が見えなくなったのを確認すると、ぐにゃあ~っとベンチに腰掛ける。

「はあ~、やばかった~。あれはあかん、あかんのや~。」

っとつかれ切ったように嘆く……



「貴様が、二階堂千早だな?」

ベンチで頭を抱えてると、凛とした声で呼ばれる。

ふと顔を上げると紅い近衛服を着た女性と、白い近衛服を着た少女三人がいた。

(いやいやいやいや……もう今日はお腹いっぱいですから~勘弁してください。私を殺す気ですか?運命の神様~(涙。)

そこには、月詠真那を筆頭に、神代巽、巴雪乃、戎美凪と順にこちらを見つめ……もとい睨んでいる……。

(はて~?俺は、この人に睨まれるようなことしたっけか?)

(回想)「…・・・髭!。」「というわけで口を開けたまえ……」、頭を撫でる×3回以上・・・・・・。

(睨まれることしかしてねえーーー!!!)

内心「あ~やっちまたよ~。」なのだが、相変わらず表情には出ない。

「え~と、何か御用ですか?月詠さん?」

「ほう、こちらの事は承知してると言うことか?それに名を呼ぶ許しを与えた覚えはないが?」

(あ~そういえば、会ったのは、はじめてだな?)

墓穴を掘ってしまったことに気づく。

話は早いとばかりに月詠さんと後ろの三人は敵意を向けたままに問いただす。

「―――貴様何者だ?冥夜様に近づいた理由はなんだ!?」

(いやいやいや、それは武に言ってくださいよ~。)

「違うぞ、間違っているぞ。月詠、そもそもさっきのは近づいてきたのは、冥夜の方からだ。」

うん。さっきのはたしかに俺からじゃないもんね~っと付け加えながら……

「貴様!冥夜様を呼びすてにするとは、返答次第では……」

(あれ?怒らした?なんか短刀を抜こうとしてるよ?この人。もっと話のわかる人じゃなかったっけ?)

あかん、やめておこう。普通に、普通に。

「あの~、本当の事言ったら怒らない?///」

「何故?そこで顔を赤くする?」

あまりにも突然の事で、少し手が緩む、後ろの三人もそれを見つめる。

「俺が、冥夜に近づいた理由は……。」

スゥーっと短刀に手を添える月詠、

「だって、かわいいんだもん。後、なんかほっとけないって空気だしてるから~。」

普通には、無理だった……

「なぁあ!」っと、少しこけそうになる。

「あ~大丈夫ですよ~、月詠さんのきりっと凛々しいところもかわいいし、好きですよ~」

余計な事まで言うし……

「き・き・貴様~~~!!!」

短刀を抜いて斬りかかってくる……おかしいこんなシーン原作になかったって~ひえ~死ぬって死ぬ~……

「はあはあはあ……」

「落ち着きましたか?」

「誰のせいだ!誰の?」

さっきまでの空気が、すこし暖かくなった気がする?月詠さんの本気の切りつけも全て避けて、平然とする彼の姿に三人娘は「あ~~~」って感じで口開けてぼ~と見やる。

(さてと、たまにはキリっと決めるかな?)

「月詠さん達が、彼女のことを心配する気持ちもわかりますが、彼女は彼女なりに真剣に考え、自分の足で立って胸張って歩いて行こうとしてますよ。
それを、応援したいし、守りたいと思ってるだけです。だから彼女、いや彼女達の願いを蔑にするなら誰であろうと容赦はしません……」

そう言った千早の表情は、今まで見せたことのないどこか悲しそうな、それでいて真剣な表情、そして恐ろしくも凍った瞳で見つめながら言う。

<……ゾク……>

その瞳に魅入られる、月詠さん達。

「それを信じろと言うのか?貴様。」

っと今度は見つめてくる。

「信じる信じないというより別に信じてもらう為に行動してる訳ではないですからね。俺は俺、自分のしたい事をする。その一つが彼女を守る事ですよ。」

っと見つめ返す。

「っふ…、ならば我々も我々のすることをすれば良いということか。」

「そういうことですねえ~。」

「ふん。」

っと言いそのまま、立ち去ろうとするが……

「あ~~そうそう、これから月詠さんのこと、親しみをこめて『マナさん』って呼びますねえ~」

こともなげに言う。

「んなあ~!?」とこけそうになる月詠さん。

その後に「「「はあ~~~?」」」っと3人がはもった。

当の月詠さんにいたっては顔が真っ赤だし。

「き・き・き……」

「きりん?」

「違う!!」

「じゃあ~何?」

「何故、そうなる!!」

「いや~だって、殺されかけた仲じゃないですか~」

っと満面の笑みで言う。

「駄目だ!それに意味がわからん!」

「え~~」

「もういい!貴様と居ると疲れる。今日は失礼する。」

と言い去っていく四人。

「どうでもいいけど、俺一応『少佐』なんですけど?」

あの人には階級って関係ないんだなっとつぶやく……


そして夜は、ふけてゆく~

余談であるが、その夜、武の部屋の前に大量の『あずき』が置いてあり、「お詫び」とコメントが添えてあったのを見たまりもちゃんが、「おそなえ?」っとしばらく考え込んでいた姿を見たことは誰も知らない……



[27051] 第七話「最強伝説」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/04/14 00:57

2001年10月24日

シミュレーション室……



A-01の隊員達は、夕呼さんい言われて集合していた。

しばらくして、夕呼さんが入室し、楽しそうに皆を見回す。

いつもどおり、敬礼はなしで、簡単な挨拶だけなのは言うまでもない。

「皆、揃ってるわね。それじゃ新OSの説明する前に、今回新しく配属する奴を紹介するわね。」

「……」

突然の発表全員が怪訝な顔をする。

「ついこの間まで、あたしの直属で最前線に出向いてたんだけど、これを機にA-01へ配属させることにしたから。」

「それじゃあ~入ってきなさい。」

「おじゃましま~す。」

っと間の抜けた返事で、銀色の髪をした女性が笑顔を浮かべながら入ってきた。年は速瀬達と同じくらいだろうか。

まだあどけなさが少し残る顔をしている。

「今日から、あんたたちに新OS「XM3」の教導をする。二階堂千早少佐よ。ちなみにこいつの上はあたしくらいしかいないから

そこんところよろしく~。」

「「「えええ~~~~!!?」」」

いきなり現れた少女、てっきり少尉か中尉くらいかと思ったのに自分達の上官しかも副指令直属だという。

「え~と……。どうも、二階堂千早です。階級は少佐で、今回みなさんを教導することになりました。元々は副指令直属の衛士で戦術機の開発、XM3の調整を、手がけてきました。よろしくお願いします。」

「千早~~、あんた何、猫かぶってんのよ。あたしん時とえらく態度が違うじゃない?。い~いこいつらはあたしの直属よ。いつもどおり

でいいの。ていうか、今のあんた気持ち悪いわ。」

とニヤニヤしながら言う。気持ち悪いってあ~た。

「はいはい……。夕呼さん、てか結構根に持ちますね。んじゃ、というわけなんで、みなさんよろしくう~。」

っとさっきまでの態度が嘘のように砕けた表情になる。

「あ~そうそう、こいつこんな顔してるけど、一応『男』だから、そこんところ気をつけなさいね。」

「「「「えええ~~~!!?」」」

「まあ~驚くわよねえ~何を食べたらそんな顔になるのか、解剖したいくらいよw。」

いやいや解剖ってあんたが言うと洒落にならんから、と突っ込む。

「「「・・・・・。」」」

「ん~とりあえず、メンバーの紹介をお願いしますねえ~大尉。」

「はっ、では私から、A-01の部隊長を務めております、伊隅 みちる、階級は大尉です。部隊内でのポジションは迎撃後衛です」

「よろしく~。」っと握手する

「あ~それから、敬語はいらないからね。」

「それは、困ります。少佐は上官でありますから。」

「ん~。じゃ!作戦中とかしかるべき時だけ、それ以外は普通で。」

「しかし、それでは規律が、それでは他の者に示しがつきませんので。」

「よそはよそ。うちはうち。おかあさんの言うことは聞きなさい。」

っと訳がわからないことを言う。

「はあ、わかった。しかし、しかるべき時は敬語を使いますよ。」

っと額に手を当てながら溜め息と供に言う。

このやり取りを見ていたメンバーが、唖然としていたのは言うまでもない。

「さて次は~」

「B小隊小隊長の速瀬 水月、階級は中尉。ポジションは突撃前衛長よ。よろしく二階堂少佐。」

とにやりと不敵に笑いながら握手する。

「よろしく~好きに呼んでいいよ~。」

「じゃあ~千早って呼ぶわ。」

流石、夕呼さんの部隊その辺りの雰囲気をわかってらっしゃる。

「CP将校の涼宮 遙です。階級は中尉、千早君?よろしくお願いします。」

っとふんわり笑いながら握手する。

それから、宗像、風間、七原、妃宮、皆瀬、涼宮(妹)、柏木、高原、朝倉、築地、と紹介される。

(ん~、知らんメンバーもいるな~、七原、妃宮、皆瀬、高原、麻倉、築地とたった数週間で半分が脱落するのか。)

この世界の戦いがいかに過酷であるかを痛感する。

「さて~それじゃあ~早速、やりましょう~。今回は~『XM3』搭載機の動きを見て欲しいんで~俺対皆で。」

「―――っ!」

皆が驚きの表情でこっちを見やる。

どうみてもこの少佐は若過ぎる。それで『少佐』という階級である、たとえ男不足なこのご時勢とはいえ、珍しい、

副指令直属で余程優秀な衛士のか?もしかして相当頭のキレる技術士官なのか?まったく掴めない……

しかし、さきほどまでの、雰囲気をぶち壊す発言で嫌悪感を含む表情になり、睨む。そんな姿がおかしいのか、ニヤニヤしている。

(あちゃ~、やっぱり怒るよねえ~、まったく昨日といい、今日といい最近美人に睨まれる日だな~)

そんな風に考えていると、伊隅さんが皆を代表してか口を開く……

「お言葉ですが、少佐が発案されたOSに自信を持たれるのは良いのですが、そのような発言はお控え頂けませんか?」

「ん~発案したのは、俺じゃないよ~。名前は明かせないけど、別の人、んで俺が調整して作ったのだあ~」

ピクピクっとこめかみひきつらせる伊隅さん。目の前の男は事もあろうに、考えたのは自分じゃないよ~っと言う。

「それではなおさら、訓練内容を一対一に変更してください。」

「ん~別にかまわないけど~」

っと言いながら、表情を変えていく……段々と、鋭く、冷たく。視線で殺せるんではないかと思うくらいの殺気もこめて。

「一瞬で死ぬよ?」

さっきまでの人懐っこい笑顔が嘘であったように、恐ろしいくらい冷たい瞳でメンバー見つめる。

<ゾクっ>

純粋な恐怖に、さっきまで怒りを露にしていたメンバーが俯く。伊隅ですら、まともに正面を見据えることができない。

(ふっ……昨日の晩に月詠さんを参考にシリアスモードを取得したのさ。今の私は、視線で人を凍らせることができる!)

まあ~中身はただの馬鹿であるが。

(しかし、ノリで言ったのはいいけど、「死ぬよ?」はないよなあ~、仮想訓練だし。中二病だなこりゃ)

「千早~、そこまでにしてあげなさい。あんたたちも彼を、余り怒らせないほうがいいわよ~。はっきり言ってこいつ化け物だから。」

「え~~」

っとぶう~っと頬を膨らまして抗議する千早。

「だって、そうじゃない?たった二人でしかも旧OSで『ヴォールクデータ』で、反応炉まで到達したじゃない?しかも支援無しで。」

「「「!!!」」

今度は驚愕の表情に変わるメンバー、それはそうだ自分たち中隊ですら半分がやっとしかも支援無しでなんてはっきり言って自殺行為以外のなにものでもない。しかもそれを二人で、もはや驚愕を通り越してあきれるしかない。

「というわけで、命令よ。こいつの言うとおりにして、伊隅。」

「はっ、了解しました。」



そうして始まる、千早さん最強伝説。




(さてと、今回もテンション上げていきますか!)

千早は機体のチェックが終わると、回線を開く。

『二階堂より皆さん、はじめから本気で来てくださいね。手を抜いたら怒りますよ?』

っと言って「ニコっ」っと笑う。まるで子供のように無邪気に。

『了解、少佐本気で行かせて頂きます。そういうことだ全員気を抜くな!』

『『『―――了解!!』』』

自分にも言い聞かせるように檄を飛ばす。

(さすが~、スイッチ入ると、すごいな彼女らは~)

そして、涼宮中尉から通信が入る。

<ヴァルキリーマムより二階堂少佐及びヴァルキリー中隊. 現時刻より状況を開始して下さい>

中尉の管制により、開始される戦闘、仮想空間による戦闘がはじまる

開始から、数分、ありえない速度でGのようにカサカサ動き回る不知火が一機。

(ちょっと例えが悪くない?)と突っ込む。

「だって戦闘描写が苦手なんだからしょうがないじゃん」と誰かがぼやく。

「見える!そこぉ~!」

「!?くぅ~なんでそんな体制で、正確に狙えるのよ!!」

「茜!援護して!」

、避けながら、指示を出すが、

「当たらなければ、どうということはない!」

とサァ~っと避ける。例えるなら天井からGが飛び降りるかのごとく。

「このぉ~~~!なんで当たらないのよ!ちょこまかと~~~!」

長々と連射した茜の突撃砲が尽きる。

「ちっ!散開!茜・多恵!一反下がるわよ!」

全機後方へ噴射する。だが……

「遅い!!」

「きゃあああ。」

<築地機大破続行不能>

「た・多恵?って嘘?」

一瞬の油断、築地機が大破に陥ったのを見た、余所見をしたその一瞬で間を詰める。

「戦場で余所見とは、底が知れる。」

「きゃあ!」

<涼宮機大破続行不能>

「こんおぅ~!」

っと正面から向かってくる速瀬機。

「ほう、思いっきりのいいパイロットだな?おもしろい!」

っと言い長刀を構え突っ込む。

「くらえ~!!!」

突撃砲を打ちながら、向かってくる。

「だから!なんで当たらないのよ!」

突撃砲を避けながらまっすぐ向かってくる、千早機。

ーガシュ!ガシュリ!ー

すれ違い様に、長刀で切りつける。

<速瀬機大破続行不能>

「くっそう!!!くやしい~~!!」

「速瀬がやられた?」

開始数分で、3機しかも綾瀬まで落ちたことに驚愕を隠せない伊隅。

(……<一瞬で死ぬよ?>……あの時の言葉、冗談でも挑発でもなかったということか……)

あの時は、自分たちを挑発するための発言としてとらえていた事が勘違いであると気づく。

『宗像、皆瀬、二期連携でいけ!私と妃宮で援護する!柏木、風間は支援に回れ!』

『『『了解』』』

『七原、麻倉、高原は、待機!可能なら遊撃しろ!』

『『了解』』

『行くぞ!』

『『『了解!』』』

(く……様子見が仇になったか、B小隊が数分を持たず全滅とは……)

舐めてかかったわけではないが、余りのことに愕然とする。プライドがガラガラと崩れていく伊隅達。

(さ~て、様子見も終わったようで、今度はA、C小隊が一斉にっ来たよ~)

しかし、今日の千早はノリノリである。

「前にでるから~!」

「なっ!?速い!!」

「って嘘~?」

<宗像機および皆瀬機大破続行不能>

二期連携で、仕掛けてきた、宗像、皆瀬機に対し、突撃砲と長刀で迎撃すると、今度は風間機に接近する。

『あはは……。』

そんな中、柏木の乾いた笑いが響く。

『柏木!、気を抜くな!戦闘中だぞ!。』

『大尉~笑うしかないですよ~ 少佐の機動に照準が追いつきません~』

『な!?ばかな?』

『エラーですよ……追いつけなくて、理解できないんですよ~』

っとどこか遠い目としてうなだれる。まるで口から魂が抜けたような。

(これが、新しいOSの性能?いや、違うな。操縦者の能力か……)

『化け物……』

『負けですね……』

柏木があきらめたようにぽつりとつぶやいた。

(ん?三機の動きが鈍い?……んじゃあ~マルチロックを試してみるか~)

そう思うとニヤリと笑い、コンソールをいじる。

ちなみに、自由さんとは違い丸いのは出てきません。普通に複数の照準を出してマニュアルにてロック後は引き金引くだけです。

(要は、いかに速くロックするだけ、下手な鉄砲数撃ちゃあたる方式なんだけどね~)

「マルチロックオン、いきなり発射~~。」

ガガガっと両手の突撃砲を撃つ。

「え~~」

「なんだと!?」

「そんな?」

いきなりのことで、まったく反応できなかった3機は、なすすべも無くコックピットを狙われ

<風間機、伊隅機、柏木機、コックピット大破戦死>

戦死判定により終了。

(ん~やっぱりこれは動いている相手に対し、ピンポイントで仕留めるのは無理だな。動きが止まった時が狙い目とあんまり使えないなあ~)

やっぱりあれは自由さんという機体じゃないと無理かあ~っとつぶやく。

その間に、あっけにとられている、妃宮を長刀で沈めると、後は残りの三機をあっという間に沈める。

<状況……終了……しました。>

気づけば、10分くらいで、全滅。いまだに信じられないのか、皆、暗い顔で出てくる。

「で?感想は?って聞くまでもないみたいね。」

出てくる伊隅さんたちを見るなり、そう聞いてくる。

「副指令、あれはなんなんですか?あの不知火はとまりません。」

「そうね。それが、キャンセルとコンボよ。まあ~概念はこの後、こいつが教えるから。」

うれしそうに、語る夕呼さんとは対照的に、皆疲れきった表情をしている。

「ん~まずまずかあ~。対人戦のデータも取れたし。しかし、マルチロックオン思ったより使えなかったなあ~。」

っとブツブツ言いながら出てくる千早。

「ちょっと!千早~あれはなんなのよ?何したのか教えなさい!」

彼の姿を見るなり、いきなり怒鳴り込んでくる水月さん。

(うわあ~、どうでもいいけど怒った顔も美人だなあ~)

この世界の女性はモデルみたいなんしかいないのか?と思ってしまう。

「あ~気持ちはわかるけど~近いですよ~?」

と言いいつつ顔が赤くなる。

「何を赤くなってのよ……こっちまで照れるじゃない。」

「ほう、速瀬中尉が気に入ったようですね少佐、ならどうです?今夜あたりでも」

っと二人を見ながらニヤニヤしながら言う宗像。

「む~な~か~た。」

「っと麻倉が言ってました。」

「え!?あたし?言ってないって……」

と言いながら逃げ回る朝倉さんそれを、鬼のような形相で追いかける水月さん。

(あ~そういえばこういうやりとりを見たなあ~まさかその場に居合わせることになるとは思わなかったけどねえ)

っと感慨深く宗像さんを見つめる。

「ふむ、少佐は、中尉ではなく私をご所望ですか、とはいえ私だけではあれですので祷子もご一緒にいかがですか?」

「ちょっと美冴さん?」

(ん~、からかわれてるなあ~。さてどう答えようか?)

「ん!わかった。んじゃ美冴さん、今から俺の部屋へいきましょうか?祷子さんは今度ということで、皆ごめんね。座学はまた明日~」

満面の笑みを浮かべ、彼女の手を握り連れて行こうとする。

突然のことに固まる全員、朝倉を追い回していた水月でさえこっちを見て唖然としてる。

「え?いや少佐?」

思わぬことで素に戻る。

「はいはい、おもしろいことになりそうなんであたしはかまわないけど、そろそろからかうのやめたら~?宗像も素になってるし」

そのままスタスタと、シミュレータ室を出て行こうとするので、思わず止めに入る。

「あはは、ばれました~だってかわいいんだもん彼女、どうしようかってモジモジしてるしw」

っとここでからかわれていたことに気づき顔を赤くする。

「ふっ、宗像、お前の負けだ。たまにはいい薬になったんじゃないか?」

伊隅は笑いながら言う。

そんなやり取りのおかげか雰囲気がやわかくなった気がする

「さてそれじゃ~あたしは仕事に戻るわ、千早~あとはよろしく~」

「はいはい~わかりました~」

んじゃっっと手をひらひらさせながら出て行く

「さて、それじゃあ~この後着替えて、ミーティング室に集合でいい?伊隅さん?」

「はっ、了解しました」

と敬礼しようとするのをとめながらじゃあ~またねえ~っと出て行く。



PS

やっとA-01とからませれました。けど、よく考えたら、この時点で登場させるということは、本編に出てないキャラ3人作らなければいけない。後ポジションが良くわからっていないので、間違えているかも知れませんがそこはお許しください。こんなんでやっていけるのかしら……。

そして、名前を早速間違えてるし……修正しました。



[27051] 第八話「左の頬を殴られたら右の頬を殴れ」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/04/14 16:49


2001年10月25日




午前PXにて……


(昨日のうちに、XM3の特性と仕様の講義をし、その後慣熟テストを終わらせたけど、今の所は順調かな?)

しかし、これからの事を考えるとやることが膨大すぎて少し鬱になる。

(後は、11日の出撃に間に合わせて彼女らの不知火にXM3を搭載して、それから俺の機体だよなあ~)

昨日のうちに、実機を手配してもらってはいるが、機体性能が限界に近い。

(ん~、アOロのNT能力についていかなくなったガOンダムって所か、んにゃジOだな。この世界でのガンOムは武御雷かな?)

「なんとかならないかなあ~いっそのこと武御雷を強奪するか?」

とんでもないことを言い出した……

(まあ~そんなことをしたら、俺処刑されるわな。ただでさえ近衛に睨まれてるし~)

などと、馬鹿なことを考えながらカウンターへ注文を入れる。

「おばちゃ~ん、なんか甘い物ない?」

「千早ちゃんかい?お汁粉ならあるよ」

「じゃあ~大盛りで~」

「あいよ~あんたは本当甘い物が好きだねえ~」

「いやあ~それほどでも~あはっ」

っとうれしそうに笑う。元々無い頭を使いまくったので体が糖分を求めて仕方がない。あいかわず回りから奇異な視線で見られるが階級章のおかげか、誰も声をかけようとはしない。

(さ~て、一人だと寂しいし~誰かいないっかな~♪)

そう思いつつキョロキョロと食堂内を見回す。

(ん?あれは?まりもちゃんじゃないですか、よし!)

