2011年8月17日 10時24分
【カイロ和田浩明】AP通信によると、内戦状態にあるリビアの最高指導者カダフィ大佐の部隊が14日、スカッドミサイルを発射した。ミサイルは反体制派が最近進出した東部の要衝で石油積み出し港マルサエルブレガから約80キロ離れた地点に着弾。死傷者や施設への損害は無かったという。米国防総省関係者の話として報じた。カダフィ氏側がスカッドを使用したのは、2月に反体制派が蜂起して以来初めて。
反体制派は最近、首都トリポリの周辺都市への攻勢を強めて政府側の補給路押さえ込みを図っている。スカッド発射は、押し込まれた形のカダフィ派による反撃強化の意味合いもありそうだ。
米シンクタンク「核脅威イニシアチブ」によると、蜂起前、リビアは旧ソ連由来の「スカッドB」(射程300キロ)と「スカッドC」(同500キロ)を保有していた。3月に始まった北大西洋条約機構(NATO)の空爆で多数のミサイル陣地が破壊され、現在の保有状況は不明だ。