福島県の市町村のうち、放射性物質の除染で生じる土などを保管する「仮置き場」が自治体単位ですべて決定しているのは2町村にとどまることが朝日新聞の調査でわかった。確保が進まない背景には、仮置き場から土などを移す「中間貯蔵施設」の設置が見通せない現状がある。
また、除染実施計画の策定を予定したり検討したりしているのは8割の市町村にのぼる。東京電力福島第一原発事故による放射能汚染に対応する特別措置法の枠組みでの計画で、多くの市町村が除染への国のかかわりを求めていることを示している。
県内全59市町村に聞いた。国が除染計画を立てる警戒区域と計画的避難区域に全域が指定されている6町村を除いた53市町村のうち、除染実施計画の策定を予定しているのは28、検討中が19だった。
予定がないのは6町村で、すべて原発から離れた会津地方。放射線量が年間積算で1ミリシーベルトを超える場所がないことなどを理由に挙げた。中には計画は策定しないが、県の補助で除染する自治体もある。
仮置き場を自治体単位で確保したのは泉崎村と会津坂下町だけで、いずれも町村有地。福島市と大玉村、鮫川村は一部地区だけ設置が決まっている。伊達市は地区や集落ごとに一時的に置く「仮保管」を進める。仮置き場の手前、との位置づけだ。
ほとんどの自治体で仮置き場の候補地選定は進んでいるが、住民の理解が得られないため、用地確保や設置に至らない。「除染はしたいが、近くに仮置き場ができるのは嫌だという総論賛成、各論反対の状態」(川俣町)という。
仮置き場に置いておく期間が分からないため住民の同意を得にくい、とする自治体が目立った。伊達市の担当者は「住民が最も知りたいのは『いつまで置くのか』。先が見えないと仮置き場の問題は進まないだろう」と話す。
中間貯蔵施設については、いずれの市町村も自分のところへの設置に否定的、消極的な答えだった。(木村俊介、小泉浩樹)