2011年8月11日 20時7分
政府の事業仕分けで事業費が高額すぎることなどを理由に廃止と判定されたスーパー堤防事業について、有識者らでつくる国土交通省の「高規格堤防の見直しに関する検討会」は11日、事業規模を縮小して継続するとの見解をまとめた。国交省は来年度予算に事業費を盛り込む方針。
スーパー堤防は、首都圏や近畿圏の6河川沿いに計873キロを整備する計画。検討会は事業中止も視野に議論してきたが、命を守る観点から「人口が集中している海抜0メートル地区などについては整備の必要がある」と判断した。事業規模は完成済みの部分を含め計画の1~2割となる見込みで、実施地区などは今後決める。
スーパー堤防を巡っては、既に約7000億円が投入されたものの、整備を終えたのは計画の5.8%。総事業費12兆円で完成は400年後とされ、昨年10月の行政刷新会議で「時間や費用がかかり過ぎる」と廃止を求められていた。
座長の宮村忠・関東学院大名誉教授(河川工学)は「事業の取りやめも含めて議論したが、東日本大震災を受け、たとえ100年に1度の洪水であっても命にとって必要なものは造ろうという意見が委員の間で大勢を占めるようになった」と話した。【川上晃弘】