少女たちの聖戦 第5話 【死と新生の円舞曲】

みなさまー!第5話ですよー!
ということで、何故か順調に5話までやってきました。
今回は前回の続き。血戦編といったところでしょうか。

書いてみると、悪堕ちというよりダークヒロイン化という感じになりました。
まあ、本格的な悪堕ち?はメインが堕ちてからということで・・・
とりあえずバトル要素が多めになっています。

それではどうぞ。


吸血鬼。ドラキュラやヴァンパイアとも呼ばれる彼らは、人の伝承にあるほど脆弱な存在ではない。ニンニクや十字架に苦しむことはなく、太陽の下を歩くことも出来る。唯一の弱点が銀であり、心臓部分を貫かれれば死を免れない。それでも、永遠に近い寿命を持つ種族であることには変わりが無い。
ここに一本の脇差がある。血刃・禍桜(まがつさくら)。いつ創られたものか、どのように使われたのか全く分かっていない。ただ1つ分かっているのは、この刀に吸血鬼を殺す力が秘められていること。その力を引き出す方法すら分からないまま、少女はそれに未来を賭ける。
月に紅い輝きが満ちる頃、血戦の幕は切って落とされる・・・。

コードダークⅡ ~少女たちの聖戦~
第5話 【死と新生の円舞曲】

鐘が鳴る。今日も学園での一日が終わる。
「ふう・・・。」
オルガは息を吐いた。今日は朝から張り詰めている。集中しているようで、全く授業に身が入らない。
(休んでも良かったけど、奴のために日常を崩すのは癪だし・・・)
今夜のことが頭から離れない。仇敵、ミハイリとの血戦。今までの全てに決着をつける、命がけの戦い。
(弾薬補充と、整備に行かないとね・・・。)
いつものように、クラスメイトたちに捕まる前に教室を抜け出す。そこへ、声をかけられる。
「オルガさーん!今度一緒に買い物行こー!」
その声に振り向く。そこには廊下の窓から身を乗り出す少女、瀬名ひかりが手を振っていた。ボクは手を振り返し、返事をする。
「ええ。いずれ・・・。」
そして再び歩き出す。すると、まだ人気のない階段の踊り場で1人のクラスメイトに遭遇する。
「無理せずに助けを求めたら?あなた1人で手に負える相手じゃないんでしょ?」
それは先日、自らの戦いに終止符を打った少女、星 麗燐。あの日以来雰囲気が変わった彼女は、ボクの表情を覗き込むように問いかけてくる。
「あなたの戦う理由は知らないけど、負けられないんなら・・・ね?」
それでも、ボクは頭を振る。
「・・・これは私の戦いだから。みんなを危険に晒せない・・・」
そのまま通り過ぎ、階段を降りていく。
「バッカじゃないの?」
そんな言葉を背中で聞きながら、ボクは学園を後にする。
「はぁ・・・。もどかしいね、動けないのは。今回はあの娘達を抑えとけって言われてるし、状況は分かってるけどね・・・」
星の呟きは、騒がしくなり始めた放課後の空気に飲み込まれていった。

◇◇◇
小さな雑居ビルの一角。名もなき小さなカフェラウンジの奥で、オルガは3人の男女と対面していた。
「あんたがオルガはんか。ワイの名は豪次。よろしゅう頼むで!」
「・・・ルイよ。」
「バイデンだ。」
『極光』から派遣されてきた援軍。全員が腕の立つヴァンパイアハンターだ。
「バイデンって・・・あの?」
最後の一人の名前に、思わず驚いてしまう。
「ハッハッハー!そやで、あの『グルギアの白日夢』のバイデンや!驚いたか!」
豪次と名乗った男が、まるで自分のことのように胸を張る。
『グルギアの白日夢』。それは数年前、大陸の小国グルギア共和国で発生した事件。吸血鬼とその眷属、下僕たちによって混乱に陥ったその国を、『極光』主導で解放した。その戦いは非常に激しいものだったが、一人の男の活躍によりわずか一日で終戦となった。その男の名がバイデン。二つ名を『雷王』。
「それに、ルイって・・・『氷滅』の?」
小さく頷く女性。二つ名を持つハンターが二人も援軍に来るとは思わなかった。
「で、このワイが『閃光』の豪次や。」
「知らないわね。」
「な、なんやと・・・。てめえ、モグリやろ!」
うるさい男は置いておいて、本題を切り出す。
「奴との戦いはボクに任せて欲しい・・・。」
「な、何言うとる!何のために来たと・・・」
豪次の抗議を制したのは、バイデンだった。
「教主から事情は聞いている。お前が敗れたときは、容赦しない・・・。」
バイデンのその言葉に頷くルイ。
「ありがとう。そのときはよろしく・・・。」
そう言って荷物を受け取り外へとでる。
「なんや、ワイだけ蚊帳の外かい!ちょい待てや・・・」
後ろから、豪次の声が聞こえてくる。それに構わず外にでて、空を仰ぎ見る。
(あと少し・・・全ては今夜。待ってなさい、ミハイリ・・・)

