(cache) 米民主党、反ウォール街運動にとまどい - WSJ日本版 - jp.WSJ.com
  • The Wall Street Journal

米民主党、反ウォール街運動にとまどい


  • 印刷 印刷
  • Twitter
  • Mixi
  • 文字サイズ:

 米民主党は「ウォール街を占拠せよ」のスローガンを掲げた抗議活動に流れる反企業ポピュリズムがはらむ危険に対処しつつ、階級闘争の責任を負わされずにそのエネルギーを利用しようと必死だ。

 オバマ大統領はこの数週に口調を強めており、6日の会見では、年収100万ドルを超える層に5.6%の付加税を課す民主党上院議員の計画への支持を表明。強化された金融規制導入を進める方針を示し、新たな銀行手数料を批判した。

「ウォール街を占拠せよ」と連呼しながら歩くデモ隊

 全米の都市に拡大した抗議活動について聞かれると、支持こそしなかったものの、デモ参加者のフラストレーションに対する理解を示し、「米国民は、誰もが同じ規則に従っているわけではないことを理解している。ウォール街が一例だ」と述べた。

 ポピュリスト的なこのメッセージはワシントンの別の場所にも届いた。ガイトナー財務長官とバーナンキ連邦準備理事会(FRB)議長もデモ参加者に対する共感を示した。一方、中国の為替操作に制裁を科す法案は勢いを増している。

 ただ、民主党の多くは増大する聴衆に対してあえて沈黙を守っている。狙いや目標がはっきりしないデモ隊を擁護することが不安なためだと同党議員側近らは6日語った。無党派で中道の中間所得層や民主党に献金しているウォール街の富裕層は、粗さを増すデモ隊にうんざりしている可能性がある。

 共和党はこうした懸念につけ込もうとしている。テキサス州のペリー知事の報道官は「オバマ経済に対するフラストレーションは理解しているが、デモは理にかなわないだけでなく、雇用創出にもつながらない」と述べた。共和党大統領候補として最有力視されているミット・ロムニー氏は今週フロリダで、「この階級闘争は危険だと思う」と述べた。

 大統領支持率の低下に意気消沈している民主党にとってこの新たなエネルギーは、共和党議員幹部がティーパーティー運動で利用したものの今では制御が難しくなっているエネルギーに比べれば元気づけといえる。

 2006、08、10年と、このところの選挙は3回連続して景気停滞で膨らんだ国民のフラストレーションが大きな要因となっている。民主党は 反ウォール街の行進で、彼らの怒りを味方につける手段を見いだした。

 カロリン・マロニー下院議員(民主、ニューヨーク)は5日、ニューヨーク市庁舎近くでデモ参加者と話をした後、「わたしの街の抗議活動は平和的かつ秩序だっていることを誇りに思った」と述べた。

 民主党選挙コンサルタントは、共和党の現職議員に挑む選挙戦を有利に持ち込む機会をここに見いだしている。たとえばセリンダ・レーク氏は、顧客である民主党下院議員候補にこうアドバイスしている。「ワシントンをかばわないこと。インフラ投資などコストのかかる措置と、中国の為替操作に対する制裁法案などコストのかからない措置の双方を支持することで雇用創出を求める経済的立場を明確にすること」

 しかし、民主党の中道グループ、サードウェイの幹部マット・ベネット氏は、民主党候補が来年必要とする独立系有権者を遠ざけかねない、乱暴で混乱した動きに問題を見いだしている。「無党派層は注視している。こうしたメッセージ伝達が共感を呼ぶとは思えない」と述べた。

 ウォール・ストリート・ジャーナルとNBCの共同世論調査を共同で担当した共和党の担当者ビル・マッキンターフ氏は、ポピュリスト的な政治要綱を掲げて「特に成功している民主党員は多くない」と述べた。

 「ウォール街を占拠せよ」運動の本拠地ローワー・マンハッタンにはなお抑制されたカオスの雰囲気がある。ただ、寄付された食べ物、本、医療品はかなり増えている。見物人も同様だ。ペイパルの口座に寄付金が寄せられているため、入出金をどう管理するか考え始めているとマンハッタンに住むジェフ・スミスさん(41)は語った。

 国内最大級の労組の幹部らは抗議活動について、参加者が自分のメッセージを伝え、あらためて結束を固める機会だと述べた。幹部らは6日、水や食料の供給からデモ隊へのホール開放まで、デモ隊を支援する計画を示した。ここ数年ウォール街を声高に批判してきた全米鉄鋼労組(USW)のレオ・ジェラード代表は「都市から都市へと拡大していきそうだ。労組ができるのはそれを生かし続けることだ」と述べた。

 チャールズ・シュマー上院議員(民主、ニューヨーク)は、民主党員が慎重にバランスを取って進まなければならないことを実証している。同議員は民主党上院議員やホワイトハウスにいわゆる富裕税を支持するよう訴えているほか、中国に対する制裁法案の旗振り役となってきた。しかし、金融機関から強力な支持を受けており、ウォール街への抗議活動についてコメントを控えている。「ポピュリスト」という言葉を拒否し、民主党は富裕層を非難しないよう注意しなくてはならないと語る。「上流層はポピュリズムをある種ネガティブにとらえる。それはわれわれの意図するところでない」と説明し、「われわれは中流層の助けになることをしたい」と訴えた。

 一方、ロサンゼルスでは、市警察によるとダウンタウンのバンク・オブ・アメリカの支店に居座った11人が逮捕された。

 捕まったのは、2団体が共同で行った抗議活動の参加者。サービス・エンプロイーズ・インターナショナル・ユニオンのアナリストによると、この抗議活動には2000~3000人が参加した。

Copyright @ 2009 Wall Street Journal Japan KK. All Rights Reserved

本サービスが提供する記事及びその他保護可能な知的財産(以下、「本コンテンツ」とする)は、弊社もしくはニュース提供会社の財産であり、著作権及びその他の知的財産法で保護されています。 個人利用の目的で、本サービスから入手した記事、もしくは記事の一部を電子媒体以外方法でコピーして数名に無料で配布することは構いませんが、本サービスと同じ形式で著作権及びその他の知的財産権に関する表示を記載すること、出典・典拠及び「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版が使用することを許諾します」もしくは「バロンズ・オンラインが使用することを許諾します」という表現を適宜含めなければなりません。

 

  • メール
  • 印刷
  •  
  •  

投資に役立つ最新分析

FXフォーカス‐WSJの最新為替分析

ビジネス英語

日本版コラム