2004年にも中国は、公安当局に逮捕され、吉林省図們市の留置場で韓国への亡命を求めていた脱北者7人を送還した。当時、韓国の外交通商部は、中国との協議により「送還はないはずだ」「送還はされなかった」などと説明した。しかし、結局は送還の事実が明らかになり、メンツを失った。
脱北者の送還が続く背景には、中国政府の硬直した脱北者政策がある。中国が対外的に表明している脱北者処理の三大原則は、国内法、国際法、人道主義の原則に従うというものだ。しかし、実際にこれらの原則はケースバイケースで適用されている。
中国は韓国の在外公館など韓国の管轄権が及ぶ場所に入った脱北者については、人道主義の原則に基づき、韓国行きを認めている。その他の場所で逮捕された脱北者は、中国の国内法と中国・北朝鮮間の条約に基づき、北朝鮮に送還することを原則としている。
中国は難民の地位に関する条約の締約国であり、北朝鮮当局の迫害を受けて脱出した脱北者を同国に送還することは条約違反だ。難民条約は難民の生命や自由が脅かされる懸念がある場所への追放、送還を禁止している。ハンナラ党の黄佑呂(ファン・ウヨ)院内代表は「中国が脱北者を強制送還するのは、明らかに難民条約に違反する行為だ。あらゆる外交力を使い、脱北者が送還される悪循環を断ち切らなければならない」と訴えた。