◆◆◆
「もうすぐだな。」
闇に支配された部屋の中、ミハイリは隣に座るアガサに声をかける。
「そうですね。愚妹のためにマスターの手を煩わせる必要はありません。私がすべて片付けましょう・・・。」
病的なまでに白い肌に浮かぶ妖艶で酷薄な笑み。
「ふ、せっかくの愉しみを取り上げるな。お前にはもう1人の足止めをしてもらうとしよう。」
「あの、元老院の狗ですか・・・。かしこまりました。」
「そう残念そうな顔をするな。あのメスを我が物とするときは、お前にも楽しませてやろう。」
凍てつくような瞳に喜色が浮かぶ。ミハイリはそれを確認すると、ゆっくりと立ち上がる。アガサもまたそれに合わせるように立ち上がった。
「すでに下僕共にはあの二人以外は排除するよう伝えてあります。誰が来ようと、相応の時間が確保できるかと。」
「うむ。もうすぐ夜の帳が下りる。出るとしよう・・・。」
闇の中、二人の姿は溶け込むように消えた。

◆◆◆
「ルシル、状況はどう?」
『はい。数人単位で一定の区画内に集まってきているようです。もう少しすれば、戦闘範囲を特定できるかと。』
コードダーク本部の作戦会議室。モニターに映し出されているのは、明堂市旧開発区の映像。そこには、血色の悪い少年や女性たちが連れ立って裏道へと入っていく姿が映されていた。
「キヨカ様、例の援軍が動き出した模様です。」
モニターを見ながら状況を報告するのは、ヒバリことレディ・モス。かつて聖翼戦隊の頭脳だった彼女もまた、私たちの仲間として働いてくれている。
「そう。全メンバーに再度徹底させて。手は出さずに封鎖するだけで良いから。深追いはしないように、と。」
「はい。」
『全メンバーに通達。ブリーフィングで申し合わせたとおり、手出し無用・封鎖優先・深追い禁止を徹底するように。』
了承のコールが次々と送られてくる。ルシルを中心としたチームは内外あわせて100人近い。特に諜報部門でその組織力がモノを言う。
「ふう・・・。あと2~3時間、どうなるかしらね。」
今回はある人物からの依頼で、事後処理を含めた対応をしている。
「あとは・・・奥のみんな次第ね。」
奥の解析室でデータと睨めっこしているメイ様をはじめとした幹部たち。昨日のうちにあらゆる方法でデータを取り、ある刀の解析作業を進めている。
「アレの正体がはっきりすれば、対策も変わるんだろうけど・・・。」
よほど難航しているのか、ほとんど出てこない。ナズナはネットで関連情報を探っているが、こっちも時間が掛かっていた。
「まあ、信じて待つだけね。」

◇◇◇
夜、満月が天に輝く頃、この街の一角は戦場へと変わる。
「オラオラオラァ!!」
豪次の声が響く。
「逃がしはしない・・・」
ルイの冷めた声がかすかに聞こえる。
「・・・」
バイデンにいたっては、言葉1つ無く吸血鬼の下僕たちを斬り捨てていく。圧倒的な数の差も、彼らの前では意味がないようだった。
そして、あるビルの屋上。吸血鬼ミハイリとその眷属アガサ、対峙するオルガとルイーダ。それぞれが武器を持ち、月の光が反射していた。
「じゃ、先生。お願い、します・・・。」
「ええ。足止めくらいなら何とかしてみせるわ!」
ルイーダが動き出す。それに釣られるように、アガサが前に出る。
「ミハイリ様に楯突く愚かな狗め。」
二人ともすぐ隣のビルの屋上に移動する。ルイーダの手には黒革の長鞭。アガサの手には馬上槍が握られていた。
「では、我々も始めようか。」
ミハイリの手には、いつの間にかレイピアが握られていた。
「ええ、そうね。始めましょう。」
右手には『クライストMk-Ⅱ』、左手に『ルシフェル』を装備して立ち向かう。
「「命、尽き果てるまで。」」

