中国高速鉄道:新ダイヤで運行始まる 「世界最速」返上

2011年8月16日 19時26分 更新:8月16日 22時1分

 【上海・隅俊之】中国・浙江省温州市の高速鉄道事故を受け、高速鉄道の最高速度を引き下げた新ダイヤによる運行が16日、始まった。最高時速350キロだった区間は300キロに減速し、中国は世界最速の座を320キロで運行する仏TGVや独ICEに譲り渡す。国民の安全面への懸念が高まる中、安全最優先の姿勢を強調する狙いがあるとみられる。

 鉄道省は6月末に開業した北京-上海線など4路線について、7月のダイヤ改正で最高時速を350キロから300キロに引き下げたが、北京-天津線と上海-杭州線では350キロの世界最速を維持していた。

 だが、事故を受けて国務院(政府)常務会議が速度引き下げを決定した。16日の引き下げ実施は北京-天津線。28日から上海-杭州線でも実施される。乗車券の値段も5%前後引き下げられた。

 新ダイヤでは運行本数も減った。北京-上海線の主力車両の最新型「CRH380BL」に故障が続出し、製造元の中国北車が54編成の回収・修理(リコール)を決定。このため、北京-上海線では1日88往復から66往復に大幅減になった。

 新ダイヤは中国のメンツをかけた国家プロジェクトの方針転換になる。ただ、新華社系のサイト「新華網」は「高速鉄道は『暴れ馬』のようなもの。騎手は馬のことを十分に知らないのにすぐに乗ろうとして、振り落とされた。ゆっくり馬を育てて仲良くなれば、再び乗って速く走ることができる」と指摘する大手投資会社の報告を紹介している。

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