と思いつつ、早速向かうことに決めた千早。

「はあ~」

まりもはため息と一緒に考えていた、白銀武……彼はかなり若い、榊達と同じ年だというのに「大尉」という階級である。しかもそれを鼻にかけず、同年代同じように訓令兵に接する。しっかり公私の区別はつけて、しかしわからないのがあの年で最前線を生きてきたという。
それに時折見せる「目」あれは歴戦の衛士が見せる目であり、多くの犠牲を見てきた者しか見せない。あの年でそれは考えられない。

(夕呼の紹介ってのもねえ、なかなかどうして底が知れないわね。)

「ここいいかな~?」」

まりもが武のこと考えていると、横から声が掛けられた。

ふと見ると、少女だろうか、榊達訓令兵より同じか少し上くらいで銀色の髪、猫のような目でにこにこっと笑いながら声をかけてくる

CP将校だろうか?と思いながら階級章を見る……

「しょ、少佐っ……!?はっ!どうぞこちらへっ!」

少佐の階級章を認識した途端まりもは立ち上がり、敬礼する。

あまりにも速かったので、びっくりして目をパチパチっとさせてこちらを見る。

「え~と、はじめまして~神宮寺軍曹、俺は二階堂千早少佐で~す。一応夕呼さんの直属なんで堅苦しいのは抜きでいきましょうねえ~」

っと表情をコロコロっと変えて挨拶する。

(夕呼の直属?ほんと夕呼に掛かれば軍規も何もないわね………)

「こちらこそ宜しくお願いします、少佐。それはそうと私に何か御用でしょうか?」

「ん~と、飯食うのに一人だと寂しいので誰か探していたらあなたがいたので声をかけました!」

「は………?」

いきなり声をかけられたと思えば、寂しいから一緒にご飯たべましょうっと言う。本当に彼女は少佐なんだろうか?っと疑問に思ってしまう。

「それに~そっちに、白銀武っているでしょ?俺はあいつの兄貴分ってとこなんで~」

「大尉の?兄貴分?ですか……」

姉貴分の間違いじゃないかしら、っと彼女は思う。それに大尉の上官であればさっきまでの態度が納得できる。

「あ~そうそう。ちなみに俺は男ですから、その辺りお間違いなく~」

考えていることが、表情にでていたのか、自分は男性だと言う。

「ええ~!失礼しました!」

いいよ~べつに~いつものことだしね。っと謝罪するまりもを制する千早。

「さて~、とりあえず自己紹介もすんだことだし、早速飯を食おう~」

といって目の前のどんぶりに、箸を入れる。

「あの~少佐、それは?」

「ん?お汁粉大盛り~♪」

うれしそうに言う。

「お汁粉ですか……」

あまりにもありえない光景に声を失う。そうだろう、どの世界にお汁粉をどんぶりで食う奴がいるか。

そんな視線を気にせず目の前の女性のような少佐はうれしそうにどんぶりいっぱいのお汁粉を頬張る。

(ほんと……女の子じゃないかしら?)

っと疑問に思いながら……

「さて~そういえば武の奴はどうです?迷惑かけてません?」

「いえ。大尉は衛士としてかなりの実力をお持ちになる傑物です。私の方が足をひっぱているくらいですから。」

はあ~とため息をつきそうな勢いで語る。

「まあ~あいつは、特別だからねえ~」

「少佐は?大尉とは?」

「ん~、機密が絡むからあんま言えないけど~前戦で一緒だったけっか?」

「そうですか……」

(ん~いかんなあ~楽しく食事と思ったんだけど、どうも話が暗い方向へ)

「あ~~そうそう神宮寺軍曹、突然で悪いんだけど、今日から俺も「まりもちゃん」って呼びますね~」

「はっ……はい!?」

もともとシリアスが苦手な千早は、ここぞとばかりに話を変える。

「ん~神宮寺まりもだから、まりもちゃん、それともまーちゃんのほうがいい?それから、口調も普通で~」

「はあ~?少佐困ります、いくらなんでもご自分の階級を理解なさってください。私は下士官で上官である少佐に」

「いいじゃん。どうせ、武には呼ばせてるんでしょ?……はっ!もしかしてそれは武だけ特別であって……まさか?」

っとにやあ~っと笑いながら言う。

「なっ!?違います。そういうわけではなくて……もう~白銀といいあなたといい~」

「あはは、というわけなんでよろしく~」

「わかりました。ただし、公私は分けてくださいね。」

「了解しました!軍曹殿!」

と言い立ち上がり敬礼する。

「やめてください~皆が見てます。」

「ん~気にしない、気にしない~」

っとこともなげに笑う。

そんな感じで、楽しいひと時を過ごしながらPXを後にする








……午後ハンガー





「さあ~て諸君!がんばっとるかねぇ~?」

っと、作業着を着た千早が、整備班に声をかける。

「お嬢~早速なんだが、ここをみてもらえるか」

整備班長のおやっさんが千早に声をかける。ちなみにここの人たちには自分のことを好きに呼んでいいと言っている。

「言われたとおりに肩と脚にサブスラスターをつけてみた、これで超高速人型棺桶ができたが」

「いや、棺桶って……それに俺が乗るんですけど?」

引きつりながら言う。

「んなもん、棺桶だろう?大体どんだけ体に負担かかると思ってる。」

「やっぱおやっさんは反対?」

「反対だな、どんだけ機動があがるかわからんが、人を守れてこその機体だからな。」

「ん~でもシミュレーションじゃこなしてたっしょ?だから大丈夫だって」

「そうは言うがなあ~」

それにこれなら、空中で光線級のレーザー避けれるっしょ?っと言う。

「まあ~まだ実装しただけだからテストしてないし、これからこれから~」

っと言いながらコロコロと笑う。

「さて~それはいいとして、電磁砲のほうはどう?」

「あ~お前さんが考案したとおりに今、製作している。明後日には、試作ができるから試射できると思う。」

「概ね順調ってところだね~」

「しかし、これを機体に換装するにはちと無理があるが。」

「ん?それは砲門の長さ?」

「ああ~気づいてたか、腰部につけるとしても、どうしてもバランスが悪い。」

「それならスライド式にすればいいんでないの?」

「そうか、なるほど、常時は折り畳んで、使用時に伸ばすのか、となると強度を上げないとな。」

「その辺り、考慮して弾丸をさらに小型にすればいいよ。それでもかなりの威力になると思うし。」

コインを飛ばすだけであの威力だしねえ~っとふと某電撃姫を思い出す。

「それから、フォートスレイヤーは?」

「それはもう届いてる、今メンテしてるところだ。」

「そっか~んじゃあれにあわせて腕と指の関節部の強化しないとな~♪」

心底うれしそうな千早。それを見て苦笑するおやっさん。

「とりあえず~、テストするにしても明後日以降になるんで~がんばろお~~」

「「「「お~~~!」」」

っと皆うれしそうに仕事を開始する。








2001年10月27日


横浜基地演習場……



普段はA-01が実機演習に使用する場所に二機の戦術機が立つ

「ピアティフ~準備はいい?」

「はい、記録用のカメラと、各二機のデータのフィードバック作業は済んでいます。」

指揮車の中で、二人がカメラに写る二機の機体を見ながら確認する。

そこに映っているのは、紅い戦術機と銀色の戦術機。

まだ正式名すら決まっていない不知火を改造した戦術機である。

両戦術機には不知火を元に各関節部を強化し、肩と脚には可変式のスラスターを換装。頭頂部にはアンテナとして少しおおきな角がついており紅い方が一本、銀色の方が二本ついている。違いがあるとすれば、赤い戦術機にの背中にはでっかい剣と、腰に電磁砲が二門ついているくらい。

そのせいで若干ゴツゴツしているのだが。

二機の戦術機を見て、夕呼は満足そうに見つめる。

「なかなか良いじゃない、もっとゴテゴテとするかと思ったけど、バランス結構取れてるじゃない」

「えへへ~いいでしょう?皆がんばってくれたんですよ~。」

ふにゃふにゃっと笑う。よっぽどほめられたのがうれしかったようだ。

「今回の演習は、スラスターを強化したことによる高機動戦闘、それに伴う機体への負担チェック。それから新兵器の試射と強度チェックね」

「それじゃぁ、そろそろ始めましょうか」

「はい。まずは、稼動実験を始めます。」

『了解』『はいは~い』

対照的な返答をする二人

「では。カウントスタート5…4…3…2…1…状況開始!」

ピアティフさんの声と共に、二機が演習場を走り始める。

最初は各種の機関点検など、確かめながら動かす。

「さてと~、んじゃあ~高機動モードでいってみますかあ~武君?」

「了解~」

というが早いか、ありえない速度で動き回る。特にリミッターをはずしている紅い方の動きが尋常じゃない。

「にゃははは~ぐい~んぐい~ん。さすがにきつい~」

「おい!大丈夫かそんな機動して。」

心配になって聞く。

「ん~問題ないけど~流石にこれ癖になりそう~」

若干興奮してるのか、頬を赤らめながら言う。

(あはは~どんだけチート機能?体も改造されてるみたいだな~クOOン並ってのも伊達じゃない~)

などと思いながら、動き回る姿を、びっくりしながら見てる二人。

「ピアティフ……物理法則って何?あたし頭痛くなってきたわ……」

「あはは……すごいですね、少佐の機動。」

などと頭を抱えていた夕呼さんがいたり。

「ふう~流石に疲れた~」

「お前本当に人間か?」

「失礼な!俺ほど人間味のある奴はいないぞ。」

『その意見に関しては賛成ね。でも白銀~あたしからすればあんたもよ』

そんな突っ込みに「ひどっ!」っと嘆いたのは言うまでもない。

「にしても、すごいなこの機動性は、 武御雷より速くないか?」

「ん~、機動性ならラプター以上を想定して作った~」

間延びしながらさも当然と言いやがる。

「さて~残りのターゲットは30かあ~、よし武!どっちが多く破壊できるか勝負だ!」

「いいぜ!負けた方は罰ゲームだからな?」

「武……あたし、初めてなんだ。だから負けてもやさしくしてね///」

いきなりどアップでしなを作る、ご丁寧に瞳をうるうるさせながら言いやがる。

「だ~か~ら~お前は~~~!!!」

「わはは、先手必勝~!」

「てめえ~ずるいぞ!」

「戦場で言い訳はきかん!」

「ちくしょ~、これなら!」

お返しとばかりに、千早の側にある、ターゲットに撃ち込む。

「あ~、俺ごと狙ってない?そんなにしてまで俺を抱きたいのか~」

「だあ~~!どうしてもお前は俺をそう仕立て上げたいのか~~」

「ほい。隙あり~」

「どわぁぁぁ!?てめえも俺ごと狙ってるじゃねえか~!」

「わはは、『左頬を殴られたら、右頬を殴り返せ』ってマリア様もおっしゃているだろう?」

「そんな暴力的なマリア様聞いたことがねえ~!!」

そういいながらお互いのターゲットを取り合う二人。

「……頭が痛くなってきたわ。何この映像と音声のかみ合わない状況。」

「あはは……でもすごいですね二人とももうすでに9割のターゲットをクリアしてます。」

ものすごい機動で動き回る二機とは、対照的な会話にあきれた様子の夕呼さんと、疲れたように管制をするピアティフさん。

そうこうするうちに予定のテストを終了し、機体チェックを受ける二機。

「それじゃあ~、今日のメインイベント~」

とうれしそうに~言う千早、ちなみに先ほどの勝負は、彼の勝ちで終わったのは言うまでもない。ちなみに罰ゲームは

「ふっふっふ……いずれ何か頼むから今は教えな~い」

と黒い笑顔で言われ、彼を恐怖のどん底へ落としいれたのはさっきまでの話。

「電磁砲ね。そういえば、スライド式にしたそうだけど、強度はどうなの?」

「ん~と、射出する弾丸をさらに小型にしたので問題ないかと、威力に関しては想定していた分の8割くらいかな?」

「まあ、概ね許容範囲ね。後は機体への負担ね。」

「ん~これに関しては今から試してみないとわからないですらねえ~」

言いつつ、目標を設定する。

「それでは、レールガンのテストを始めます。よろしいですか?」

「いいわよ。はじめて。」

「了解。それでは二階堂少佐、状況開始してください。」

「はいは~い。ではいきま~す」

ガシャン!と二門のレールガンを伸ばす……

「各部点検問題なし、発射準備よし。」

「了解、レールガン発射してください。」

「てぇぇ~~~!」

ガシューッっと閃光を上げながら、発射される。

「ふ~ん、まったく恐ろしい威力よねえ~。戦術機ならひとたまりもないわね。」

そういうと、さきほどまで建っていたコンクリート製の壁を見ながらそうつぶやく。

「おつかれさま、いい結果とれたみたいじゃない?」

「みたいですね。思ったより機体への負担も少ないし、概ね成功ってところですね。」

「しっかし、疲れた~」

テストが終了し、撤収作業をしている整備班をみながら、千早に話しかける夕呼、隣で武が倒れてる。

「本当にあんたが化け物に見えてきたわ。」

「え~。なんかここ最近『化け物』って単語ばかり言われてる気がするんですが?」

「だってそうじゃない?衛士としては超一流、それに開発まで、はっきり言って変態ね。」

「それは武に言ってやってください~。あいつこそ生粋の変態ですから。」

「おいっ!人が疲れて突っ込めないのを言いことに誰が変態だ!誰が!」

「???」

「そこで、『何?この子自覚してないのかわいそう』みたいな目で首をかしげるんじゃねえ!」

「まあ~こいつが変態でいいとして。」

「ひでえ!」っと言いながら座り込み地面に『の』の字を書いてる武を尻目に

「今回の結果を、まとめて後で報告して頂戴。」

「了~解しました~」



そういうと、夕呼さんは基地へ戻っていった。


PS

レールガンっていいよね?機体に関してのイメージは千早のはサOビーで武のはZガOダOでいきました。無理がある?あくまでイメージです……すみません。



[27051] 第九話「ただの整備兵には興味はありません」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/04/15 23:32


2001年10月30日




格納庫……


「ん~~~、やっぱりだめかあ?」

おやっさんは機体データを見ながらそう嘆く。

この間に行った起動テストで、ダメージ表を見ると脚部とアーム部にかなり負荷がかかってたみたいで、かなりダメージが出ている。

「そうですね。団長は人間やめてるから、いっそのこと生身で戦闘したほうがいいのでは?」

さらりとひどいこと言われてる気がするが?

「ん~それもいいけど、それだと大型種には対応しきれないしなあ~」

(((小型種ならいいんだ!!)))

などと馬鹿なやりとりをしつつ、今後のことを検討する。

「バカなこと言ってないで仕事しやがれ、お嬢もこいつらの冗談に答える必要はねえぞ。」

おやっさんに怒鳴られ、皆仕事に戻る。

「やれやれ、お嬢もあいつらに甘いから、もうちっと威厳をだな。」

「それを言ったらおやっさん、男で少佐の俺に『お嬢』て呼んでる時点で威厳なんて無いんでない?」

と笑いながら答える。

「まあ~初めて会った時は、びくりしたしな。」






(回想)……







朝から、自分たちの新しい責任者を紹介するからと格納庫に集められ集合していた。

「班長、かなりの技術者なんですか?その人物は」

「俺も詳しいことは知らん、名前は『二階堂』っていって『少佐様』だ。なんでも副指令の肝いりで、現役の衛士でありながら技術者としても優秀らしい。」

「へえ~、技術仕官ですか……」

技術仕官、また現場のことも知らない頭だけ良いのが来るのかと皆嫌悪感をあらわにする。

「まあ~、軍隊とはそういうところだ、少佐だろがなんだろうがやる事はかわらねえ。気を引き締めてかかれよ。」

「「「はい!」」」


コツコツコツ……


静かな格納庫に、足音が響く


「え~とここでよかったのかな~?。」

どこかのお偉いさんの秘書か?銀髪のどえらい美人がきょろきょろしている。

「お嬢ちゃん、ここはお嬢ちゃんみたいな娘が来るところじゃねえよ」

おやっさんが声をかける。

「え~と山本整備班長ですか?」

「ああ、そうだが?」

「あ~ここで合ってた~よかった~。」

っと安心したような顔で言う。

(????)

全員が注目する、そんな視線に笑顔を浮かべながら、

「特殊部隊出身 二階堂千早少佐、

 ただの整備兵には、興味がありません。

 このなかに、甘いもの好き、改造好き、兵器好き、戦術機好きが

 いたら私のところに来なさい。以上。」

これ笑うとこ?えらい美人がそこにいた。

誰もが冗談だろうと思っただろう。結果から言うとそれはギャグでも笑いどこでもなかった。         ↑

千早はいつでも大マジなのだ。こうして出会ってしまたんだ。しみじみと思う。偶然だと信じたいと。







……(回想終了)







……という感じで、ハOヒでやってみたんだが、あの時、全員が唖然としていたのを思い出す。

(そういえば、その後俺が男だと言ったらさらに驚いたっけ?まあ~あの時はノリで呼び方を『団長』『社長』『チーフ』『リーダー』のどれかなら好きに呼ぶよう言ったけ?おやっさんだけが未だ『お嬢』だけど。)

それはさておきと、

「案の定、スラスターを強化したんでかなりの負荷がかかってる、一度の戦闘でこれだけ負担がかかると長時間の戦闘には耐えられん。やはり、機動は落ちるが、もう少し間接部を太くするか?」

じゃないと、もたんぞ。っとつけくわえ。

「ん~それなら大丈夫だったりする~」

「なんかいい方法でも浮かんだのか?」

「いやあ~、実はあの時はわざと負担がかかる操縦してたから、どこまでもつか試したかったし、実際これぐらいなら問題なし、それこそもう少し出力あげてもいいかなあ~って思ったりしたり~」

などと笑顔を浮かべながら言う始末。

「はあ~おまえさんにかかっちゃ、こいつでもまだ物足りねえってか。とんだじゃじゃ馬だな。」

「まあ~、実際、空中制御が効いているから、よっぽどの緊急時じゃなければ着地時の衝撃などは緩和させればいいし~」

「簡単に言うが、実戦でそれができりゃあ~今頃人類はあいつらに負けてねえよ。」

「それじゃ~俺は人類初ってことになるねえ~」

コロコロ笑いながら言う。

「はん、お前さんみたいなんは初めて見た。まったく絶対死ぬんじゃねえぞ。」

と、珍しくやさしい視線で言いながら頭を撫でてくる。さすがの千早もおやっさんにはさからえない。

「にゃはは~もとより死ぬつもりはない。」

と目を細めながらうれしそうに言う。

「しかし、おやっさん。やさしいねえ~もしかして惚れた?俺おやっさんになら抱かれてもいいぞ~」

「なっ!?バカ野郎!!俺はそっちの趣味はねえ!」

「「「「あははは」」」」

「てめえらも、笑ってねえで仕事しろ!!たく!」

(あ~いいなあ~この雰囲気……)


そう思いながら、一緒に笑う千早。






グラウンド……


「それで終わりか?」

「……」

ハンガーでの仕事も終わり、気分転換にグラウンドで体でも動かそうかと出てきたら、ちょうど訓練中の武達と出くわす。

格闘訓練だろうか、武と彩峰が相対している。

「がんばってますねえ~」

「少佐……?敬っ……」

「あ~しなくていいよ~俺は今プライベートだし~」

っと片手で敬礼しようとするまりもを制する。

「彩峰と武との対戦ですか?」

「はい、大尉の提案で今全員と格闘訓練をしております。」

「全員ということは、他の皆も?」

っと周りを見てみると、たまに委員長、それから冥夜が座り込んでいる。

(あ~あの様子だと負けたみたいだな~、冥夜なんかあからさまにくやしがっているし~)

っと原作を思い浮かべるそういえば対戦を長々と長引かせてたなあ~と思いながら見てると、

「はっ!」

「ぐぅ……」

と彩峰が投げられて試合は終了していた。

「いやあ~お見事~流石、生身でも『変態』だな~武~」

っと彩峰を介抱している武に向かい言う。

「誰が!変態だ!それから彩峰、真に受けるな!」

彩峰があからさまに嫌そうな顔をしながら後ずさる……

ニヤっとしているが、こいつ中々わかってるじゃないか。

「たく!お前何しに来たんだよ。」

「いやあ~、さっきまで仕事してたんだけど、たまには体でも動かそうと思ってなあ~」

と言って腕をブンブン回す。

「はあ~で俺と対戦しようと言うのか?」

「ん~それもいいけどなあ~、よし!俺と対戦したい人~」

と言って募集する千早。しかし疲れているのか誰も手をあげない。

「はあ~仕方ありませんね。私でよろしければ、ご教授お願いします少佐。」

と言ってまりもが手をあげる。

「まーちゃんが相手ですか。」

「「「「まーちゃん!?」」」

「なっ!?少佐?困ります。今は訓練中ですので。」

「ん~武には『まりもちゃん』って呼ばせてる癖に~」

「俺も、訓練中には呼んでねえよ。」

「あ~そうだっけ?」

っと悪びれもなく笑う。

まったくこいつはと頭を抱える二人。一方、他の皆はあっけにとられて唖然としている。

さ~てそれでははじめようか~っと屈伸する千早を見つめるまりもと武。

(こいつ、戦術機の操縦はすごいけど生身での戦闘はどうなんだ?)

と武は思う。しかも相手はまりもちゃん、富士教導隊出身で『狂犬』とまで言われた実力者、武も一度相対したことがあるが、本気でかかっても互角いやそれ以上だったことを思い出す。

一方まりもは、

(さて、どうしたものかしら。本気で来いと言われても……)

目の前で準備体操する、千早を見ながら考える。どうみても子供がラジオ体操しているみたいにしか見えない。

「さて、軍曹。」

「はっ!」

「本気で来てくださいね?」

再度確認する千早。

「ですが……」

「んじゃ、上官命令!本気で来ることそれから訓練兵と同等扱いすること!」

「本当によろしいのですね?」

「うん。いいよ。」

「はっ!では本気でいくぞ!覚悟しておけ!」

(うわ!怖っ!流石生粋の軍人さん、たしか彼女『狂犬』ってよばれていたっけ?)