「ふふ、狗のクセになかなかやるじゃない。」
アガサは長大な馬上槍を片手で操りながら、笑みを浮かべる。
「貴女こそ、眷族にしておくには勿体無いわよ?」
ルイーダは鞭を変幻自在にコントロールしながら、間合いを維持する。
「うふふ、ミハイリ様のご寵愛を受けてきたんですもの。ミハイリ様のために腕を磨くのは当然でしょう?」
唇だけで笑いながら、攻撃の手は緩むことはない。
「そうね。けど、本職ではなかったのでしょう?」
その言葉とともに、鞭が踏み込んできたアガサの足を払う。
「なっ?!」
バランスを崩した隙を突いて、鞭が風を切ってアガサの体に降り注ぐ。
「くあああ?!」
小さなダメージを蓄積させて、身体の自由を奪う。時間稼ぎが目的ではあるが、オルガの援護に向かう余裕はない。
「眷属化していても、やっぱり姉妹ね。直線的な攻撃と、からめ手に弱いところはそっくり・・・。」
決して楽な相手ではないが、それでも対処はしやすい。間合いを維持しながら、油断無く攻め続ける。
「く・・・。だが、貴様ごときに負けるわけにはいかん!!」
立ち上がり、槍を構えるアガサ。
「そうこなくてはね。もう少し、付き合ってもらうわよ?」
鞭をしならせ、悠然と構えるルイーダ。
「「全ては、信じるもののために!」」

月光の下、舞い踊るように命のやり取りをするオルガとミハイリ。銃弾と剣閃が月の光を浴びて輝き、つかず離れず好守が入れ替わりながら戦い続ける。
「ふはは!昨日の醜態が嘘のようだな。覚悟1つでここまで変わるか!」
一旦手を止めて語りかけるミハイリ。
「よく言うわ!リロードの間だけ手を抜いているくせに!」
そう言いながら、再装填を済ませる。これで用意しておいた弾丸は最後。
(そろそろ決めないと・・・。)
「控えがなくなったか?ではフィナーレと行こうか。」
見抜かれていたことに驚きつつ、再び構える。
「そうね。そろそろ終わらせましょう!」
弧を描くように動きながら引鉄を引く。銀の銃弾がミハイリに向けて放たれる。全ては最後の一撃のための布石。たとえ読まれていても、叩き込めさえすれば勝機はある。
「左の一撃が切り札か。確かにアレを喰らえば、我でもタダでは済むまいな。」
そう。知られているのなら、それを利用するまで。この身体を犠牲にしてでも、奴を滅する。そのための戦いなのだから。
「でやあああ!!」
銃弾を使いきり、奴の間合いぎりぎりまで接近する。奴の背後から一気に接近する。左手を奴の背中をめがけて突き出す。
「ふ。まだまだ甘いな・・・」
その一言ともに目前にいた奴の姿が消える。『ルシフェル』の爆音が虚しく響く。次弾が装填される次の瞬間、両腕両脚に痛みが走る。
「くあああ?!」
レイピアで両腕両脚を貫かれ、完全に動きを止められてしまった。かすかに動く右手が、懐にあるモノを握り締める。

「ふふ・・・なかなか愉しませてもらったぞ。」
身体を動かすことも出来ないボクの前に、ミハイリが現れる。見下すような視線には、獣欲のようなものが混じっていた。
「くっ・・・」
うめき声を上げることしか出来ず、かといって睨みつけるわけにもいかない。
「気に入った。お前も我が眷属として迎えてやろう。」
それは宣告。今のままでは、あがくことも出来ないまま奴に支配されてしまう。右手にあるものを、さらに強く握り締める。そこに肩口の傷から血が流れ込んでくる。
(いや!こんな奴に支配されるなんて・・・)
抗うための手段と、下にいる同業者の到着を祈る。その手許で起こったわずかな変化に気付くことすらできなかった。
「フフフ、喜ぶがいい!我が眷族となることを!!」
ミハイリもまた、その小さな変化に気が付かなかった。
ヒュルッ・・・
耳に届く小さな風斬り音。それとともに、右手に何かが巻きつく。そして、肩口の傷をえぐるような甘い痛みが走る。
「く、ああ?!」

