少女たちの聖戦 第6話 【霧雨煙る幻想曲】

みなさま、お待たせ?しました~。
見切り発車で始めた長編も第6話。
今回は日常とバトルメインの回になってます・・・。

そろそろキャラ設定とかも載せるべきかな~とは考えています。
まずは前作からですけどね・・・。
ちなみに今回、複数キャラのバトルが発生します。
いろいろ出てきますが、やっつけ設定にならないよう気をつけたいと思います。

それでは本編にどうぞ。


雨。季節は初夏。本格的な夏を向かえる前の、憂鬱な梅雨の季節。一雨ごとに夏に近付くそんな日々。街を洗うように降る雨が、人の心を惑わせる。その音が、その空気が、少女たちを苦しめる。募る苛立ち、たまるストレス。それらは怒りにも似た衝動に変わりながら、人知れず?戦う少女たちの心を狂わせる。
そんなこととは露知らず、世界の転覆を狙う者たちはその活動をやめることはなかった。発足当初5つの組織だった『黄昏の堕天騎士団』も、その数を3つに減らしていた。だがそれゆえの焦りは、彼らには存在しない。そして愚直なまでに戦いを挑んでいく。
雨の中、戦いは新たな局面を迎える。双方の命を懸けた戦いの裏で、暗躍する者たち。その影を感じながら、少女たちの戦いは続く・・・。

コードダークⅡ ~少女たちの聖戦~
第6話 【霧雨煙る幻想曲】

「あぁ~、早く雨上がんないかなぁ・・・」
クラスのムードメイカー、瀬名ひかりが窓の外を見ながら呟く。空はどんよりと曇り、雨が降り続いていた。
「あ~もう!この蒸し暑いのはどうにかなりませんの?」
パタパタとスカートの端をひらめかせ風を送るリズ。
「む~!!暑いです~。」
胸元に風を送りながら、マーメイド娘のフィーが苛立った声を上げる。
「・・・ふー。つまんないですね・・・」
レティが心底退屈そうに頬杖を付きながら外を眺める。
「「「「「はぁ~~」」」」」
タイミングを合わせたように、クラスのあちこちでため息が溢れる。
「・・・これぞまさに『息が合う』ね・・・」
ぼそりと星が呟く。その瞬間、生暖かい風が吹いたような気がした。一瞬間が空いて、エルフ娘エイルが一言。
「星・・・。上手いこと言ったつもりか?」
「ぐっ・・・。う、うるさいわね!良いじゃない別に・・・。」
そのやり取りにクラス中が和む。だがすぐにどんよりとした空気が支配する。
「はあ・・・。なんかこう、いい気晴らしとかないものかしら・・・。」
オルガの言葉は、クラス全員の心の声を代弁するものだった。雨は少女たちの思いを無視するように、ただただ降り続いていた。
◆◆◆
闇の中、おぼろげな輪郭の影が三つ。その場に姿はなく、幻影のみが顔を合わせる。
「『沈黙の処刑人』に続き、『血を啜るもの』も・・・。不甲斐ない連中よ。」
嘲るように、声が響く。
「ふ、所詮連中は半端者。覚悟が足りんのだよ。」
「だが、謎の組織が動いているとも聞く。連中の目的がはっきりしない以上、警戒するべきではないか?」
会議、というよりはただ思ったことを一方的に言っているだけにも見える。
「ふん。恐れることはない。そいつらも所詮人間だろう?」
「気にすることはない。我らが本気になれば、物の数ではなかろう?」
自信たっぷりに語る二つの影。
「では、今までどおり・・・」
その言葉に頷いた影は、相次いでその場から消える。残る1つの影は、思案するように呟く。
「当面は慎重に奴らの戦力を見極めるとするか・・・」
そして、闇だけが残る。

