今回の私のブログの記事をめぐり、
法曹関係者および法曹界を取り巻く方々をも巻き込んだ騒動となったことに関して、たくさんの方にご迷惑をおかけしたものと深く反省しております。
自らの頭で考え、かつ、自らの責任において行った行為ですので、
ご批判等は全て甘んじて受ける覚悟でおりますが、
この騒ぎに対して、
ブログを閉鎖するとか、当該記事のみを削除するという終わらせ方は
あまりにも無責任かと思い、
ここにブログ本文にてお詫びと反省の弁を述べさせていただきます。
まず、以下におきまして問題となっている私の行動について釈明をさせていただきます。
1東京法務局におけるやり取り
東京法務局における女性職員とのやり取りですが、
一部の方から暴行・脅迫罪ないし、公務執行妨害罪が成立するのではないかとのご指摘が出ております。
ブログ記事本文においてはある程度記事を脚色してあるため、
そのように受け止めた方もいらっしゃるかと思いますが、
机を叩く、椅子を蹴る、女性職員の持っていた書類を手でたたき落とす、
と言った各表現は、不適切極まりないものでした。
以下、それぞれについて詳述いたします。
①机をたたいたというのは事実ではありますが、既に机の上にのせていた手で、勢い余って叩いたものであり、たとえば腕を大きく振りかぶって、目の前の女性職員の目の前を狙って拳で机をたたく、というようなものではありません。
②椅子を蹴ったという点も事実です。
椅子に腰かけ、机の前に座っておりましたが、足を延ばせば隣の椅子に足が届く位置関係にありました。
ですので、立ちあがって、サッカーボールをけるように椅子を蹴ったという形ではありません。机に向ったまま、隣の椅子を蹴った形です。いずれにせよ、この点については弁解の余地もありません。
③最後に女性職員の持っていた書類を手でたたき落としたという点について述べます。
まず、当該書類というものは、私が下書きとして提出した、供託原因事実を記載した書類のことです。
女性職員と供託原因事実について議論になる前、担当していた男性職員と、「債権者の住民票上(そこに債権者がいないことは既に明白になっていました)の住所を訪れたという事実があれば供託を受け入れます」と回答され、いったんは私も「ではそのようにします」と答えかけたのですが、ふと、「それは民法494条前段、493条の要件と関係あるのですか?」と疑問に思ったことを尋ねたところ、男性職員は「どれにもあたらない(現実の提供にも口頭の提供にもあたらない)のですが、一応そういう事実があってくれると法務局としては預け入れを受けられる」との答えでした。
私は、供託は法務局の立場や対面のためにある制度ではないと考え、「法律上の要件を満たしているのに、法律上要求されておらず、実質的に何の意味もないことを預け入れにあたって要求するのはおかしい」と主張すると、上司であるとして、女性職員に交代したのです。
当該女性職員は従前の男性職員が認めていた弁済の提供の事実についても「弁済の提供がない」の 一点張りで、預け入れを認めようとしませんでした。
「弁済の提供は、債権者から予め受領拒絶された後に、口頭の提供をしている」
との主張に対し、「じゃあそのように記載して下さい」と声を荒げて答え、「書いてあるでしょうが」という私に対し、その書類を私の前に突き出し、
「どこに書いてあるんですか??」などとなおも声をあげて対応してきました。
私は、当該主張が記載されている当たりをめがけ、手でその書類をたたき、「ここに書いてあるでしょうが、ちゃんと読みなさいよ」と声を荒げたのです。
その際、その女性職員の持っていた書類が机の上に落ちました。
このような経緯をして、「女性職員の持っていた書類を手でたたき落とすわ」と表現したのです。
以上のような次第ですので、私は法務局において私の取った行動が、刑罰法規に触れるものではないことを確信しておりますが、そのようなことは事実関係を細部にわたって把握して初めて分かることであろうと思います。
ブログの記事にする際に、安易に簡略化した事実を記載したのみでは、それを読んだ方の中に、「暴行・脅迫罪ないし公務執行妨害罪が成立するのではないか」、とのご懸念を抱く方がいたとしても何ら不思議ではありません。
結局のところ、当該記事に関する騒動は安易にブログにデフォルメした事実を記載した私の未熟さによるものであり、深く反省いたしております。
2検察庁舎におけるやり取り
検察庁舎におけるやり取りはほぼブログ記事に掲載された通りです。
当該記事の趣旨としては、①当事者対等を謳う刑事訴訟法が、弁護人に短期間で過度の負担を強いていること(検察官から公判記録の開示がなされるのは多くの場合公判の2~3週間前です)、②それに対して証拠を作成する検察庁は、証拠作成段階で予め弁護人用を含めた3部作成することが可能であるにもかかわらず、裁判所提出用、検察官用の2部しか作成していないこと、
この不均衡を問題にしようとしたものでしたが、検察官とのやり取りばかりが注目され、趣旨を正しくお伝えできなかったように思います。
なお、当該検察官とはその後、証拠意見の交換等電話で複数回やり取りをしておりますが、当該検察官はまるで何事もなかったかのように紳士的に対応してくれており、私の方でも電話で声を荒げるようなことは一切ありません。
3 結語
以上のような次第ですが、
事実関係をデフォルメして記載しようとしたり、
依頼者のために全力を尽くして戦う弁護士という姿勢をアピールするために、自身の考えを、ことさらにガラの悪い言葉で表現したことは、
多数の法曹関係者の方に対しても、同業に携わる者として、
多大なご迷惑をおかけしたものと現在では反省しております。
なお、私のブログ記事をめぐる一連の騒動は
読売新聞夕刊に掲載された
ソクドクに関する記事が発端であろうかとは思いますが、
ソクドクに至る事情は人それぞれであり、
中には、余人が及びもつかないような輝かしい経歴を持ちながら、あえて国民の利用しやすい法曹を目指し、ソクドクの道を選ぶ弁護士もいるのであって、
全てが私のような人間ばかりではありません。
今回の騒動により、ソクドクされた他の先生方に対しても、
「だからソクドクはダメなのだ」などという偏見を抱く方がおられましたら、
それはとても残念なことです。
いずれにしましても、
今回の騒動では、私自身の未熟さから
非常に多くの方々に不愉快な思いをさせ、ご迷惑をおかけしたものと
心よりお詫びいたします。
坂本 尚志