始めは小さな変化。それが全身に及ぶまでに、時間は掛からなかった。
「う、ああああ・・・・?!?」
腕に巻きついた何かが、身体の熱を奪っていく。右腕を見ると、握り締めていたものから黒い糸のようなものが巻きつき、その先端は腕に突き刺さっていた。痛みはなくなっていた。
(こ、これはいったい?!)
困惑の表情を浮かべているのは、ボクだけじゃなかった。ミハイリも、離れたところで戦っていたルイーダとアガサもまた、手を止めてこちらを窺っている。
(な、何なのよ・・・・)
体中の熱が奪われ、代わりに何かが入り込んでくる。それは凍えるように冷たく、氷のような感情。困惑はいつの間にか消え、冷静に今の状況を分析していた。
(奴の動きが止まっている・・・今が好機か。)
そう判断してからの動きは早かった。一瞬で間合いを詰め、身体ごと奴にぶつかっていく。そして、奴の胸に右手に握っていたそれを突き刺す。
「?!・・・。ふははは、そんなものが我に通用すると・・・グガッ?!」

◆◆◆
『・・・聞こえているかしら?ルイーダさん?』
呆然と見つめていたルイーダに、どこからか通信が入る。
「は、はい・・・キヨカさん?」
先日、あるものの調査と分析を依頼した組織。そして今回の補助をしてくれている組織。そこの幹部、キヨカからのものだった。
『状況はモニターしてる。発動したみたいね。』
発動。それは調査を依頼した物を指しているのだろう。
「そのようですね。・・・分かったんですか?」
調査結果が出たということだろうか。
『推論だけどね。あなたの言ったとおり、対魔専用の武器であることに間違いはないわ。』
それは自分で調べたのと一致している。
『あの武器自体が生きている、という感じかしら。発動条件はおそらく、血だと思うわ。それも、高い霊力を持った処女の血液。』
それはつまり、あの刀自体が吸血鬼のようなものだということになる。
『詳しい話は後で話すけど、過去の使用者の情報がないの。発動後どうなるかは、分からないわ・・・。目の前で起きていることが全て、ということね。』
はっきりしたことはわからないまま。ただ、オルガの身に起きていることが真実なのだ。そして、状況は変化する。

◇◇◇
血刃・禍桜。それを仇敵、ミハイリの胸に突き刺していた。これで仇が果たせる、そんな喜びもどこか虚しく感じられた。
「ガハァッ・・・」
ミハイリの呻き声が聞こえる。と同時に、いまや身体の一部となった禍桜が脈動する。
「ク、ガ、ハ・・・?!」
続いて漏れたミハイリの吐息は、ひどく乾いたものだった。ボクはソレを消し去るために、手にした力を振るう。いつの間にか黒く染まった髪を、奴の体に突き刺す。
「カハッ・・・?」
そして、吸い上げる。奴の中に流れる、呪われた命を。魂の一欠片も残さぬように、徹底的に。
「・・・消えなさい、永遠に。」
そして、ミハイリは絶命する。干乾びて、以前の面影が無くなったその身体は、そのまま崩れ落ちて消え去ってしまう。
「ミハイリ様・・・?」
アガサがうろたえながら駆け寄ってくる。だが、全てが崩れ落ちた瞬間、その表情が変わる。何かが抜け落ちたような、そんな空虚な笑みに。
「お姉ちゃん・・・。ゴメンね。」
そう言って、髪の一本を額に突き刺す。吸うのではなく、流し込むために。空虚な表情に、色が生まれる。それは歓喜。
「ふああああ?!」
そして、アガサはゆっくりと笑みを浮かべる。喜びに満ちた、それでいて冷たい微笑み。そしてゆっくりと跪く。
「全ては貴女のために・・・。」
服従の誓い。主を失った眷族を、自分のものにする。姉を、形は違っても取り戻した。

「オルガさん・・・?」
ルイーダ先生が恐る恐る、という感じで声をかけてくる。
「先生・・・。ボクは、いったい・・・?」
自分の身体のことは、よく分かっていた。それでも、問わずにはいられない。
「私にもよく分からないわ・・・。」
それは事実なのだろう。戸惑いが拭い去れていないのがよく分かる。
「いえ、分かってるんです。この刀の記憶も、一緒に入ってきましたから。」
そう言った直後、屋上の扉が勢いよく開かれる。
「おい、やった・・・・何?」
豪次の素っ頓狂なこえが響く。遅れてルイとバイデンもやってきて、驚きの表情を浮かべる。彼らの目の前には、紅く輝く瞳をもった女性が三人。
「みんな・・・。」
「おい貴様・・・」
豪次の言葉をさえぎるように、バイデンが前に出る。
「・・・オルガ、1つ聞く。どっちだ?」
人に仇なすものか、人に寄り添うものか。そういうことだろう。
「ボクは、人を襲うつもりはない。ボクの敵は、あくまで人に仇なす奴らだけ・・・」
その言葉を聞いて、ゆっくりと背を向けるバイデン。
「なら、いい。だが、お前が魔に堕ちたときは・・・」
「ええ、容赦なんていらないわ。」
バイデンはその言葉に笑みを浮かべ、ルイと豪次を連れて屋上を立ち去る。豪次はまだ何か言いたそうだったが、それを引きずるように階段を降りていった。

