アメリカ政府は、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けてアメリカ人を対象に出している避難勧告の範囲を、これまでの半径80キロ圏内から20キロ圏内に縮小しました。
アメリカ政府は、福島第一原発の事故後まもなく、原発から半径80キロ圏内に滞在するアメリカ人を対象に避難勧告を出していましたが、7日、この範囲を日本政府が指定している「警戒区域」と同じ半径20キロ圏内に縮小しました。ただ、半径20キロより外の地域でも、日本政府が指定している「計画的避難区域」と「特定避難勧奨地点」は依然として避難勧告の範囲に含まれるほか、妊婦と子どもと高齢者は半径30キロ圏内に居住すべきでないとしています。避難勧告の範囲を縮小したことについて、アメリカ国務省は「日本政府が発表した追加的なデータに基づいて評価した」と説明しています。日本政府は、先月30日、原発から半径20キロから30キロ圏内を中心とした「緊急時避難準備区域」の指定を解除しており、アメリカ政府にも状況が改善しているという判断があるとみられます。
細野原発事故担当大臣は、8日午前、訪問先の岩手県宮古市で記者団に対し「これまでアメリカとは避難勧告の範囲の考え方について、すり合わせをかなり長い間かけて行ってきたわけだが、わが国の政府の判断を尊重する形での判断を頂いたということで歓迎したいと思う。これまでの政府の取り組みが国際社会での理解を得られたという、1つの象徴的な出来事だと思う」と述べました。