会談から去った影の1つ、『紅の亡霊』の首領。碎 玄奘の名は、退魔を生業にする者なら一度は聞いたことがある。かつては凄腕の退魔師としてその名を轟かせた男は、薄暗い洞窟の奥にいた。
「何を怯えているのか・・・。所詮は小娘どもの集まりに過ぎんと言うに・・・。」
ため息とともに呟く。その表情には、余裕が感じられる。
「目障りな人間どもと邪魔な吸血鬼が消えたのだ。そろそろ本格的に動くとしよう・・・。」
つっと視線を上げると、そこには数匹の妖魔の姿があった。
「まずは名誉挽回のチャンスをくれてやろう・・・。輪廻よ、行くがいい!」
「は、では・・・。」
その場から一匹の妖魔が姿を消す。
「白翁よ、蟲を放て。輪廻が失敗しても、小娘の1人くらい支配下に置くためにな。」
「ケケケ、かしこまりました・・・。」
その場から立ち去る妖怪たち。そこに残ったのは、玄奘と二匹の女妖魔。
「ふ、凶禍よ。かつての娘と戦うのは辛いか?」
凶禍と呼ばれた女妖魔は、もう一匹の女妖魔の頭を撫でながら笑みを浮かべる。
「いいえ~。むしろ楽しみですわ。あの娘がどんな風に泣くのか・・・考えただけでぞくぞくしますぅ。」
その表情は狂喜と虚無に彩られた、虚ろな笑みであった。
「期待しているぞ、凶禍。琥珀もな・・・。」
「「はい。・・・玄奘様。」」
頭を垂れる女妖魔たちを尻目に、洞窟の奥へと向かう。
「よもやアレを使うことはないだろうが・・・。調整はしておくか・・・。」
玄奘はそう呟くと、深い洞窟の奥へと消えていった。

◇◇◇
窓の外は未だ雨が降り続いている。それを図書室の窓から眺める少女たちがいた。
「はぁ、こんな雨早くやんで欲しいな・・・。」
十六夜 雫。神社の一人娘。行方不明になった母に代わり、退魔の仕事を請け負っている。
「ほんとだよ~。外でひなたぼっこできないしー。」
少し子供っぽい話し方をするのは、雫の隣にいる白髪の少女。少女の名は月華。そのお尻の辺りからは白い毛に覆われたしっぽが見える。妖狐、と呼ばれる種族の妖怪の一種。
「こうジメジメするのは厄介だよなぁ。動きにくいし・・・。」
日焼けが似合う短髪の少女が、憂鬱そうな表情で呟く。背が高くボーイッシュな彼女の名は、来栖 蛍。フリーの退魔士である。
「あちこち蒸れますしね・・・。」
パタパタと胸元に風を送る少女。他の三人よりも明らかに大きな胸を持つ少女の名は、清家 柚。護符を使用する退魔士。
「こういうときに限って、妖魔どもが活動を活発にするとか・・・ないよね?」
雫が心底嫌そうに呟く。
「連中は空気読まないからね・・・。」
「正直、こんな時期に来て欲しくはないですね・・・。」
蛍と柚が同意するように、苦笑いとともに答える。
「ぬれるのやだなー。」
月華も雨空を睨みながら呟く。誰もが、期待通りにならないと知りながら、それでも天候の回復を願ってやまなかった。

