池田信夫 blog



2011年10月07日 12:45
IT

真の芸術家は出荷する

アップルスティーブ・ジョブズについては、きのうから山のような記事が出ているので、今さらコメントすることもないが、一般メディアの論評に「ビジョナリー」とか「独創的」といった形容詞が多いのが気になったので、ひとこと。

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原発事故で流された大量のデマには二種類ある。一つは小出裕章氏のように、自分の専門領域(原子炉工学)については正確だが、専門外の分野(放射線医学)については間違っている話、もう一つは宮台真司氏自称ジャーナリストのように、どっちの専門家でもない人々のでたらめな話だ。

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佐藤優氏の意見はナンセンスなものが多いが、彼の専門の外交については的確だ。今週のブログ記事では、韓国が「慰安婦」の問題を国連に提起しようとしていることに外務省が警戒するよう呼びかけている。

当ブログでも、4年前に安倍政権でこの問題が再燃したとき取り上げ、膨大なコメントがついたが、初めに結論ありきの某弁護士以外は、全員が「慰安婦の強制連行」を否定し、誤報によってこの問題の火付け役になった朝日新聞も、強制の証拠を出せなかった。これは今では韓国人でさえ認めている歴史的事実であり、論じるまでもない。

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2011年10月02日 14:43

日本人とユダヤ人

日本人とユダヤ人 (角川文庫ソフィア)ユダヤ教やキリスト教というのは、日本人にとってわかりにくい世界である。2人の社会学者がそれを論じた『ふしぎなキリスト教』は、日本人のキリスト教理解のレベルの低さをよく示している。アマゾンの書評欄で多くのキリスト教徒が怒りのレビューを書いているが、こういうでたらめな本が売れるのもよくないので、ちょうど40年前に出版された本書を紹介しておこう。

本書はイザヤ・ベンダサンというユダヤ人が書いたことになっているが、今ではよく知られているように著者は山本七平(と何人かの外国人)である。これは一時的なお遊びだった(ペンネームも品のよくない駄洒落)と思われるが、300万部を超えるベストセラーになって引っ込みがつかなくなったのか、その後も山本はベンダサン名義を使いわけた。本多勝一との「百人斬り」論争は、内容的には戦地を知っている山本の勝ちだったが、匿名で批判を続けたのはフェアではない。



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2011年10月01日 21:00
科学/文化

放射能という迷信

さっきの記事の続き。山本七平の日本人論は彼の宗教論とからんでおり、学問的には疑問もあるが、最近の反原発ヒステリーを分析するには適している。

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最近の朝日新聞の激しい反原発キャンペーンは、戦時中の記事を思い起こさせる。当時もっとも過激な戦意昂揚記事を書いたのは、朝日だった。たとえば1945年8月14日の社説は、次のように書いて本土決戦を主張した:
原子爆弾は相当の威力を持つものに違いない。しかしながら、すべて新兵器は最初のうちは威力を発揮しても、やがてその対策の樹立されるに及んで、その威力をとみに減殺されることは従来の事実がこれを証明している。[・・・]敵の暴虐に対する報復の機は、一にこの国民の胸底に内燃する信念が、黙々としてその職場において練り固めつつある火の玉が、一時に炸裂するときにある。
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2011年09月30日 18:02

微量放射線は健康にいい?

図説 基礎からわかる 被曝医療ガイドこのごろ私のところに、本書のような放射線医学の本がたくさん贈られてくる。エネルギー問題のシンクタンクをつくるという話についても、多くの研究者から協力の申し出があった。その全員が「今の日本の異常な空気では、まず科学的な事実をきちんと知らせることが必要だ」という。私はもちろん放射線医学の専門家ではないが、専門家は「隠れキリシタン」状態になっているようなので、彼らに代わって基本的な事実を確認しておく。



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野田首相が「ぶら下がり」をやめたことに対して、記者クラブが反発を強めている。特に執拗に批判しているのが朝日新聞だ。きょうの4面の記事(ウェブには出ていない)では、こう書く:
首相としての発信力を高めるよりも、失言などのリスクを避けることを優先する考えだ。ただ、野田首相は臨時増税案を決定しても記者会見も開いておらず、国民への説明責任を十分果たしていない。
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2011年09月27日 23:46

反原発派の「エーテル仮説」

原発のウソ (扶桑社新書)私が伊方原発訴訟を取材していたころ、情報源は久米三四郎氏の率いる原告団支援グループで、著者(小出裕章氏)はその実働部隊の一人だった。伊方訴訟は最高裁まで争って原告(住民)側が敗訴したが、内容的には原告勝訴だった。炉心溶融が起こる可能性が理論的にはある(が蓋然性はきわめて低い)ことを被告(国)が認めたからだ。福島事故は、このとき原告側が立証した可能性が現実になったもので、この点を説明する本書の前半は正しい。



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2011年09月26日 00:04
科学/文化

安心から安全へ

「安心・安全」というのは福田政権からの政府の方針だが、両者はまったく別物だ。安心は主観的な心理だが、安全は客観的な事実であり、両者は必ずしも一致しない。安心していても危険なことがあり、安全でも不安なことがある。こういうとき、どちらを取るべきかは自明ではない。

原発事故後の被災地では、ほとんど安全だが非常に不安な状態が半年以上、続いている。被災者を不安にしているのは実際の健康被害ではなく、マスコミのまき散らす放射能デマである。「放射能」という病気があるのではなく、問題はその発癌性だから、目的は放射能を減らすことではなく発癌性を減らすことだ。

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