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★スペシャルインタビュー
Kalafina『After Eden』インタビュー 4
Kalafinaによる『After Eden』全曲解説

前作から少しだけお待たせした3rdアルバムで、少女性に満ちたKalafinaはその一歩先へ飛び込んで見せた。可憐さだけではなく、妖艶さをまとい、ガイア(大地の女神)のような癒しも送り込んでくる。磨きがかかった女声三声の渦が織り成す一幕に、酔いしれる1枚。



全曲作詞・作曲・編曲:梶浦由記

①Eden

最初に聴いたとき、「明るくて可愛い曲だな」と思いましたけど、出来上がった曲はすごく音数が多くて、華やかなイメージに変わりました。「新しい世界へようこそ」っていうスタートの曲ですよね。(Wakana)

②sandpiper
ウード(アラブ音楽で使われる楽器)とパーカッションによる前奏には心ザワザワさせられます。そして、Hikaruが悲しみを訴えてねっとりしっとり歌いかけ、Wakanaは内に秘めた感情を爆発させずに切々と歌い……。これを2曲目に持ってくるなんて、なんて強気なアルバム! 梶浦さんとも、「イントロから50秒声が出ないなんて、視聴した人は聴くのやめちゃうよね」って話していました(笑)。(Keiko)

③Magia
この曲からKalafinaを知っていただいた方も多いと思います。「Magia」のイメージを持ってアルバムを聴いたとき、どんなリアクションをとってくれたのか、是非知りたいですね。(Keiko)

④九月
この曲は早い段階からできていた曲で、最初のデモ録音の初々しい歌い方がとてもいい感じだったので、それを絶対に崩さないように歌いました。感情が入っているんだけど綺麗で繊細な糸が1本張っているような、そんなイメージで歌いました。(Hikaru)

⑤in your eyes
この曲は「本当にピュアな女の子」の歌だと思っているので、そのイメージを大事にして歌いました。とにかくパーカッションが楽しい。でも歌うのは大変な曲です(笑)。(Hikaru)

⑥destination unknown
KeikoとHikaruが戦うように歌っていて、そこは私が「splinter」で走り去っていくような感じと似ていると感じました。平行のままで、歌と歌が合体はしないんですよね、絶対。その上を私が走り去るように歌っています。(Wakana)

⑦neverending
懐かしさも感じるような、後を引くメロディです。“La La La”で歌うのって初めてだったので新鮮でしたし、ライブで皆と一緒に歌えるんじゃないかなと思いました。かなりハードルは高いですけど(笑)。これを会場で一緒に歌っている人がいたら感動します。(Hikaru)
梶浦さんから、一晩で書き上げたので思い入れが強い曲だって聞きました。レコーディングでは「私、遅すぎますよね」「いや、Keikoちゃん、まだ早い」というやり取りをしていたぐらい、思った以上にずっしりと言葉を置いていく歌でした。(Keiko)

⑧ことのは
最初にいただいた梶浦さんの仮歌を聴いたとき、すごく涙が出てしまったんです。それほど、素敵な曲ですね。“真っ白なままでいたいと泣いた”にリアルさ、シビアさも感じたので、歌うのに少し勇気のいる曲でした。(Wakana)

⑨magnolia
歌詞に好きな言葉がたくさんあるんです。最初の“ほころびて行けば~咲くだけの”は、つぼみが膨らんでいくような雰囲気を感じました。“白く白く愛したい~生まれた花のように”を聴いたときには、冷たい水を飲んだときののどのようなキーンとした感覚でした。“貴方の色に染まらない心だけど~抱きしめてよ”からは甘い香りがあふれてくるようで。とにかく、レコーディングに一所懸命臨んだ曲でした。梶浦さん自身もそれを受け止めてくれたので、思い入れのある一曲ですね。(Wakana)

⑩輝く空の静寂には
「magnolia」からの流れで、すごく人の暖かみを感じる曲になったと感じました。日々生きる中での感情や、血が通う感じを受けました。この場所に入ることで、冷たい空間に暖かい空気が流れこむような、そんな雰囲気になったと思います。(Hikaru)

⑪胸の行方
梶浦さんの仮歌を聴いたときは感動して言葉が出ませんでした。英語詞のコーラスはメトロノームでテンポ感を合わせ、三人でレコーディングしたんですけど、こういう「ザ・コーラス」というのは三年目にして初めてでした。でも、いかにコーラスワークは三人の呼吸が大事なのかを改めて気付かされましたね。いつか、ライブの後半で皆の顔を見ながら三人で微笑んで歌っている、そんな画を想像していました。(Keiko)

⑫snow falling
劇場版『空の境界』終章のカヴァーソングで、改めて歌詞を見ると懐かしく感じます。すごく寂しい曲だと思っていたんですけど、今は少し光が見えるような歌に印象が変わっています。“Magia”ツアーで歌ったときは梶浦さんからの提案でピアノ1本のほとんどアカペラアレンジだったのでかなり緊張しましたけど、すごく楽しかったですね。(Wakana)

⑬symphonia
“Magia”ツアーでは自然と三人の口角が上がり、揃って見上げながら歌っていたんですよね。会場の外まで届けって気持ちでした。サビのコーラスがガチっと決まったときの気持ち良さ、というのを本当に感じる曲です。三人の声が合ってこその曲だと思いました。(Keiko)
NHK『歴史秘話ヒストリア』のEDテーマとして作られた曲ですが、終わりだけど始まってもいく……というアルバムのエンディングとしてもぴったりの曲だと思います。「私たちから皆に発信しているけど、今度は皆からも発信してほしい」という、つながりへの訴えかけを感じますね。(Hikaru)


Text/清水耕司(超音速)
2011/10/07 13:00:00