朝起きると、全裸の美少女が俺の隣で死んでいた 〜犯人は俺〜 |
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朝起きると、全裸の美少女が俺の隣で死んでいた。 「…………みぎゃーっ!!」 何でこの子裸なんだ!? ちゃんと着衣の状態で毒を飲ませたはずなのに。 いやいやちょっと待て? それ以前に俺がきちんと目覚める方がおかしいんだ、この子が気を失った後ばっちり同じ毒を飲んだんだから! ――少し状況を整理しよう。俺(太郎)はリストラにあって人生に絶望し、通勤バスでよく乗り合わせていたこの子を道づれに無理心中を図った。うん。 首尾よくこの子をアパートに連れ込むことに成功した俺は、この子に毒入り麦茶を飲ませて昏倒させた。うん。 崩れ落ちたこの子を俺は胸で手を組ませて寝かせ、そして俺も同じ毒入り麦茶をコップ一杯飲み乾した。うん。 ――――何でこの子は裸なんだ!? 裸になる要素一つもなかったぞ!? 俺が死に損なって無理心中失敗したのは今はどうだっていい、とりあえずこの謎を解明せねば死んでも死にきれん! 俺はとりあえずこの子を観察することにした。 その肌は驚くほど白い。その恐るべき白さは白磁のような無機質な白さだった。その全身を舐めまわすように視姦してもその神聖さを感じさせる白さを汚す染みは一つも見当たらない。 その手は陳腐な表現だけど透けるように輝く白魚のよう。……少し爪が伸びているな。 胸は組ませた手が邪魔でその全貌を見て取ることはできない。頂点のさくらんぼも完全に隠されてしまっている。 腹は一面唯なだらかでおへそが可愛らしい。腰はきちんと女の子らしくくびれている。 その先、ぷにぷにして柔らかそうな両太股の付根は――……文才が無いから勘弁してほしい。とりあえず生えてない。 頭の方に戻る。髪は腰あたりまである栗色のロングストレートだ。黒白リボンの髪飾りが可愛らしい。 顔立ちも整っている。やはり美少女と冠されるだけの事はある。その瞳は吸い込まれるような黒だ。…………あれ? 「わぁぁーー!?」 「きゃぁーー!?」 死体が生き返った? …………いや死んでなかったのか、この子は毒麦茶を一口しか飲んでない。コップ一杯飲んだ俺が平気だったんだからこの子だって平気なはずだ。 「何ですかこの格好!? 裸? どうして?」 起き上がった少女は混乱しているようだ。 「いや俺に言われても……」 俺は何もしていない筈だ、多分。……少し不安になってきた。 少女はとりあえずシーツで身を隠した。不穏な気配を感じる。 少女はぶつぶつ何かを言い始めた。 「…………責任」 「え?」 聞き返す。 「責任とってください! 私にこんな事をした!!」 「えぇーっ!? いやそのあの…………はい」 少女の迫力に負けた。 「とりあえず執事に連絡します。電話を」 「……はい」 少女に電話を渡す。少女は電話口に何かを言い始めた。 (――――大丈夫です。日時は予定通りに……) 俺はこれからどうなるんだろう。 俺はその後そのまま両親に挨拶をさせられ一週間後に結婚式。式には大勢の人が集まった。少女の家はとんでもない名家だったらしい。 俺は今少女の家傘下の会社で課長として働いている。妻は美少女だし何だかんだでこれ以上ない程幸せだ。 ただ、一つ分からない事がある。何で少女は全裸だったのか。 「変態、貴方がやったんでしょ?」 「いやそんな筈は……」 これは多分、一生謎のまま終わるんだろう。 少女は麦茶をティーカップで飲みながら小さく呟いた。 「好きよ、太郎」 「――計画通り。絶対逃がさないから」 |
羽柴秀長 EM114-48-178-7.pool.e-mobile.ne.jp 2011年10月12日(水)03時22分 公開 ■この作品の著作権は羽柴秀長さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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