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【社会】

競売暴力団規制できず ホテル落札3億円利益

 横浜市の指定暴力団稲川会系組幹部が、不動産競売で静岡県・熱川温泉のホテルを三億円で落札し、十カ月後に栃木県の旅館チェーン大手に六億二千万円で転売していたことが、捜査関係者への取材で分かった。わずかな期間で組幹部に三億円余りの利益がもたらされたことになる。 

 暴力団排除条例は、今月一日の都条例施行により全国で整備されたが、民事執行法で定められた不動産競売は規制できない。暴力団への利益供与を規制する動きが広まる中、不動産競売が暴力団の資金源になっている一端が明らかになった。

 不動産登記簿などによると、ホテルは静岡県東伊豆町の企業が経営していたが、融資の返済が滞ったことなどから、金融機関が土地と建物の競売を申し立て、静岡地裁が二〇〇一年六月、競売開始決定した。地元の人らによると、その後、閉鎖されたホテルに暴力団風の男たちが頻繁に出入りしていたという。捜査関係者によると、ホテルは五年後の〇六年八月、稲川会系組幹部が三億円で落札した。

 旅館チェーンによると、栃木県内の不動産業者からホテルの売却情報を得て〇七年五月、不動産業者の仲介で組幹部とは知らずに売買契約を結んだ。契約の場に本人は現れず、代理人と手続きしたという。同年六月、ホテルの土地と建物を六億二千万円で購入。現在は閉鎖前のホテルと同名で営業している。

 落札価格の倍以上で売買されたことになるが、旅館チェーンの担当者は「購入金額は妥当」とした上で「所有者本人とは一度も会わなかったので暴力団とは分からなかった。知っていれば、後々問題になるので取引はしなかった」と話した。

 仲介した不動産業者は「所有者側の神奈川県内の代理人と話を進めた。所有者が暴力団かは分からなかったし、確認もしていない」としている。

 

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