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最強のバイオ燃料、「藻」

第1回:化学品メーカーが開発に着手

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2010/08/23 00:00
浜田 基彦=日経Automotive Technology
出典:日経Automotive Technology,2010年5月号 ,pp.71-72 (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

 経済産業省は2010年3月5日、バイオ燃料でも「LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)で計算したCO2削減量が50%以上ないとカーボンニュートラルとは認めない」という方針を打ち出した。これは厳しい基準で、ブラジルの既存の農地で作るサトウキビ、国内の甜菜(てんさい)、建築廃材から作った燃料しかカーボンニュートラルとは認められなくなる。今のところ経済合理性だけでは成立せず、助成や補助に頼っているバイオ燃料にとって、カーボンニュートラルと認められるかどうかは採算性を左右する。森林を切り開いて燃料用植物を栽培するというビジネスが成立しなくなってきた。

 こうした問題を藻が解決する。藻を栽培して燃料を作るという技術が、生物学の段階から、エンジニアリングの段階に進んだ。オランダShell社、米 Exxon Mobil社といったオイルメジ ャー、米Dow Chemical社のような化学品メーカーが既に開発に着手。Exxon Mobil社は6億米ドルを超える額を投資するという力の入れようだ。米国には約200社のバイオベンチャーがあり、藻の栽培、燃料化にリスクマネーが殺到している。

図1 デンソーの培養装置
大量に並び、各種の藻を培養している。

 自動車関連のメーカーで先頭を走っているのは日本のデンソーだろう。既に基礎研究室内で藻の培養を進めている(図1)。シュードコリシスチス、ボトリオコッカスという、現在最も注目される藻を2種類とも手掛けている。シュードでは慶應義塾大学、中央大学、京都大学と組む一方で、ボトリオでは筑波大学と組んでおり、国内の主要プレーヤーをほぼ押さえた。

 シュードは海洋バイオテクノロジー研究所の藏野憲秀氏らが温泉から発見したもので、デンソーは藏野氏を主幹としてスカウトした。同研究所は閉鎖、デンソーはシュードについて同研究所から使用権の委譲を受けた。

*正しくはシュードコリシスチス・エリプソイディア(Pseudochoricystis ellipsoidea)。緑色の単細胞植物だ。

*正しくはボトリオコッカス・ブラウニイ(Botryococcus braunii)。ボトリオコッカスには、ブラウニイのほか2種類がある。

 藻は耕地の広さ当たりの収穫量が多い。現在開発しているものの目標値では、土地1ha、1年当たり684GJの燃料を作ることができる(図2)。

図2 各種バイオ燃料の面積当たり収穫量
(a)はBDF、(b)はバイオエタノール。藻は高等植物を圧倒するが、太陽電池には及ばない。
[画像のクリックで拡大表示]

 高等植物でBDF(バイオディーゼル燃料)を作ろうとすればダイズが17GJ、ナタネが46GJ、アブラヤシが230GJだから、藻はそれらの3〜40 倍になる。バイオエタノールの原料ではトウモロコシが64GJ、サトウキビが141GJだから、藻にすれば5〜10倍になる。

 なお、同じ面積に太陽電池を置くと、1年に4800GJを“収穫”できる。これを根拠に「バイオ燃料などやめて太陽電池を並べ、EV(電気自動車)を走らせよう」という議論がある。ただ、太陽電池の初期投資が大きいこと、今のところ自動車側の2次電池が高価なことなど経済的な問題を抱えており、しばらくはエンジン車が主流であることを考慮して、総合的に判断する必要があるだろう。

―― 次回へ続く ――

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投稿者
kayakker
 
藻の光合成に際しては都市地下街、畜産団地の給排気制御四季牛舎、豚舎、鶏舎の排気co2利用により、合成効率のupが見込まれる
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