地下の岩盤の境目付近がゆっくりとずれ動く「スロースリップ」と呼ばれる現象が、九州と四国の間の豊後水道付近で去年から新たに発生していたことが、国土地理院の分析で明らかになり、この地域で発生する地震の震源域や規模の特定につながると注目されています。
この研究は国土地理院の矢来博司地震調査官らが行ったもので、プレートと呼ばれる地下の岩盤の境目付近がゆっくりとずれ動く「スロースリップ」と呼ばれる現象が、去年11月ごろから豊後水道付近で起きていたことがGPSの分析から分かったということです。場所は大分県南部付近を中心とする海域で、岩盤のずれはことし3月までの4か月間に最大で7センチに達していて、マグニチュードに換算すると6.4に相当しますが、東日本大震災で地盤が大きく動いたため、現在は観測できなくなっているということです。政府の地震調査委員会は豊後水道を含む地域で今後30年以内にマグニチュード6.7以上の地震が発生する確率を40%と推計していて、研究グループは過去にも豊後水道の別の場所で「スロースリップ」が観測されていることから、こうした現象が起きた範囲を詳しく調べることで、発生する地震の震源域や規模の特定につながるとしています。研究結果は、12日から静岡市で始まった日本地震学会で発表されます。