津波:1m未満予測 避難意識6割低下…震災後静岡以西で

2011年8月16日 10時55分 更新:8月16日 15時44分

津波の高さに応じた被害の目安
津波の高さに応じた被害の目安

 静岡以西で太平洋側の17府県の住民を対象にした意識調査で、1メートルより低い津波予測で避難を考える人の割合が東日本大震災後、6割近く下がったことが東京大と同志社大の集計で明らかになった。研究チームは大震災の記録的な巨大津波の影響で、被災地以外では低い津波の過小評価につながったと分析、「50センチでも人的被害は出る。安全な津波はない」と警告している。

 チームは、日本でも津波を伴った南米チリ大地震直後の昨年3月と大震災後の今年4月、インターネットで沖縄を除く17府県の住民に行った調査結果を比べた。昨年は733人(平均44.5歳)、今年は別の1036人(同40.6歳)が回答した。

 避難の目安とする津波予測の高さを▽10センチ以上▽50センチ以上▽1メートル以上▽3メートル以上▽5メートル以上▽10メートル以上の6段階に分けて尋ねたところ、大震災前は「10センチ以上」「50センチ以上」の合計は28.4%だったが、大震災後は12.4%に低下。同様に危険と思う高さを聞くと、「1メートル以上」の割合は36.2%から26.0%に下がった一方、「3メートル以上」は18.8%から27.1%に上がった。

 大震災では、陸地を駆け上がった津波の高さ(遡上(そじょう)高)が岩手県宮古市で最大40メートルを超すなど、東日本を中心に各地で大きな津波に襲われた。チームの大木聖子・東大地震研究所助教(災害情報)は「調査結果は今後の津波災害で被害が拡大し得る可能性を示している。『50センチで人は立っていられない』『2メートルで木造家屋は全壊する』など津波の高さと災害のイメージが結びつく情報発信が必要だ」と話す。【八田浩輔】

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