三人を見送ると、ルイーダが今後について話を始める。
「とりあえず移動しましょうか。協力してくれた人たちに礼を言わないとね。」
そう言ってビルの上から飛び立つ。ボクとアガサもそれに続いて月夜の空に羽ばたく。そして降り立ったのは、この街で最大の病院。その屋上に降り立った三人を迎えたのは、二つの人影だった。
「お疲れ様。・・・そして、ようこそ。」
白衣を着た女性が笑みを浮かべながら迎えてくれる。その横にいたのは、黒いチャイナ服を纏った少女。
「あらら・・・。助けを断って変わっちゃったの?ホントにバカよね!」
最近口の悪くなったその少女は、オルガのクラスメイトでもある。
「星さん・・・?なぜあなたがここに?」
素朴な疑問を口にする。
「まあまあ、積もる話は中に入ってからにしましょう?」
白衣の女性はスタスタと先に歩いていってしまう。その後ろをついてエレベーターに乗り、地下深くまで降りていく。
「さあ、着いたわよ。ようこそ、コードダーク本部へ・・・。」

短い時間で検査を立て続けにこなす。右手に吸い付いていた禍桜は、腕輪のようになっていた。とはいえ、身体の一部になっていることに変わりはない。全ての検査を終えると、会議室のようなところに通された。
「じゃ、そろそろ聞かせてもらえる?その、血刃・禍桜について・・・。」
その場にいる全員の注目を浴びながら、語りだす。
「これは・・・」

血刃・禍桜。かつてとある刀匠が打った、魔を滅する刀。名も無きその刀匠は、妖刀の類を専門にする刀鍛冶。その男が禍桜の材料として選んだのは、うら若き少女。吸血鬼として生まれ、その生い立ちを憎む少女。その血肉を刃に変え、吸血鬼を喰らう力を与えられた。
それ以来、数人の少女がこの刀を振るい吸血鬼を喰らってきた。そして彼女たちは、人ではなくなっていった。純血の吸血鬼となり、そのことに絶望して自ら刀に命を捧げていった。柄と鞘の黒い糸は、彼女たちの名残。彼女たちの髪が思いを残したまま、残っているのだ。

「・・・というわけ。」
語り終え、一息つく。その場にいる人々の表情は、神妙なものだった。
「・・・で。貴女はどうなの?絶望してる?今の自分に。」
出迎えてくれた女性、キヨカさんが問いかける。
「いえ。この力で人に仇なす者たちを喰らいつくしてやります。二度と自分のような者が出ないように。」
それは使命感にも似た覚悟。永遠に等しいこれからの人生を、魔を滅するために使う。
「そう。じゃ、困ったことがあったらここに来なさい。力を貸してあげる。」
「ありがとうございます。」
「それと、アガサさんの身の回りもこちらで何とかするわ。」
あまりの厚遇ぶりに驚く。その理由を訝っていると、答えてくれた。
「貴女とその刀のおかげで色々研究が進みそうだし。こっちがお礼を言いたいくらいなのよ?」

吸血鬼を喰らう魔人。それが今のボク。未来永劫戦い続ける運命を受け入れてでも、人に仇なす連中を喰らい尽す。夜の闇がボクの戦場。今はただ、戦い続けるだけ。その先にどんな未来があろうとも・・・。

コードダークⅡ ~少女たちの聖戦~
第5話 【死と新生の円舞曲】  完


いかがだったでしょうか?
今回の彼女は、肉体が吸血鬼化(しかも物質融合)してしまったのです。
精神的な強さで抑えているものの・・・という感じですね。
この後さらに堕とすには、どうすれば良いかは分かると思います。

さて次回は少し息抜き?
日常回少しバトル、フラグ回といったところでしょうか。

それでは次回更新でお会いしましょう。


次回予告!
雨。夏を前に憂鬱な梅雨の季節がやってくる。少女たちの不快指数が急上昇する中、蠢きだす次なる組織。奴らの襲来は、少女たちに危機をもたらすのか。それとも・・・少女たちのストレス発散に利用されてしまうのか。

第6話 【霧雨煙る幻想曲】
「こんな日に出てくるなんて、運がないわね・・・。とりあえず、覚悟してね♪」
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