厚生労働省は11日、年金の支給開始年齢を68~70歳に引き上げることも視野に検討に入った。長寿で年金の受取期間が長くなっているため、年金財政の悪化を防ぐ狙いがある。1歳の引き上げで国の負担が年0.5兆円減る見込みだ。ただ、実現しても2024年以降の引き上げとなり、若年世代に痛みが集中する。年金受給が本格化する団塊世代への影響はなく、世代間格差の拡大につながるおそれがある。
社会保障と税の一体改革では、支給開始年齢を68~70歳に引き上げることと、厚生年金の支給開始年齢の引き上げスケジュールを前倒しする2つの案が盛り込まれていた。厚労省は一体改革に沿って、社会保障審議会年金部会で3つの案を提示した。
1つ目は3年ごとに1歳ずつ引き上げる厚生年金の支給開始年齢を2年ごとに前倒しして、65歳に引き上げる案だ。2つ目は現在の引き上げスケジュール通り65歳まで上げた後、同じ3年ごとに1歳のペースで68歳まで引き上げる。3つ目は2年ごとに1歳のペースで65歳までの引き上げの前倒しを行い、さらに同じペースで68歳まで引き上げる案だ。
65歳以上への引き上げは、最も早い3つ目の案で、24年以降の実施となる。現在53歳以下の支給開始年齢が遅れるが、団塊世代の年金額の削減にはつながらない。物価に応じて受給者の年金を減額するマクロ経済スライドを発動しない限り、支給開始年齢の引き上げで、現役世代の理解を求めるのは難しそうだ。
高齢者雇用の確保も引き上げの前提となる。企業は定年延長や高齢者の継続雇用で対応する必要があるが、経団連は人件費の増加につながることから、反対の立場を鮮明にしている。連合も若年雇用に影響が出るとして、労使ともに現在の65歳までの引き上げが限度とみている。引き上げが思惑通りに実現できるかは不透明な情勢だ。
厚生労働省、年金、厚労省
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