2011/10/7
「時近ければなり その28」
ホカヘー!われに続け。
今日は戦うにはいい日だ。
今日は死ぬにはいい日だ!
(夜明けへの道より)
異端カタリ派 生まれ変わりの真実
デジタル大辞泉によると《(ラテン) Cathari 》12〜13世紀に、南フランスや北イタリアに広がった、キリスト教の異端の一派。マニ教的二元論の立場に立ち、現世を悪とし、禁欲的苦行を実践。十字軍による強力な弾圧を受けた。アルビジョア派。
グラハム・ハンコックのTALISMANにもカタリ派が出てきましたね。神々の指紋は左の目次から拙稿:お星さまきらきらをクリックください。英文・和訳になっています。
南仏の光溢(あふ)れる美しいプロヴァンスは憧(あこが)れの地。だが、この地方には、宗教や民族の対立による血で塗られた重たい歴史がある。
美術が専門の著者が長年、現地の巡礼路を辿(たど)り、見捨てられ、忘れられた古城や教会、遺跡を丹念に踏査し、正史にはない歴史を描いた。本書がこだわる残虐な殺戮(さつりく)が繰り返されたプロヴァンスの歴史と、物悲しくも美しいこの地の風景の描写の対比が印象的だ。
各地にローマ帝国の植民都市が建設され、後のキリスト教の普及も早かった。だが、浸透した異端カタリ派に対する正統派であるローマ教会側からの弾圧が続き、この地方は虐殺の舞台となった。聖地サンチャーゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路を異端から守る意味があったし、教皇のアヴィニョン幽囚も、異端弾圧に乗じたフランス王の策略によるという。
近世に入ると今度は、神への純粋な信仰を貫くプロテスタント(ユグノー派)が世俗の王権と対立。国王及びカトリックと激しく衝突し、この地方は再び血塗られた大地と化したのだ。
イタリアともスペインとも異なる南仏固有の風景の秘密を解き明かす歴史紀行として興味が尽きない。
アサヒ書評:陣内秀信(法政大教授)
本は、ゾロアスター教 => マニ教 => 小パオロ派 => ボゴミール派 => カタリ派という二元論の系譜を簡単に辿る。しかし重点は、南フランスのカタリ派への軍事掃討戦(アルビジョア十字軍)である。
「悪の起源」についての考察から二神論(又は二元論)の論議に入り、ゾロアスター教の紹介に入る。ツカミは良くできている。ゾロアスター教を一からげにせず、マツダ教・ゼルヴァン(ズルワーン)教(=ミトラ教)と区別した上で、マツダ教がオルムツドとアーリマンの闘争による世界展開とする二神論であり、グノーシス派・マニ教・カタリ派へ影響を与えたと言う。一方、ゼルヴァン教は、カルデアからの影響を受けており、二神の上にゼルヴァン・アカラーナ(無限の時)という創造神を立てた穏健二神論である。
グノーシス派の紹介では、ギリシャ古代哲学とゾロアスター教の要素を含むキリスト教であるとするが、これはマニ教を説明するための前座扱いである。しかもマニ教はグノーシス派の2〜3の点で近いというだけの為に。キーワードは、真実の認識を得て悪が作った物質世界の厭離を目指すこと−だ。
マニ教の神話・戒律・祭儀がコンパクトに書かれている。肉体を含めた物質世界は悪の創造によるものであり、霊魂の起源は神にある。戒律を守り厳格な禁欲生活をすれば肉体の衣を脱いだ時、光明の国へ行けるのだ。ただし、それは2階層ある組織のうち「清浄者」と呼ばれるマニ教徒だけである。平信徒は「聴聞者」と呼ばれ戒律は弱く清浄者のサポーターである。清浄者は頭に手を置く「按手」という儀礼により聴聞者へ聖霊を伝達する。他に毎日の祈祷・週一の断食日・太陽の象徴的崇拝など。なお、ファウストスを引いて、マニ教は穏健二元論であると書きながら、マヅダ教の影響を受けたと言う己の矛盾に気づいていないようだ(上の論議からするとゼルヴァン教の末裔だとするのが筋が通っているのに)。
マニ教とカタリ派をつなぐ簡単な歴史がある。小パオロ派は、キリスト教徒を偽装したマニ教である。二元論・悪による地上創造・旧約聖書の排除・太陽礼拝という特徴があり、首長はみづからパラクレット(聖霊)と称したという。イスラム領内でありながらアルメニアには小パオロ教徒が多数いた半独立国があり、ビザンチン帝国に戦いで敗れたため、兵士であった信徒がバルカン半島へ強制連行された(872年)。7〜8世紀にブルガール王国ができ、両キリスト教の宣教と同じ頃マニ教も入る。10世紀始めにはブルガール人に酷使されたスラブ人を中心にマニ教が定着した。「神の友」を意味するボゴミールという名を開祖とするマニ教の一派がよく知られている。ただ穏健二元論のブルガリア派と絶対二元論のドラゴヴィッツァ派の二派があって並存していた。共に、悪による物質世界創造説・マニ教と同様の二階層(清浄者の代わりに完徳者ペルフェクティと呼ばれた)の信者組織・戒律などが知られている。信仰はセルビアやボスニアまで広がり、そこでは15世紀後半のトルコ侵入までボゴミール派は続いた。11世紀にイアリアのロンバルディアに拠点があったことも知られている。