と少し後悔するが、言ってしまったものは仕方がない。


……開始数分グラウンドでは、壮絶な光景が広がっていた。

(どわあ~、速いって速い、それにうまい。なんでそんなに的確に急所を狙うんですかあ~)

早速後悔してしまう。はっきり言ってまりもは強い。前回月詠さんに斬りつけられた時より、倍以上の殺気と猛獣のような動きに驚いてしまう。

(流石~狂犬は伊達じゃない。しかし今の俺は天界でミスターOOの修行を受けたO空だ、目で見るのではない、気で見るのだ。)

流石、教官職をしているだけあって経験豊富な技術で、急所を的確に攻撃しているのだが、

それを全て避けられることにまりもは内心驚愕していた……

(なんで?当たらない?まるで暖簾に腕押しね。こちらの攻撃を全て見透かしてるみたい……)

攻撃を加えるまりも、それを飄々と避ける千早両者の攻防?はすでに10分以上経過していた。

「神宮寺教官が押してるようね。」

「そうか?私にはそう見えぬのだが?。」

「え~でも教官の方が攻めているのに?」

「違う、押してるように見えるけどまったく当たっていないから」

「そうだ、一見軍曹の方が優勢に見えるが、あいつはその攻撃を全て避けている。攻撃しつづけるのと、それを最小限にかわしているのとでは疲労度が違う。ましてや、攻撃してるほうは致命傷を与えれないことにより、焦りだし、精神的にも疲労が蓄積していくからな。」

武が、説明すると皆納得したように頷く。冷静に説明してはいるが、彼自身も驚いている。普通ならありえないのだから、あれだけの攻撃を紙一重で避ける人間がいることに。

(さて、そろそろ、限界みたいだな~流石に疲れて動きが鈍ってきてるし。気になってた自分の身体能力も大体わかったし~終わらすかな?)

(!?目つきが変わった?)

<ゾク>

っと背中に寒気がした瞬間まりもの視界から消える。

「!?かはっ……」

次の瞬間視界が反転したかと思うと背中から地面に叩きつけられ、思わず咳き込む。

「はい、しゅ~りょ~う」

とにこやかに手刀を首筋に寸止めするとにこやかに言う。

「……まいりました。」

とここで降参するまりも。

「流石ですね。少佐まったく手も足もでませんでした。」

笑顔を浮かべながらそう言ってくる。

「いやあ~、軍曹もすごかったですよ~。あれだけ的確に攻めてこられては~」

「そう言われても、全て避けられてれば立つ瀬がありませんよ。」

(まあ~ぶっちゃけ、実力じゃないんだけど、そう思うと悲しくなるから考えるのをやめておこう)

この世界に来てからというもの、ここの人達の強さには感服するしかない、元々ズルをしている自分がものすごく悲しくなってくるのでそういうことは考えるのはやめて、前向きにいこうと思うのである。

「しかし、千早……少佐のあの動き、なにか武術の心得でもあるのでしょうか?」

と訓練中なので敬語で聞いてくる冥夜。

(あ~そういえば冥夜って剣術習ってたっけ、たしか無限鬼道流だっけ?そういうのは興味あるのかな?じゃあご期待にそえて)

にやりと笑いながら、

「あ~俺は亀O流を少々。」

(((亀O流?)))

「亀仙人というお人で、常に亀の甲羅を背負っていた、武術の神様と呼ばれたお方だ。」

(まあ~中盤以降には、弟子達に抜かれていったけど~、彼の教えは素晴らしかったし、師匠としては偉大な人だったよね)

「そ、それはまたすごい人なんですねえ~」

「あ~すごいぞ~なんせ、その甲羅の重量は50㎏で、それを常に背負わされてたからなあ~」

と嘘ばかり言う。

(あまりのことに、言葉が出ないって感じだよなあ~まあ~あの世界の設定はあれだし)

「皆いい勉強になっただろう?衛士として、体を鍛えることは必要な事だ、だが!いくら生身で強かろうがベータには通用しない。しかし武術を通して精神を養いどんな戦況にも動じない屈強な精神を持つことは必要だ。少佐や大尉のようにな。わかったな!!」

「「「了解!」」」

とまりもの言葉で締める。流石はまりもちゃん締めるときはかっこいい。思わず見惚れる。

(でもあの世界のメインの人達なら、生身で惑星すら破壊できるし、あながち生身で戦ったほうが良くない?)

まあ~サOヤ人と同じ能力でこの世界に来ていたら1時間もしない内に地球は救えるわな。

そんな感じで、その後は冥夜達から亀O流の修行方法など聞かれ、苦笑しながら答えたことは言うまでもない。



PS

段々と設定の矛盾が露になってきました……どうしよう?



[27051] 第十話「ダンボールはお約束?」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/04/17 23:25
2001年11月1日



執務室……


朝から、報告がてら夕呼さんの執務室へ行こうとドアの前に立つ。

中でなにやら言い争う声が聞こえる。

「ですから……それでまりもちゃんが……」

「でもそれのおかげで……」

なにやら「佐渡島」「捕獲」「まりもちゃん」「死」って所々に物騒な単語が飛び交ってますが?

(あ~そういえば、そういうイベントがあったなあ~二度目ではそのことを伝えたことで、トライアルのときにまりもちゃんが死んだっけ?)

あれは、初めて見たときトラウマになるくらい衝撃的なシーンだった……。製作者よ、あそこまでする必要があったのか?

(ともあれ今は入るべきではないなあ~……っと武が出て行くな。やばっ!)

こんなこともあろうかと『ダンボール』を用意しておいたのだ。っとばかりに取り出し「カポッ」っとかぶる。


ウィーン


部屋から出てくる武。

「ん?なんか人の気配がするな……」

とキョロキョロ見やる

「ん?これは?」

「ドキドキ」

「なんだ、ただの『ダンボール』か……」

(流石、伝説の傭兵のスニーキングアイテム。やはり彼の技術は最高だ……)

「とでも言うと思ったかあ!!!!」

と大きな声をあげつつダンボールを持ち上げる武。

「!!」チャラ~ン

とアラームがどこかで鳴ったかどうかは定かではない。

「ふっ、なぜ気づいた。さては貴様も伝説の……」

「普通に気づくわ!!大体こんな場所にダンボールなんか置いておくかよ!しかも「藤O豆腐店」ってどこのダンボールだ!」

「おかしいなあ~やはりここは「AmOzoO.co.jp」の方が良かったかな?」

「企業名変えても一緒じゃああ!!!」

と今日も朝から突っ込む武ちゃん。流石に疲れたのか「はあはあ」言ってるし

「まあ~なんだ、えらく機嫌が悪いじゃないか?あれか?『男の子の日』か?」

「なんだよ。その男の子の日ってのは?」

「知らないのか、男の子の日とは朝にOOO(ピィ~)からOO(ピィ~)してパンツがカピカピになる日~」

「あああ、アホかああ!!!!!」

とあまりにも唐突な単語をさも当然のように言う千早に怒りだす。

「痛いな~何も殴らなくてもいいじゃない?」

「あのなあ~お前その顔でそういうこと言うとかなり引くぞ」

「まあ~なんにせよ。元気出たようでなにより~」

と笑顔で言う

「お前聞いていたのか?」

「んにゃあ、今きたとこ~入ろうと思ったらお前が出てきたからなんとなく隠れた~」

「そうか……」

(怪しんでるなあ~無理があったかな?この言い訳は?)

「とりあえず、俺はこの間の報告があるんでな、お前はいいのか?こんな所で油を売ってて?」

今日が退院だろう?っとつけくわえ。

「あ!やべ!そうだな、俺は行くわ。」

とエレベータへ行こうとする武、

「武!」

そんな武を呼び止めて……

「一度こうと決めたら、自分が選んだんなら決して迷うな。迷えばそれが他者に伝染する。選んだら進め。進み続けろ。」

「お前……」

「そう思うだろ、あんたも?」

ニヤッとどこかのアOター使いのようなセリフをはく。

そんな千早の言葉に思うところがあったのか

「サンキュー!そうだな!やるだけやってみるさ!」

っとグっと拳を握りしめ答える。

そんな姿を見ながら(流石中の人が同じだな)と思いながら笑みを浮かべる。

(さて俺は俺で話をするかねえ~、どこまでいけるかは別として)


ウィーン


「こんちわ~す、夕呼さんっとかなり機嫌が悪そうですねえ~」

「なに?わかってるなら今度にしてくれない?」

(いやあ~はてしなく機嫌悪い、話しかけるなオーラバリバリと出してるよ~)

内心ビクビクなのだがこの顔のおかげか外見には平然と無表情である。

「いやあ~前回のテスト結果をまとめて報告しにきたんですけど~?」

(さてどうきりだすかな?まあ~シリアスってのは嫌いだけど今回はしゃ~ないか?)

「それなら、ピアティフにでも渡して頂戴。」

「あれ~、持って来いって言ったのは夕呼さんですよ~」

「わかったわよ!見ればいいんでしょ?早くだしなさいよ!」

(さて怒らせてしまったけど、どう切り出すかな?)

「とりあえず、電磁砲も予定通りの結果が出たので、最終テストを兼ねて実戦に出ようかと思うんですが?」

「ふ~ん、いつ?」

「知らない訳じゃないでしょ?武から聞いてないんですか?」

「……」

無言でこちらを睨む。

(うわ~怖いって、でも美人に睨まれるのはすでに耐性済みだ~……やっぱ無理。)

「あんた……どこまで知ってるの?」

「さてね~、それにその日に合わせて彼女らも出撃するんでしょ?捕獲任務で、それが原因なのかどうなおか、その後の任官式のトライアルで親友殺してしまう。元々殺すつもりはなかったのでしょうけどね?たしかにこの基地の空気は緩いですし?カンフル剤にはいいでしょう。」

まあ~俺がそれ言う?って感じでしょうけど~っとつけくわえ

「それが前回のシナリオでしょ?今回はどうするんでしょう?何せ行動が読めないベータが来るのがわかってるし~」

と珍しく畳み掛けるように言う。

「そう……」

カチャ!

静かに拳銃を構える夕呼、今回は最初に会った時と違い本気で殺気を伴いながら……

(誰だ~この人が素人だと言った奴~出て来い!結構本気で狙ってますけど?)

あー武だと思いながら、内心冷や汗タラタラなのだけど?あいかわらず表情には出てませんが。

彼女は疑心暗鬼にとらわれていた、武は当事者であり経験しているので知っているのはわかる。ただ目の前にいる男は武と最初からいたわけでは無い。後から知った風に最初言っていた、なら当事者で無い彼は何故そこまで知っている?何故見てきたかのように言う?目の前の男は何者?得体の知れない奴だと思っていたけどその外見と雰囲気の性で流していた事が悔やまれる。

(さて、思ったとおりの反応だな~、なんせ初めて会った時に武は『自分のせいでまりもを死なせてしまった』としか言ってないからなあ~彼女の中で俺と言う存在がわからなくなってきたようだ)

自分はモニターを通して全て見て来たからねえ~っと思いながら。

流石の彼女ですら、実は自分がゲームの中の登場人物でこの世界が御伽噺で目の前の男がそれをプレイした人間だろうとは想像はできない。

「あなた何者?敵?味方?目的はなに?。知っている事が多すぎるわよ」

「愚問ですなあ~副指令。俺は俺の味方です。」

「それに、あなたが自分の道を選んだように、オレもオレの道を選んだだけです。」

「オレがオレの道を進むように、あなたにはあなたの道があるはずだ。さあ、あなたはどの道を選ぶ?」

どこかの最速の男のようなセリフを吐く。

「……」

沈黙が続く

「つまり、あんたと私は目的が違うと?」

「さあ?」

「それに元々他人同志がつるんでいただけですしねえ~」

「そうね。あなたと私は所詮他人同士、目的は同じでも考え方が違う?」

「そういうことですねえ~」

しばらく見詰め……もといにらみ合う二人。

先に根負けしたのは夕呼さんのほうだった。

はあ~っと溜め息をつきながら拳銃をしまう。

「まったく……あんたはすごいのか馬鹿なのかわからなくなってきたわ」

「何気にひどくないですかあ~それ」

「ほめてるのよ」

そうですか、っとうなだれながら言う千早。

「それはそれとして今後の事ですが」

「何よ、あんたも白銀と同じで止めろと言うの?」

「んにゃ、俺にはそれを止める権限は無いですよ~、もし俺が懇願しても『命令』にすれば従うしかないでしょ?」

「ふ~ん、わかってるじゃない。」

「だからって、同じ道を進む気は無いですよ~、知らないで進むのと知っていて進むのでは違いますよね?」

「そうね」

「という訳で、今回の出撃に関して提案があるんですが?」

「いいわ。聞くだけ聞いてあげる。」

「まずは伊隅さんたちA-01に武を同行させます。」

「なるほどね、あいつをね」

「まあ~今回の敵さんの規模ならすでに『XM3』に慣れた彼女達なら大丈夫だと思いますが、念のために」

「じゃあ~あんたは?」

「俺は単独で行動しますよ?」

「そんなのが許されると思っているの?」

「一応理由ありますけど~?」

「何よ?」

「今回、帝国側にも先んじて打診しておくんでしょ?その際、『横浜基地が誇る衛士による試作型戦術機のテスト』という名目で帝国本土防衛軍第12師団の合同演習を取り付けといてください。」

「ふ~ん、しかし自分で言ってて恥ずかしくないの?」

「だあ~それはめちゃくちゃ恥ずかしいに決まってるじゃないですか~。自分の事をエースだと言ってるみたいで」

「実際そう聞こえるけど?」

といってにやりと笑う。やっといつもの表情にもどったなあ~と思いながら、

「まあ~そんな訳でこぎつけといてくださいな~そこで、ば~~んと宣伝してきますから~」

っとニコ~っと笑いながら言う。

「はいはい。今回だけは言うことを聞いてあげるわよ。その代わり結果を出すのよ?」

了解しました~っと笑顔で敬礼する。

「やめてよ。そういうの嫌いなの知ってるでしょ?」

「あはは、そうでしたね。」

「ねえ?」

「はい?」

「あなたの選んだ道って何?あなたは何を求めているの?」

「ん~それは言わぬが華でしょう?」

っと満面な笑顔でそう答える。

そういって笑いながら部屋を出て行く……




PS

段々書いていてわからなくなってきた……ここまできたらノリでいきます。最後までいけるか不安だ……





[27051] 第十一話「戦場のヴァルOュリア」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/04/19 01:33

2001年11月1日




夜PX……


夕呼さんとの打ち合わせをすまし、その後伊隅さん達との訓練を終え、ハンガーに顔を出し11日に向けて機体の整備をしていた千早。

(さすがに、疲れたな~、とはいえこれからもっと忙しくなるし~あ~糖分が足りない……)

糖分糖分……と言いながらカウンターへ行き、いつもより大盛りの合成あずきを片手に席を探す。

(え~と、誰か知り合いはいないでせうか?ん?あれは、冥夜達ではないでせうか?)

と思いつつ移動する。

(ん?えらく落ち込んでいるけど~どったのだろう?)

と考えながら近づく。

「やあ~ここいい~?」

「しょ!?少佐?敬っ……」

「礼はいいよ~、今はプライベートだし~」

とニコっと笑いながら敬礼しようとする皆を止める。

「少佐は今から食事ですか?」

「ん~、そうだけど~。珍しくやることが多くてもう~おにいさんは糖分が足りなくて死にそう~」

と言いながら目の前の黒い物体を食べる。

「はあ~糖分が足りないですか……」

とため息をつく千鶴さん、そんなに変ですか?っと苦笑しながら

「んで、なんか元気無いみたいですけど~、どったの?」

食事も終わり目の前の合成のお茶を飲みながら聞いてみる、ちなみに鎧衣の紹介は食いながらしてもらった。

「ん~?言えないことかな?それとも言いたくない?なら別にいいよ~」

とやさしく言う。

「いえ、そういうことではないのですが……」

珍しく歯切れが悪い、冥夜も何か考えてるのかうつむいてるし、彩峰もなんだか苦虫をつぶした感じでそっぽを向いている。

しばらく無言でいると、冥夜が決断したのか話だす

「少佐にお聞きしたいのですが……」

冥夜が言うには、夕食後、前回の総合訓練の事で口論になってしまい、武に怒られてしまったというより失望されたと言った感じか、

恐らくあいつもあせっているのだろうが、普段と違い厳しめに苦言を呈して去ったのだろう。それでどうするか話合っていたと。

(武も相当焦ってるなあ~普段ならもうちょっとうまいこと勇めるはずだけどなあ~)

と少し顔をしかめる。しかも皆彼の言うことに納得してるらしく、それに気づかされて、落ちこんでる?って感じか。

とはいえ実践を経験している彼とは違い、自分は実践すら経験していないし、この世界で一番の軟弱物が、彼女らを納得させることなどできるのか?

結局何も思いつかない自分が情けなくて自嘲のように嘆く

「はあ~認めたくないものだな。自分自身の、若さゆえの過ちというものを……」

((((!?))))

あ~言っちゃった~ていうか、意味がわからんし~まあ~俺は所詮イレギュラーだしな~と暗くなっていく

(あ~、なんていうか悲しくなってきたなあ~。)

「自分の思いどおりにならないと認めませんか?一度も間違いを犯さずに生きなければと認めませんか?自分はそんな神業的な生き方をしてこられたと?」

「「「……」」」

あ~いかん、自嘲しすぎた、案の定みなさん引いてらっしゃる。

冥夜なんてこっちを見てくれなくなってるし、いかんこの空気は耐えられない。

「まあ~なんだ、君たちはすでにどうすればいいかわかってるんじゃないの?」

「はい」

「なら、あんたのやれることは目の前に転がってんだろ?だったら四の五の言わずにやれよ。結局俺達は自分の領分で今やれることをやるしかねーんだよ過去に囚われたり 未来にすがったりする暇はね~、そんなことしてたら大事な今がまた……こぼれ落ちるぞ。」

「ホントに大事なモンってのは、もってる奴よりもってねー奴の方がしってるもんさ。」

とどこぞの同じ髪色をした天然パーマと同じことを言い、出て行く……


その後、207の全員が武のところに行き、謝罪とこれからの決意を語ったことに驚きながら、武がうれしく思っていたことは本人は知らない。


ちなみにその頃、思いもよらない結果を出したことを知らない千早は部屋で体育座りしてルルル~と死んだ魚のような目をして涙を流したのは言うまでもない。





「もう!自重しないから~!!!」っと叫びながら……








2001年11月4日



格納庫……





「さて、このくらいでいいかな?」

千早は自分の機体を見上げながら言う。

「そういえば今頃武達は南の島でバカンス中か~」

そう言いながら出発前のことを思い出す。

「「「少佐必ず受かって帰ってきます。」」」

(なんでか知らないけど、みんなお礼を言っていたなあ、武の奴もなんでかニヤニヤしてたし~)

なんかしたか?っと自覚の無い千早は苦笑しつつ全員を見送った。

(冥夜なんか「少佐のような立派な衛士を目指す」とか言ってたし~)

それなら武を見習えって~思うんだけどなあ~とおもいつつ、作業する。

「ん~この辺りの部位は強化して~とそれからっと……」




武達が総合演習をしている間、彼は機体の調整とA-01の教導、留守番している霞の世話をするのだった……





2001年11月8日



格納庫……


「あ~みんな聞いてくれる~」

作業中だった全員を集めてなにやら発表する千早。

「あ~話長くなるんで楽にしてね~」

また何か変な事でも思いついたのか?っと皆表情が緩む。

(今回はなんだろうな?前のときはたしか「煮詰まった!」て言って、戦術機でダンスを踊ってたし)

(ああ、ご丁寧にどこからか廃材拾ってきてスカートをご丁寧に履かせてたしな)

「戦術機の機動の滑らかさを計る!!」って言っていきなり演習場でダンスを踊るシュールな姿は今でも頭に残っている。

そんな風に皆考えていると

「あ~これから言うことは機密レベルが高いので他言無用ね~」

「もし喋ったら……フフフ知らないよ~」っと言いつつ

いつもとは少し雰囲気の違うように見えた、普段と変わらない口調ではあるが……そう思いながらブリーフィングが始まる。

「夕呼さん……香月副指令の研究結果からきたる11月11日になんと!ベータによる侵攻があることがわかりましたあ~」

すごいねえ~と付け加えながら

全員が驚愕する、それはそうだ奴らの行動パターンなど誰もわからないはずなのだから。

「それに伴い、ヴァルキリー中隊は出撃することになりました~」

こともなく言い放つ

「お嬢……少佐それは本当ですか?」

実戦に入るという言葉を聞き山本整備班長は呼び方を変更する。

「ええ~本当ですよ。しかも確立はほぼ100%。11月11日に旅団規模のベータが新潟へ上陸する~」

いつもの間延びした言動、しかし笑みは無い瞳もいつもと違う真剣なもの、いつも飄々として笑みを耐えさせない彼の真剣な表情をはじめてみる、皆は驚愕し見つめる。

「なので、嘘でも冗談でもないし、ましてやふざけているわけでもないので、全不知火のオーバーホールを10日夜までに完璧に仕上げること~」

「それから、俺は一足先に帝国本土防衛軍第12師団との実践演習に参加するので明日からいません。ですから皆だけでおねがいしま~す。不在の間の責任者は山本整備班長にやってもらいます。」

「12師団といえば新潟に駐屯地がある、まさか?」

「そうですよ~今回の俺の目的は、帝国の人たちに新型のおひろめと、できるだけ水際で敵を叩く事なのだ~~」

と笑みを浮かべながら言う千早。

それを聞いた全員の表情が暗い

「ん~、どうしたの?」

「お前!……少佐は本気ですか!!」

とおやっさんが珍しく怒鳴る、それをかわきりに「死ぬ気ですか!!」「無茶だ!!」と全員から怒られる何人かは涙浮かべながら……

「いやあ~ダメ?」

「「「「当たり前です!!」」」

(あ~なんかうれしくて泣きそう)

「でも却下~、もう辞令降りてるし~それに一人で戦うわけではないしね~」

それでも周りは心配で仕方が無いという目で見る

「大丈夫、死にに行くわけではない、俺が本当に生きているかどうか確かめに行くんだ」

もう自重しない、自嘲もしない。やれるならやると気持ちを込めて。

「やってやるです」

ん?セリフが違うぞ、それ違うアOニャン、アOランと間違えた~

(まあ、いいさここで死ぬなら華をさかそう後は武がいる……)

と思いながら決意を固めるのであった。


















2011年11月11日




帝国本土防衛軍第12師団駐屯地……
 







朝から始まった演習も一通り終わり、今は補給作業に入っている。

「さあ~てピアティフ中尉……準備はOK~?」

周りに聞こえないように、彼女に近寄って話しかける。

「現在ペイント弾から実弾へ換装しています。」

「了解~なら少しゆっくりできるね~」

まだ予定の時間まで余裕があるっとそう思いながら。

椅子に座って、ゆっくりしていると帝国の衛士に声をかけられる。

はじめは、国連、しかも若い衛士なだけあって嫌悪感ばりばりだったけど実力が物を言う世界、実力さえ認めてもらえば気に入って貰える。

聞かれる内容は、主に自分のこと(主に本当に男なのか?)とXM3のこと、紅い機体のことである。

そんな事を話しながら、元来の人柄が良かったのか結構仲良くなってしまっていた。

(あ~、仲良くなってしまったなあ~これでは守りたいリストが増えてしまうではないですか)

と少し感慨にふけてしまう。

そうしていると作業が終わり、後は、事が起こるのを待つのみ。

そう思っていると大きな警戒音が現場に響き渡る。

急いで機体に搭乗してチェックをしていると通信が入る。


『CPより二階堂少佐、佐渡島から旅団規模のBETAが日本海海底を南進中。』

ピアティフ中尉の管制とともに来た戦域データを確認する。

『現在、帝国軍日本艦隊が迎撃を開始、第56機動艦隊の損耗率が高く、第一次防衛線の突破されるまでもう時間がないと思われます。』

史実どおりなら、この後全滅、12師団もほぼ壊滅状態になってやっと防衛に成功するはず。

(よし!気合も入った、自重も解除した、今日の俺は一味違う!)