一方、格技場では二人の少女が汗を流していた。
「力にばかり頼っていられないし、基本ぐらいしっかりしとかないと、ねっ!」
長い髪をポニーテールにした少女が突きを放つ。
「そうね慧!普通の状態でも動けるようにならないと、ね?」
腰ほどもあるロングヘアーをなびかせながら、突きを受けると同時に足を払う。慧はそのまま畳に転んでしまう。
「あいたたた・・・。昴、少しは手加減してよね・・・。」
夕月 慧と御厨 昴。二人は春頃から、人知れずこの街を守るために戦ってきた。今もそのための特訓中だ。
「何言ってるのー?特訓するって言ったのは慧じゃないかー。」
二人の周囲を小さな何かがふわふわと飛んでいる。
「そうだそうだー!昴に感謝しろー。」
妖精というべきなのか、ぬいぐるみのようにも見える。
「分かってるって。ありがとね、昴。カペルとコペルも。」
「いいのよ、慧。私も練習したかったし。」
胸を張る妖精たちと笑いかけてくる昴。それにつられて笑みを浮かべる慧。
「それにしても、うっとうしい雨だねぇ・・・。」
外で降り続く雨。その音を聞きながら、慧が呟く。
「ホント・・・。早く晴れて欲しいのだけど。」
同意する昴。しかし雨はやむことなく、屋根をぬらし音を響かせ続けていた。

◆◆◆
「伝説の戦士、エレメントハートか・・・。厄介なものを遺してくれたな・・・。」
男の声が闇に響く。そこには責めるような色も、侮るような色もない。ただ、事実だけを淡々と告げているようだった。
「も、申し訳ありません・・・ゼツリム様!私の浅はかさゆえに御手を煩わせてしまって・・・」
女の声が響く。ゼツリムと呼ばれた男に、脅えたように謝罪の言葉を並べる。その声は耳障りなほどに甲高い。
「フフフ・・・。抵抗が無ければ面白くない。侵略とはそういうものだろう?」
下品な笑い声が闇に消える。その男の姿は、まるでミイラ男のようだった。
「ふ・・・。サデューヌ、グロヌス、焦る必要はない。この世界は欲望に溢れているのだ。我々好みの穢れた欲望がな・・・。」
ゼツリムの言葉に、サデューヌとグロヌスは笑みを浮かべる。そこへもう1人の男が現れる。ドスドスと音を立てるように入ってきたその男は、下卑た笑みがでっぷりと出た腹の上に乗っかっているように見える。
「ゼツリム様、『紅の亡霊』が動くようで・・・。」
「そうか。ではフェラスキー、我々も少し手を貸してやろうではないか。」
「ははぁ、では・・・」
フェラスキーは形ばかりの敬礼をすると、その場から姿を消す。
「よろしいのですか?フェラスキーは勝手な作戦ばかりで・・・。」
サデューヌが抗議する。
「だからこそだ。奴がどうなろうと、たいしたことではないからな。」
納得したのか、サデューヌは唇の端を吊り上げる。
「では奴の遺体はどうしても構いませんな・・・。」
グロヌスが含み笑いを堪えるように問う。
「好きにするがいい。では、フェラスキーの健闘を見守ろうではないか。」
「ウフフ・・・」「ククク・・・」
含み笑いだけが闇の中で響いていた。

「『紅の亡霊』、『霧を纏う悪夢』ともに動くか・・・。」
会談の中で慎重論を述べていた男。その男はじっと外の景色を眺めていた。
「アルカード、汚名返上の機会をやろう。見事小娘どもを討ち取ってくるがいい!」
その男は背後に控える騎士風の男に指示を与える。
「ハッ!それでは失礼いたします!!」
アルカードと呼ばれた男が姿を消す。
「見事散ってくるがいい・・・。華々しくな。」
男は相変わらず外を見ながら、小さく呟く。外は雨が降り続いていた・・・。

◇◇◇
別組織の敵が同時にやってくる。そんなことは今まで無かった。ましてや幹部クラスが来るなんて。
「やぁあああ!まだまだぁ!!」
それでも、みんなのテンションは高かった。ずっと降り続く雨に、フラストレーションが溜まっていた。それをぶつけられる相手が向こうから来たのだから。
「ひかり!雑魚は任せて、奴をやっちゃいなさい!」
リズが叫ぶ。その声は不思議なくらい晴れ晴れとしていた。
「こっちは大丈夫だから!行って、ひかり!!」
レティの声を聞きながら、私は宙を舞う。以前は苦戦した魔獣でも、今の私たちには相手にならない。みんな、梅雨のストレスを魔獣にぶつけるように戦っていた。

