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ほっとするニュース:いつか街中を…電動コミュニティーバス開発

群馬大学などが開発した電動コミュニティーバス=同大提供
群馬大学などが開発した電動コミュニティーバス=同大提供

 ◇環境に優しい公共交通機関の普及目指し、次世代EV研究会・群馬大学など開発

 環境に優しい公共交通機関の普及を目指し、群馬県内企業を中心に約100社でつくる「次世代EV研究会」と群馬大学などのプロジェクトチームは、走行時の二酸化炭素排出量がゼロの「電動コミュニティーバス」を開発した。最高速度は20キロで、自動車メーカーが開発している電気自動車に比べて格段に遅いが、メンバーは「低コストを優先しており、速く走る必要はない。地域の巡回バスとして、いつか街中を走らせたい」と話している。

 このプロジェクトは1世帯当たりの自動車保有台数が2・24台と全国6位(11年3月31日現在)の群馬で、運転免許を返納する高齢者が増加する中、低コストの公共交通の実現を目指して進められている。独立行政法人・科学技術振興機構社会技術研究開発センターに公募提案し、委託事業に認められた。

 電動コミュニティーバスは定員約10人で、長さ4・4メートル、幅1・85メートル。リチウムポリマー電池を使用したバッテリーを家庭用電源で8時間充電すれば約40キロの走行が可能。バッテリーを交換すれば走行距離を伸ばすことが可能だ。補充電源として屋根には発電量0・5キロワットの太陽光パネルがついている。

 1台の予算は800万円。次世代EV研究会メンバーの宗村正弘さん(59)は「普通は数千万円するバスの車両価格としては異例に安い」と話す。しかしその分、自動車メーカーが開発する個人向け電気自動車と比べ、走行距離が短く速度も遅い。宗村さんは「施設敷地内の移動や街中の巡回バスとしての使用を想定しているため、低速度は問題ない。ガソリン車の代替車ではなく、新しい車の使い方を提案したい」と話している。

 課題は車両ナンバーの取得。国土交通省関東運輸局によると、新規格の車両がナンバーを取得し公道を走るには、衝突試験などを行い、車体の強度やブレーキの耐久性など、道路運送車両法で定めた基準を満たす必要があるという。公道走行のハードルは高いが、プロジェクト事務局の天谷賢児・群馬大工学部教授(49)は「当面はショッピングモールの駐車場や工場敷地内の移動手段として使用し、いつかは高齢者の地域の足として街中を走らせたい」と話している。【塩田彩】

2011年10月10日

 
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