■9

『さぁ、セツコ。もう一度問おう。お前は何だ?』
『はい、マスター。私は帝国観察軍の兵士。
 そしてマスターの忠実な兵器です』

感情を感じさない引き締まった表情で敬礼をするセツコ。
その表情は感情を廃し、冷徹なる帝国の兵器として生まれ変わった事を示している。
気弱で泣きそうな潤む瞳も今は…
絶対なる忠誠心を表す光を感じさせない虚ろな瞳だ。

だが、俺はセツコを無粋な飾り気の無い兵器として扱う気は既になくなっていた。
俺の為だけに存在する最高の素材。
調整の中で見つけた新たなる彼女を引き出す事にしたのだ。

『セツコ、お前はこれから俺の為に戦い、俺の背中を守らなければならない。
 その為にお前は兵器から俺のパートナーに昇格するのだ』

『はい…』

虚ろな瞳で頷くセツコに俺は一着の衣装を手渡す。
先日、地球内部でこちらでも確認していない機体とやり合った時、
そのパイロットが身に着けていたものだ。

地球上の生物コウモリを連想させるピンク色のその機体は手ごわく
捕虜として捕まえた直後に逃走されてしまったのだ。
結果としてあの女を洗脳し兵士とする事は出来なかったが、
戦利品としてこの衣装だけが残った訳だ。

その衣装は露出の多い黒く艶光するボンデージ。
容赦の無い攻撃的なサディスティンとして調整された今のセツコには
もっとも似合うコスチュームのように思えた。
パルスから脳波を調整し、あの時の人格を引き出す。
すると、その衣装に魅入られたように着替え始めるセツコ。

『あぁ…これ…ハァァン、このボンテージ。肌にフィットして…すごく…いぃ…』

恍惚の表情でぴったりと肌に密着するボンデージを抱きしめる。
さらに青紫のルージュを手渡すと、それも惜しげなく自らの唇に施す。
地球の兵士だった頃のセツコの口紅は薄いピンク色の
本来の彼女にもっとも似合うリップクリームのような物だった。
しかし、俺のモノとなった今のセツコにそれは似合わない。
青く艶光する官能的な唇がもっとも似合っている。
そして目元にも濃いアイシャドーを引き、
彼女は外見も俺の望む姿へと変わっていく。

『マスター、素敵な衣装ありがとうございます。
 セツコはマスターの忠実なるシモベ、何なりとご命令を…』


そう言うと、官能的な笑みを浮かべ俺の前に跪く。
俺はセツコの口元に顔を寄せ、彼女の青紫のルージュに彩られた唇を奪った。
セツコは艶やかな溜息と共に俺の舌を受け入れる。
ン……ンゥ…ウフゥ…絡め合い蕩けるようなディープキス。
一方的に貪られるのではなく、お互いを貪り合うように派手に舌を絡め合う。
一頻りお互いの舌と唇の気持ちさを楽しんだ後、俺は語りかける。

『お前は俺のモノだ、セツコ』
『はい、マスター。セツコは未来永劫、永遠にマスターだけのモノです…』

うっとりとした表情で答える彼女の答えに満足する。
その虚ろな瞳の中に映っているのは俺だけなのだ。


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