2011年8月10日 20時35分
与謝野馨経済財政担当相は10日、8月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。部品供給網の復旧に伴い生産、輸出に回復の動きが広がっていることから、前月まで「上向きの動きがみられる」としていた景気の基調判断を「東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるものの、持ち直している」に引き上げた。基調判断の上方修正は6月以来、2カ月ぶり。
一方、世界経済の現状判断は、欧米景気の減速懸念の高まりから2カ月ぶりに下方修正。特に米国については「極めて弱い景気回復になっている」と厳しい見方を示した。
与謝野経財相も会見で、海外経済の減速や、それに伴う円高、株安の懸念が日本経済の新たな下ぶれ要因になっていると指摘、「リスクの軽減に政策資源を投入すべきだ」と強調。産業空洞化対策などを急ぐ考えを示した。
月例経済報告では、産業のけん引役である自動車産業の復調を受け、生産、輸出の現状判断を「上向きの動き」から「持ち直している」に上方修正。個人消費も震災後、回復が遅れていた小売り販売が堅調に推移し、7月に引き続き判断を引き上げた。【赤間清広】