「セラフィムソウル!今日こそ貴様を我が物にしてくれる!!」
騎士風の魔族アルカードが叫ぶ。私はその声を聞きながら、奴の正面に舞い降りる。
「ハッ!喰らえぇえええ!!」
次の瞬間、地面から蔦のようなものが飛び出してくる。
「こんなもの!はああ!!!」
絡み付こうとする蔦を、魔法を使って弾き飛ばす。学校で魔法の勉強をしているおかげで、最近こつを掴んできた。簡単なものなら聖句なしで発動できるようになっていた。
「こんな日に出てくるなんて、運がないわね・・・。とりあえず、覚悟してね♪」
アルカードは懲りもせずに魔法で創った槍を飛ばしてくる。私は弾き飛ばすのをやめて、かわしながら反撃の隙を窺う。
「人間の小娘ごときに屈するものか!やあああ!!!」
攻撃は激しさを増すが、直線的な攻撃ばかりでかわすのは容易だった。私はかわしながら、試してみようと思っていた新しい魔法の構築に入る。
「・・・熾天使エルナディール、冥界の門を護りし者よ。その力もて、我が前の闇を封じよ・・・。」
周囲の魔力の流れを感じながら攻撃をかわし、魔法のイメージを構築していく。そのイメージは檻。
「セイクリッドケイジ!!」
その声と同時に、空から光が降り注ぐ。幾千の光の糸が、アルカードを囲む。それは光の檻と呼ぶに相応しく、出ることも入ることも許さない聖なる結界。
「くっ・・・こんなものっ!?」
アルカードが何とか破ろうともがく。しかし、光の檻は次第に収束していく。動きを封じ、力を封じながら闇を消し飛ばしていく。
「くそおおおおお?!」
最後は何も出来ないまま、叫びながら光に呑まれ消えていった。
「この世に悪の栄えた例なし!」
「ひかりー!」
魔獣も全て打ち倒され、レティやリズ、仲間たちが駆け寄ってきた。
「みんな大丈夫?」
「ええ!さ、他のみんなの加勢に行きましょう!!」
フィーですらこのやる気。みんなその言葉に頷いて、二手に分かれて加勢に向かう。

◇◇◇
「ドインラーン!!」
『霧を纏う悪夢』の尖兵・ドインラーンと化したタンクローリー。その中身は生のコンクリートだった。
「さあドインラーンよ!奴らの、エレメントハートの動きを止めてしまえ!!」
吐き出される生コンクリートを必死に避ける。
「くっ・・・。ブルーム!!」
「わかったわ、グローリー!!」
以心伝心。わずかな言葉だけでお互いの考えを、動きを感じあう二人の少女戦士。グローリーハートとブルームハート。二人は足を止めることなくドインラーンの周りを回り続ける。
「はああ!!風の精霊シルフ、力を貸して!」
「水の精霊ウンディーネ!お願いします!!」
風と水、二つの力が合わさってドインラーンを空高く弾き飛ばす。
「あるべき姿に戻りなさい!」
「精霊の祝福を!」
二人が同時に跳ぶ。
「「テンペスト・・・ハートアターック!!」」
グローリーとブルームの同時攻撃がドインラーンを打ち砕く。
「ド、ドインラーン?!?!」
ドインラーンは元のタンクローリーに戻った。

