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小樽女性殺人:逮捕の会社社長を釈放 証拠そろわずと

広岡社長の釈放後、報道陣の質問に答える弁護人の北潟谷弁護士(左)=北海道小樽市の小樽署前で2011年10月7日午後8時19分、小川祐希撮影 
広岡社長の釈放後、報道陣の質問に答える弁護人の北潟谷弁護士(左)=北海道小樽市の小樽署前で2011年10月7日午後8時19分、小川祐希撮影 

 北海道小樽市のマンションで7月、1人暮らしの資産家女性が殺害された事件で、札幌地検は7日夜、殺人容疑で逮捕された同市の不動産業、広岡久子社長(62)を処分保留で釈放した。殺人容疑で逮捕されながら責任能力とは無関係に釈放されるのは異例だ。広上克洋次席検事は「起訴できるだけの証拠がそろっていない。任意で捜査は続ける」と説明しているが、担当弁護士は「誤認逮捕だ」と捜査当局を批判した。【金子淳、岸川弘明】 

 広岡社長は7月1日夕~2日夕ごろ、同市富岡1の10階建てマンション3階一室で、この部屋に住むアパート経営、木本澄子さん(81)の首や胸など数十カ所を刃物で刺し、失血死させたとして9月17日に殺人容疑で逮捕された。しかし一貫して殺害を否認し、逮捕後は黙秘。この日が勾留期限だった。

 道警小樽署捜査本部は、広岡社長が木本さんと不動産取引があり、多額の借金をしていたことや、携帯電話の通話記録などから広岡社長が犯行推定日に木本さん宅を訪れてトラブルになった可能性が高いとみて追及していた。しかし、殺害を認める供述や有力な証拠が得られず、地検は起訴しても公判維持が困難と判断したとみられる。捜査本部は今後、在宅で捜査を続ける。

 木本さんは7月5日午後、室内で血を流して死亡しているのを親族と小樽署員らが発見した。木本さんは知人多数に現金を貸しており、室内に争った形跡がないことなどから、捜査本部は顔見知りとのトラブルの可能性が高いとみて捜査していた。

毎日新聞 2011年10月7日 21時07分(最終更新 10月8日 1時42分)

 

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