と気合を入れながら、行動に移すのであった。







突然のベータの侵攻に焦る基地指令部

「このままでは艦隊が全滅する!」

机を叩きながら、現在の戦域と損害を見ながらなげく基地司令。

特に第56機動艦隊の損害が大きく。洋上での迎撃効果がでない。しかも被害は増加する一方であった。

ベータの進行上の正面にある帝国本土防衛軍第12師団がいる駐屯地の中隊以外は未だ発進準備ができていない。

さっきまで訓練中だったため実弾換装すればすぐに出れるがそれでも間に合わない、戦力が違う。

なんとかしようと、作戦を立案しようとするがまったく浮かばない。

「くそ!!」

何度目かの癇癪、目の前で消えていく友軍に悔しさがこみ上げる。

『司令部応答願います、こちら国連横浜基地二階堂少佐であります。』

そんな中、聞こえてくる声は訓練に参加した国連の少佐であった。

『こちらの声が聞こえますか?進言します、今から機動艦隊を下げてください。それから動ける部隊を後方2000にて支援砲撃させてください。」

「無茶だ!それでは上陸を許してしまう」

『無茶は承知ですが、このままでは艦隊が全滅してしまいます。その代わり自分が前に出ます』

とモニターには千早の顔が映し出される。

銀色の髪、まだ幼さの残るその表情に驚く。しかし、その目には自信が伴っている。

「できるのか?少佐、言っておくが何かあってもすぐに助けれんぞ。」

『何でもありませんよ。大佐、自分もここで死ぬつもりはありませんよ。」

笑顔で言う。その笑顔に司令部の全員が見とれる。

「指令!!艦隊がもうもちません。命令を」

考える時間も無いということか。

「なら貴官の言う作戦を採用する!だが旅団規模のベータを単機では無茶だ。こちらから一個中隊をまわす。」

目の前の若者を死なせてはいけないと思いできるだけ最良の案を発言したが、それを見て暖かい笑顔を浮かべている。

「二階堂少佐?」

『やさしいですね。そのやさしさをもっと横浜にいる国連の人たちにも向けてあげてください。』

たしかに国連は帝国にとって苦い存在であると思っているが目の前の衛士は違う、我々の事を救おうとしているだから

それに対し、敬服の意味で提案したことを自分ではなく国連に向けろと言う。

(こんな状況だと言うのに……)

『さてそれでは始めますか!待ちに待った時が来たのだ!多くの英霊が、無駄死にでなかったことの証のために!』

彼の咆哮が司令部に響きわたる。

銀色の髪をなびかせ、真紅の瞳を輝かせ向かうその姿を見たオペレーターの一人が

「ヴァルキュリア……戦女神」

と呟く。

静まり返る、司令部内そんな中、指令の激が飛ぶ

「総員聞いていたなっ!!すぐに第56機動艦隊を下がらせろ!それから全部隊に通信しろ!」

一斉にオペレーターが通信回線を開く。

さっきまでの不安が消えていく、たった一人の人間の行動のおかげで彼ならやってくれるとなぜか皆思う。なぜか少し空気が軽くなった気がする……



PS

ハイスピードで話を進めてます。好きな話を真似ることしかできてませんが許してください。

後、千早の事、おとぼく2のイメージが強いみたいですが、実際イメージは今回のタイトルと同じゲームの中のセOベリアさんです。彼女みたいな女性が大好きなのでつい……。



[27051] 第十二話「一時のテンションに身を任せると、後で冷静になると後悔する」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/04/26 22:44



新潟海岸手前……






(さあ~て、気合満タン、勇気百倍、やあってやるぜ!)

『CPよりマーズテリア…二階堂少佐。』

と強く思っていると、ピアティフさんより通信が入る。

『現在、帝国軍第12師団3個中隊が後方2000へ向けて進軍間もなく支援体制を構築します』

お~流石は速い。

『それから…それから30分で防衛線の構築を終わらせるとのことです。』

「お~速い速い。流石歴戦の方々ですねえ~」

と笑いながら言う

『先ほどの、少佐の行動のせいでしょう?』

少しあきれたように言う。

「聞かれてました~恥ずかしいなあ~」

『はい、こちらも副司令には報告しておきます』

と悪戯っぽく笑う中尉。

「にゃあ~それはやめて~恥ずかしすぎる~」

『ですが……』

と真面目な顔で心配そうに見つめてくる。

『無理だけはしないでくださいね』

「ん~大丈夫ですよ~」

とニコっと笑って

「いざという時にも力をセーブしようとする。中途半端に明日を夢見る。それが敗北を招く……」

そんな言葉を発した後目を閉じる、目の前には敵さんがこちらへ侵攻してくる。

『少佐?』

「……」

すこしづつスイッチを換えていく、自分を変えていく、なりきりとかそんなものじゃないすでにそのものになるのだと思いこむ。

『……』

そんな姿をモニター越しに心配そうな顔で見てるピアティフさん。

スゥーと目を開き眼前の敵を見据える。

『!?』

あまりのことに息を呑む、さきほどまで談笑していた人間とは別人ではないかと思うくらい冷たい瞳でベータを睨む、それはまるで氷のように冷たく鋭い。

「さあ、侵攻と攻撃を開始しよう。自覚と覚悟はいいかね?劉……じゃなくて中尉」

『りょ、了解、CPより距離500よりベータ群接近中、数は400……レーザー級なし』

先頭に突撃級、戦車級、要撃級と順番に進んでくる。紅い機体がそれを見据える。

「了解。出るぞ!」

と言いつつ、バーニアーをふかす、脳内のアドレナリンを分泌させるように、

(脳内変換よし、BGMよし、押して参る!)

「Let's party―!!!」

と言うが早いか突撃していく。

前方にある突撃級をかわしながら、戦車級を、チェーンガンで屠る。そのまま跳躍すると突撃級の後方から撃ち込む。

見る間に辺りには、紫の体液に濡れた屍が詰まれていく。

(ん~絶好調~、やはり体も精神(心)も壊れない、これもチートのおかげか)

などと思いながら、確実に死骸を増やしていく。

『……嘘……速い、これが少佐の本気……』

圧倒的な動きで、ベータを屠っていく紅い機体を見ながら、呟く中尉。最初シミュレーター室で見た時もすごかったが今見ている映像はさらに上だ。敵の損耗率の上がり方が異常に速い。

『!?CPより、後方よりさらにベータ群……数は1500以上……レーザー属種50……内光線級40、重光線級10』

そうこうしている内に第二陣が接近中との報告、しかもレーザー原種付きで、

「レーザーはやっかいなんで先に叩くか……」

言うが早いかフルスロットルで跳躍噴射して、一気に加速、レーザー級がいる場所まで飛んでいく。

『し、少佐!?』

レーザー照射警報が鳴り響く、そらそうだ普通なら自殺行為以外の何者でも無いがしかし

「見える!そこぉ!!」

と言い噴射降下しレーザ照射を避ける。

(たしかインターバルは12秒だったな~動きが緩慢だから狙い放題ってとこか)

とマルチロックシステムを起動する。

(固まってるレーザー原種には有効なんでない?これ)

と思いながら、手動でピコピコと照準をあわせ引き金を引く。



―――ガガガッ!



と突撃砲で一気に光線級を叩く。

『左舷よりまたレーザ照射きます!!』

「にゃ!?甘いっ!」

それもサッとよけながら、照準を合わせるが、重光線級の前にいる要撃級と戦車級がそれをはばむ。

『少佐!?』

心配してくれているのか、中尉の悲痛な声が聞こえる。

(ふっ今の俺は、ゼOシステムにより未来が見える)

と馬鹿な事を考えながら二門のレールガンを構える。

(目標相対速度01545。オートロックオン。障害物を撃ち落す)

「再び人類の理想を掲げるために、祈願成就のために・・・ベータよ!私は帰ってきたっ!」

『―――!?』

と吼えながらレールガンを発射する。




≪――――カッ!!≫



と閃光ををあげながら突き抜けていく。


そのまま、ブーストジャンプし、重光線級を、屠るとそばにいる戦車級を片付ける。

『帝国軍三個中隊も索敵後戦闘を開始……』

「撃たれる心配もないから、後ろも少しは楽になるかな?」

『少佐……』

と心配そうに見てくれるピアティフさん。そんな目で見ないで~仕方ないんですよガO-少佐のセリフてかっこいいんだもん。

しかし、千早はこの時、回線がオープンチャンネルであったことを忘れていたのである。つまりはこの戦域にいる全ての衛士司令部にまで聞かれていたことに気づくのは後の事である。



戦域後方……帝国軍レイヴン中隊



『レイヴン01からレイヴン04、05!戦車級に対応!02と03は私に続け!』

『『『了解!』』』

司令部より、後方で支援するよう命令された、3個中隊の内、レイヴン中隊、艦隊が下がったと聞いていたが、侵攻してくるベータが異常に少ない

レーザー属種も殲滅してくれているようで、かなり楽に戦える。

『さきほどの国連衛士か……』

『ええ、すごかったですよねえ。私あまりにも衝撃的で鳥肌がたちましたよ!』

と興奮したように言ってくるのは、山崎志乃中尉、珍しく目をきらきらさせている。

『しかし……こちらの援護を断ったのもうなずける。』

目の前の戦域マップを見ながらそう呟く、ここより約2000ほど先に青いポイントがひとつ、後は数千の赤いポイントがあり、赤い方がさっきから異常な速さで消えていってるのである。おかげでこちらは楽できるが……

『さきほどの言動といい、まったくあんな傑物がいるとはな……』

『ほんとうですよ。大尉。流石、『暁の戦女神』』

『ふっどうせなら『暁の銀獅子』くらいにしてやれ。彼は「男性」だろう?』

『いやですよ。かわいいし、きれいだし、かっこいいし。』

『演習の時は、目を疑ったけどな。しかし、人は見かけによらないな』

『そうですよ。大尉、私は少し話したんですけどもうかわいくて~』

戦闘中にもかかわらず、そんな風に会話ができることに安堵する。最初は絶望感しかなかったのにな、と思いながら

『さあ、おしゃべりは終わりだ。もうすぐ防衛線が構築される。それまで、いやこの戦いで死ぬことは許さん!』

『『『『了解!』』』』

咆哮と共に流れてきた敵を殲滅する。

『暁の戦女神か……』




後方でこんな噂をされていることを彼は知らない……





……





『司令部より、マーズテリアへ防衛線の構築が完了、一時後退せよ』

(流石~早い早い~、そろそろ弾薬も長刀も損耗していたし、あ~フォートスレイヤー持ってくればよかったな~)

出撃前に装備しようと思ったら止められた。なんでも、あれの実践証明は必要ないからだそうだ。

(まあ~たしかヨーロッパの方で、すでに化石と化してるとかなんとか……)

とおもいつつ後退しながら、突撃砲を撃ち込む。




  

防衛線補給地点……






補給作業に入って数分、消耗の激しい跳躍ユニットの交換などが行われていた。

単機で無茶したのか、かなり損耗していたらしく、最低10分以上かかるみたいなので、そのあいだに水分補給をしている。

その間、何故か?みなさん神妙な顔で敬礼してくださるし、中にはこちらを見るなり顔を赤らめる女性衛士もいる。

『CPより、作業完了までまだかかるそうです。』

「りょ~かい、無茶しすぎましたかね~」

と悪びれることもなく言う

『少佐の無茶は今に始まったことではないでしょう?』

と彼女は少し怒りながら言ってくる。

「それはそうとA-01の方はどうですか?」

『今のところは、全員無事のようです。白銀大尉も……』

それはよかった~と言いながら、考え込む千早。

(さて、恐らくは捕獲作戦とすれば実弾装備してない機体がある分、少し不利だろうな~その辺り武がなんとかしてくれるだろうけど)

それでも心配ではある。なにせ、この世界にきてから、死が身近にありすぎて感覚が麻痺しそうになるから

(そこそこ状況は好転してるか?できれば、ご都合アニメのように誰も死なないで欲しいよなあ~)

自分が行動した結果救えた事と被害を出した事を考えながら補給作業は進んでいく。

(結果、称えられようが責められようが受け入れるしかない。これがこの世界への介入した責任だしねえ~)

「……」

珍しく沈んだ顔で考え込む、この世界に来て初めての実戦で、死を目の当たりにして少し感慨にふける千早、流石に受け入れるには苦労する。

(たしかに、逃げ出したくなるわな。俺はチートという機能のおかげかその辺りの精神の構築がすんでいるので妙に落ち着いてはいるけど)

元々の自分じゃ絶対無理だろうな~と思うっと。

(武たちは大丈夫かな?いかんな~こうすることがないと変なことばかり考えてしまう。)

『―――佐……二階堂少佐!』

と考え込んでるとピアティフ中尉が呼んでいる。

「っと、はいは~い何ですか~?ピアティフ中尉?」

いかんいかんと、いつも通り笑顔で答える。

『少佐、補給完了まで後180秒です』

「りょ~かい」

『大丈夫ですか?少佐。何か顔色が悪いようですが……』

さっきまでの姿を見られたのか、心配そうに聞いてくる。

「んにゃ~ちょい考え事をですねえ~」

『考え事ですか……』

あちゃ~不安がらせてしまってたか~っと後悔する。

「帰ったら、ん~~~っと甘いものでも食べようかあ~ってねえ」

『甘いもの?ですか?』

「そう、糖分はいいよねえ~疲れた時なんか、こ~~~う……が~~~っと丼で食いたくなりません?」

『『丼』で、ですか?』

「うん、だめ?」

『は?』

「だ~か~ら、最近採りすぎっておばちゃんに怒られてるから~どうしようかなあ?って考えてたの」

『え~と……ぷっ!』

見ると、おかしかったのか噴出すピアティフさん。

「にゃはは~」

『少佐は、本当甘い物が好きですね。ほんと女の子みたいです』

「あう~それは言わないで~」

と涙目になる

それが滑稽だったのか笑い出す、少し軽くなったかな?と思いながら。二人して一通り笑った後

「さて、状況はどうですか?」

『はい、現在連隊規模のベータが第二次防衛線に侵攻中。要塞級、レーザー級も見られます。」

補給が終了したので支援担架から降りる。

「んじゃ~洋上からの支援爆撃後、向かいますねえ~。各部隊に支援もお願いしておいてください」

『CPより了解。ご無事で』

通信終了後、爆撃が始まった重金属雲の発生と同時にフルブーストで突撃する。

空中に出た途端に、

『レーザー照射きます!』

中尉の管制と共にマニュアル操作にて回避する。同時に支援砲撃が始まり、インターバル中の重光線級の方へ噴射する。

空中制御のままレールガンを伸ばし、そのまま射出する。

「手前らの血は何色だ!!!」

ノリノリで坊水鳥の使い手のセリフを吐きながら打ち込む。


≪――――カッ!!≫


周りのベータを巻き込みながら着弾する。残りを突撃砲で屠っていく。

と同時に各部隊が戦線を押し上げ突っ込んでゆく。

「俺は世界を壊し、世界を創る……」

黒い仮面の男と同じセリフを吐く、この世界にイレギュラーとして来た自分が死ぬ予定であった者を救えるならと願いながら……

だから……

「逃げるな!!生きるほうが戦いだ!!!」

自分の咆哮と共に、各前衛が呼応……戦闘が開始された。













輸送車……







この世界のイベントの一つベータ侵攻は午前中には終了した。ベータの撤退によって。

今回の介入により帝国軍の第12師団と艦隊の被害は予定より少なく済んだ。

この成果により、国連横浜基地の知名度が上がり帝国の指令より感謝の言葉が寄せられた。

「んにゃあ~ありがとうございます~」

とふにゃふにゃした笑顔で答礼した姿を見て唖然としていたが……なんか「「「かわいい!!」」」と周りから聞こえた気がするが気にしない。

A-01も捕獲したベータの移送中に、中隊規模のベータと交戦となったそうで、それを聞いた時は正直焦った、なんせあんま詳しいことは覚えていなかったから

だけど、武の機転により回避。一名が軽症をおったものの、戦死者を一人も出さずに無事帰還中とのこと。

とはいえ、帝国軍の死者は予定より少ないとは言え出してしまった。

(よかった~と思えばいいのかな?やっぱ俺って考え方があっちだから少し辛いな~)

所詮は、甘ちゃんだなあ~漫画の主役にはなれないな~と

「人は何かの犠牲なしに何も得ることは出来ない、何かを得るためには、同等の代価が必要となる……か」(何気にお気に入り)

なら賢者の石を手に入れてやるか~っと小さくお~っと一人決意を固める。

「二階堂少佐……」

そんな風に浸っているのを聞いているピアティフさんがいたことも忘れて自分の世界に入りこむ。

そしてこの日を境に千早の二つ名と新OSに関する噂が帝国中に広まった事となる。


後にその二つ名のことを知った千早は


「にゃああああああああ!!!厨房くさ~~~~」

と意味のわからない言葉と共に自室で真っ赤になって悶えることとなるがそれは別の話。










同日午後……



「ただいまあ~もどりまっした~」

「ご苦労様」

「武達ヴァルキリーズも概ね無事だったみたいですねえ~」

「そうね。さっき白銀が報告してきたわよ。一人軽傷だったらしいけど。」

「それでも、誰か死ぬよりはいいですよ~」

「……でもそれ位で死ぬような人材なら必要ないわ。」

「ん~じゃあ~『運悪く』生き残ったって事になりますねえ~」

「それ嫌味?あんまりいい気分じゃないわね~」

ニヤリと笑いながら言う。

「それはそうと……」

その話は終わりとばかりに話題を変える夕呼さん

「あんた~えらく活躍したじゃない?さっき帝国から打診があったわよ~」

とうれしそうに言う

「そうですか……」

思い出したら恥ずかしくなってしまう。興奮してたとはいえ、わけわからんことを口走っていたからなあ~しかもオープンで皆に聞かれてたと知った時は顔から火が出るほど恥ずかしかった。

そう自己嫌悪に陥っていると

(あまり喜んでいる感じじゃないわね……ピアティフの報告では、かなり帝国軍に被害が出てたそうだけど)

<帝国に少なくとも死者が出ていることに少佐は、悔やんでいるかもしれません……>

彼女の解釈が明後日の方向に向いていることなど気づきもしない

(「人は何かの犠牲なしに何も得ることは出来ない」ねぇ。じゃあ普段のこいつは……一体どれが本当なのかしらね)

「まあ~評価されるのはうれしいですしねえ~」

と言いつつ、先ほどの戦闘のログを手渡す。

受け取ると無言のまま、PCをいじる。

「……相変わらず白銀と同じ、いやそれ以上に常識を無視した機動するわね。シミュレーションより更に変態的ね。普通レーザーで狙われてるのに空中で突っ込むわけ?なんでそれで避けれるの?」

「ん~惚れました?」

「なに言ってんの?」

「にゃははっ、それで『電磁砲』はどうです?壁になったベータに対してかなり有効でしたよ~。それから『マルチロックシステム』使えないと思ってたんですけど、レーザー属種に対して、短時間での複数同時撃破ができましたよ~」

「電磁砲に関しては問題ないわ、明日くらいにはシミュレーションデータに反映させて置くわ」

「ありがとうございま~す」

「ただ、マルチロックは駄目ね。20以上の照準を手動でしかも瞬時に正確にロックして撃ち込むなんて芸当やっぱあんたしかできないわ」

どういう反射速度と反応速度してるの?とつけくわえ苦笑する。

「しっかしXFJ計画の開発陣は血涙をしぼるほど悔しがるかもね~いい気味ね」

「???」

意味のわからない単語に首をかしげる千早

「へえ~あんたでも知らないことがあるのね、XFJ計画日米共同で何やら行ってるらしいけど……この間言ってたレールガン

云々もそこらしいわよ。」

「ん~よくわからないのでいいです~」

やばいやばいそんなの聞いたら彼女がくる……はっきり言ってTE知識なんぞ無えっての~

「まあ~今のあんたには関係ないかもね。じゃあ、今日はゆっくり休んでいいわよ」

「アイアイサ~」

っとにこやかに笑って出て行く。





……





「にゃ?」

「うぉ?」

「おう!おかえり。そっちも大活躍だったみたいじゃねえか。」

「そっちこそ~全員帰還したんだって~?」

「ああ……一人軽傷を負ったけどな。」

やはり、一人怪我をさせたことを悔やんでいるのか表情は少し暗い。俺がもっと……とか言ってるし~

こういうときは坊カリスマ妹のセリフしかない、女性ですが……

「それでも男ですか、この軟弱もの!!」

パシン!と頬に平手をかます。

「……」

「過去に囚われてるようじゃあ~先は見えないぞ~戦死者が出なかった、それ以上何を望む?贅沢だな~」

と笑顔を浮かべながら言う

「お前……」

そうだ、こいつは一人で帝国軍と一緒に戦っていた、帝国の方じゃ被害が多かったはずということは、彼の目の前で戦死者が出たはず、それなのに……

無言で千早を見つめる武

「ん~~、もう何度目かになるかねえ~そんなに抱きたいの?」

と言い「しな」を作る、ご丁寧に目をうるうると顔を赤らめ……

「だ~か~ら!お前は!」

ニヤっと笑う千早を見ていつもどおりに突っ込む

「はあ~お前を見てると、悩んでるのが馬鹿らしくなったわ」

「そら~なにより~俺の貞操が危機的だったけどね~」

「手前!!」

「にゃははは~」

と笑いながら、殴ろうとする武をひょいっと避けながら歩いていく。

その後ろ姿を見詰ながら自分は自分のすること、冥夜達207の連中やA-01の皆を守ると誓いながら……





一方千早は

(そろそろこのネタは使い古したから新しいネタであいつをからかおうっと~♪)

今度はどういうパターンで煙に巻くか考えていた。まったくシリアスが嫌いな性分である。


PS

ほんと、テンションに身をまかせるとろくなことが無い……

2011年4月26日修正しました



[27051] 第十三話「ツンがデレる時が好きだ」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/04/26 23:13

2001年11月12日


午前格納庫……


「ん~たっだいま!!」

とにこやかに自分の根城に挨拶をする、その途端、「リーダー」「団長」「社長」とそれぞれがそれぞれの呼称で呼びながら喜んでくれる。中には泣きながら抱きついてくる女性……一部男性もいたが……。

「にゃあ~、無理!ギブギブ許してって~あはは~」

っと抱きつかれるは頬ずりされるわでもうめちゃくちゃにされてしまう。

「おめえら!そのへんにしやがれ、少佐無事のご帰還、お疲れ様です。」

といいながらおやっさんが敬礼して出迎えてくれる。

「はい~」

と言い答礼して返す千早。

「さて~早速だけど~、これから機体のメンテナンスに入るよ~」

「「「了解」」」

といい昨日の出撃で出た不知火を整備していく。













同日午後








シミュレーター室




整備も一通り済んだので後は皆にまかせて一人シミュレーター室へ行く。

すると先客いたので見てみると、B分隊の訓練中であった。武とまりもが厳しく指導している。

すると、それを眺めていたのを気づいたのか、まりもちゃんが敬礼してくださる。

笑顔で答礼しながら近づくと武も気づいたのか苦笑しながらこちらを見やる。

「ん~がんばってるねえ~みんな」

「ああ、けどまだまだ、これからだな」

「そうですね」

あいかわらず厳しいねえ~と苦笑しつつ

「しかしこの調子だと明日にでも実機訓練でもいけそうな感じだな~」

「ああ~明日には吹雪が届く予定になってるからな」

さも当然のように言う武、こいつ聞いてないぞ~と思いつつ

「ええ~!!そんな事は聞いてないです」

「あれ?言ってなかったですか?」

「聞いてません!」

「じゃあ~今言いました。それにあいつらにも早く実機に慣れさせるにはいいと思ったので」

笑いながら悪びれもなく言い放つ武にため息をつきながら

「もう、あなたといい夕呼といい……仕方ありませんね。」

とあきらめたように言うまりも

「でも……後ろの少佐は私では止められませんよ?」

「はい?」

と後ろを見ると……

ぷくぅ~っと頬を膨らませている少佐殿?がいました……いくつ?