「さあ、次はあんたよ!・・・スキー!!」
「覚悟するのね!・・・スキー!」
二人は頬を紅潮させ、どもりながら小声でフェラスキーの名前を叫ぶ。
「グゲゲゲ!オレ様の名前ぐらいしっかり覚えとけ!メス豚がぁ!!」
フェラスキーは怒気を露わにしながら、臨戦態勢に移る。
「うっさい!ちゃちゃっと叩きのめしてやる!」
「・・・お黙りなさい!二度と見なくて済むようにしてあげます!」
駆け出す二人、迎え撃つフェラスキー。
「行け!イロボケー!!」
戦闘員をけしかけるフェラスキー。だがそれに横槍を入れる者たちが現れる。
「バッカじゃないの?そんなことさせるわけないじゃん!」
飛び込んできたのは星。それ以外にも仲間たちが数人加勢に現れる。
「とっととやっちゃいなさい!」
仲間たちに任せてフェラスキーの元に辿り着く。
「おのれぇ!!」
脂の乗った巨体を揺らしながら攻撃を繰り出してくるフェラスキー。それをかわし、時には防御しながらダメージを与えていく。
「ハッ!てい!だぁっ!!」「やっ!えい!とぉっ!!」
二対一。本来なら圧倒できてもいいのだが、フェラスキーが巨体のわりにすばやい動きで攻撃してくるのでなかなか決めきれない。
「ブルーム!」
「グローリー!」
一瞬のアイコンタクト。そして、フェラスキーの目の前で交差する。
「地の精霊ノーム・・・。頼みます!」
大地が割れ、石のつぶてがフェラスキーを襲う。
「ぐっ・・・小癪な!!」
思わず手で顔を覆う。その隙を見逃すことはない。
「今よ!火の精霊イフリート、蹴散らして!」
炎がフェラスキーに襲い掛かり、燃え移る。
「ぐおおおお?!」
フェラスキーの絶叫が響く。
「これで!」「お終いです!」
グローリーとブルームがタイミングを合わせるように飛び込む。
「「エレメントフラーッシュ・・・ストラーイク!!」」
光がフェラスキーを包み込み、浄化していく。
「ぐあああああ!?」
光が収まったとき、そこにフェラスキーの姿はなかった。
「よし!・・・みんな、ありがとー!」
「みなさん、ご無事ですか?」
フェラスキーを倒したことを確認して振り返ると、すでにイロボケーの大群は撤収していた。
「こっちは問題ない!向こうも大丈夫だと思うが・・・。」
エイルがチラッと遠くを見る。
「とりあえず行ってみよう!」
戦い終えた少女たちは、疲れも見せずに走り出した。

◇◇◇
「輪廻・・・。もう止めましょう!これ以上は・・・」
少女の悲痛な叫びが響く。戦いの趨勢は決し、暴走していた妖怪の群れも、今は沈静化している。
「だ、黙れ・・・。さあ、止めを刺せ!!」
攻撃を指揮していた妖魔、鎌鼬(カマイタチ)の輪廻は傷だらけの身体で立ち上がる。
「どうしてそこまで・・・・。貴方は操られているわけではないのでしょう?!」
対峙する巫女装束の少女、雫は叫ぶ。本来争いを好まない彼女にとって、目の前の妖魔が戦い続けようとする理由が分からなかった。
「それ以上言うな!俺は妖魔、お前は退魔士。分かり合えるはずがないのだから・・・」
輪廻はそう言うと身体を引き摺るように雫に襲い掛かる。
「雫!?」「なにやってんの?!」
雫はそれを正面に見据えながら、ゆっくりと刀を構える。
「くっ・・・。破邪天照・・・封魔一閃!」
交錯する。雫の肩口が切れ、血が飛ぶ。しかし、倒れたのは輪廻だった。
「がはっ・・・」
輪廻は倒れると、そのまま動かなくなった。そして次の瞬間、小さな石に変わっていた。

