肺炎の治療に通常使われる抗生物質が効きにくい、「マイコプラズマ」という細菌による肺炎の患者が、この時期としては、ことしは過去10年間で最も多く報告されていることから、国立感染症研究所は、せきが長く続く場合は医療機関を受診するよう呼びかけています。
マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマという細菌が原因で起こる肺炎で、発熱や全身がだるくなるなどの症状が出るとともに、せきが長く続くのが特徴です。ほかの肺炎の治療に使われる抗生物質が効きにくいため、診断が遅れるとまれに肺炎が重症化したり、髄膜炎や脳炎などを起こしたりすることがあります。国立感染症研究所によりますと、ことしは調査対象になっている全国の450余りの医療機関から報告される患者数が、7月から急激に増え始め、先月25日までの累計で8900人を超えて、この時期としては過去10年間で最も多くなっています。年齢別では、1歳から4歳までが3191人で最も多く全体の36%となり、次いで5歳から9歳までが2544人(29%)、10歳から14歳までが1303人(15%)で、0歳から14歳までの子どもの患者が7204人に上り、全体の81%を占めています。マイコプラズマ肺炎は、例年、これからの季節に患者が増えるということで、国立感染症研究所感染症情報センターの谷口清洲室長は「例年の傾向と同じだとすると、もう少し増加する可能性がある。マイコプラズマ肺炎は多くは自然に治るが、せきがとても強く、家族や学校の友人など、密接に接触していると感染が広がりやすいので、早めに医療機関を受診してほしい」と話しています。