「え~と……少佐?」

その姿があまりにも愛らしいのか頬を赤くしながら呼ぶまりもさん

「あ~の~な~そういうのは俺を通して言え~!お前あれか?俺の休みを奪うのか~」

「し・か・も・明日だと~」

まだこの間の出撃の不知火の整備終わってないのにOSの換装とかどうすんだよ~っと涙目。

「すまん、悪かったって」

周りの目が痛い、あ~まりもちゃん知らない顔して指導してるし……

「悪かった~って晩飯奢るからそれでゆるしてくれって~」

「なら許そう。」

あっさりと許す千早、そんな表情を見て

「てめえ~また謀ったな!」

「まだまだだね。武そんなんじゃやってけないぞ」

とはいえ大変なのは本当だからな~と付け加え

「そういえば、あれって高いから頼むのいつも遠慮してたな~よし今日は奮発するか~」

と笑顔でいう

「奮発するって、払うのは俺だ!」

「???」

「『え?この子何言ってんの?空気読め~』みたいな目でみるな!」

「でも~『なんでも』奢るって言いましたよね~神宮寺軍曹~」

「はい?……はい、大尉はおっしゃておられました」

いきなり振られて驚くが、千早の『ずぅい~』という視線に耐え切れずそう答える。

「というわけで、決定であり異議は認められないのさ~」

「はあ~わかったよ」

もうこなったら抵抗は無意味とあきらめる武。なかなかわかってるじゃない?

「というわけでもう行くわ~」

「ん?これからどうするんだ」

「俺は俺で訓練すっけど~、なんせ朝から整備でストレスが溜まってしょうがない~」

といいつつ笑いながら筐体へ向かう。

その姿を見つつため息をつく武。

「大尉あきらめてください。」

と慰めるまりもちゃん。

「不幸だ~~~」

とどこぞの不幸体質の少年と同じセリフを叫ぶ……













2001年11月13日



横浜基地格納庫……


「お~らあ~い~そこじゃないぞ~」

「そっちはどうするんだ~」

「にゃあ~そっちケーブル気をつけて~」

怒号が飛び交っているハンガーでは、B分隊用の吹雪の搬入作業が始まっている。

「今日のハンガーは賑やかだな」

見ると、整備兵が作業をしている。ちなみに千早も中にいるが昨日武のおごりで「合成甘味定食スペシャル」をたらふく食べてご機嫌だろうか楽しそうにしてる。

「あ、武さん」

「おう!たま、おはよう」

「おはよう~見て、ほら」

楽しみで仕方がないって感じで見ている珠瀬に声をかけ一緒に見ている。

向こう側を見るとまりもちゃんの使用する撃震と武が使う不知火も一緒にある。

「すごいよねぇ……」

「まったく、朝早くから何やってのよ」

「あ~榊さん」

「戦術機一つでそれほど大騒ぎすることじゃないでしょう」

「……そのくせ、一番乗りだった」

「ちょっと彩峰!」

「あぁ!タケル楽しみだね!」

「あっちには冥夜さんもいるよ」

皆自分の機体がきたことにはしゃいでいた、その奥には冥夜も来ていた。

日数を早めても、皆の反応は変わらないことに表情を緩める武。

前と同じように冥夜はハンガーの奥にあるトレーラーを眺めていた。

「――敬礼!」

榊の合図で振り返るとまりもちゃんが立っていた。

「まったくしょうがないな、お前たちは」

「あまり眺めすぎて訓練に遅れないようにな……特に白銀大尉?」

と笑いながら言う

「ひどいなあ~まりもちゃん~」

とうなだれる武、それを見て笑う面々。

そんな風に会話をしながら様子を眺めていると遅れて搬入されてくる機体があった。

「武御雷か……」

「タケルっ!?そなた、知っておったのか?」

突然の言葉に驚く冥夜。

「まあ~な。」

怪訝そうな顔をする冥夜だが武は気にしないって感じで答える。

「うわぁ、武御雷だー!」

「ひょっとして、御剣の?」

「私は必要無いと言ったのだが」

会話をしながら降りていく、すると珠瀬が走りだし武御雷に触ろうとしていた。

止めなければっと声をかけようとする武。

「いやあ~こんな色もいいなあ~いい~仕事してますねえ~」

ズルッっとこけそうになる、珠瀬が触る前に満面の笑みでペタペタと触ってる奴がいるから……

「いいなあ~」

とうらやましそうに見る珠瀬

「だめだぞ~これは~近衛の機体だから勝手に触ると怒られるから~」

いやいやあんた勝手に触りまくってるし、

「貴様!勝手に武御雷触れるな!」

とお怒りモードの月詠さんが現れた。

「この武御雷は、冥夜様の御為のみ存在するものであり 貴様のような整備兵が触れて良い物では無い!」

整備帽を深く被っているのでそれが千早とは気づかないようです。

仕方がないので離れて仕事に戻る、その際『ニヤッ』っと口元だけ笑みを浮かべながら……

「月詠中尉! これは どう言う事なのですか?」

「冥夜様、おやめください。我々にそのような言葉使いなど……」

原作どおりのやり取りの中、矛先が武へ向く。

「貴様が白銀武だな?」

「そうですが」

「貴様は何者だ」

これで3回目だなこのやり取りは、だけどまさか冥夜がいる場で言われるとは思ってなかったけどと思う武。

「俺は国連軍大尉の白銀武ですよ、月詠中尉……」

「……とぼける気ですか?」

と戎少尉が問いただしてくる。さてどう答えようかと考えていると……

「死人が「はいはい~そこは~」何故「だから~だめだよ~」ここにいる……」

「国連軍の「だから~右から~」データベースを「はいはい~三番からは~」改竄して……」

「やかましい!!」

と後ろを怒鳴る月詠さん、ふと見るとさっきまで武御雷を触っていた整備兵がニコニコ笑っている。

「貴様か……二階堂千早……」

やっと正体を把握した彼女は眉をヒクヒクさせる

「ひっさしぶり~元気してた~真那さん」

とこっちはこっちで気にせず整備帽を取り笑顔を浮かべ挨拶する

「貴様……またその名で、私は許した覚えはないと言ったはずだが?」

「え~」

と不満顔で言ってくる

「じゃあ~あの夜二人で熱い夜を過ごしたのは嘘だったの?」

しどい!!っとヨヨヨと泣きながら……

「な!?な、何を理由のわからないことを!」

「あの夜、熱い(殺気をこめた)視線で俺のことを見つめ(睨み)ながら迫って(斬りつけて)きたのに~」

とんでもないことを言い出す。

「「「あ~」」」と半口開けてボケーと見やる3人娘

あまりの事に冥夜と武はぽか~んとしてるし、それからすでに空気となっている残りの面々。

「月詠……」

「な!?違います、違いますから冥夜様!」

哀れな目で見られて誤解だと解く月詠さん

「まあ~それは置いといて、まったくうちの武がどうもすみませんねえ~冥夜ちゃんに迷惑かけてないか心配で~」

「ほら、ちゃんと真那さんに挨拶するんだよ!まったくこの子は」

「いや!?どこのおかあさんだよ!」

「そんな子に育てた覚えはないよ、ほら早くなさい!」

「育てられた覚えはねええ!!」

「まったく~すみませんねえ~真那さんうちの子少し恥ずかしがりやなもんで」

「勝手に話進めるなあ!!」

と突っ込む、そんな武を無視してにこやかに笑う千早、

それに対して月詠さんは何故か黙って俯いている……あれ?なんか微妙にプルプルしてない?

「え~と真那さん?」

「き、き、貴様~!!どこまでふざければ気がすむのだ!!」

と冥夜がいるのもかまわず短刀を抜き斬りかかってくる。

「にゃはは~元気な子だねえ~」

と笑いながら全て避ける

そんな様子に全員が唖然となる……

「はあはあはあ」

「落ち着きましたか?」

「誰のせいだ!誰の!」

「???」

「そこで首をかしげるな!!」

もはやカオス状態……さっきまでの雰囲気がぶち壊しもいいところである。

「まあ~そんなに怒らないでくださいツッキー」

「誰がツッキーだ!だれが!」

「んじゃマナリン?」

「~~~」

「あ~月詠、悪いがそのままだとまた同じことが続くと思うのだが……」

唖然としすぎて普段の口調で接してしまう冥夜。

「は!?申し訳ありません冥夜様」

「良い、それから少佐すまぬが月詠は真面目ゆえそれくらいで許してもらえないだろか?」

「ん?やりすぎたみたいごめんね~月詠さんって意外とかわいいからつい~」

と悪びれも無く誤る。なんだこれ?どういう状況?ていう風に見ている武達。

「さて、説明すると武は死んでないぞ~まあ殺されかけてたのを俺が助けてそのまま夕呼さんとこに一緒にやっかいになっただけだし~」

「そうだよね~武~」

とウィンクしながら話を振る

「あ~そうだな、お前がいなければ俺は死んでいたな……不本意だけどな!」

と最後の『不本意』を強調しながら

「むぅ、そうであったか」

「では!?なぜ今頃になって国連軍のデータを改竄した」

「そりゃ~簡単じゃない?『死んだ』ってことにした方が色々と動きやすいし~それを言ったら俺なんかもっとひどくない?」

「それを納得しろと?」

「俺は『少佐』でこいつは『大尉』普通はこんな階級をつけると思う?つけるだけの価値がある。それが証明にならない?」

「というより、一応俺少佐さんなんですが?俺は全然かまわないんですが、いくら近衛といえど立場的にまずいんじゃ~」

「くっ!」

珍しく『階級』を盾にする彼を見て唇をかみ締める

「というわけでこの話はお終い~はい、皆持ち場に戻れ~」

と勝手に話を終わらせ冥夜達を帰す

「武~お前も戻れ~後はこっちでやっておくから~」

「……わかった。ただ月詠さんこれだけは言っておきます。俺は冥夜の事を利用しようとかそんな理由で近づいたわけではありません。冥夜を守りたいからです。これだけは信じてください。」

「ふん、死人の言うことを信用できるか」

そうですか……と言って立ち去っていく。

「あ~あ、もう少し歩みよってあげれない?」

「貴様らと馴れ合う気はない」

(ん~ここいらでテコ入れしとかないと彼女の中でのイメージが悪いな~)

(仕方ない、ここは二人きりになって説得するしかない!)

ふっふっふ…っと笑いながら月詠さんに近づく

「き、貴様……何を企んでいる?」

「まあまあ~ここじゃなんですから俺の部屋へ行きましょう~」

と言いながら手を引っ張る

「な、何を!?わけのわからんことを言っている!」

あまりのことに驚くが満面の笑みで

「というわけでちょっとお借りしま~す~」

ダダダ……

「な!?ちょっと待て~おい人の話を……」

そのまま脱兎のごとく消えていく二人、その姿を三人が呆然と見守っていた……







同日昼



PX食堂内……



月詠さんへの熱い説得を終わらせた後、そういえば武が殴られるイベントがあったわ~と思い出し急いでPXに向かう

「あちゃ~やっぱこうなってたか~」

と呟く、見ればどっかで見たような少尉二人に武が絡まれている。

「つか、武よ階級章どこへやったんだか……」

階級見せてそれで終了だろうに、まったくあの御仁は、そういうところが抜けてるというかなんというか

そう思ってると男の方が武に一発入れる

仕方無いなあ~とスイッチを入れ替える

「何をしている?」

声をかける、その間に表情を変える、冷たく暗く鋭く威圧感を放ちながら

(千早さんは真・シリアスモードを開放した)

「しょ、少佐?」

「なんで?」

階級章を確認してか敬礼をする二人

「だから何をしている?そこの少尉ども」

殺気を込めて睨む。

「ひ、別になにも……」

「え?ええ、なんでも」

と怯えて声も出ない二人、そばにいる冥夜も武でさえ息を呑むくらいの視線を二人に送る

「なんでもない?なら何故暴力を振るった?それとも貴様らの隊では普通なのか?」

なら部隊長にでも聞いてこようか、と付け加え。

「ち、違います、私たちはただ、あの機体が何なのか聞きたかっただけです」

「そ、そうです、そしたらこの訓練兵が生意気な口を利くからちょっと修正を」

と情けない言い訳を言ってくる二人、そんな二人に食堂内から痛い視線が集中する

「だ、そうですが近衛の方々」

「ふん、気づいていましたか、しかし随分と騒がしい、これが国連ではあたり前なのか?」

「なっ!?」

「こ、近衛……」

千早の呼びかけとともに赤い近衛服に身を包んだ(頬を赤くした)月詠さんがあらわれた。

しかし少尉達に視線を向けると、見たものを萎縮させる鋭い眼光と威圧感を放ちはじめた

「「ひっ……」」

二人の鋭い眼光に睨まれて漏らしそうなほど縮こまる。

この二人視線で人を殺せるんじゃないか?と武が思ってたとは口が裂けても言えない

「あの武御雷は国連横浜基地上層部と近衛軍との話し合いの結果ここに置かれている機体だ!」

と千早が言うと

「貴様等が口を出して良い事では無い!」

と月詠さんが言う

この二人実は仲がいいんじゃないか?と思うがこれも口が裂けても言えない

「まあよい、それにしても、国連軍は規律がよほど甘いようだな。上官に対し手を上げるとは…情けない」

「いやあ~返す言葉もない」

二人は怯えながら首をかしげる。

「ところで月詠中尉、近衛では、機密や機体の秘密を探ろうとした人間はどうする?」

ニヤリと笑いながら聞く

「そうですね、尋問をかけた上……処刑が妥当かと」

こちらもニヤっと笑いながら答える

いやいやいや処刑って冥夜に対して突っかかってきたからって……というかノリノリだな

ん?てかいつのまに?朝、あんなに仲良かったけ?

「ということだ、貴様らの処遇は負って出す、それから上官に対しての暴力行為にもな」

「まってください……上官?」

「気づかず殴ったのか?どういうことだ白銀『大尉』」

「申し訳ありません。階級章を着替えの時に忘れてしまいました。」

空気を呼んで態度を変えて謝罪する武。

「そ、そんな、大尉とは……」

「し、知らなかったんです……」

「なんだそれでは仕方がない、それに関しては白銀にも落ち度があるが殴っていいと言う言い訳にはならんぞ少尉」

「「申し訳ありません……」」

「もう行っていい、処遇が決まるまで部屋で謹慎していろ」

「「はい」」

と言ってうなだれながら去っていく。それを見送った後

「ふっ、気づいたまではよかったのだが、その後がな……」

と武に向かい言い放つ月詠さん。

「まあ~武だし~仕方ないんじゃない~おそまつなのは~」

「そうですね」

「ひでえ~」

「にゃはは~しかしまあ~中尉が心配するのもわかるわな~、あ~いう手合いがいるからねえ」

「少佐こそ、冥夜様へのご配慮ありがたく思います」

「しっかしやっぱり近衛ともなると威厳が違いますなあ~かっこいい~」

「いえいえ、少佐も凛々しく頼もしく感じましたよ」

「にゃはは~」

「いや、ちょっと待て、いつの間に二人はそんなに仲良くなったのだ?」

あまりにも自然な会話に冥夜が聞いてくる。武も呆然としてるし

そんな質問にニヤリと笑い月詠さんを見つめる千早

その視線に頬を赤らめ見つめる月詠さん

「「なんでもにゃい(ないです)」」

「いや、絶対なにかしただろ?」

「んにゃ~なんにも~」

「いや月詠さん顔赤いし……」

「これは……別に……」

「そうだぞ~武、真那が困っているだろう」

「いや、真那って……はあ!?」

「にゃはは~呼んだら駄目だった~?月詠さん」

「いや真那とお呼びください、千早さん」

「千早さん?」

「それは二人きりの時だけだと言ったじゃないか~」

「それを言ったら……」

え?何?これ?何があったの?あの後何があったの?

「うむ、よくわからんが月詠も少佐の良さがわかったようだ」

腕を組みながら満足そうに『うんうん』と頷く冥夜

「はい、冥夜様」

「ははは」「ほほほ」「にゃはは」

と笑う三人

「誰か……誰かこの状況を説明してくれえぇぇ!!!」

とPXで武が叫んだり叫ばなかったり……


PS

だいぶ疲れてきてるようです……修正しますた



[27051] 第十四話「迂回ルートは地雷に繋がる」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/05/04 22:00
2011年11月13日



格納庫……




「う~~」

「今日の社長機嫌悪くない?」

「だな~なんか近寄り難い雰囲気出してるし……」

彼は考えていた……

「もし俺が神だったらアレだPXのメニューにチョコレートパフェを加える……」

(ここの合成食おいしいんだが、パフェが恋しい~何か方法ないか?)

「お嬢~吹雪への換装はどうするよ」

「あ~じゃあ~1番からやっていきます~」

「明日までには、完了したいんで~」

「明日までとは急だな?」

「あ~あの娘達の教官がうるさくてねえ~」

「ん?神宮寺のお嬢ちゃんか?」

「違う~バカでスケベで空気読まない方の教官~」

機嫌が悪いのでかなり毒が入る

そんな風に話をしながら作業してると

コツコツコツ

「すみません~二階堂少佐はおられますか~」

「ん?中尉、お嬢……少佐ならそこで唸りながら作業してるぞ」

「う~~~~」

子供?がそこにいた……

「少佐?どうなさったのですか?」

「んにゃ~ちょっと今日は男の子の日なだけです~」

(男の子の日?相変わらず普段の少佐はわからない……)

と首をかしげながら考え込むピアティフさん、ちょっとしたセクハラだぞ、それ。

「そ~れ~で~何か御用でふか~」

まったく締まりの無い言動で言う

「はい、副指令がお呼びです。今から執務室に来るようにとの事です」

「りょ~か~い~」

とふにゃふにゃな答礼をしながら行く

そんな後ろ姿を見ながら苦笑するおやっさん。

「あいつは、本当に軍人らしくねえな」

「そうですね、でも……戦闘中は別人のように、勇ましいですよ」

「そうなのか?ここではそんな素振りにゃ見えねえけどな」

「きっと、彼に取ってここは我が家みたいなものなんですね、だからここにいる時はあんな風に無邪気にいられるんでしょう」

「それならいいが、ままならねえな、若いやつは皆先に逝っちまう……」

「そうならないように、少佐はがんばっているんでしょうね」

「まったく大したもんだよ、あいつは」

と本人不在な中彼の評価が鰻登りに上昇していることに気づくはずもなく。



「う~~甘いもの食いたい!糖分が足りない~~うが~~~」


とバカな理由で機嫌が悪いだけの少佐殿がいたりしたりしなかったり……






執務室……



「来たわね、って何よ?その顔は」

「べ~つ~に~ちょっと男の子の日が3日目なだけ~」

「何よ?男の子の日って……あんた相変わらず普段はわけわからないわね」

本当、あたしが読めない人間なんてそうはいないんだけどねっと言いながら

「それで?何か御用ですか?」

「明日ちょっと帝都まで行ってもらえるかしら?」

「あ~帝都ですか……いいですよ~」

「少しは驚きなさいよ、『えっいきなりですか!?』とか『そんなの聞いてないですよ!!』とか」

「……」

「なんでそこで黙るのよ……」

「いや~なんか?あれ、キャラが違うと思って~」

「まったく、今日のあんたは張り合いがないわね」

「ところで、帝都に逝くとして俺は技術提供したらいいんですか~後見返りをぶんどってくるのと~」

「所々突っ込みたい所があるけど、まあ~概ねそんな感じね」

「これから色々とあるからできるだけ帝国とのパイプを太くしておきたいのよ」

「あ~~、忘れてた!そういえばクーデターが起きるんだった」

「あんたねえ~、普通そういう一大事忘れる?白銀なんか必死になって言ってきたわよ」

「まあ~あいつならそうだよね~」

「あんたは違うとでも?」

「ん~」

「なんていうか~」

と言いながら考え込む……

「なによ?あんたにしては歯切れが悪いわね」

「ん~~後少しでこ~う出そうなんですが……」

と言いながら股間から下に手をかざし下げる。

「どっから何を出すのよ?あんたその顔で下ネタは引くわよ」

「いや~思春期ですから~」

「とりあえず撃っていい?」

と言い引き出しから拳銃を出す。

「遠慮します……」

武と違いこの人にはこういうの通じないや~と思いながら苦笑する

「まったく……これのどこが『女神』なんだか……」

と疲れて風にため息を吐きながら言う

「『暁の戦女神』ですか……」

うなだれながら言う

どうも後方で戦ってる衛士の誰かが命名したらしいけど、それが一気に広まり帝都どころかここ横浜基地でも有名らしい……

「しっかし、傑作よね~魔女の手先が女神って」

「まあ~あっちが勝手につけただけだし~別にもう気にしないことにしてます~」

なんでよりによって女神?どうせなら『赤いO星』とか『ソOモンのO夢』のほうがよかったのにとブツブツ言っている

「それで?どうなの?」

「ん~俺としては、『横浜の赤い悪夢』とか、かっこいいと思います」

スチャッ

「え~とジョウダンデスヨ?」

「まったく……あたしはそういうの嫌いなの知ってるかしら?」

と言いつつ目が笑ってませんよ、はいはい真面目に答えますよと苦笑する

「そうですね~本音を言うと全てを守れるとは思ってませんからね~」

「へえ~」

「まあ~俺は『俺の守りたいモノを守る』ただそれだけ~」

「えらく限定的な理由ね」

「まあ~普通なら『俺が世界を救う』だとか『人類の為に』とかのほうがかっこいいんですけどね~」

「ふ~ん」

「俺にはこの世界には、家族も恋人も親友もいなかった」

黙って聞いている夕呼さん

「逢ってしまった、好きになってしまった、愛してしまった、家族になってしまった……」

(最初はA-01や冥夜達メインキャラを救えたらな~って思ってたけど)

「どうせ『荷』を背負うなら、背負えるだけ背負っていこうじゃないかってね」

「そう、それがあんたの戦う理由?」

「人の一生は重き荷を負うて遠き道を往くが如し……」

「……」

「昔、徳川田信秀というオッサンが言った言葉で……」

「誰よ?そのミックス大名、家康でしょ?」

「……」

「人の一生は重き荷を負うて遠き道を往くが如し……」

「昔、武田家康というオッサンが言った言葉で……」

「なに、さっきのをなかった事にして編集しようとしてるのよ……しかもどうやったら間違えるのよ、徳川家康よ」

「……」

「人の一生は重き荷を負うて遠き道を往くが如し……」

「うっとしいい!!!」

バキ!

