海外ニュースサイト「GamerFitNation」によると、米国で現在、ADHD(注意欠陥・多動性障害)治療にビデオゲームが役立てよう――という研究が行われているそうです。
これまで研究者の間では、「ビデオゲームの遊びすぎはADHDをより悪化させる」との見方が一般的でした。しかし記事では、通常のビデオゲームではなく、「脳波」を使った専用のゲームならば、ADHDの治療に役立つ可能性があるとしています。
「研究は有望ではありますが、まだ決定的ではありません」と語るのは、オハイオ州立大学で精神医学を研究するL.E.アーノルド教授。教授は現在、SmartBrain Technologies社が販売する「Attention Brain Exercisers」というシステムを使って、ADHDの治療テストを行っているそうです。
「Attention Brain Exercisers」は一種の「脳波レースゲーム」で、コントローラのかわりに脳波を使って遊ぶ点が特徴。β波が活発に現れるほどクルマは加速し、逆にθ(シータ)波が活発になると減速。ADHDの子供の場合、β波が出ている時間に比べ、θ波が出ている時間の方が圧倒的に長いため、ゲームを使ってβ波をより活発化させることができれば、ADHDの症状も緩和できるのではないか――というわけです。
一般的にβ波は「落ち着いている状態」の時に現れますが、θ波が活発になるのは脳が対象を「無視している」時とされています。「Attention Brain Exercisers」自体の有効性についてはまだ証明されていませんが、教授によれば「治療法としては理にかなっている」とのこと。過去の研究では、神経フィードバックによる治療の有効性を示すデータもあり、一部のケースでは薬物治療とほぼ変わらない効果も得られたそうです。
また気になるのは、「Attention Brain Exercisers」ではない、普通のビデオゲームはやはり有害なのか、という点ですが、これについては「完全に取り上げるのではなく、ある程度制限することを勧めます」とのこと。「ほかの遊びと同様、ほどよく遊ぶ分にはビデオゲームにもいいところはあります。しかし、やりすぎが良くないのは何でも同じです」(アーノルド教授)
「Attention Brain Exercisers」は現在、Xboxおよびプレイステーション 2向けにそれぞれ発売中。価格は620〜950ドルととやや高めですが、果たしてどの程度の治療効果があるのか、アーノルド教授の今後の発表に注目したいところです。
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