2011年8月18日 19時55分 更新:8月18日 20時28分
前米国務省日本部長のケビン・メア氏が18日、東京都内で会見し、米政府が福島第1原発事故直後、東京在住の米国人約9万人や在日米軍を避難させる最悪のシナリオを検討していたことを明かした。メア氏は「在日米軍まで避難させていたら、日米安保に深刻な影響を及ぼしただろう」と振り返った。
メア氏は3月に日本部長を更迭され、4月に退職するまで国務省の「(東日本大震災)タスクフォース」の一員として事故に対応した。会見や、19日に出版する著書「決断できない日本」(文春新書)によると、3月11日の震災発生から数日間、原発事故に関する情報が日本政府からほとんど入らず、米政府は福島上空へ飛ばした米軍無人偵察機グローバルホークの観測で原子炉の温度が異常に高くなっている状況を独自に把握。16日未明には燃料が溶融していると判断したという。
このため、米政府高官が東京在住の米国人全員の避難を提案したが、メア氏らは「時期尚早」と反論。最終的には米原子力規制委員会が原発から半径50マイル(80キロ)圏の退避勧告を出したため、東京からの退避勧告は見送られた。
メア氏は「日本の政府機関は横の連携や十分なコミュニケーションがとれていない」と批判した。【真野森作】