「いた~何も殴ることないでしょうに、繰り返しのギャグは基本じゃないですか~」

涙目で頭を抑えながら訴える千早

「はあ~、あんたってほんと、すごいのかバカなのかわからないわ」

ため息は吐きながら言う夕呼さん

「あはは、ならこうしましょう!目指すは『宇宙一バカな衛士』で」

「言い切ったわね」

もう自分のことは終わりとばかりそう切り上げる

「まあ~俺の考えはおいて置いて、後は夕呼さんにまかせますよ~」

「なによ、結局はあたしに押し付けるの?」

「そんなとこですね~。ただ、どんな決定であれ最良の結果を出すのが俺の仕事~」

「へえ~なかなか言うじゃないの」

「にゃはは~まあ~」

「まあ~いいわ、それじゃとりあえず帝国で『結果』を出しなさい。」

「あいあいさ~」

と言いながら出て行く…





……


……………数分後










「で?行くのはいいんですけど?どうやって行くんでしょう?それから誰と会うんでしょう?」

「あんたねえ~ほんとバカに見えてきたわ……」

と戻って来た千早にあきれながら言う

「とりあえず、あっちから迎えを寄越してくれるわよ。」

「あんたに会ってもらうのは日本帝国陸軍技術廠・第壱開発局副部長の巌谷 榮二よ」

「え~と……誰?」

「知らないの?『伝説の開発衛士』て呼ばれてて、結構有名なんだけど」

夕呼さんが言うには当時F-4J改・82式戦術歩行戦闘機「瑞鶴」の開発に参加していて。1986年に北海道・矢臼別演習場で実施された模擬戦で当時の最新鋭機である米軍のF-15C「イーグル」を相手に「瑞鶴」で勝利したほどの腕前で、「国産戦術機開発の礎を築いた伝説の開発衛士」としても名高いとのこと(byウィO調べ)

(とりあえず知らない、そんなキャラっていたっけ?)

オルタしかプレイしたことがない千早たしかTEだっけ?っと考える

「何故か出したくなった」とどこからか聞こえたり……

「知らないって顔してるわね」

「うん。知りません」

「そう、だけど決定事項だから明朝に出発してもらうわよ」

「すいませ~ん、お腹痛くなってきましたんで帰らせてもらいま~す」

「帰るとこあるの?」

「ないです。すいません。嘘です。撃たないでください。それから愛してます」

「やっぱ撃たれたい?」

「冗談ですよ?」

「な・ん・で・疑問系なのよ?」

「深い意味はないです」

「はあ~あんたと話してると疲れるわ」

「それほどでもない」(ふんす!!

「ほ・め・て・な・い・わよ~」

といいつつグリグリとアームロックされる

「痛い痛いそして微妙に気持ちいい~」

「馬鹿な事言ってないでさっさと出て行きなさい」

「はいはい~」

と苦笑しつつ部屋から出て行く……












2001年11月14日



横浜基地入り口



(???)

千早は考えていた、朝入り口で待ってれば向かえが来ると言われてたので、少し早めに待っていたら

(ん~夕呼さんに言われた通りここで待つように言われたんですが、なんでいるの?この人)

目の前に女性が一人、山吹色の斯衛服に身を包んだいかにも日本女性!って感じの人がいる

「帝国斯衛軍の篁中尉だ、ここに二階堂少佐がおられると聞いてお迎えにきた、少佐につないでもらえるだろうか?」

目の前の美人さんがそう聞いてくる、てかこの人と巌谷さんは2セットなの?大丈夫なの?

「大丈夫、ネットでの知識しかないけど……」と誰かが答えた気がする

「え~と、はじめまして~国連軍横浜基地所属二階堂千早少佐です~」

と笑顔を浮かべながらいつもどおりふにゃっと敬礼する

(こんな、ふざけた態度の人間が少佐?年齢は私とあまりかわらないな……)

礼儀正しい彼女は、およそ軍人らしくない彼女?の態度を見て不信感をあらわにするが、階級章を確認する限り本物であると理解すると

「はっ!失礼いたしました!私は帝国斯衛軍所属 篁唯依中尉であります。本日は二階堂少佐のご案内を仰せ使い参上つかまつりました」

確かに、目の前の女性があれをしたら逆に引くわな~と思いながら

「こちらこそよろしく~」

とふにゃ~っと笑いながら言いながら手を差し出すが

「はっ!こちらこそよろしくお願いします」

と言いながら敬礼する彼女、握手してくれないんですが?まあ~初対面だしね、嫌われたわけじゃないよね?っと思いながら

「……ではお願いしますね~」

と少しさびしそうに車に乗り込む



……





…………






(ん~暇だ、つうか帝都って行った事がないんだけど~どういう感じだっけ?)

元々オルタ本編しかやったことが無いので、そのあたりの詳細な事がまったくわからないのである。

しかも、今回会う人物もそして、目の前で憮然と運転している女性の知識もまったくない

一方、篁もバックミラー越しに見える人物について運転をしながら考えていた

(叔父様に頼まれて来たのだけれでも、本当に彼女があの『暁の戦女神』なのだろうか?)

先日、新潟での噂を聞いた時は耳を疑った、たった一機の不知火が、数千を超えるベータを殲滅したという。

(たしかにあの噂には驚愕したが、まさかその人物が自分と年の近い同性(勘違い)だったとは……)

そう思いながら、退屈そうにしている千早を見ながら思う

(それにしても緊張感の無い……これだから国連は……)

と嫌悪感を隠しつつ運転するのであった。









帝国陸軍技術廠……



「むふ~羊羹~ん~幸せだな~♪」

昨日までと違いご機嫌な調子で一人部屋で待つ

「まさか~こんなに出してくれるとは~な~これだけでも来てよかった~」

何故か機嫌の悪い唯依さんに部屋まで案内され、巌谷さんが来るまで待つよう言われ、席には茶菓子があり最近糖分不足の彼は、ご機嫌な感じでたいらげてしまい、おかわりまで要求したのである

「ん~流石に遠慮して一本丸ごとにしたけど~ちょっともの足りないか~」

頼んだ時の唯依さんの顔が引きつっていたのだけど、羊羹に気をとられそれに気づいていない


コンコン


「ふあい」

「失礼する」

羊羹を口いっぱい頬張りながら返事すると、

(なんか厳つい人が入ってきた?誰?まあ~いいか~)

一方、目の前で黒い物体を咥えながらこちらを見ている女性に彼は少し目をまるくした、

「二階堂少佐!なんですか?その姿は、巌谷中佐に対し失礼ではないですか!」

と後ろに控えていた唯依さんに怒られてしまう。

「にゃあ~すいません~」

(まったく……何なんですか?この人は)

(あちゃ~唯依ちゃんが一番嫌うタイプだな)

「日本帝国陸軍中佐、巌谷 榮二だ。 宜しく頼む、少佐」

と威圧するような形で敬礼する

「はい~こちらこそ~国連太平洋方面第11軍横浜基地所属 二階堂千早少佐です~」

と満面の笑みで答礼する

(ほう、まったく動じる気配がないようだ……あながち噂は嘘では無いかも知れんな)

(いかつい!ごつい!そして、キズ!歴戦の戦士って感じでかっこいい~)

俺もつけたいな~でも、自分の容姿だとクイーンエOラOダスになってしまうので、やめておこうと思う

「失礼だが、少佐は男性と聞いていたが、本当なのかね?」

「え!?」

と後ろで驚く声が聞こえるが気にしない

「あ~よく女性と間違われます~もう慣れましたけど~」

「そういえば、紹介はもう済んでいるとは思うが、私の自慢の娘で篁 唯依中尉だ」

「はい~横浜で挨拶しました~綺麗ですよね~娘さんですか~」

「君もそう思うかね、彼女は斯衛に所属していて開発主任も兼任していて……」

と何故か?娘さんの自慢話が続いているけど、彼が言うには、彼女はまだアラスカにて任
務中とのことでたまたま報告がてら一時帰国をしていたので迎えによこしたそうだ

(ん~最初とイメージが違うけど、こういうキャラ?そういえば厳つい親父キャラは親バカ設定が王道だよな~)

「叔……中佐!そろそろ本題にはいらないといけないのではないのですか?」

「おっと、すまん、つい夢中になってしまった」

「いえいえ~こんなかわいい娘さんですからねえ~」

と言いながら彼女の方に視線を送る

「ふん!」

(ふむ、唯依ちゃんは相当彼のことを嫌っている様だが……)

それから資料を手渡す、今回の戦闘で使用した兵装の設計データとそれから映像データ、XM3に関してはまだ概念だけである。

資料に関して説明している間に唯依さんが、映像データの視聴の準備をしてくれる。

「それからこれが、今回搭載された新OS『XM3』です」

「新OS?しかしOSを変更しただけでそんなに上がるものなのかね」

「まあ~たしかにいくらOSだけ変えてもCPUがともわなければ意味がありませんね~」

「なるほど、これも少佐が?」

「いえ、これに関してはとある衛士が考案し、俺と夕……香月副指令で調整しました」

「大体こんなものですかね~、後は映像を見てもらえばもっと理解しやすいかも知れません」

「ふむ、唯依ちゃ……中尉、準備はいいかね」

「はい、中佐」

その後、映像を伴っての説明を開始しようとする、映像は、A-01とのシミュレーションの時の映像と先の新潟侵攻の際の戦闘の記録映像である。

(あ~なんか恥ずかしいねえ~、これって自分をベタ褒めしてるってことにならね?)

と思いつつ電源を入れ再生する……

「まずは、シミューレーションでの映像です、私ととある中隊との仮想戦闘映像です」

中隊の名は明かせませんが、とつけくわえ

「!?これが不知火の動きなのか?」

「……」

シミュレーションとはいえ、中隊をたった一機で翻弄する映像を見て驚愕する二人

「え~と、それから~これが実戦での映像です」

「!? 信じられん……!どういうことだ?」

「レ、レーザーに向かって!?……避けてるッ?」

レーザーを避けた後、レールガンを放つ映像が流れる

「なるほど……」

その映像を見ながら、そう呟く

「……」

唯依さんなんか、めちゃくちゃ怖い顔で見てるんですけど?

(やれやれ、これは唯依ちゃんでも分が悪い)

(一体何者なの?彼は……)

一通り映像を見終わった後

「といった感じですねえ~、あんまりうまく説明できてませんが~」

といった感じで照れくさそうに頬をかきながら言う

「ふむ、たしかに素晴らしい成果ではあるが……」

と少し渋い顔をしながら

「ん~何かあります?」

「率直な疑問なんだが、貴官はこの技術をどこで?どう考えても今日明日で完成させるには無理があるように思えるのだが、それに貴官ほどの男が、何故今頃になって現れたのかも疑問に思う」

それに素性もわからないしな……とつけくわえ、後ろでは怖い顔で見つめる唯依さん

シリアスが嫌いな千早ではあるが、ここで馬鹿な事を言っても評価が下がるしな~と思いながら……

「禁則事項です」

口元に人差し指をつけウィンクしながら言う

やっぱ普通には無理でした~、さらに険しい顔する二人

「では、あえて聞くが、貴官は何者だね?すまないが調べさせてもらったがまったく情報が無い人間がこの世にいるものかね?それに、君の年齢からして、初陣はそんなに古くはなかろう、いくら特務とはいえ戦場に出れば噂くらい耳にするものだ、特に君のような人間なら往々に全てを隠し通せるものではない。だが君の事は先の新潟の一件以前の情報はおろか、噂すら無い。大陸で戦ったとでも言うわけでもあるまい?」

(うわ~怒ってるよ~どうする?俺?)

先ほどまでの温和な表情が嘘のように厳しい表情で詰め寄られる、後ろに控えている唯依も腰に手を回す。

(ん~こら分が悪い~煽られている節もあるけど、とはいえ後ろでいつでも銃を抜けるようにしてるし~)

千早は、珍しく悩んでいた、ここで下手をうてば交渉は決裂、最悪国連と帝国との関係を悪化させる可能性もある。かといって

本当のことを言える訳もない。

(恐らく、本気でどうこうしようとは思ってはいないだろうけど、もし本気ならすでに拘束されて尋問されてるだろうし)

さてどうするかな~と思っていると

「そこまで綺麗に隠されていると、スパイと思われても仕方がないと思わないかね?」

「!?」

カチャッ!

中佐の言葉を皮切りに銃をこちらに向け構える中尉

(うわっちゃ~、これはまずい、二人とも目が……唯依さんなんて引き金を引きそうな勢いではないですか~)

あからさまな煽りとはいえ、これはやりすぎでは?と思いつつ内心冷や汗が止まらない、相変わらず表情には出ませんが。

「さて~まあ~そうであれば、ここで撃たれて任務終了でしょうね、国連の少佐を射殺、いくらスパイの嫌疑がかかっていたとしても、そちらの要請を聞き入れ技術提供を承諾したにも関わらず……これで関係は悪化っとどこぞの国がほくそ笑みそうな展開ですねえ~」

「貴様!」

さらに殺気をこめて睨む唯依

(だから~こういうシリアスな雰囲気は嫌いなんだけどな~、さてどうしますか~)

「俺はね~あの日からずっと嘘をついていた、生きてるって嘘をね、名前も嘘、経歴も嘘、嘘ばかりでまったく変わらない世界に飽き飽きしてでも、嘘って絶望で諦める事もできなくて……」

(この男の瞳……この若さでどれほどの犠牲を見てきた?)

(まあ~本当の事だよな?ん?でもこれって嘘って認めてるんじゃね?だけどいくっきゃない!俺はゼO不可能を可能にする男)

悲しげで寂しげな瞳で見つめるその姿は誰もが見惚れるくらい儚げな表情に、二人は引き込まれそうになる。

(伊達に泣きゲーを何本もプレイしてはいない!今の俺は薄幸の美少女、自分で美少女って言ってて悲しくなるんで薄幸のゼO)

すでにゼOがとんでも無い扱いに……

「俺はねえ~一度死んでるんですよ~、しかもそれが神様が隣の人と間違えて殺した~て微笑みながらね、殴られて蔑みながら力をくれて、でもこの世界に俺の居場所は無いでしょうね~いつか消えるなら目に映る人くらい守りたいってね」

(かなり強引かな?でも嘘は言ってないしね、こういうのは雰囲気を読んでくれれば、でもまあ~ここまできたら後は流れに身を任すしかない)

「小汚くても自分(てめー)らしく生きてく事の方がよっぽど上等だ」

「なるほど……な」

(この男恐らく、国連にも上官にも縛られていない、忠誠なんぞ皆無ということか、誰の命令も聞く気がないということか)

「……」

暫く無言でにらみ合う二人……

「ふっ、その若さでか……ままならんもんだな」

何かを納得をしたように、苦笑しながら言う巌谷

「中佐?」

「申し訳なかった少佐、非礼を許してくれ、たしかに貴官ほどの者なら今まで機密にする意味があるのだろう」

といいながら頭を下げる

「いえ~こちらこそ~、私は存在自体抹消されてますので疑うのは仕方がないと思いますし~」

笑顔を浮かべるが内心『あ~よかった~てかほんと毎回、毎回、綱渡りだよな~』っと愚痴る

「中尉、もういい、銃をしまうんだ」

「しかし?」

「大丈夫だ、彼は思っていたより傑物であったようだ」

「はっ……」

あまり納得いかないって感じで銃をしまう唯依さん、まあ~そうだようね~結局正体はぐらかしてるしね。

「はあ~撃たれるんじゃないかってドキドキしましたよ~」

「ふっ、良く言う、わかっていたのではないのかね?」

「まあ~ね~、流石にあれだけあからさまですと~」

とお互い笑いながら話す、かなり雰囲気がやわらかくなったような気がする

「それはそうともう一つ聞いてもいいか?」

「ん~答えれる事でしたら」

「君は何のために戦っている?私が思うに君は上官や国連にすら忠誠を持っていないであろう?」

「えっ?」

驚愕する唯依、軍人としてありえないと言う表情で見つめる

「あ~ばれました~」

「勿論、なんとなくではあるがな、しかしそれであれば余計に知りたくなる」

「ん~」

「そうですねえ~たぶん『守りたい』んでしょうね」

「えらく他人事のように言うんだな」

「さて、なんででしょうね?」

(いかんなあ~俺も大分この世界に染まりだしたな~流れに身を任せるってのは嫌いだけどね)

「まあ~さっき言いましたけど俺はたぶんいつか消えると思うから~それなら守れるだけ守りたいじゃないですか~」

「!?」

さらに驚く唯依さん、だけど申し訳なさそうに口を開く

「お話の途中に口を挟んで申し訳ありません。越権行為だとは思いますが、少佐は大局よりも私情を優先されると?」

「そういうわけではないですよ、ただ『納得』できないってとこかな?」

「『納得できない』ですか?」

「ん~例えば、篁中尉が『オリジナルハイヴ』の突入作戦に参加したとして、作戦は成功人類にとって多大なる希望を繋ぐことができたとしますね~ でもその代償として『愛する人』例えば巌谷中佐やかけがえのない者を失ったとして、中尉は納得できますか?」

「……」

千早が言いたい意味を理解した唯依

「人は何かの犠牲なしに何も得ることはできない何かを得るためには、それと同等の代価が必要になる」

「……」

「俺はね~この言葉ねえ~めちゃくちゃ好きだけど、めちゃくちゃ嫌い~等価交換なんて糞くらえですよ~ 」

(あ~何言ってんだろ~俺、自覚も覚悟も無い癖にね……)

なんか本気で悲しくなってきたんで俯いてしまう

「そうか、すまなかった。嫌な事を聞いてしまったようだ」

この話はこれで終わりにしようという感じで言う

さてここまで情報を提供したし、頼まれていた事を言わないとな

「さて、それでは今回の情報を提供しました~見返りなんですが~」

「そうだな、可能な限りの要求は受け入れよう」

(はてさてどんな無理難題を要求されることやら……)

その後、夕呼さんに言われていた事を口にする為、真面目な表情で話しをする、

何故かその間ずっと唯依さんに見られていたが、警戒してるんだろうと気にしないことにした千早である。




(彼は一体何者?飄々としてふざけてるかと思えば、銃を突付けられようが動じない、それに先ほどの表情……あんな悲しげな表情はみたことがない……)


彼女の中で嫌悪感から興味へ感情が変わったことにこの時は気づくはずもない……












帝国陸軍技術廠 客間……



巌谷さんとの交渉が思ったより時間がかかった為、今夜はここで泊まることになった。

それはさておき、今回の交渉でこちら側からの要求は意外とシンプルであった。

レールガンの提供は、今後さらなる実戦での強化、戦果次第であり

新OSについても今後予定されている、トライアル後に提供予定だし

ただ、俺が考えた『不知火・紅』の設計データを提供するかわりに、不知火・弐型を頂戴と言うものであった。

「しっかし、後から色々あげるから、さきにちょ~だいってのもな~」

それを聞いた巌谷さんも少し顔が険しかったし~、唯依さんなんて「はぁ?」って顔してたから

「まあ~とはいえあちらも無礼な事をした手前聞かざるをえないよな~」

銃を突付けられたんだからこれくらいは許されるよね~と思いつつ

「しっかし、その後さらに化け物を見るような表情でこっち見てたよな~」

千早は『不知火・弐型』の要求の際、その機体でもたぶん機動に関して限界だろうから、改造させてね~と満面の笑みで言ったことに、二人は驚愕した。

「ん~しっかし、旅館みたいな部屋で和むな~夕呼さんも一泊どころかゆっくりしてけって言ってくれてるし~どうすっかな~」

ちなみにその事を巌谷さんに言ったら「それなら2~3日ここにいるといい」と心良く承諾してくれた。

千早が泊まることになって案内された部屋が8畳くらいの畳の間でい草の匂いがさらに落ち着く。

「んにゃあ~~~」

とゴロゴロと転がる


コンコン


「失礼します……少佐?何をしておられるのでしょうか……」

タイミング悪く唯依さんが現れる、入った途端目を丸くしてるし、まあ~「少佐」が畳の上でゴロゴロ転がってたら

そらびっくりするわな~しかも「うにゃあ~」とか言ってるし……

「ん~堪能してまふ」

とそのままの状態で返事する、まったく威厳がない

「んで、な~ん~の~用ですか~」

だから威厳がない、なんか痛い子見るみたいにこっちを見てる中尉殿

「いえ、その……」

(ん~歯切れが悪いねえ~真面目そうだし、さっきのことでも謝罪しに来たって感じだよな~)

しかし、もうシリアスなんかやってやるもんかと思っている千早は

「んにゃ!?もしかして夜這い?私、初めてだから優しくしてね///」

頬を赤らめ上目遣いに彼女を見つめながら言う、ご丁寧に掛け布団で胸を隠しながら

「な!?違います!!それにそれはどちらかと言えばこちらのセリフです!……はっ!」

あまりのことに言わんでもいいことを言ってしまう唯依さん、こちらのセリフって……

(あれ?たしかアラスカのイケ面と仲良かったんじゃなかったけ?つまり『まだ』ってことかにゃ?いらんこと聞いてもた)

たしかユウヤなんだけか、男キャラってあんま覚えてねえや~とばかりに考える

「……」

「そこで!真顔にならないでください!」

「んにゃあ~かわいいねえ~あはは」

と頭を撫でられ、そっぽを向きながら座る、頬が赤いけど~恥ずかしがりやさんなのか?

