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カツオ一本釣り 餌のイワシ確保が困難 気仙沼
 | 餌のイワシが手に入らず、出漁できないカツオ一本釣り船=2日、気仙沼港 |
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14年連続で生鮮カツオの水揚げ日本一を誇る宮城県気仙沼港で、一本釣り船が深刻な餌不足に悩まされている。餌のカタクチイワシを供給する定置網が東日本大震災で被災した上、不漁に見舞われているためだ。水揚げ高、水揚げ量ともに1位を占めるカツオ漁のつまずきに関係者は表情を曇らせている。 戻りガツオシーズン真っ盛りの10月上旬、気仙沼港の岸壁に高知や三重、宮崎など各地の一本釣り船が30隻近く停泊していた。例年なら水揚げを終え、すぐに出漁するはずだが、餌の供給が間に合わず、2日以上、停泊している船もあるという。 高知県の第68慶勝丸(99トン)の乗組員(40)がこぼす。「1航海当たりバケツ100杯以上のイワシを積む予定が、ことしは30杯ほど。こんなに少ないのは初めて」 餌の仲介業者「今野産興」(宮城県南三陸町)によると、震災前は東北沿岸に約40のイワシ定置網があったが、津波で多くが壊滅的な被害を受けた。赤字覚悟で九州などから生きたイワシを運んでいるが、供給できるのはバケツ約2万杯。必要量の10分の1程度にとどまるという。 イワシの不漁も追い打ちをかける。壊滅した網を復旧させた気仙沼市唐桑町の定置網漁「松島網」によると、1日の水揚げ量は200杯と例年の約5分の1。大謀(漁の責任者)の河野功さん(70)は「イワシの全体量が少ない」とため息をつく。 カツオは気仙沼市魚市場の主力魚種で、2010年の水揚げ高は約74億円で全水揚げ高の33%を占めた。水揚げ量も約3万3000トンで全体の32%だった。 今シーズンの水揚げ量は約3000トンと前年の4分の1以下にとどまる。市場関係者は「1日10隻以上の水揚げがあるが、餌不足が足かせになっている。シーズン全体の水揚げがさらに落ち込みかねない」と不安を募らせている。
2011年10月08日土曜日
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