11世紀には南フランスを中心に新しいマニ教徒が知られるようになる。清浄を意味するギリシャ語カタロスから「カタリ派」と呼ばれた。またカタリ派は各地独特の呼び名があった。パタラン(ボスニア・ダルマティア・北イタリア)、ケッチェル(ドイツ)、ポプリカン/ピュブリカン(北フランス)、ブーグル…。南フランスでは、アルビジョアと呼ばれ、特に地域に密着して信仰された。やはり穏健二元論のコンコレッツォ教団と絶対二元論のデセンツァーノ教団の二流がある。前者は、伊ロンバルディアに拠点を持ち、仏ラングドックでも主流であった。後にコンスタンチノープルから後者のニケタスがやってきて南フランスは絶対二元論へと移行した。12世紀から13世紀に多いに広まった。教義・典礼に軽く触れ、マニ教とほぼ同じであることを確認する。ただ、アルビジョア十字軍の攻撃に抗している最中の結縁(戦闘前の救慰礼)と耐忍(断食自殺)だけが異例であると。
本は、アルビジョア派の様子を完徳者の活動記録を通じて描く。また、ラングドックの政治社会状況を押さえる。そして愛着をもってこう書く。「トゥールーズは、ヴェネツィアやローマに次いで、ヨーロッパ第3の都市であった。古代文明直系の相続人たる南フランス諸都市は、独立の感覚と自由を愛する心を古代から受け継いでいた。…ラングドック文明の最も印象的な側面は、驚くほど豊かな内容をもった吟遊詩人(トゥルーバドゥール)たちの、まったく他に類を見ない文学運動である。…吟遊詩人たちの抒情と…完徳者の話と…一体どのようにして両立しえたのであろう」。そしてアルビジョア派の掃討作戦へ話が展開して行く。
著者は、アウグスチヌスのマニ教への反論を逆手にとったマニ教の一神教的穏健二元論への擁護的発言をしている論者を引用する。こうして中立を装うが、実のところアルビジョア派又はラングドック独立派への親近感が見え隠れするのだ。というのも、アルビジョア十字軍は、カタリ派の軍事掃討の他に、トゥールーズを中心とした南仏連合国家(ラングドック・ルーション;オック語の国)が北フランス(オイル語の国)に併合される事を意味するからだ。なお、アルビジョア派の軍事拠点であったモンセギュール砦は太陽信仰の神殿であるとの仮説が面白い。しかし壁面中央と対面する壁の角とを結ぶ線が冬至方向だ−とする「証拠」しかないので仮説以前のように思える。(異端カタリ派より)
正統と異端
今までのやっていたことを守り続ける 正統
時代の中で 少しづつ改善しながら生き延びようとする 正統
正統であることは 常にヒトの目を意識して
生きている・・・それは 正しいという価値観があるからだ。
いったい 誰が決めるのか
その正しさを・・・と問いかけても
正統は 自分たちが正しいと想っている。
正統は 決められたフォーマットの範囲内で
自分の行動を律する。
キリスト教の中にも 正統 はいた
マルクス主義にも 正統があった・・
日本の政治にも 正統となっている 自民党がある。
どんなにトホホな状況になっても 正統を掲げる。
逃げ出したいような気分でも 正統を守る。
自分の信じた価値観を変えたくないからだ・・
ところが 異端はラクだ、
やりたい放題 いいたい放題。
主義があっても自在に変える
哲学があっても自在に変える
異端であることの ラクさかげん
文句を言って 生きていればいい
異端とは つねに アウトローなのだ。
レジスタンス という言葉が その存在価値を認める。
正統と異端がないと 人民が困るのだ。
異端は破壊力があり 権力を壊すとともに
自分さえ壊してしまう。
異端が 正統になるときに・・・
異端は 変質する。
異端を守り続けることの 難しさを
異端は知っている。
異端は それまでの自分の汚した 正統を引き継ぐ。
尻拭いをして その便座に座る。
そして またあたらしい 異端が登場する。
異端は 進化することによって 生き延びる。
異端カタリ派
上の記事の管理人のProfile
挫折:大学時代は研究者の道を目指すも、主に経済的事情によりドロップアウト。色々仕事を変えて、時々放浪したりしながら、テキトーに生きてます。現在求職中。
無茶:家を追い出され、大学時代は研究室で一ヶ月2万円で生活。ほとんど誰とも話さない無頼暗的生活を送る。
出没:浅草、秋葉原。
研究課題:ヴォイニッチ。中世異端(グノーシス的二元論、カタリ派、テンプル騎士団、聖杯伝説)。量子力学と自由意志。コンピュータを使って言語を処理すること。レンヌ・ル・シャトーの謎。イースター島のロンゴロンゴ文字(休止中)、ネアンデルタール人の絶滅。オークアイランドの財宝。アーク。
ヨーロッパオカルティズムの源流

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