「それで~なにかな~」

ニコニコしながら聞く

「はい、これまでのご無礼申し訳ありませんでした。」

と神妙な顔で土下座をする、あまりにも綺麗なんで見惚れてしまう、見惚れてる場合じゃない

「やめてください~それに~無礼はこちらなんですし~」

「いえ、失礼ながら私は少佐の事を……」

と謝罪を重ねていく唯依さん、別にいいんですよ~本当のことだしと思いながら

(真面目な娘だね~こういうのって今どきいないよな~)

とはいえ、このままだと居心地が悪いわけで、しかも自分はそんなに大層な人物ではないし

(仕方がない~ここはあれでいきますか~)

と思いつつ、束ねていた髪留めをはずし、暖かい笑顔を浮かべ両手を開き彼女を抱きしめながらやさしく撫でる

「しょ、少佐?」

「ん~よ~しよし~気にしてないよ~」

「……///」

いきなりの事で驚いたが、あまりにもやさしい抱擁に赤くなりながらも為すがまま撫でられる

(暖かい……それにやさしい……)

(ん~月詠さんの時に、思いついた、『無邪気な抱擁(平沢ver)』効果は抜群~何故か俺体温高いから~)

たしか、黒髪ツインの後輩が落ち着いたのを見たので試したけどかなり効果があったんで驚いたけど~

「落ち着いた?」

「は、はい」

「というわけでお互い気にしない~ってことでよろしく~」

と言い笑顔で手を差し出す

「こちらこそよろしくお願いします」

と今度は笑顔で握手に応じてくれた

「にゃはは~それから、しかるべき時以外は、好きに呼んでくれていいよ~」

「はっ、しかし……それでは」

「ん~でも俺は唯依ちゃんって呼ぶことに決めたし~」

「しょ、少佐!」

「あはは~いいじゃん~巌谷さんもそう呼んでるみたいだし~」

「もう、仕方が無いですね」

と二人笑いながらしばらく談笑を続けたのであった。



PS

迂回ルートで地雷踏んだかも……って言ってたらほんとに地雷を踏みました。

軌道修正できるかな?

ご指摘がありましたので説明書いておきます

ちなみに千早は唯依のことをなんとも思っていないのであしからず

かわいい妹?みたいな感じで接してると思ってください。

その辺りの配慮の無さをお許しください。




2011年5月4日修正しました



[27051] 第十五話「煮詰まった時はキャラ増やせばなんとかなる」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:d87b8a70
Date: 2011/06/02 23:29





2001年11月15日


帝国陸軍技術廠 廊下……



廊下をズンズン歩く女性が一人……漆黒の長い髪をなびかせながら、青い斯衛服に身を包んだその姿を見ると巌谷は敬礼しながら聞く

「これは九條様、こんな所に何か御用ですか?」

彼女は「九條静香中佐」帝国斯衛軍第16大隊に所属する五摂家が一つ九條家の人間である

「ここに『暁の戦女神』がいると聞いて一度会ってみようと思ってね~」

「はあ、九條様また悪い癖が出ましたね」

と苦笑しながら答える、静香は斯衛の中ではかなり人当たりが良く、面倒見がいい。姉御と呼ぶにふさわしいくらいの男前な性格で、斯衛のみならず帝国軍でも人気がある、おおよそ五摂家の人間とは思えなないほどわけ隔てなく接する、好奇心
が強く興味を持てば即行動するので、『問題児』でもあるが、しかしながら戦場に立てば勇猛果敢に攻めることから『蒼い鬼姫』の異名をもつ。

そんな彼女が、先の戦いの噂を聞いて黙っているわけがない。

「彼なら客間にいると思いますよ」

「わかったわ、ありがとう」

と礼を言い客間へ向かう、彼女の後ろ姿を見ながら

「ありゃ~彼も災難だな」

とご愁傷様と合掌する




帝国陸軍技術廠 客間……



キュピピッン!!


「ん?なんだこのプレッシャーは?」

朝から、どこぞの覚醒者みたいなセリフを吐きながら、ぼけ~とする千早

(ん~なんだこの違和感、お尻がゾワゾワする~)



「失礼するわね」

「はい~ってどなたですか?」

「私は帝国斯衛軍第16大隊所属の九條静香中佐よ」

「私は「知ってるわよ~国連軍浜基地所属の二階堂千早少佐ね」……」

「暁の戦女神と呼ばれ、先の新潟の戦で単機で数千のベータを屠った天才衛士ってね」

(なにこの美人さん?よく喋るなあ~?九條?ていえばたしか五摂家の一つだよな~)

「で?その斯衛の中佐さんがなんのようですか?」

「別に~用事はないけど、有名人が来てるって聞いて見に来ただけよ」

「はあ~そうですか~」

「というわけでシミュレーション室へ行くわよ」

と言うが早いか、彼の腕を引き出ようとする

「はい?ってえ~~~」

と言いながら引っ張られていく、途中唯依さんと巌谷さんとすれ違ったけど、なんか合掌されましたけど?

「え?なに?生贄ですか?はい?」

いつも周りを振り回すはずの千早が振り回されてる

(あれ?なんかおかしい……それするの俺の役目じゃね?え?どいうこと?)



帝国陸軍技術廠 シミュレーション室



なすがまま引きずられ、そのまま着替え室に入れられる

<い~い?逃げ出したりしたらぶっ殺すわよ~>

ってなんか笑顔でとんでも無い単語言われたんですけど?五摂家ってこんな感じなの?

考え込んでも仕方がないので着替えるしか選択がないとあきらめる

「しっかし、ここ最近知らない事ばかり起きるな~大丈夫か?」

あまり、オリキャラばかり出すと後々収拾つかなくなるぞっと突っ込まれる

だって彼女には早く任務に戻ってもらわないと、正史との兼ね合いがあるので……と誰かが答えた気がする

「まあ~思いつきで、というよりちょっといいなあ~ていう女性キャラをすぐ出すのはどうかと思うけどね」

とため息をつきながら言う

どこからか「ごめんなさい」と聞こえたような聞こえなかったような

そんな電波な会話が会ったかどうかは別として着替えが終わったので部屋から出て行く

「遅かったわね、準備はできてるわよ」

と笑みを浮かべながら仁王立ちで言う静香さん、

「さあ!早速逝くわよ~」

と筐体に入る、

「いや、それ字が違わない?」

と言いながらしぶしぶ筐体に入る

『ゆっくりできたかね?少佐』

筐体に入ってシステムチェックしていると巌谷さんが声をかけてくる、隣には唯依さんもいる

『ん~ついさっきまではそうでしたけど~』

と拗ねた感じで皮肉を込めて言う、

『わはは、すまない。彼女はベータですら止められん。彼女を止めることができるとすれば殿下くらいなものだ』

隣では申し訳なさそうな目で見てる唯依さん

『ちょっと~聞こえてるわよ~』

『それは申し訳ありません、九条様』

『だって噂だけじゃあ~わからないじゃない?』

とカラカラと笑いながら言う

(あ~なるほど、噂を聞いて確かめたくなったって所か、しっかしうちの誰かさん並にじゃじゃ馬ですね~)

速瀬中尉を思い浮かべる……ならもう何を言っても無理だなとあきらめる

『それはいいですけど~それでどうするんですか?』

『そうね~ 武御雷だとかわいそうだから、私も不知火でいいわよ』

『ん~いや、武御雷でもいいですよ~ちょうどいいハンデになるでしょうし~』

と機嫌が若干悪い千早は珍しく挑発をする

((!?))

驚く二人、静香さんなんていまにも飛びかかってきそうな目で睨んでるし

『少佐、いくらなんでも無茶だ』

『いいんじゃない?そこまで言うなら実力を見せてもらおうじゃない』

(うん、やっぱりこの人速瀬タイプの人だ~わかりやすい)

内心苦笑する、まあ~いいか負けても別にいいし

『少佐、本当によろしいのですか?』

心配そうに聞いてくる唯依さん

(ん~最初と違い大分やわらかくなったな~あれか~斯衛の赤から下は皆ツンデレなのか?)

そんなことを考えながら

『大丈夫ですよ~』

それでも心配そうなお顔をされて、なんかかわいいではないか~

さておき、吐いた唾は飲まなければいけないなと思い表情を改める

(さていつも通りスイッチを入れ替えますか~)

『戦術機の性能の違いが、戦力の決定的差でないことを教えてやる!』

(((!?)))

(ん~やっぱいいなあ~シャOは、さて今回も自重(リミッター)解除~っと)



……


…………



開始数分後、目の前に映る光景に驚愕する二人、なんせ不知火が武御雷相手に互角の戦いをしているのだから

「うそ……」

「むう……」

機動が圧倒的に上の武御雷の攻撃を、全て回避していく

(何だこれは!?)

驚愕する静香、目の前の光景が信じられない

油断していたわけではない、たしかに挑発には乗ったが、今は冷静だ……

(うっわ~早い早い~なんかマラOイでゼーO相手してる感じか?)

シミュレーションなんで、昔やったとあるゲームを思い出してしまう。

(さすがに、回避するので手一杯だな~)

帝国の戦術機は化け物か~などとバカなことを考えているが結構焦っている

(さすが、専用機ってところか?よくわからんけど結構出力比あるんだっけ?)

といいつつ少し距離をとる

『あなた、本当に人間かしら?』

『さらっとひどいこといいますね~』

『だってそうじゃない?シミュレーションとはいえ、武御雷の機動についてくるなんて』

『ついていってないですよ~ただ、先を見てるだけですよ』

「先を見てるだけって……」

「いやはや、相手の行動をあらかじめ読んでの操縦とは……」

流石にあきれてる二人

『でも流石ですね~回避するので精一杯でこっちは攻撃する隙がない~』

『ふっ、そう言うわりに余裕そうじゃない?』

『虚勢ですよ~なんせ!』

と言いながら水平噴射跳躍をしながら突撃する

『!?血迷ったか?そのような噴射ではかわせまい!』

長刀を構え斬りかかる

『!?』

その瞬間に機体を捻り、剣閃を回避しそのまま突撃砲を見舞う

『ちぃ!!!』

全力で避ける静香、

<九條機小破戦闘続行可能>

『少し掠ったか……』

『あらら~小破か~結構本気で狙ったんですけどねえ~』

やさしい笑顔を浮かべながら言うが、目は笑ってない

<ゾク>

筐体ごしに寒気が走るほど無邪気な笑顔にかきたくない汗が出る

『へえ~戦女神って言われるだけあるわね……その表情ゾクゾクするわ』

と負けじと笑顔を浮かべ、唇を舐める静香

『獲物を前に舌なめずり。三流のすることだな』

『私にそんなこと言う奴は、初めてよ』

「二人ともなんだか楽しそうですね」

「そうだな、彼女をあそこまで追い詰める衛士はそうそういないだろう」

彼女はその容姿ゆえ、憧れる男性は数多い、しかし「私より弱い男には興味ない」といい

生身でも、戦術機でも並の衛士、斯衛ですら敵わない

「そういう意味を含めての『鬼姫』なんだが彼ははこともなく三流とはな」

苦笑しながら言う巌谷

そうですね、と言いながらモニターを見つめる唯依

『フフフッ……やるな……だが!』

と言いつつさっきより積極的に突撃してくる静香

(どわ~何この人さっきより勢いが増したんですけど~こらやばい)

何度目かの鍔迫り合いが続くが段々回避の余裕が無くなってくる

『ハアアアア!!』

彼女の全力の一撃に左腕が掠る

<二階堂機小破戦闘続行可>

『掠ったか~』

『ちぃ!ちょこまかと』

『当たらなければどうということでもない』

と言いながら突撃砲での攻撃を、寸前で避ける

『おもしろい!なら!』

戦いに酔いしれる静香、益々士気が高まり戦闘狂とかす

いくら戦術機の扱いがうまいとはいえ、機体性能の差は埋められずどんどん攻められる

(あちゃ~ここらが限界か?とはいえ抵抗くらいはさせてもらうか~)

と思いながら、長刀を構える

『ほう、私に対して剣で挑もうというのか、よほど自信があると見える』

『そんなんじゃないですよ。まあ~最後の悪あがきをさせてもらいます』

と言いつつ正面から構える

『おもしろい!』

お互いが長刀を構えにらみ合う

(さて、正直今回は負けだな~相手は正面から突っ込んでくるみたいだし~……ん?正面?むふ~試してみよう~っと)

何か思いついたのかニヤっと笑ってしまう

(ほう、まだあきらめてはいないって所ね、さてどうでるかしら)

左の長刀を半身の構えを取り切っ先を水平に静香機へ向ける。

(妙な構えね。突き?)

(さて、右手を前に出して添えるような感じで~っと、結構難しいなあ~)

『へえ~何をする気かしら?』

『な~に、ちょっと試したい事があったので~んじゃ!行きます!』

「ハア!!』

お互い掛け声とともに突撃する

『『ハアァアァァッ!!』』

(やはり突きか、機動ならこちらが上、なら先に一撃をいれてくれる)

思いながら、上段から袈裟切りによる一撃を入れる

『とった!!……なに!?』

<二階堂機右腕大破>

しかし、彼女の長刀が仕留めたのは前に突き出した右腕だけであった

そしてそのまま弾丸を射出するように

『牙突~』

と気の抜けそうな声で叫びながら突きを入れる

『くっ!なら!』

と下段から斬り上げる

<二階堂機機関大破戦闘続行不可、九條機中破戦闘続行可>

最後は装甲の差で、千早の負けで終わる

(えっと……すみません、そんなんできるわけないと思いますがシミュレーションと言うことで許してください。)


……


…………




食堂……


シミュレーションの後、ちょうど昼だし食事でもしましょうと誘われ食堂へと連れて行かれたのだが

(ん~どうしてこうなった?)

楽しい食事の時間のはずが、どうも変である。というか周りの視線が痛い

「ん~何かおかしい所でもあるんだろうか?」

「あなた、本当にわからないの?」

静香が、苦笑しながら答える

「???」

首を傾げ、考える。

「あ!」

「やっと気づいたようね」

「そうですよね、国連の人間が斯衛の人しかも五摂家の方と仲良く食事していたら変ですもんね」

「ええ、そうね……って違う!」

「え~」

自信あったのにぃ~と呟く

「はあ~あなたねえ、その目の前の丼を見てご覧なさい」

「にゃ?普通の『あずき丼』ですけど?」

「どこの世界の『普通』よ、異常よ異常!どこの世界にご飯にあずき乗せて食べる人がいるのよ」

「ん~?ここにいますけど?」

心底不思議な顔で彼女を見つめる、

「はあ~、さっきまでのは幻だったのかしら……」

頬杖つきながら言う静香さん、いや~綺麗だな~と見つめる

「なに?」

「んにゃ、ただ綺麗だな~と思いまして~」

「はあ、ありがと……」

自分と同じ、いやそれ以上かも知れない美人顔に言われてもねっと呟く

「それにしても、まさかあそこまで粘られるとは思わなかったわよ」

「そうですねえ、仕様が旧OSですからねえ」

「へえ、その口ぶりだとOSを変更したら私に勝てるって聞こえるけど?」

(あ!しまった~この手のタイプは、こう言えば恐らくしつこく問い詰められるんだった)

「いえ~そんなことないですよ、OSを変更したくらいでは変わりませんから」

と苦笑しながらごまかす

「ごまかしは効かないわよ、今すぐOSを変更しなさい」

そしてもう一度戦いなさいとか無茶なことを言ってくる始末

「無理ですよ~あれはまだ開発の段階なんですから~それに横浜基地じゃないとありませんし」

「そう、残念ね。でもいずれこっちにもくれるんでしょ?その時は勝負ね」

とにやりと笑いながら言う

(この人……マジだ。こりゃ~またやっかいな人とお知り合いになってしまったな~)

「それはそうと、いいんですか?」

「何が?」

「五摂家の方が、国連の人間と親しくして、後で何か言われても知りませんよ~」

「いいのよ、言わせたい奴がいれば言わせておけばいいのよ。それに私は五摂家といっても実際末席だしね」

「ん~もしかして『問題児』ですか?」

「あなたねえ~本人を目の前にしてよく言えるわね」

「にゃはは、それほどでもない」(ふんす!

「褒めてないわよ、そうね、たしかに私は問題児かもね。でも堅苦しいのって嫌いなのよね~」

と言いながら頬を膨らます。なんかこの人かわいい

「でも、あなたも相当変わってるわよ?」

と言いながら黒と白のコントラストが綺麗な物体に視線を送りながら言う

「ん?なんでですか?」

「自覚がないのもどうかしらね」

などと他愛もない会話をしながら食事をとる……


……


…………



食事も終わり、まったりとしていたら静香が不意に真剣な顔で

「ねえ、あなた日本人よね?」

「そうですよ~」

「なら、何故国連にいるの?こっちで戦う気はない?」

新潟の一件以来、千早の知名度は帝国でも鰻登りに上がっている、プロパカンダとしても衛士として

も喉から手がでるほど欲しいであろう。

「もしその気があるなら、斯衛に入隊させてあげるわよ」

「というより、私はあなたが欲しいわ」

含みもなにもない、ただ純粋誘いに、心地よく思う

「ん~なんかプロポーズされてるみたいなんですが?」

「あら、そう?そうねあなたになら私の初めてを捧げてもいいかもよ?」

と笑みを浮かべながら言う、いつもなら自分が言うはずのセリフを女性から言われて顔が赤くなってしまう

「にゃ?え~と」

「ふふっ、冗談よ」

笑顔を浮かべながら言うが、瞳は真剣に千早を見つめる

しばらくの沈黙

「ん~お誘いはありがたいんですけど、あっちですべきことがありますので~」

「そう、残念ね」

「それにあそこには家族がいますからね」

「家族?」

「本当の家族じゃないですけね。最初は一人だったんですけど、あそこで家族に出会いましたから」

とうれしそうに言う、まるで子供のように照れくさそうに

「そう」

「でもこっちでも家族ができちゃいましたけど~」

「こっちでも?」

「ええ、巌谷中佐、篁中尉にそれから九條中佐あなたもですよ~」

と答える

「そ、そう///」

少し照れくさそうにそっぽを向く、やっぱりこの人かわいいなあ~と思いながら見つめる

「なによ?」

「いや~かわいいな~と思いまして~」

「あなたね~」

と言いながら笑いあう二人こういうのもいいなあ~と思いながらしばらく過ごす

「それじゃ、今度は戦場で共に戦う日を楽しみにしてるわ」

「そうですね、できればそれ以外で会いたいですけどね」

「そうね、いつか生きていればそういう再会もいいわね」

「んじゃ、お互い生きて会いましょうねえ~」

といいつつお互い敬礼をし、別れる。

その後ろ姿を見ながら、生き残って欲しいと強く願う。






夕方……


執務室



「失礼します~」

「ん?君かね?」

「はい~、あれ?中尉は?」

「彼女なら、すでに帰還したよ、今頃は海の上だ」

「えらく急にですね~」

「まあ、こちらにも色々あるのでな、君がくれた設計データもあるしな」

「なるほど~仕事が速いですね~」

「ところで何か用かな?」

「はい~そろそろ横浜に帰ろうかと思いまして」

「そうか、もう少し君には居て欲しかったのだが仕方あるまい」

「元々日帰りの予定でしたから、それにあまりお世話になるのも悪いですから」

「そうか、でいつ?」

「明日の朝にはここを発とうかと」

「わかった、では横浜までの送る人間を手配をしておく」

「ありがとうございます」

「それで、最後にひとつお話があります」

「なにかね?」

「その前に、巌谷中佐は私のことをどう思っています?」

「どうとは?」

「私と言う人間が信用できるかどうかってことですよ」

「うむ……」

しばらく考え込むが……

「正直言うと、完全に信用できるとは言えんな、結局正体をはぐらかしているようだしな」

「しかし、君の行動を見る限りは怪しい点もそれ以外は無い、むしろこちらに好意的ととらえている」

「私個人としては信用してもいいと思っているのだがね」

と飾りの無い言葉で返事をする、そんな風に感じるのが心地よく感じる

「そうですか~」

とうれしいのだろうか、にこやかに笑いながら言う

「私は、最初は一人だったんですよ。だから、出会った人を守りたいって思ってしまうんですよ」

(最初はどうあれこれは本音だよな~最近はどっぷり浸かってしまったようだし~)

「だから、国連であろうと帝国だろうと斯衛だろうと、たぶん他国の人間だろうと守ると思います忠誠や忠義よりも、国や世界よりも、身近な人の命を優先してしまう、ひどくわがままだと思いますけどね」

最後は真剣な表情で答える千早を見て

「たしかに、組織としては異端者ではあるが、君を見てるとそれだけでないように見えるが?」

「それは、買いかぶりですよ。実際、先の戦では多くの帝国将兵を犠牲にしましたから、それに正直、その事より自分の仲間が無事であったことの方に安堵したくらいですしね」

(まったくこういう雰囲気は嫌いだから武に任せてたんだけどねえ~)

と思いながら、罰の悪そうに言う千早

「良いのではないか?むしろその方が人間臭いと私は思う」

巌谷はその表裏の無い正直な回答に少し納得したのかそう言う

「そう言って頂けると助かります……っと話がそれました~」

あまりそういった雰囲気は好きではないのでさっさと話を元に戻す

「うむ、で話とは?」

(さて、この人がどこまで信じるかだけど、まあ、やれることはやっておくに越したことはない)

千早は、少しだけ未来を変えようと思い、駄目元で巌谷に少し情報を流すことにした

「はい、これから話すことは機密を多いに含むので情報の出所などは決して明かせません」

(とはいえ、全部話す訳にはいかないし、失敗すればさらに悪化することも考えられる、こりゃ賭けだな~分の悪い賭けは嫌いじゃない)

「ですので、この事は巌谷中佐以外は他言無用にお願いします」

「以上の事を守って欲しいのです、もし他言した場合全てが終わりますので」

「……」

沈黙が続く、恐らくは考えているのだろう。

「わかった、約束しよう」

「ではお耳を……」

(全てを話すわけにはいかないからな~とりあえず首相の警護を強化するよう言うに留めるとするかね~)

案の定驚いた顔をするが、笑顔で微笑む千早の顔を見て何かを理解したのか納得したように考えんでいた

(さて~正直どうなるかわかんないけど、うまくいってくれるといいな~)

そう思いながら夜はふけていくのであった……



PS 更新遅くなりました。難しい……これからほんと遅くなると思います。なんとか完結できるようがんばります



[27051] 第一六話「ツンデレってデレよりツンの方が好きだ」
Name: 糖尿一歩手前◆1c99e16f ID:b7f4f1ba
Date: 2011/10/12 03:53


11月16日 早朝


横浜基地



執務室



「ただいま戻りました~」

「おかえり、少しは楽しめた?」

「ええ、一応は~」

と言いながら書類を手渡す

「へえ~弐型の方も明後日辺りに寄越してくれるの?早いわね」

「ええ、そら~もう無理聞いてもらいましたから~」

「何したの?」

「したって言うよりされたって感じですけどね」

苦笑しながら経緯を説明する

「あんたねえ~バカじゃないの?普通、そういう時にふざける?何が『禁則事項です』よ」

「にゃはは~だって本当のこと言えるわけないじゃないですか~」

苦笑いを浮かべながら言う夕呼に悪びれもなく返事する

「それはそうだけど、他になかったの?まったく結果うまくいったけど一人で行かせたのは失敗だったかしら」

「いいじゃないですか~概ねうまくいったんですし~」

「そうね、斯衛しかも五摂家とパイプが作れたし、これは利用できるわね」

「利用するのはいいですけど~陥れるような事したら、例え夕呼さんでも許しませんよ?」

笑顔を浮かべて言うが瞳は笑っていない

「わかってるわよ、本当あんた普段からそうしてなさいな」

そんな視線にため息をつきながら言う

「いやです、疲れます、この顔は3分しか持ちません」

「どこのインスタントヒーローよ」

「いやあ~最近シリアス続きで疲れまして~」

「それでこれからどうするの?」

「そうですねえ~まずは明後日の搬入まですることがないですね~」

「そうね」

「とはいえ、とりあえず搬入までに色々構想を練っておきますよ」

「あれに『XM3』を換装するだけじゃないの?」

「それもありますが、それだけじゃあなんなんでとりあえずCPUも変更して、それから起動系も少しいじろうかと後、動力系等と兵装各種とそれからセンサー系統も、現状のままだと、たぶん物足りないと思うし」

「あんたにかかっちゃ向こうの『血の結晶』も物足りないの一言で済ますのね~少し同情するわ」

「そうでもないですよ~、でも本音を言えば『ラプター』か『武御雷』が欲しい所ですけどね」

「無茶言うわね」

「まあ~無茶でしょうね~でも無茶しなきゃ守れるもんも守れないですからねえ~」

「そうね、そういう所だけは共感できるわ」

「『だけ』って……酷いな~こんなにも頑張ってるのに~」

「はいはい、ありがと」

「冗談はおいといて、とりあえずできる事は全部しておきますのでご安心を~」

「あんたが言うと不安しかできないけど?」

「ひどっ!大丈夫ですって……たぶん?」

「なんで疑問系なのよ……ほんっとあんたと話してると疲れるわ」

「それほどでもない」(フンス

「褒めてないわよ。まったく……」

額に手を当てながら言う、なんかかわいそうな目で見られてますけど?

