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きょうの社説 2011年10月8日
◎戦闘機タンク落下 原因究明して不安除去を
航空自衛隊小松基地に所属するF15戦闘機から燃料タンクなどが飛行中に落下すると
いう事故は国内では前代未聞であり、防衛省が領空侵犯に対応する緊急発進の場合を除き、安全が確認されるまで同型機の飛行を中止する措置を取ったのは当然である。落下した燃料タンクは空で、人的な被害が報告されていないのは、まさに不幸中の幸いである。原因解明を徹底的に行うことはもとより、自衛隊機の整備体制なども総点検し、地域住民の不安を取り除いてほしい。燃料タンクは破裂音と火を伴って落下したという。もしタンクに燃料が入っていたらど うなっていたか。F15は航空自衛隊の主力戦闘機であり、航空・防衛政策上の重大事故という認識を持って事故原因を究明し、再発防止策を講じる必要がある。 F15戦闘機の最近の事故では、今年7月に那覇基地所属機が東シナ海に墜落し、一時 、同型機全機の飛行訓練が中止された。小松基地では2009年にパイロットが車輪を出し忘れ、胴体着陸する事故があった。今回の部品落下事故を機に、もう一度隊員の安全教育も徹底してもらいたい。 F15戦闘機は、米国では1970年代から飛行が始まり、航空自衛隊には82年から 配備されるようになった。空自によると、初飛行から30年以上経つ機種だが、基本設計が優秀で、現在も信頼性と能力においてトップクラスの戦闘機という。それでも、近年は日米双方でトラブルが相次いでいるのも事実である。 防衛省は現在、老朽化したF4戦闘機に代わる次期主力戦闘機の選定を進めている。選 定作業が予定より遅れていることもあり、F15戦闘機の装備を近代化して、防衛力の維持、向上を図っている。F15の退役が始まるのは2020年ごろとされ、まだまだ防空の要として運用しなければならない。それだけになお安全性を確保し、地域住民に安心感を与えることが重要である。 全国の基地に配備されているF15戦闘機の耐用飛行時間はどの程度で、現在どれだけ 経過しているか、機体の耐久性などに関する説明もしてほしい。
◎戦没者遺骨収集 政府が前面に立たねば
太平洋戦争の激戦地、マーシャル諸島ミレー島で厚生労働省応急派遣の一員として遺骨
収集に当たった羽咋市の坂本俊文さんが帰国し、遺骨7柱を持ち帰った。ミレー島から日本へ戻った遺骨は339柱を数えるが、それでも石川、富山を含む3千人余りの戦死者のうち1割強にとどまり、現地協力者の世代交代などで活動継続は険しさを増している。フィリピンの遺骨収集では、旧日本兵だけでなく、現地の人と思われる遺骨が多数含ま れていたことが厚労省の調査で分かった。千鳥ケ淵戦没者墓苑に納骨された約4500柱も混入の可能性が否定できないとして、厚労省内の霊安室に移す事態に発展している。 厚労省が遺骨収集を委託したNPO法人「空援隊」のずさんな手法が次々と明らかにな っているが、だからといって遺骨収集を停滞させるわけにはいかない。事情を知る旧日本兵や現地の人たちの高齢化、地形の変化で確度の高い情報は減っている。遺骨収集はまさに時間との闘いである。 郷土部隊が上陸したミレー島では、石川県人を中心とする慰霊団が島民との信頼関係を 築き、現地から情報が届くルートができた。収集には厚労省職員や遺骨鑑定の専門家も同行している。こうした体制は遺骨収集の基本である。 だが、坂本さんのような遺族の努力に頼り続けるのは限界がある。政府は厚労省だけに 遺骨収集を任せず、在外公館や国際協力機構(JICA)、現地の日本人ネットワークも生かし、情報収集の見直しを含め、政府が前面に立つ体制を整え直す必要がある。 フィリピンでは対価を期待したと思われる盗骨などの疑惑が浮上し、墓を荒らされた地 域では収集団を拒絶する動きも出始めている。戦争の傷跡は日本だけでなく現地にも残っている。現地の協力があって遺骨収集も可能になる現実を直視しなければならない。 フィリピンのようなずさんな方法は論外としても、遺骨収集を加速させるにはNPOの ような民間の力は貴重である。政府は相手国の実情に即したルールや持続的な仕組みづくりを急いでほしい。
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