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【暮らし】

ワインとたしなむ将棋 女性酔わせる攻めの妙手

ワインなどを飲みながら、おしゃれな盤と駒で将棋を楽しむ参加者ら=東京都内のホテルで

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 ワインを片手に将棋はいかが−。日本女子プロ将棋協会(LPSA)が新たな将棋の楽しみ方を提案している。先月三十日には、東京都内のシティーホテルで女性を中心とする初心者対象の夕食会を開催。女子プロ棋士の手ほどきを受けた参加者から「やったー、王手!」と明るい声が響いた。 (鈴木伸幸)

 会場の入り口には赤、白のワインがグラスでズラリ。ビールやスコッチも。ビュッフェ形式で料理が並び、パスタのおいしそうな香りが漂う。一見すると披露宴の二次会といった雰囲気だが、目を引くのが各テーブルの将棋セットだ。

 といっても、普通の将棋盤と駒ばかりではない。盤目が描かれたカラフルな布盤に、ちょっと小ぶりでオシャレな駒。「女性の感性で考案した将棋盤駒」という。人気女子プロ棋士でLPSA事業部長の中倉彰子さんが「ユル〜い会ですから、飲んで食べながら、ちょっとだけ耳を傾けてください」と話し、会はスタートした。

 最初はプロの対局をインターネット中継している記者二人による、うんちく話。「中継中に居眠りしてしまい、その間に対局が終わっていた」と裏話で、軽い笑いを誘った。

 続いて、棋士による初心者向けの講座。駒の動かし方から始まり、王手のかけ方、さらには対局の終盤に二枚の駒を使って勝負を決める「詰み」の方法。参加者たちは、縦横それぞれ五マスの小さな紙盤を使い、王将に金将、銀将、歩兵の四種類の駒だけで、詰み方を実習した。

 「将棋は『男性の娯楽』というイメージが強く、女性には敷居が高い。だけど、本当は誰でも楽しめる知的ゲーム。女性が気楽に指せる環境をつくりたかった」と中倉さん。

◆女子プロ棋士が指南 「はまりそう」

 夕食会には三、四十代を中心とする女性三十人に加え、男性も二十人が参加した。経験者もいて、ワインをたしなみながら黙々と対局を楽しむグループも。一番、盛り上がっていたのは初心者のグループだ。

 指導を受けながら、初めての「詰み」を体験した都内の女性会社員(34)は「面白い」と一言。「礼儀を重んじるところなど、子育てに役立つと聞いて関心を持っていた。実際に指すと、奥深さを感じる。はまる女性は多いのでは」と、赤ワインを一口ゴクリ。

 同じテーブルにいた都内の女性会社員(29)は「将棋のイベントは男性ばかりで入りにくいけど、この会は気軽。興味がある女性は少なくないし、こういう機会があれば、女性の愛好者は増えると思う」と駒を指した。

 オーストラリア出身のただ一人の外国人で都内の会社役員、ロズリン・ヘイマンさん(66)は「敗者が『負けました』と勝者をたたえて対局が終わるところや、取った駒を再び使えるところに文化を感じる。それをワインと一緒に楽しめるなんて、素晴らしい。男性だけに独占させてはダメね」とウインクした。

 好評だった「ワインと将棋の会」。LPSAの石橋幸緒代表理事は「アマチュア愛好家の九割が男性ともいわれ、将棋界は今なお男性社会。今後も全国各地で、さまざまな形で女性への普及に努めます」と意気込みを語った。

 

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