「さてと、それじゃ行きますね~」

といいながら手のひらをヒラヒラさせて出て行く

「はいはい、なにかあればまた呼ぶわ」

「あはは、すぐに駆けつけますね~」

と笑いながら出て行く





(さて、とりあえず今の所は概ね順調であるけど、たしか事務次官来訪とセットで空から贈り物が落ちてくるんだっけか?まあ~そのことはあいつが伝えているはずだし、正史なら事前に阻止してるはずだし最悪俺が狙撃すれば問題ないか)

万が一の事を考えて狙撃テストをシミュレーションしてみて驚いた、まさかできると思わなかったんで驚いたけど。

(しっかし、なんでもありだなこの体は~おかげで死なずに済んでるけど、もっともっと訓練すればレベルが上がるかな?)

などと思いつつこれからの事を考えるのであった。



  










同日 午前


シミュレーター室




「さ~てとりあえず、明後日まですることがないし、早速レベルアップの為に経験値を貯めますか~」

朝食もすませ、自分の能力を上げる事を思いついた千早は一人シミュレーション室へと向かう

(ん~そういえば俺ってRPGとかレベルを限界まで上げるの好きだったよな~)

無駄に一日レベル上げの日とか決めて、ずっと経験値稼ぎしたりとかしてから楽に進むのが好きな性質である

(とりあえず今日は一日経験値稼ぎの日と言うことで頑張りますか~)

と思いながら筐体に入って行く

「さて、どうしようか?とりあえず~エンドレスで行ってみますか~」

「お~」っと一人コブシを上げて気合を入れる

「さて、難易度はSSSランクで、とりあえず支援なし、管制無し、孤立無援設定っと~それから敵さんの出現数無限にして~光線級も~」

無茶苦茶な設定を入力する、誰か見ていたらふざけているのかっと怒られるだろう

「さって!準備OK~これから私は修羅になる~」

まったくもって緊張感の無い宣言をしつつ、シミュレータを起動し開始する。




……

………

…………




(6時間後)


「ん~流石に厳しいかあ~」

目の前の画面には『大破』の文字、もう何度見たことかわからない。

「流石にそら燃料やら弾薬は無限とはいかんもんねえ~」

無限に出てくるベータ、しかも管制無しなもんだから索敵も自分でしなければいけない

「まあ~後半になると索敵とか意味ないんだけどね」

最初は、中隊規模から始まり旅団規模と段々増えてくる、増えてくれば対応もシビアになるし

「しっかし~いきなり下から出てくるし、後ろからレーザー撃ってくるし~何?このマゾ設定は」

自分で設定しておいて、逆ギレする

「さ~て、段々コツは掴めてきたし~もういっちょ頑張りますか~」

と言いつつさらに訓練を再開する




……



(さらに3時間)



「むう~流石に腹減った~今日はもう終了~」

流石に9時間もシミュレーションはきついのか疲れた感じで筐体前で唸る

「ん~しかし、やっぱ弾薬って節約しても限りがあるよなあ~」

ゲームなら、時間が経てば元に戻ったり、どっかに落ちていたりするけど現実そうはいかない

「一応、補給カーゴってのがあるけど、中身ばら撒いても限りがあるし、それにハイブ内じゃ無理っぽいしな~」

「それに、機体への負担もあるしな~間接部なんかガタガタだし~」

もっと強度を上げた方がいいのか?それでも限界があるしな~とつぶやきながらダメージ表を確認する。

「まあ~とはいえ、かなり精度は上がったと思うし、実際一人で無双することはないと思うし……たぶん」

そんな感じでブツブツ言っていると

「おつかれさまです、少佐」

と後ろから声をかけられる

「ん?」

振り向くと伊隅大尉がいた、その後ろにはA-01の面々がいる。訓練中だったのだろうか皆少し疲れた表情をしている

「んにゃ?おつかれさまです~大尉~そっちも訓練してたの?」

「はい、皆大分XM3に慣れてきたようなのでハイブ内での訓練を、少佐も大分前から訓練なさっていたようで」

「え~と、見てました?」

「はい、といっても少佐と気づいたのは先ほどですが、少佐はいつから訓練を?」

「ん~朝から?」

と答えたら、皆『え!?』っとびっくりした顔でこっちを見てるんですが

「朝からということは9時間以上もずっと訓練していたのですか?」

驚きながら質問してくる大尉

「そうそう、集中してたらいつのまにかって感じで~だから少し疲れたかな?」

と言いながらも余裕の表情で笑う

「そうですか?皆の教導をお願いしようと思ったのですが、それでは無理ですね」

と申し訳なさそうに言う

「ん~いいですよ~少し休憩させてもらえれば」

と無邪気な笑顔で答えると、また驚いた顔で見られる、宗像さんなんか奇妙な物見るような視線で見てるし

「大丈夫ですか?あまり無理しないでくださいね」

涼宮中尉が心配そうにそう聞いてくる

「大丈夫~ちょっと糖分補給したらそっち行きますね~」

「糖分ですか?わかりましたお待ちしております。それからもしよろしければその間少佐のログを閲覧してもかまわないでしょうか?」

「ん?ログですか?別に俺のでよければどうぞ~」

「ありがとうございます」

そういうと敬礼してくるので笑顔で答えると足取り軽く出て行く

千早が出て行った後、皆でさっきまでの彼のログを見始める

「大尉、世の中には無邪気な化け物が存在するんですね……」

とログを見ながら速瀬がそう嘆く、そこには撃破数が表示されているが、もはや常識はずれな数字がカウントされている

「化け物とは、失礼な物言いだが否定できんな……」

「ですよね、単機で師団規模って……シミュレーションとはいえ普通しませんよ、しかもやる度に記録更新してるし」

千早のログを閲覧しながら、ため息をつく

「それにしても少佐の戦い方は無駄が無いですね」

「そうね、装甲の弱い部位へ正確に撃ち込んでます」

「長刀にしても負担がかからないように斬りつけるというより流すって感じですし」

「流石の戦闘狂の速瀬中尉も脱帽ですか?」

「誰が戦闘狂よ!」

「あはは、でも流石ですよね少佐は、白銀大尉もすごかったけど、少佐はもっと上ですね」

「そういえば、白銀大尉って二階堂少佐と一緒で副指令の直属ですよね」

「ああ、副指令よりそう聞いている」

「ということは、白銀は千早の部下ってこと?そりゃ~化け物だわ」

と速瀬が額に手をあて空を仰ぐ

白銀大尉、新潟での捕獲任務の際副指令より急遽編成されたのだが、最初は急ごしらえの補充であったので大丈夫か心配したのであるが、蓋を開けてみると一騎当千の猛者であり、なぜか?皆との連携も取れておりすぐ馴染んだ。

「そういえば不思議ですよね~彼、前から私たちと一緒にいたみたいに連携とれるし」

「そうですよね~それに大尉や中尉達を見た時なんか少し涙目じゃなかった?」

「速瀬中尉が挑発したときなんか懐かしそうな顔してましたし」

「彼は前線で戦ってきたらしいから色々あるのではないのか?」

「その辺りは後で少佐に伺ったらよろしいのでは?」

「そうね、白銀といい少佐といいどうやったらそうなったのか興味あるわね」

「おや?中尉、とうとう戦闘だけではあきたらず彼らも毒牙に?」

ニヤニヤしながら言う宗像

「宗像~あんたいい加減にしないと殴るわよ~」

「殴ってから言わないでもらたいものですが?」

「「「あはは」」」

「さて!おしゃべりはそこまでだ、色々気になることはあるが、少佐がせっかく教導してくださるのだ、我々も新OSをまかされた部隊として無様な姿を見せられないぞ」

「「「「了解」」」」

と全員千早が戻ってくるまでログを見ながら検討していく

しばらくして戻ると皆が整列して待っていた

「さて~それじゃあ~やりますか~」

「はい、ではどうしますか?」

「えっと~さっきまで大尉たちはハイブ攻略のしていたんですよね~」

「はい」

「んじゃあ~俺も交えてそれをしますか~」

「了解しました」

といい、全員筐体へ入るよう指示する


……



………



全員筐体へ入り実践さながらに機体チェックを行う


『皆準備ができたら始めるよ~』

『『『了解』』』

<ヴァルキリーマムよりヴァルキリーズ及び……少佐、少佐のコールサインはどうします?>

『あ~、んじゃマーズテリアでお願いしま~す』

<了解、これより二階堂少佐の呼称をマーズテリアとします>

そうこうするうちに全員の準備が整ったので

<ヴァルキリーマムよりこれよりヴォールクデータ、開始します、目的は反応炉への到達、各機準備はいいですか?>

『ヴァルキリー01準備よし』

涼宮中尉の管制にそれぞれ答えて行く

<ヴァルキリーマム了解、ではこれより状況を開始します>

『『『了解』』』



……





…………





<前方400m、左舷通路より中隊規模のベータ群接近中!うち戦車急約100、要撃級50、突撃級20>

『了解、ヴァルキリー01より各機へ、もうすぐ下層だ、気を抜くな』

『『『了解』』』

<本道ベータ出現まで残り30.29.28……>

『これはスルーできませんね』

『そうだな……ヴァルキリー01より各機へ相対準備、無駄弾は控えて可能な限り無視して先に進むぞ』

『『『了解』』』

(ん~急げば通り抜けられそうだけどな~皆がついてこれるかな?なんか中隊規模だとほっとするのはさっきのベータ無双で旅団規模やら師団規模を相手にしてたからかな?)

『マーズテリアより各機へ、前へ出るので支援は任せた~』

『ヴァルキリー01了解』

『少し本気でいきますのでついてきてくださいね~』

『了解、聞いたな!足をひっぱるような真似をした奴は晩飯一品抜きだからな!』

『『『了解』』』

(別にそんなことしないでいいのにな~まあ~それで気合入るならそれでいいけど~)

この世界での唯一の楽しみの一つである食事なんだし~と思いつつ苦笑する

<ヴァルキリーマムより接触まで後20、19……>

そうこうしている内に中隊規模のベータ群と接触、戦闘を開始する


≪ガガガッ!ゴオオオォォーーーー!!≫


千早とヴァルキリーズが連携をとりつつハイブ内を突きすすんでいく

主に千早が前方に出てベータを引き付けたり、支援したりして各機を前へ進ませて行く

『すごい……』

あまりの無駄の無い動きに目を見開き魅入ってしまう

『茜!後ろ!』

『え?きゃあ!!』

『はい、甘いっと~』

一瞬の油断、見とれていたせいで後ろから突撃級の腕が茜機を捉えていたのだけど、それを突撃砲で撃ち落とす

『あ~見とれるのはいいけど~それで油断しちゃ~だめだぞ~』

『すみません……』

シミュレーションだからよかったものの実践だったならと思うとゾっとする。

『はいはい~凹むのは後~今は前へ進むことを考えな~後で反省するべし』

『了解』

『まったく何してるのよ、ま、わからないでもないけど』

そういいつつさらに奥まで進む……

(しっかし皆すごいな~もう慣れてるし~ほんとっこの世界の人たちはすごいな~)















同日 夜



PX



A-01との教導訓練を終わらせ、どうせならとみんなで食事をとろうと誘われたので一緒に食事をとることになった。


「少佐、少佐、少佐って白銀大尉と一緒の部隊で前線で戦っていたのですか?」

飯も食い終わり、合成茶でまったりしていると麻倉が目を輝かせながら聞いてくる

「ん?そうだね~機密が絡むから詳しいことは言えないけど、夕呼さんの命令で一緒にいたね~」

「でも大尉も少佐も若く見えますけど、実際どうなんですか?」

今度は高原が聞いてくる、そんなに俺は珍しいのだろうか?

「実は副指令より年上だったり」

「え~」

気づけば、予想の言い合いになっていた。

「ん~武……白銀よりは上で24だね~」

「「「えーーー!!」」」

年齢を言った千早に全員が驚愕する

「何?その反応は?」

「いえ……失礼ながらもっと若いかと……」

「まさか、年上だったとはね」

「絶対間違ってるありえない」

「ん~まあ~よく童顔とは言われるけどね~」

「それより、白銀もそうだけど千早~あんたたちってどうやってあのOSを思いついたの?」

「ん~前にも言ったけど、思いついたのはあいつで俺はそれを元にいじっただけだし~」

「そっか~やっぱすごいよ~大尉も少佐も」

「ん~」

褒められているはずなのに、難しい顔で唸る

(褒められてるのはうれしいんだけど~俺はズルしてるだけだしな~武と違ってこの間が初陣だし~)

どうもその辺りが受け入れづらい面があるというより後ろめたい彼はどうしても素直に喜べない

「では、白銀があの動きを考え出したと?」

「んだね~あいつはすごいよ、色々とね」

と少し厳しい表情で言う、その表情が気になったのか

「そういえば、気になったんですが白銀をこちらに編成するよう提案したのは少佐と聞きましたが」

「ん?そうだけど、何か?」

「いえ、普通はある程度、間を空けるのですがいきなり実戦での配属であったので」

少し歯切れが悪いように聞いてくる、

「それに、何故か初めてというのに私達と連携が取れているというか、まるで前からいたかのようにと言いますか」

(なるほど、通常なら実戦を通して培われる呼吸みたいなもんがいきなりあったのが不思議で仕方がないってところか)

「あ~そういうことね~う~ん」

千早は困っていた、説明しようにも本当の事……あいつは過去にあなた方と共に戦ってきましたよ。なんて言える訳がない、とはいえ適当な事も言えるわけもなくと、さてどう答えたものかと思案していると

「少佐は、彼女はいるのですか?」

「んにゃ?」

「いや~なんか少佐ってもてそうだな~って思って」

不意に聞いてきたのが、麻倉、高原のコンビである

「ほう、それには私も興味があるな」

と宗像まで言ってくる、しめた、いい感じに話が逸れたと思ったけども……

「ん~」

今度の質問も厄介だなと考える、そういえばこの世界にきてから恋愛とか考えたことなかったなっと

「ん~そんな人いないよ~」

そう答えると皆『え~』とか言って驚く、一部の人は『なら今なら……』とか言っているが気にしないでおこう。などと思っていると

「麻倉、少佐は女性には興味が無いんだよ」

「……は?」

(この人は……)

宗像さんがいきなりそんな発言をした為周りが一瞬氷つく、周りがざわつく『いや、そんなわけ』『でも少佐なら、あながち』『白銀大尉どっちが受けかしら』などと盛り上がる、ちょっとまて、なぜあいつとなんだ?そう考えたら寒気がした……

「とりあえず、違うと言っておいた方が今後のためによさそうだねえ~」

とりあえず否定しておいた、皆瀬さんがなんかがっかりしていた、お前か受けとか呟いていたのは。

「あはは、じゃあ少佐は今フリーなんですね」

とさっきまで傍観していた柏木がそう聞いてきた

「ん、特定の人はいないねえ~」

そう答えるとよかったね~と麻倉さんと高原さんに言う、何がよかったんだろう?

「でもそうなると気になるわね、千早の好みが」

水月がふと漏らす

「そうね、千早君ってどういう娘が好みなの?」

涼宮さんの一言で全員が注目してくる

「ん~」

(特務部隊といえ、やっぱ女の子だな、しかし好みねえ~)

考え込む、正直好み云々ってのはあってないようなものだし、強いて言えば月詠さんや殿下のようなかっこいい女性が好きなだけだし、ふと考え込んでいると不適に笑いながらこっちを見てる宗像さんが目に入る

(ん~そういえば彼女って結構好みなんだよな、でも片思いだっけ?まあ~相手がいるなら無難だよな)

「強いて言うなら宗像さん?」

そういうと何故か皆驚愕の視線を送り出した、ていうか言われた本人が一番驚愕してるけど

「しょ、少佐、お気はたしかですか?」

驚きながら心配そうに聞いてくる風間、何気にこの人きついこと言うな

「祷子それはどういう意味だ?」

少しムッとするが、

「こほん、少佐、私などのどこがいいのかわかりませんが、ご希望とあらば今夜どうですか?」

「み、美冴さん?」

とにやりと笑顔を浮かべながら千早を見る冴子。からかう気まんまんだなこの人は……周りの娘らも真っ赤になってるし、どう切り抜けようか、こういう時はたしか……

そう言うとごそごそとゴムを二つ取り出すと髪を括りだした。

「勘違いしないでね!べ、別にそういう意味で言ったんじゃないんだからね!」

と腕を組みながらプイっと顔を背ける、

「「「「……」」」」

沈黙が痛い……

(は、はずした~恥ずかしい)

そう思いながら顔を赤らめる千早

(((か、かわいい~)))

「大尉……本気で持ち帰りたくなったのですが?」

「う、うむ……止めはせんが周りをよく見てからにした方がいいぞ。宗像」

そう言われて恐る恐る周りを見る……すると何人かからすごい目で睨まれる

「や、やめておいた方がいいみたいですね……すみません冗談です」

流石の彼女も冷や汗をかきながら謝罪する

(ん?どうやらあまりの痛さに引いたみたいだ、よかった~)

「そうですか~残念で……わ、わかればいいんですよ!」

そんなことには気づきもしない千早は、うまくいったと思いながら演技を続けた。





……




「そんじゃ~また~」

「はい、今日はありがとうございました」

「ほい」


と挨拶をして寝るために自室へ戻る千早


(さすがに疲れたなあ~今日は少しがんばりすぎたかな?さて明日は何しよっかな~)

思いつつあさっての搬入までの事を考えながら夜が更けていく……









11月18日


格納庫




「お~ら~い」

「おい!そっちケーブル邪魔だ!!」

いつもより騒がしい様子の格納庫、今日は朝から帝都より送られて来た「不知火弐型」が搬入されている。

「へえ~これが弐型かあ~」

「ああ、俺も初めて実機は見たが中々じゃねえか」

「そうだねえ~いいねえ~」

そう言いながら笑顔を浮かべる

「で?どうするんだ?」

「どうするって?」

「決まってるだろ?お前さんのことだ、このままじゃあ満足できねえんだろ?」

「ん~そうだねえ~実はちょっと試したい事があって~」

そう言いながらフッフッフっと笑いながら答える

「あんまり良い予感がしねえんだが……」

「ん~とりあえず~CPUとOSを交換して~スラスターの出力を限界までやって、後は~」

(もうね、我慢ができなくなったんだよね~この機体に俺の全ての趣味を搭載する)

「フッフッフ……アーッハッハー」

「団長が壊れた!?」

皆千早の壊れっぷりに戸惑いながら、その横でやれやれと溜息をつくおやっさんがいた。






……



ガサガサ……ゴソゴソ


カチッ……


「フフ、ここをこ~して~あれはこ~で……」

「音声データを入れて~それから演算能力をあげるっと~」

「スラスターを強化して、出力は限界っと~これで機動がかなり上がるな~」

「それから~やっぱ女の子だな~うん、容姿は大事だ」

「ぬふふ……驚くぞ~」

その日を境に格納庫で怪しい笑い声が木霊することとなる……






PS

お久しぶりです。糖尿です。ていうか今更ながらなんでこんな名前にしたのか後悔してます。とそんなことは置いておいて、更新遅れて申し訳ありません。こんな駄作を楽しみにして頂いてありがとうございます。実はPCが壊れまして修理に出したら8万って言われたので、思い切ってお金を貯めて新しいのを買い直しました。しかし最新型はすごいですね~、前より環境が良くなりました。これから更新は遅くなりますが、頑張って完結目指して頑張ります。こんな駄作ですが読んで楽しんで頂けたら幸いです。ありがとうございました。


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