8月に入って温家宝首相は国務院常務会議で「関係各国に財政赤字を削減し、債務問題を適切に処理するよう要求する」と暗に米国を批判、王岐山副首相とガイトナー米財務長官は頻繁に電話協議しているとも言われる。中国が1兆ドル以上保有しているという米国債の「売却」をちらつかせながらの綱渡りの交渉が続けられている模様だ。
「電話協議では中国側からQE3(量的緩和第3弾)をやらないように要請、アメリカはその見返りに追加で米国債の保有を求めているでしょう。ただ財政政策を打てないアメリカはQE3をやらなければ景気失速が確実、オバマは来年の大統領選で当選できない。
一方の中国も暴落危険度の高いドルという〝リスク資産〟をこれ以上増やすわけにもいかない。こうした騙しあいの交渉が行われているのです」(富士通総合研究所・主席研究員の柯隆氏)
ただ中国も、目下、不動産バブルが悪化し豚肉の価格が50%上がるほどの食品インフレに悩まされている。この段階で、大規模な財政支出は難しいと見られているのだ。
「むしろ中国はアメリカの動きを警戒している。もしオバマ大統領が新たな金融緩和策としてQE3を発動すれば、ジャブジャブと溢れたマネーが中国に流入し、バブル増長とインフレ悪化をもたらすのではと懸念している」(同前)
中国とアメリカの交渉は、「大国」同士のメンツのぶつかり合いとなる。
互いに国内に政治問題を抱え、国民の不満が溜まっていて、妥協するのは容易ではない。とくに中国は、国内の不満から目をそらすために対外的に強い態度をとり続けているのは周知の通りだ。
そして交渉が決裂、中国が報復として大量の米国債を市場に売り浴びせ、米国債が大暴落するのが「最悪のシナリオ」だ。
1929年の大暴落、1987年のブラックマンデー、'08年のリーマン・ショックは、いずれも9月~10月に起きた。そして今回もまた、「不吉な9月」に向けてマーケットが不可解な動きを見せ始めている。
「いま、日経平均がリーマン・ショック後の最後の下げ局面にそっくりの動きをし始めた。このままいけば9月中旬にかけて大暴落が起きることになるでしょう。日経平均は7000円台に突入、もちろん米欧の株式市場も崩壊する。
そこからは何が起こるかわからない、さらに株価急落が止まらない事態になるかもしれない。こんな〝暴落相場〟の中で、いかに自分の資産を守るか、しっかりと考えなければいけない時期に来た」(証券アナリストの植木靖男氏)
北半球はいま、かつてないほどの酷暑の真っ只中だが、暑い夏を越えれば、凍えるような秋が待っているかもしれない。
「週刊現代」2011年9月3日号より
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