中国が脱北者を送還へ、高まる批判

 中国政府が先月末に逮捕した脱北者約20人を北朝鮮に送還せざるを得ないという立場を示していることが11日までに分かり、中国の脱北者への対応方針に批判が巻き起こっている。また、韓国政府も、憲法上保護しなければならない脱北者の北朝鮮への送還を阻止できずにいるとする批判にさらされている。

 中国政府は最近、東北3省(遼寧・吉林・黒竜江の各省)にいる脱北者に対する集中取り締まりを行い、瀋陽、丹東などで脱北者を大量に拘束したもようだ。韓国の脱北者団体は、拘束者の一部の身元を把握した上で、メディアを通じ、北朝鮮への送還を阻止するよう訴えてきた。ハンナラ党は緊急会議で送還中止を要求し、外交通商部(省に相当)は職員を現地に派遣したが、中国側は要求を受け入れる状況にはない。

 脱北者は、1992年の韓中国交正常化、90年代後半の北朝鮮の経済的危機を機に増え始め、韓中関係の大きな負担となってきた。

 代表的なのは、韓国外交の失敗例とされる2000年の脱北者7人の送還事件だ。中国政府は当時、中国経由でロシアに密入国して逮捕された脱北者の身柄をロシア側から引き渡された。当初中国は「人道的対応」を強調したが、結局は7人を北朝鮮に送還した。送還された脱北者は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に難民認定されていた状況だったため、大きな波紋を呼んだ。韓国政府の対応も批判を浴び、当時の洪淳瑛(ホン・スンヨン)外交通商部長官が更迭された。

 その後、韓中両国の間には似たようなケースが続出した。韓国は北朝鮮に送還された脱北者が処刑されたり、拷問などの迫害を受けたりしていると強調し、送還を中止するよう重ねて要求してきた。しかし、中国は脱北者を逮捕後、国際世論が沈静化するのを待って、身柄を北朝鮮に送還することを10年以上にわたり慣例にしてきた。

金真明(キム・ジンミョン)記者
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