「お疲れ様です・・・。」
「だいじょうぶー?」
柚と月華が小走りに近づいてくる。遅れて蛍がゆっくりと歩いてきた。柚の手には封印の符。それを輪廻が変化した石に貼り付け、小さく真言を唱える。
「・・・よし。封印完了。」
妖怪や妖魔に人間のような死の概念は当てはまらない。彼らにとっての死とは消滅することであり、それ以外は休眠状態になっているに過ぎない。輪廻もまた、力を取り戻せば復活するだろう。
「後ろで操ってる奴を早く仕留めないと、同じような奴が出てくるかもな・・・。」
蛍が呟く。その手はしきりに首筋を掻いている。
「蛍、どうかしたの?」
「ん?ああ、虫に刺されたみたいだ。ほっときゃそのうち治るだろ。」
「そう・・・?」
そこへ他の場所で戦っていた友人たちが集まってくる。
「無事のようね・・・。」
シスター姿のオルガが、確認するように呟く。気が付くと、雨は上がっていた。雲の切れ間から、陽の光が差し込んでくる。
「梅雨明けたのかな・・・。」
ひかりは呟く。他の少女たちの顔にも、憑き物が落ちたような晴れやかな笑顔が浮かんでいた。1つの大きな戦いを終えて、季節は夏を迎えようとしていた。

コードダークⅡ ~少女たちの聖戦~
第6話 【霧雨煙る幻想曲】  完

◆◆◆
夜。全ての少女が眠りに付き、静けさに包まれた寮の一室。
「はぁ・・・くぅ・・・んんっ・・・」
くぐもった少女の吐息が、小さく静かに聞こえていた。
「はふぅ・・・なんなのよ、これぇ・・・ひあぁ・・・」
少女の指は下腹部に伸び、もう片方の手は身体を抱きかかえるようにしていた。
「やぁ・・・皮膚の下で、何かが・・・はぁん・・・動いて・・・」
よく見れば、皮膚の下を蠢く何かが見えたかもしれない。だが、同室の少女は異変に気付かず、彼女の体は布団に隠れて見ることは出来なかった。
「変、なのにぃ・・・おかしいのにぃ・・・」
少女の声が、吐息が、切羽詰ったものに変わっていく。
「どうしてぇ・・・こんなにぃ・・・」
声が上擦り、少女の頭の中が白く染まる。
「あはぁ・・・気持ちいいのぉ・・・?イ、イッちゃうぅぅ!?」
少女の身体が痙攣したように震え、低く抑えられながらも絶頂を示す喘ぎが漏れる。そして、少女の体に更なる異変が起きる。
ぼんやりと開かれた瞳に金色の光が宿り、日焼けした肌には謎の黒き紋様が浮かび上がる。ゆっくりと上半身を起こし、舌で唇を舐めまわす。
「ふ、ふふふ・・・」
静かに微笑む。それは以前の彼女なら絶対にしない、妖艶で邪悪な微笑み。それでいて、どこか虚ろな印象を受ける。
「私は・・・蛍。一匹の、蟲・・・。」
そして呟く。自らの存在を確認するように。心の奥底で抗い続ける本来の自分を押さえつけるように。
「私は、蟲・・・。蟲の、蛍・・・。」
そして蛍は再び眠りに付く。肌に浮かび上がった紋様は、じわじわと全身に広がろうとしていた・・・。


いかがだったでしょうか?

セラフィムソウルは新技発動。
エレメントハートはいろいろやらかしてますね。
退魔士たちが当面メインになります。
今色々と画策しています。ゲストが出てくる予定があるのですが、
プランが固まっているのでネタバレはしません。

精霊については基本的にテイルズシリーズに準拠します。
つまり、他にも出てくるということです。

次回も日常シーンメインになるかと思います。
それでは次の更新でお会いしましょう。


次回予告!
うっとうしい梅雨は去り、季節は太陽照りつける夏へ。少女たちは間近に迫る夏休みに向け、準備に余念がない。少女たちの心は夏の到来に躍る。強い日差しは影を生み、動き出す闇の住人。少女たちは、その危機に気付けるのか・・・。

第7話 【夏空踊る奏鳴曲】
「ふ、ふえぇ?!まだ続けるんですかぁ?!もう勘弁してくださいぃぃ・・・。」
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