国の原子力政策の基本方針となる、原子力政策大綱の見直し作業を進めている原子力委員会は、11日から原子力発電にかかるコストを試算する作業を始め、原発事故が起きた場合の損害賠償などを含めたコストを新たに試算することになりました。
原子力委員会は、先月再開した原子力政策大綱の見直し作業の一環として、11日、原子力発電のコストを試算するための小委員会を立ち上げました。初めに、座長を務める鈴木達治郎原子力委員長代理が「福島第一原発の事故を受けて初めての試算になり、国民や世界が注目している。作業は公開されているデータを基に、計算の前提や手法を公開し客観的に行いたい」と述べました。このあとの議論で、現在の原子力政策の柱である使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して再利用する「核燃料サイクル」を行う場合と、使用済み核燃料をそのまま処分する場合などのコストをそれぞれ算出することを確認しました。さらに原発事故が起きた場合の追加的なコストについても新たに試算することを決め、この場合は損害賠償に加えて、除染や廃炉にかかる費用などをどこまで含めるか検討することになりました。原子力委員会は、原発にかかるコストの試算について来年3月までにまとめる予定ですが、このうち事故が起きた場合を想定したコストの試算は、エネルギー政策の見直しを検討している政府の委員会に、今月中にも結果を報告することにしています。